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竜人騎士さんがダンジョンの小部屋に閉じ込められる話

 ようやく暗闇に目が慣れ、周囲の様子が鮮明になる。  四方を無機質な石壁に囲まれた、小さな正方形の部屋。物と呼べるようなものはまるでなく、あるのは入口らしき頑丈な鉄扉が一つだけ。 (八方塞がり、か)  赤鱗の竜人の鋭い眼差しが、鉄扉に浮かび上がる魔法陣を睨みつける。『施錠』の魔法陣。低級のダンジョンにしてはいささか厳しい罠だった。 「騎士様、ご無事ですか」  鉄扉の向こうからか細く震える少年の声が聞こえ、竜人は平静を装って「平気だ」と返した。ダンジョン慣れしていない彼のことだから、鉄扉の前で不安に駆られていることは想像に難くなく、下手に動揺させるようなことを言うわけにはいかなかった。 「魔術師くん。予想外のアクシデントが生じたときこそ、状況を把握すべきだ。落ち着いて、現状を報告したまえ」 「は、はい」  魔術師くん、と呼ばれたのは狐の少年で、魔法学校に在籍する見習いの魔術師だった。毎年の課外授業として、騎士団の人員を一人護衛につけて小規模なダンジョンへと突入、最奥部まで行って帰還するというものがあり、そのさなかの出来事である。 「えっと、ボ、ボクが解除に失敗した罠は、おそらく『転移』の罠です。ボクは咄嗟のことで回避ができず、騎士様に突き飛ばしてもらって……」 「きみが転移範囲から外れ、私だけが飛ばされたということだね」  ダンジョンには、侵入者を排除するための罠が仕掛けられていることが多々ある。魔術師見習いの狐人は通路に敷き詰められていた『転移』の魔法陣の看破にこそ成功したが、解除に失敗し、『転移』が暴発してしまった。  しかし、幸いなことも二つある。竜人騎士が機転を利かせ狐人を転移範囲内から突き飛ばしたため、両者ともに巻き込まれることは回避できたことが一つ、『転移』によって飛ばされたのは罠のある通路に面した小さな小部屋であり、合流が容易だったことが二つ目だ。 「それから、えっと。騎士様が飛ばされた小部屋にはさらに『施錠』の罠があって、発動して、騎士様が閉じ込められてしまいました」  不幸だったのは、『転移』の先で飛ばされた小部屋に『施錠』の罠があったことだ。そのせいで部屋唯一の入口である鉄扉は閉じ込められ、竜人騎士は見事に閉じ込められてしまったのである。 「よろしい。状況は把握できた。さて、次にすべきことは何だろう」 「……きゅ、救助、ですか」   返答としては赤点、と言ったところだろうと竜人騎士は思った。おそらく、自分の過失でトラブルに巻き込んでしまったことを気に病み、無謀な選択肢を取ろうとしているのだと推察し、竜人騎士は諭すような口ぶりで言葉を放つ。 「君の力量でそれが叶うなら、それは正しい選択肢になり得るだろう。可能ならば、そうしてくれ」 「そ、それは……すみません、ボクの腕では」  ここで頑張ります! とでも言われれば、鉄扉越しの叱責が待っていたところだったが、魔法学校に在籍しているだけあり、彼は聡明だった。ダンジョン突入前に確認した彼の魔術の腕前はまだ半人前以下といったところであり、彼の『開錠』の魔法では、ダンジョンに一般的に存在する『施錠』の罠には太刀打ちできないだろう。 「そうだろう。ならば、その選択は誤りということだ。ならば、どうすべきだろう」 「……」  鉄扉越しに沈黙が訪れる。流石に、ダンジョン慣れしていない彼に解かせるには少し意地悪な問いかけだっただろうか、と竜人騎士は思い、助け船を出す。 