SamuZai
デアカルテ
デアカルテ

fanbox


悪魔のアプリLv16「ウェイト:410kg」

「おはよー」

「おはよ」

私は、何日か振りに登校途中で明子と一緒になった。


「ひょっとして、“また”大きくなった?」

「あー、うん・・・」

明子は、私を“見上げて”そう言った。


「身長、何センチ?」

「家の柱で測ったら・・・」

既に、私の身体の部位の幾つかは巻尺では測れなくなっている。

仕方なく、子供の成長を確認するかのように、柱に印を付けてでしか身長を測れないのだ。


「測ったら?」

「・・・225cmあった」

明子は、「凄っ!?」と驚きの声を上げた。


「ちょっと! 周りに目立っちゃうじゃない」

「・・・えぇ、今更? もう遅いよぉ」

明子は別に今日の今、この瞬間の話をしているのではなかった。


『晴井さんの事故死』から、それなりの時間が経った。


晴井さんと特別に仲が良かったような生徒は、未だに悲しみに暮れているだろう。

しかし、そうではないクラスメイトや、他クラスの生徒はもう、晴井さんのことを気にしていない。


そのぐらいの時間は経過していた。

そうなって来ると、学校での目立つトピックとして、私が槍玉に上がったのだった。


大きめの制服を着るとか、猫背で誤魔化すとか、体育の授業をズル休みするとか。

そういった小細工では覆い隠せないぐらい、私の身体は大きくなっていた。


・・・いや、未だに“大きくなり続けて”いる。

過去、ではなく。現在、進行形。


「体重は?」

「今朝測ったら、233kg・・・」

晴井さんの件の時で、203cm159kgだった。


「増え過ぎ・・・じゃない?」

「だよ、ね」

身長に比べて、というか。等比級数的に、どんどん肥大化している。


「そりゃ、机に入らなくなるよねぇ」

「ちょっと、ヤメてよ。地味にショックだったんだから」

私の身体は、『みりょく』のお陰で胸元にはタップリと脂肪が付いてはいるものの。

それ以外の部分は、これでもかと筋肉の塊、群体だった。


晴井さんの時で既に、私の太腿は100cm。つまりは、1mの大台に到達していた。

それでも飽き足らず、私の太腿は太さを増し続け・・・。


学校に着き、椅子に座る。そして、机の中に脚を入れた瞬間・・・グニャリ、と机の足が折れ曲がってしまったのだ。

特に、机を引く腕に力を入れた訳でも、折り曲げた脚に力を籠めた訳でもないのに。


いや、その脚を“折り曲げた”のが原因なのかな・・・。

膝を曲げた脚、太腿の大腿四頭筋はモゴォッと隆起すると、その筋肉の厚みだけで机の足は一瞬で折れ曲がっちゃった。


鉄製の机の足と、女子高生の生身の脚。勝負して、勝ったのは女子高生の脚だった。


「そういや、制服は下ろし立て?」

「うん、【8XL】だってさ」

私の超絶筋肉巨体を包んでいるのは、【8XL】の超が付く特大サイズ。生まれてこの方、初めて聞くような寸法。


「いやぁ、“アレ”も凄かったもんねぇ・・・」

「ちょっと、シミジミ言わないでよぉ」

【6XL】と、その次に着た【7XL】の制服は、もう既にこの世には存在しない。


「だって、まさか“クシャミ”で・・・」

そう、そのまさかの“クシャミ”だった。


晴井さんショックが未だ残っていた教室、その授業中。


「はぁっ・・・くしゅんっっ!!」

ビリッ! ビリビリリッ!!


