バイトから帰宅。夜勤だったんだけど、仕事終わる時間になってちょっとトラブルがあり、いつもより遅い時間に帰ってきた。 「10時か…昼飯と合わせで食うかー」 カップ麺にお湯を注いでいたら、鍵が開き、ドアが開いて男が入ってきた。 最初は大家さんかと思ったけど、大家さんはたしか中年太りのおじさんだったはず。 でも俺の部屋に入ってきたやつは、細身の男だから大家ではないことはわかった。 「…は?あんた誰だよ。何勝手に人の部屋に入ってきてんだよ」 『あーれー?…208号室…あー、そっか昨日入った時はいなかったんだ。もしかして夜勤とかですー?』 俺の話も聞かず勝手にぺちゃくちゃ話し始める男。こりゃもう警察に任せようとポケットからスマホを取り出す。 「今から警察呼ぶから逃げんなよ」 『わあ、それは大変だ。とりあえず【警察呼ぶのはやめてください】』 あと0のボタンを押せば警察に繋がる…というところで、警察を呼ぶ気がなくなったのでスマホをしまう。 「わかったよ。警察は呼ばない。とりあえずお前は誰なんだよ。答えろ」 『答えますけど【私の言うことに疑問を感じたり、変だと思わないでくださいね】』 「いいから早く答えろ」 『せっかちですね…。私は催眠が使えます。だから昨日の夜にこのアパートの人全員に催眠をかけたんです。』 へえ、催眠でここの住人全員を催眠にかけたのか。まあ…ちょっと引っかかるが、変に思うなって言われたからスルーしよう。 「全員に催眠をかけてどうするんだよ」 『私の好き勝手にするんです。ついさっきまでお隣の男子大学生グループと乱交パーティを楽しんできたんですよ』 「…あー…そう…か…。へえ…」 やっぱりなにか腑に落ちない。無理やり納得している感じがしてイライラしてくる。 『【疑問に思わないでください】【私の言っていることは常識みたいなもので、普通のことですから】【それとイライラもしないで】【いつも笑顔でいましょう】』 「わかった。わかったよ。お前の言うことは普通だもんな。俺が間違ってたよ。疑問に思ってゴメンな。」 全てをそのまま受け入れてしまうと、次第に楽しい気持ちになってきて、自然と笑顔になった。 よくみりゃ変なやつでもなさそうだ。一般的な男性だ。むしろいきなり部屋に入ってきたこいつを変だと思ってた俺のほうがおかしいのかもな。 『はは。ちゃんと笑顔になってくれて良かった。では…そろそろ始めようかな。【これから私の言うことに従ってください】【なにか聞かれたら、素直に全て答えてください】』 「わかった」 『名前と年齢は?』 「方屋敦弘(かたやあつひろ)、35歳」 『恋愛対象は?』 「女だよ」 『だめですね。恋愛対象は男性にしてください』 「ああ。これからの恋愛対象は男性な」 『試しに…その布団の上にあるエロ本見てどう思います?』 男が指さした先にあるエロ本を手に取る。 表紙には巨乳やスタイル抜群な女性の裸が載っている。そういやこれで昨日シコったっけ。 …でもなんだ…見てても全然興奮しない。…気持ち悪いとまではいかないが違和感を感じる。俺はすぐさま、そのエロ本をゴミ袋に捨てた。 『あれ?捨てちゃうんですか?』 「なんかいやな気持ちになってな。…俺は男性にしか興奮しねえし」 『うんうん。いいですね。じゃあ質問続けますね。今までの性交経験は?』 「去年別れた彼女と何回かあったくらいだ」 『ふうん…。【たぶんそれは嘘の記憶です】【あなたに元カノはいません】【だって今までずーっと隣の部屋に住む、宅配員の人と付き合っているはずです】【その人とは、体の相性がよく何回もセックスしているんですから】』 あれ…?そうだっけ…?隣の部屋の宅配員?頭の中にぼんやりと隣の住人の姿が思い浮かんでいく。 青ベースの制服。いい感じに鍛えた身体がシャツを破ろうとするくらいムチムチで。長いこと付き合って…るんだよな。 そうだ。セックスがとても上手くて、何回も何回もやりまくってたな。ああ…思い出しただけでムラムラしてくる。 『あれ?なんか股間が盛り上がってますよ?』 