「『施錠』以外の罠は仕掛けられておらず、施錠中の鉄扉以外に出入り口もない。つまり、今確保すべきは私ではなく君の安全の方だ。自衛能力に乏しい君が魔物と遭遇し、やられてしまえば、私の所在を知るものはいなくなる。それが一番不味い」 「ど、どうすれば……あ、『隠密』の魔法で身を隠します! 『施錠』の罠は長くとも12時間ですから、えっと……」  再び狐人の少年は言葉に詰まった。言っていて、それが無謀であることに気づいたのだろう。自身も騎士見習いの頃はこんなものだったな、と竜人騎士は静かに口端を緩めた。 「『隠密』の魔法は正しいが、魔力の消耗を考えるに、12時間その場で待機するのは得策ではないのは分かるね。一度、近くの安全エリアに戻り、そこで待機していなさい。『施錠』の魔法が解けた後、私もセーフエリアに向かう」  セーフエリア、というのは冒険者間の俗称だ。ダンジョンに稀に存在する、魔物除けの結界が貼られた空間のことで、冒険者たちにとっての中継地点となり得る場所だ。気候的に安定し、水場が併設されていることが多いため、休息が取りやすい。 「もし、今から12時間と半刻を過ぎてもセーフエリアに私が戻らなければ、ダンジョンの外に出て速やかに助けを呼ぶこと。分かったね」 「は、はい……!」  返事からすぐ、鉄扉越しに『隠密』の魔法の詠唱が聞こえる。それきり無音になったため以降の様子はあずかり知れないが、おそらく言うとおりに動いてくれるはずだ。 (さて、待つか……)  なるべく長時間にならないといいが、と一人ごち、竜人騎士は鉄扉の『施錠』魔紋をふたたび睨みつける。  しかし竜人騎士は知っている。こういう時、たいていの場合は想像の中で一番最悪のケースを引いてしまうことを。 ▽  薄暗く、光のない小部屋に、かちゃかちゃと鎧の留め具を外す音が響く。重い鎧を身に着けたままでは体力が持たないと判断し、竜人騎士は早々に鎧の脱衣を決断した。 (ようやく外れたか……全く、いつになったらうちの騎士団は鎧を新調してくれるのやら)  手元のおぼつかない中で鎧を外すのは中々に骨が折れる。次の賞与が出れば、一呪文で鎧を外すことが出来る『着脱』のエンチャントを掛けてもらうことを考えるべきか、或いは着脱の容易な新式の鎧を検討すべきか、と竜人騎士は退屈な思考をこねくり回しつつ、上鎧から小手、脚甲に至るまでのすべてを脱いでいく。  空気の入れ替わりがないためか、部屋の中は少々蒸し暑い。人目がなければ衣類を身に纏う理由もない、と、麻の鎧下と脚衣も脱いでしまい、日々の苛酷な鍛錬によって鍛え上げられた、精悍で、若々しく張り詰めた竜人の肉体が露になる。締め古された薄灰色の褌が局部を覆うほかに、彼の赤鱗を遮るものはなかった。 「……ふう」  ダンジョン内で裸になるなど自殺行為も甚だしいが、小部屋に封じ込められているということは逆に外からの干渉も存在しないということである。それに、竜人騎士の鍛え上げられた肉体であれば、低級のダンジョンの魔物程度なら裸でも対処が可能だった。 (しかし、新米のころの懲罰を思い出すな)  身体的に優れた竜人という理由で他の種族の倍の訓練目標を与えられ、それが達成できなかった罰としてよく騎士団舎の地下牢に放りこまれていた記憶が蘇る。たいていの場合着衣は許されず、教官の機嫌が悪いときなど局部を隠すための褌すら与えてもらえない。しかも裸のまま翌日の訓練に参加させられたときなど、顔から火が出そうなほどの羞恥に苛まれたものだ。さらにひどい時など手足を縛られ腹が膨れ上がるほどに水を飲まされ、夜通し強烈な尿意に身もだえする羽目に―― (……余計なことを思い出してしまった)  そわり、と巨体をよじり、竜人騎士は無意識に褌の上から局部を抑え込んだ。  