「「「えっ!?」」」

クシャミと共に聞こえた、布の破断音。聞き慣れない音に、クラス中が私に振り向いた。


「すご・・・」

「うぇ・・・」

「何、それ・・・」

それまで、何とか誤魔化し続けていた私の身体の秘密が暴露された瞬間だった。


その日、少し窮屈な感覚はあった。だけど、無理に【6XL】の制服を着込んで登校した。

しかし、その時既に、私の身体は例の如く肥大化していた。


パツパツのギチギチだった制服は、クシャミによる全身の筋肉の隆起で弾け飛んでしまったのだ。


「――さんって、そんな身体だったの!?」

「嘘・・・それ、みんな筋肉?」

「おっぱい、でけぇ」

クラス内ではそれまで陰キャ帰宅部なカテゴリだった私が、“脱いだら凄い”を強烈にやってしまった格好。


「おい、お前ら静かにしろーっ」

一応、事前に事情は説明してある先生が、何とかその場を収めてくれた。


『筋肉成長症候群(仮名)』。


これが先生以下、クラスメイトに説明する時の“病名”になった。

実際には病気なんかではなく、“とある『ゲーム』”が原因、なんてオカルト的事情を知っているのは勿論、私と明子だけ。


因みに、【7XL】の制服は午後の授業の時の油断が原因だった。


単純に眠くなって、つい“伸び”をしてしまったのだ。

その頃は既に、というか。私自身がもう、自分の身体のサイズ感を把握出来なくなって来ていた。


力を入れていなくても、身体を動かせば、筋肉は動く。腕を曲げるだけでも、上腕二頭筋が縮み、上腕三頭筋が伸びる。

“伸びる”のは、良い。だけど、“縮む”のは今の私の身体を以ってすると、凄く大きな問題になるのだ。


只でさえ太い身体なのに、それでもまだ伸びた状態なのだ。

それが縮むことによって圧縮され、行き場を失った筋肉群が解放を求めて隆起する。


ボディビルダーが気合を籠めて作った力瘤よりも、私が単に曲げただけの上腕の方が、遥かに太いのだ。


233kgの体重が示す通り、私の各部位の筋肉群は重く、またその筋出力も凄まじい。

学校指定の頑丈な制服と言えど、抑え込むのは到底無理なのだった。


「ってか、その“下ろし立て”だけど、何かもうキツそうじゃない?」

「だよ、ね・・・」

明子の指摘通り、既に“違和感”がある。


肩周りと胸周りは多少の緊張感ってところだけど、やっぱりネックなのは腕だった。二の腕。

【8XL】の制服の袖は、66cm程度。世界レベルのボディビルダーでも、問題なく着こなせる袖サイズ。


・・・なんだけど。


今の私の場合、力を抜いた状態で、二の腕の太さが59cm。朝起きて測ったから、間違いない。

晴井さんの時で44cmだったから、その時からもう15cmも太くなってる・・・んだけど、今はそこは置いておいて。


流石に私も学習したのが、見た目上の筋肉の太さと隆起した時の筋肉の大きさが比較にならない、ということ。


“伸び”をしたことで、その時既に最大隆起80cm超えの力瘤が袖を引き裂いちゃった。

今より二段階ぐらい前の状態で、既に競輪選手の太腿並みの力瘤だった訳で。

『土台になる上腕が15cmも太くなりました。力瘤はさて、何センチ太くなっているでしょう?』という問題。


「それ、腕曲げられるの?」

「う、ヤバいかも・・・」

朝、慌てていて、力瘤を目一杯盛り上げての確認はしなかった。


前腕と上腕に少しでも角度を付けようものなら、一瞬でミチッと緊張感が走る。

勿論、それは上腕二頭筋が“行き場を寄越せ”と袖の中で訴えている音、だ。


「・・・・・」

腕にもスカートが在ったら良いのに、なんて意味不明なことを考えてしまった。


机の下に入らない私の剛脚は、既に履けるズボンが存在しない。

それでも、下がショーツ一枚になっていないのは、スカートという素晴らしい衣服があるから、だ。


体育授業用のジャージの長ズボンは、短距離走をやった時にビリビリに破いてしまって以来、履いていない。


「おはよー。ねぇ、筋肉見せて♪」

「おはよ。ね、ウチの部助けてよ」

「おはよう。なぁ、そろそろ部活考えてくれよ」

学校に着くなり、今までは無かった挨拶の洗礼を受ける。


「あー、はは・・・」

晴井さんショックが落ち着いた頃から、より顕著になった気がする。


「筋肉はその、ゴメンね」

「もしかして、また大っきくなった? 凄ぉい」

どう見ても、人知を超えたレベルの筋肉だし気味悪がられると思ったけど、まだ興味が勝ってる感じ。


「部活はその、ゴメンね。私、運動神経ないし」

「た、立ってるだけで良いから」

バレーボール部の勧誘。晴井さんの穴をどうしても埋めたいらしい。


