とある野球部寮での出来事
Added 2021-02-08 10:40:53 +0000 UTC日課の素振りを終えて寮に戻ってきたのは23時だった。本来ならこんな時間まで練習をやってたいたら怒られる。 自主練のやりすぎで、怪我をされても困るし、日々の練習量もきちんと計算して与えているわけだから、それ以上やられて体に負荷がかかってしまっては困るかららしい。 でも、素振りくらいはいいですよねと監督に何度もお願いをして、根負けする形で、監督も少しの自主練ならと認めてくれた。 あんまり根詰めすぎるなよと言われた。でもキャプテンとしては、この野球部で甲子園を目指しているから気は抜けない。 いつもどおり軽くクールダウンしてから寮に戻る。なにか異変を感じる。 「…妙に静かだな」 そう、いつもと比べて寮の中が静かに感じる。管理人さんがいるにはいるけど、だいたいいつもみんな騒がしい。 その日によって騒がしい感じはまちまちだが、この時間であれば、まだ騒がしいはず。 妙な緊張感を感じてそれぞれの部屋がある2階へと上がる。 廊下にも誰もいない。自分の部屋に向かうまでに、1年や2年の誰ともすれ違わなかった。 静かにしろとか、早く寝るようにしろとか、そういうことは一切言っていないから、こんな誰もいない状況はおかしいんだよな。 「なあ、木原。今日静かじゃない……か…」 部屋のドアを開けて俺は愕然とした。 『んっ……あ……絵里……気持ちいいか?』 同室の木原が、ベッドに全裸でいた。それくらいならよくあることだろうけど、2年の駒田と…その…せ…せっく…セックスをしていた。 いわゆる正常位っていう形なのか、ふたりは確実に体を重ねていた。 『はい、気持ちいいです。はい、気持ちいいです』 犯されている側の駒田は、一切表情を変えず無表情で同じ言葉を繰り返していた。 「おい!おまえら何やってんだよ!」 手に持っていたバットを乱暴に投げ捨て、二人のもとに近づく。 『…絵里のまんこやべえ…めっちゃ気持ちいい』 『もっと使ってください。もっと使ってください』 木原はずっと付き合っている彼女の名前を言っている。とうとう気が狂ったのか。 「おいって!」 体を揺すってみてもなにも反応しない。まるで俺なんかいないみたいな感じだ。 「ほんっと……まじでやめろって!」 この光景自体見たくなかったし、あまり触れたくはなかったが、仕方がなく2人を強引に引き離す。 『…絵里……好きだ…好きだぁ』 『はい、俺も好きです。はい、俺も好きです』 引き離した勢いで木原はごろんと転がってしまい天井を見上げる形になっているのだが、セックスをしていたときの体制を崩さず、そのまま彼女の名前を呼び続け体が動いている。そして駒田もずっと木原のセリフに答える人形のようになっている。 「…なんなんだよこれ」 まさか他の部屋のやつも…。俺は慌てて部屋を飛び出す。 * 「おい!誰かいる……か…」 隣の部屋も同じような状況だった。 斉藤が椅子に人形みたいに座っている。当たり前の夜に全裸。そして同じく表情は無表情で、ずっと前を見ている。 その前に久田が膝をついて、斉藤のちんこを舐めている。ふたりとも、一切喋らず、ひたすらにその行為を行なっていた。 「…おい…マジで…ふざけんなって…」 ダメ元で近づき揺すってみるが反応はない。 斉藤がぶるっと震える。どうやら射精をしたようで、久田は出された精液を喉を鳴らして飲んでいる。 飲み終わるとふたりは役割を交代して、今度は斉藤が久田のちんこをなめ始めた。 その光景と、卑猥な水音に耐えられず、俺は部屋を出た。 * 頭がクラクラする。まともに歩けない感覚だ。 逆に俺のほうがおかしいんじゃないかって思えてくる。 …いや…だめだ…絶対にまだまともなやつはいるはずだ。 とにかく嫌だけど他の部屋も見て回るしかない。 『キャプテン!』 後ろから聞こえた声に体がビクッとする。 そして恐る恐る後ろを向く。 「…飯田」 立っていたのは2年の飯田だった。 トレーニングウェアを着ているということは、飯田もさっき自主練から戻ってきたタイミングなのか。 『ごめんなさい、驚かせてしまって…』 「いや、大丈夫だよ。…もしかして飯田も他の奴らの行動を見たのか」 『も…ってことは、キャプテンもですか?』 「ああ…でもよかったよ。まともなやつと出会えて」 一気に体から安心感みたいなものがじわっと出てくる感じがした。 とりあえず飯田と確認したことのすり合わせして、目的を確認しないとだめだ。 ここで、俺がしっかりしてやらないと。 「さっき自主練から戻ってきて、部屋に入ったら木原が駒田と…その…セックスしてたんだよ」 『…わ……』 「それから他の部屋も見てみたんだけど…まあ…みんな変になっていて…」 『ぼ、僕も同じなんです。ロードワークから戻ってきて部屋に行ったら…廣田さんと弓田が…』 「無理して言わなくていい。同じ状況を確認してきたということさえわかればいい。」 飯田も少しは落ち着いてきたようだ。呼吸もゆっくりになってきている。 「…とりあえずは全部の部屋を見て回って確認する必要がある」 『わかりました。僕もついっ…て…っ……』 安心はあっという間に絶望に変わった。 飯田は喋っている途中で体がぴくっ震えた。 少し不安げに俺を見ていた表情はなくなり、無表情になる。 