閉じ込められている以上、いずれ避けようのない問題として襲い来るだろう生理的欲求。実のところ、閉じ込められる半刻前からそれの来訪の気配は感じ取っていた。 なにせダンジョンに突入する直前に近くの茂みで用足しを済ませたきり、かれこれ4時間ほどが経とうとしていた。突入後も定期的に脱水を防ぐための水や治療のためのポーションの経口摂取など、それなりの量の水分を取り入れている。尿意をきたすのも当然の話だろう。 しかし、鎧の着脱の面倒さや用足し中は同伴者に気を揉ませること、そもそも浅いダンジョンであることなどから、間近に迫った安全な最下層までは我慢しようと考えていたのだ。  しかし、状況は判断の時から変わっていた。当然いま閉じ込められている小部屋に便所などという気の利いた設備はない。竜人騎士の膀胱に蓄えられた小便を解き放てば、小部屋の一角にはぬるい水たまりが広がり、悪臭が部屋を満たすだろう。この先どれほどの時間閉じ込められるか分からない以上、出来ることならば避けたいのが竜人騎士の本音だ。 (どうしたものか)  我慢のし過ぎで体調を悪化させては元も子もない。だが、小便まみれの床の上で時間が過ぎるのを待つというのがいかに屈辱的なことか、これまでの経験から竜人騎士は嫌というほどわかっている。 (もう少し……耐えよう)  もしかしたら、ほんの数分後にでも『施錠』の効果が切れ、外に出られるかもしれない。外に出られれば、扉を出たすぐ目の前に通っている水路に向けて放尿することが叶うだろう。そうすれば、痕跡は残らない。 心のどこかでそうはならないだろうことを半ば察しつつも、一縷の望みに託して竜人は動きのない小部屋の壁面を睨み続けた。 ▽  慎重に、息を吐く。  頬から伝う汗が滴り落ちる。蒸し暑さと息苦しさの増す小部屋の片隅、竜人騎士はじっと身を固めて座り込んでいた。  極力何も考えないよう、小部屋を満たす暗がりを睨み続け、6時間ほどが過ぎ去ろうとしていた。『転移』の罠を踏んだのがダンジョン突入から4時間後のことであり、単純計算で前回の排尿から10時間が経とうとしている。 いくら竜人が身体的に優れ、常人より強靭な膀胱を持っていたとして、また騎士という職業柄こまめな用足しが叶わない環境に慣れているとしても、10時間も我慢すれば、当然平静ではいられない。そもそも、常人ならば既に二度は小用に立っていておかしくない時間だ。普通なら、とうに果ててしまっているだろう。 「ふーっ……っ、く、漏れる……ッ……」  何度となく押し寄せてくる尿意の波を、褌の薄布を深く抑え込んで耐え凌ぐ。竜人騎士の巨体は無意識のうちに小刻みに揺れ動き、口端から苦し気なうめきを漏らす。 (まだ、なのか……? もう、我慢が……!)  内心祈るような面持ちで『施錠』の魔法紋が輝く鉄扉を睨む。せめていつまで罠が作動しているのかを窺い知ることが出来れば、我慢するなり諦めるなりの対処もとれるというものだが、魔紋は無慈悲に輝きを放ち続けるばかりだ。罠の性質上発動時間は12時間が限度、ということは知っているが、竜人騎士にはそもそも時間を図るための術もない。  膨れ上がっていく下腹部の切迫感に耐えながら、いつ訪れるとも知らない解放の時を待ち続けるというのは、尋常ではない精神力が必要だった。 (……もう、いっそ)  生理的欲求を果たせないというのは、肉体的な苦痛もそうだが精神的苦痛も著しいものだ。何せ監禁はまだ折り返しの時間にすら達していない可能性もあるのだ。いま消耗しきってしまえば、同伴者の少年に迷惑が掛かってしまう。