「え…?うわっ!やべ…っ…はっっっっず…」 顔が赤くなるのがわかった。慌てて股間を抑えようとすると男はこう言った。 『【人前で勃起するのは恥ずかしいことではないですよ。むしろ誇らしいことです】【それに勃起をしてしまった場合は、お詫びにその人に自分のオナニーを見てもらうのがマナーですし】』 「あ…ああ?…そう…だっけ?そうだよな…わりいわりい…」 今更なんだけど、こいつの言葉を聞いてると、その言葉が無理やり頭に入り込んでくる感じがする。そして、もともとあったなんか大事なことが押し出されてしまうみたいな…。まあでもそんなことはないよな。それにそうだとしても疑問に思っちゃダメだしな。 とりあえず俺はマナーとして全裸になって勃起したちんこをしごき始める。 「…すげえ恥ずかしいけど…しょうがないよな」 『ええ、マナーですからね』 あー…昨日抜いてないからすごく敏感になってる。自然といつものように左手が乳首に行き、くりくりとこね始める。 「んうぅ…あっ…やべっ…気持ちいい…」 『【あなたは見られると気持ちよくなっちゃいますもんね】』 男は笑顔で俺のオナニーを見ている。そう…俺はそうやって見られてるとより興奮できるんだ。 いつも以上に乳首をいじっている感覚が研ぎ澄まされて、ビリビリと気持ち良い刺激が伝わってくる。 「…っ…だめ…だ。い…くっ……」 ぶびゅるるる…びゅるるる…っ…。いつも以上に粘度の増したザーメンが床に飛び散った。 慌ててティッシュでふこうとしたら、また男がこう言った。 『【出したザーメンは、自分で舐め取るのが礼儀ですよ】』 「…わ、わかってるよ。ちょっと忘れてただけだから」 四つん這いになってまるで犬のように舌でザーメンを舐め取る。その姿もじーっと見られていて、またそれで興奮してしまった。 「…んっ…(ゴクリ…)…ほら舐め取ったよ」 『とても素敵な恥ずかしいシーンを見させていただいてありがとうございます』 「まあ喜んでくれたなら、嬉しいよ」 男の言葉にイライラしそうになったが、イライラしたらだめなのを忘れてたよ。 俺は心を落ち着かせて笑顔を見せる。 『そうだ。せっかくなのでおふたりがラブラブなところ見せてくれますか?』 「…おふたり?ってなんだよ」 『さっき言った、彼氏であるお隣さんとのラブラブなところですよ』 「…いいよ。仕方ねえな」 彼氏のことを思い出したらまーたムラムラしてしまう。勃起したらまたオナニー見せなきゃだめになるから、俺はすぐさま隣の部屋に向かいインターホンを押す。 はーいという声がしてドアが開き、部屋の住人が出てくる。 まるで目の前に巨大な岩があるみたいな圧迫感だ。彼は休日だったようでタンクトップにジャージというラフな格好をしている。 「あれ…?お隣の…」 「なんでそんなよそよそしいんだよ。オレたち付き合っているだろ?」 俺の言葉に、彼は不思議そうな顔をする。そして「…え?なに言って」と彼が言いかけたとき、俺の後ろにいたあの男がこういった。 『【お二人は付き合っているってことになりました】【愛し合ってるんです。体の相性がよく何回もセックスをするくらいの間柄ですよ】』 その言葉に彼の顔から疑問はなくなり笑顔になる。 「ああー、そうだったね。忘れてたよ。ごめんごめん」 「んむぅ…」 謝罪の意味を込めてなのか、彼はいきなり抱きついて唇を奪った。そして躊躇なく舌をねじ込まれる。 歯をなぞったり、舌同士を絡めたり、まるで初めて味わう経験のような感じがして頭がバグってしまいそうだった。 でもそんなことはない。彼とは【ずーっと付き合っていて、相性もよく、何度も身体を重ねる間柄】なんだから。 何度も濃厚なキスを交わし、ようやく唇が離れる頃には、俺の頭はぼーっとしていた。 「へへ…ごめん。なんか我慢できなくなっちゃって」 「ふへ…へ…らいじょうぶ…。俺も…びっ…くりしちゃったよ」 「さっそく…やろっか」 「そうだな…」 俺と彼氏、そしてあの男も一緒に部屋に入り…長い長い一日が始まるのだった。 おわり