「嘘だよな…」 飯田はその場で来ていたトレーニングウェアをすべて脱ぎ、あっという間に全裸になった。 「飯田…」 俺の声なんてもう届いていなかった。全裸になってすぐに近くの部屋に入っていった。 隙間から見えた部屋の中では、その部屋にいたやつと抱き合いながら、ひたすらに口づけをしていた。 叫ぶ気力もなく、ほぼ抜け殻みたいになった俺は、全部の部屋を見て回った。 結局みんな同じ状況だった。それを確認した俺は、リネン庫に向かい積まれた布団にそのままドサッと倒れ込んだ。 別に自分に襲いかかってくるわけでもないからと、妙な安心感と疲れから、あっという間に寝てしまっていた。 * 次の日 『キャプテンどこで寝てんすか』 『いくらなんでもリネン庫はねえだろ』 『僕の部屋ならいつでも来てよかったんですよ』 木原も、飯田も…他のみんなも昨日のことがまるで嘘だったように過ごしていた。 …なんだろう。妙に自分の頭の中もスッキリとしていて、本当に昨日のことは夢だったんじゃないかなって思っていた。 ただ全てスッキリと忘れてしまうにはまだ早いと思った。 だから、今日の夜、俺は日課の素振りをせず部屋で過ごすことにした。 何かしら原因はあるんじゃないかと思ったからだ。 今日一日観察してみて、特に何も起きなければ夢だったってことで終わることに決めた。 時計を見る。22時30分。俺が戻ってきた23時までもう少しだな。 『今日は素振り行かねえの?』 「今日はやめとく。あんまり毎日やりすぎるとよくないから」 『ふうん。じゃあそろそろ全裸になろうぜ』 木原に促され、俺も全裸になる。今のところ何も起きていないな。 木原がスマホで今日の役割を確認してくれた。 『平野はアナニーだって。俺はとなりの斉藤とセックスか。じゃあ俺先に行ってるわ』 「ありがと。気をつけてな」 木原が出ていったあと、引き出しの奥からディルドを取り出していたら、1年の久保が入ってきた。 久保は1年なんだけど、いい体つきなんだよな。全裸だから、余計にそのたくましい肉付きがわかる。 そして、脇には男性の下半身を模したオナホをもっていた。 『ちわっす。今日はここで、セックスします』 「わかった」 なるほど、だからオナホをもっていたのか。 うーん…やはり昨日のことは夢だったのかな。特に変なことも起きてない。 ちゃんと監督に"指示"されたことをみんなこなしてるだけだな。 22時45分。寮内の放送でポーンという音が鳴る。体がビクッと震えた。 俺は床に座りケツにディルドを抜き差ししアナニーを始める。 となりで久保はオナホを使ってセックスを始めている。 たくましい巨体が揺れるさまは、見ていて興奮する。俺のピストンの速度も自然と早まる。 やはり俺の勘違いだったようだ。特に何も起きていない。 いろいろ根気を詰めすぎてやるのはよくないな。 現実と夢の区別がつかなくなる。 * 『……キャプテン!なにやってんですか!?』 23時05分突然部屋を開けて入ってきたのは、2年の早山だった。 何か慌てている様子だな。トレーニングウェアを着ているあたり自主練からの帰りか。 『久保もなにしてんだよ!』 俺と久保の体を揺すって何か言っている。でもこの指示をこなしている間は何も喋ってはいけない。だから俺は早山の言うことには何も答えなかった。 というか何も変なことをしているわけでもないから、わざわざ何をしていると答える必要もない。 『…誰かいるのか?』 空きっぱなしの扉の奥から今度は島田が入ってきた。 あいつも同じく自主練上がりか。 『島田さん!よかった…みんなおかしいんすよ!』 『それはわかってる。俺もロードワークから戻ってきたら、みんなこうなってた』 『…他の部屋も見てまだ変じゃない人探しましょうよ』 『そうだな、まだだれっ…か…っ』 『島田…さん…?』 良かった。島田も遅れて監督の指示をこなす流れに入ったようだな。 このままあいつらが監督の"指示"を無視して過ごすのかと思って不安だった。 『……もうダメだ』 あれ、おかしいな。早山は何もやらないのか。 …まあいいか。特に俺が気にすることでもない。 さっきから頭の中で変なことばっかり考えてしまうな。 俺はただひたすらに監督の"指示"をこなせばいいだけなんだ。 ふたりが出ていったあと、視線だけを下にやると床が精液で汚れていた。 気がついたらすでに3回ほど射精をしていたようだ。 でもまだ時間はあるから、もっともっとやらなくては。 * 「よく動いてくれるもんだな」 寮の誰も近づかない場所にある部屋。 その部屋の中には無数のモニターがあり、各部屋の様子が映っていた。 それを見て微笑むのは、監督の榊だった。 さっきキャプテンが言っていた通り、この異常な行動は榊が催眠を施し組んだものだった。 全員が時間になるとスケジュール通りに動く。 与えられたメニューは全員が"正常"であると判断する。 ただ、毎日誰かひとりかふたり、時間になると"指示"を行わない。 そして周りの行動を"異常"と認知するようにしている。 助けを求めるが、その人物もいずれ時間差で"指示"をこなしていく。 そんなやり取りを榊は毎日モニター越しに眺めている。 「そろそろ、違うシチュエーションもやってみたいもんだなあ」 椅子にぎいともたれて、新しいシチュエーションを妄想し、不気味に微笑んでいた。