そして何より、竜人騎士は小便がしたくてたまらないのだ。 (だが……やはり、気は乗らないが……)  ちらり、と部屋の隅を見る。何もない小部屋、というのは比喩でもなんでもなく、本当に石壁と平らな石床のほかには何もないのだ。仮にここで小便をすれば、粗相の痕跡を片づけることもままならない。ただでさえ高温多湿の苛酷な状況で、さらにひどい臭気に苛まれながら時を過ごすというのは、どうにも。 (……だめだ、もう、出すしかない)  このまま決めあぐねていては、下着すら犠牲になりかねない。そうなる前に、覚悟を決めなくてはならない。  意を決し、竜人騎士はゆっくりと立ち上がった。体はひどく疲弊しきり、脱水と空腹のせいで酷い眩暈に襲われ、壁に寄りかかる。 「……っ、は、ぐう……」  満水の膀胱を刺激しないようなるべくゆっくりと立ち上がったが、立ち眩みで壁に寄りかかった弾みで水面が揺れ、随意筋が緩む。じわり、と尿道に熱いものが迸る。  しゅう、と布地にしみ出す音。波が来る。 「……ッ、ふ、はーっ……はーっ……!」  慌てて両手で股間を握りこみ、決壊をせき止める。抑え込む掌に生ぬるい感覚が広がる。褌の薄い布地がしっとりと水気を帯びていて、それが汗なのかしみ出した尿なのか、もうすでに分からなくなりつつあった。  もう限界だった。パンパンに膨れ上がった下腹部はキリキリと鈍い痛みを放ち、熱気に包まれているはずなのにひどく薄寒い。尿意の荒波に揉みくちゃにされながら、竜人騎士は必死に股間を抑え込み続ける。 「はーっ……ふーっ……」  竜人の大きく開かれた口から、か細く荒い呼気が漏れる。じわ、じわと小便が外に漏れだし、褌が使い物にならなくなっていく。一瞬でも気を抜けば、そのまま力尽きて漏らしてしまうだろうことは明白で、竜人騎士は普段の沈着な面構えとは程遠い、憔悴しきった様子で歯を食いしばる。 「んっ、くうっ……はあっ……!」  一瞬。  ほんの一瞬尿意の波が引いた隙を逃さず、竜人騎士は乱暴に褌の前袋をずらし、竜人の肉体の中で唯一鍛え上げられていない、性器の収納された縦筋を露にした。  いつものように二本の指先を筋に添えるより早く、薄桃の肉筋からぷしゅうと濃黄色の飛沫が吹き出す。随意筋はついに堪えが利かなくなり、ちろちろと少量の小水が垂れ始めていた。竜人騎士は入口の鉄扉に背を向け、部屋の角隅に向かい合うようにして立つ。 「ん、っ……」  解放の合図のように下腹部に力を籠めれば、ぬるりと肉筋から赤黒い肉の槍が突き出る。つまむというよりは握るように一物に手を添え、ぶるり、と巨躯を震わせる。強張った肉体が緩み始めた瞬間、竜人特有の太ましくごつごつとした陰茎の先端から、小便が堰を切ったようにあふれ出した。 「はー……っ……」  勢いの良い放物線を描いて放たれた、黄金色の力強い水流。目の前の壁にたたきつけられ、びちゃびちゃと潔い水音が小部屋に響き渡る。小便はそのまま壁を伝って床に落ち、もうもうとむせ返るような濃い臭気と熱気を立てる。 石床は一切水を吸わない。ゆえに、竜人騎士の膀胱から放たれた小便はその一切が露になったまま、部屋いっぱいに広げられていく。足先からかかとにかけて、自身の出した生ぬるい小便に浸っているのも意に介さず、竜人騎士はらしくもなく顔を緩ませ、強烈なまでの解放感に浸りきっていた。 壁に突き刺さるびちびちという水音が、いつの間にかじゅうじゅうと泡立つような水音に代わっていた。部屋の半ばほどにまで広がった水たまりに、なおも勢いを増して放たれる小便の水流が突き刺さる音である。 常人より長く堪えたということは、それだけ出す量も多いということである。既に放尿が始まってから一分以上過ぎているというに、その勢いはようやく衰え始めてきたかというほどだった。 今この瞬間だけは、竜人騎士にとって何もかもがどうでもよくなっていた。本能的な排泄の快楽に身を任せ、目をつむり、息を吐く。こみあげてくる心地よさと解放感、精神的安心感に包まれながら、じょろじょろとだらしなく小便を放つ陰茎を握り続け、腹の中がすっと軽くなっていくのを心地よく噛みしめていた。 やがて小便が絶える。満水だった膀胱はすっかり空になり、竜人騎士の顔色はすっかり生気を取り戻していた。ぼたぼたと大粒の雫を垂らす陰茎を粗雑に振り、雫を払って肉筋の中へとしまい込み、ずらしてあった褌の前袋を戻して隠す。 (我ながら、ひどい臭いだ……)  正気を取り戻し、嗅覚が戻れば、足元に広がる水たまりの強烈な臭気に消沈する。もはや水たまりというより、部屋全体がうっすらと浸水しているといっても過言ではない。 自身のことながら、ここまで大量の小便をため込んでいたという事実に愕然とし、それからひどい羞恥がこみあげてきた。排泄姿はそもそも人に見せるようなものでもないが、特に先ほどの放尿姿は誰にも見せられるものではないだろう。 (部屋の近くは通らせないようにしなくては……)  竜人騎士が閉じ込められていた部屋から強烈な尿臭がすることに感づかれれば、何もかもを察されてしまうだろう。それだけは竜人騎士の誇りにかけて避けられなくてはならない。  少々げんなりとした気持ちで振り返る。そして、竜人騎士の視線が鉄扉を捉えた。  違和感を覚え、眉をひそめる。先ほどまで鉄扉に輝いていたはずの『施錠』の魔紋が消え失せていることに気づいたのだ。 (い、いつの間に……)  竜人騎士は珍しく狼狽した。記憶をたどり、小便をするか否かの葛藤のときには、まだ煌々と魔紋は輝いていたはずだと思い出す。おそらく、小便をすると思い至った瞬間から今に至るまでのどこかで、気づかないうちに『施錠』の終わりが来ていたのだ。  あれほど堅牢だった鉄扉は、今では容易に押し開くことが出来た。 開いて様子を伺う。魔物はおらず、目の前には小さな水路がさらさらと流れている。 (もう少し我慢しておけば……部屋の中で済まさなくてもよかったのか……)  あと少し、ほんの数分我慢を続けていれば、目の前の水路に向けて用を足すことも叶ったはずだ。足元に痕跡の広がるような、ほとんど粗相に近い放尿をすることもなく―― (……いや、結果論だな)  暗澹とした気持ちが広がりそうになり、竜人騎士は首を振った。どのみち、一番の懸念だった小便まみれの部屋での監禁は避けられたのだ、それだけでも良しとしたい。 (急いで彼のもとに戻ろう)  部屋を出ようとして、自身が褌一丁であることを思い出す。閉じ込められた最初のころに、せめて疲労を緩和するためにと装備を脱いでおいたのだ。  部屋の隅に固めておいた装備と衣類を拾い上げ――ようとして、竜人騎士はあることに気が付いた。 (し、しまった……びしょ濡れじゃないか……!)  摘まみ上げた脚衣は、小便にまみれてぽたぽたと水気を滴らせていた。  それだけではない。上衣も同様にふんだんに水気を吸っており、鎧や小手なども小便だまりにしっかりと浸かっていた。 これを身に着ける勇気は、竜人騎士にはない。 (……どうしたものか)  再度、途方に暮れる。部屋いっぱいに広がる小便だまりの上で、竜人騎士は茫然とした面持ちで立ち尽くすほかになかった。


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