「じゃあ、俺らのウェイトリフティング部はどうよ。運動神経関係ないし」

立った状態でバーベルを持ち上げる重量挙げ。その世界記録で一番重いのは、263kgらしい。

当然、それに近い記録が出せるのであれば、県大会どころかオリンピック候補、な訳だけど・・・。


「私、箸より重い物は・・・」

箸どころか。今なら、片腕で世界記録を更新出来そう。


結構前の、187cm118kgの頃。その時の測定数値で、片腕で255kg。

身長体重は言うに及ばず、腕の太さも倍近い。試すまでもなく・・・


「じゃあさ、部活とかは良いから、その腕でどんだけ持ち上がるか、見せてみてよ」

「えー、嫌よ」

私自身、未だに自分の腕力に慣れない。“怪力”って言葉じゃ足りないレベルの、超筋力。


以前、測定したスポーツ医学研究所はちゃんとした施設だし、身体の秘密を探る為にも必要だと思ったけど。

学校みたいな同世代が大勢居るような場で、力を鼓舞するような感覚は私には無い。


「もし見せてくれたら、『○×スイーツ』の無料クーポンあげるからさ」

「「えっ!?」」

私だけじゃなく、近くに居た明子も反応した。


「ちょっと、仁美。やんなさいよ」

「え、でも・・・」

『○×スイーツ』と言えば、ウチの女子生徒どころか、近隣でも有名なスイーツ店だった。


極上のスイーツが食べられる超優良店。雑誌でもテレビでも引っ張りだこのお店。

ただ、難点はどの一品も値段が、凄くお高い。イチ女子高生のお小遣いでは、半年に一度でも通うのを躊躇うぐらい。


「何キロ持ち上げたらあげる、とかじゃないんだよね?」

「ああ、そんなケチなことは言わないよ。その筋肉の限界を見せてくれればそれでオーケー」

文字通り、重量を持ち挙げる競技。そういう競技をやるってことは、やっぱり純粋に筋肉とか筋力に興味があるってことなのかな。


「私、やり方とか良く知らないんだけど、それでも良いの?」

「勿論、ウェイトの設定とかは俺の方でちゃんとフォローする」

ただ、重いウェイトを持ち上げて見せて欲しい、ってことらしい。まあ、それなら・・・。


放課後。


私と明子、それにウェイトリフティング部員の重田君の三人でトレーニングルームに移動。

既に、何人かの部員たちが思い思いにトレーニングしていた。中には、女子部員も居る。


「おう、重田どうした」

「ひょっとして、その子が噂の・・・」

私たちは一年なので、回りは少なくとも同学年か、先輩ってことになる。


「実際に見るまでは半信半疑だったけど、実物を見ると凄いな・・・」

タンクトップに短パンのかなりラフな格好の部員が話し掛けて来た。

しかし、ラフなだけに身体の作りがアリアリとわかる。かなり鍛えているようで、身体も大きい。


「先輩、今日はそのお試しと言いますか・・・」

「ああ、俺も興味あるよ。その辺の空いてる器具なら何使っても良い。補助忘れんなよ」

重田君は部活の先輩に挨拶すると、奥の人が居ないスペースに通された。


「ふーん、これがバーベル・・・」

私はつい、“丁度良い高さにあったバーベル”を右手で持ってしまった。


別に、何か考えがあった訳でもなく。みんなが必死に挙げ下げしているバーベルがどんなものか、興味あった。

実際、研究所の時は、機械に繋がったワイヤーの様な物を引っ張って測定したので、こういった器具を見るのも初めてだった。


「あ、仁・・・」

「ちょ、それは・・・」

明子と重田君、二人の制止する声も時既に遅し。


モリモリモリィッ!


「・・・あ」

ミチミチチッ、ビリビリリィッッ!!


今日一日、極力腕を曲げないよう、何とか頑張った。ノートを取るのも諦めた。

午後の眠い授業も、“伸び”をしたり何かせず、気合で眠気と戦い、乗り切った。


・・・筈、だった。


放課後ということもあり、私の中で一日は終わった感覚。まだ、学校に居て、制服を着た状態なのにも関わらず、だ。


「仁美、あれだけ気にしてたのに・・・」

明子の制止の声は、腕曲げると力瘤で袖破いちゃうよ、って警告だった。

その通りに、私の右腕にはこんもりと特大の力瘤が盛り上がり、二の腕の袖を全て破り去ってしまった。


「おい、そのバーベル・・・重くないのか?」

「・・・へ?」

重田君は、まるで信じられないモノを見るような目で私の右腕を見ていた。


「あー、うん。これ、60kgぐらい?」

私が右手一本で持っているバーベルには、左右に三枚ずつ、“重り”が付いていた。

重り一つで10kgと仮定して、六枚で合計60kgって計算。


「・・・それ、“ベンチ用”なんだ。そのウェイトプレートは一枚、25kgなんだよ」

だから止めた、と重田君は渋々話した。


「・・・ん? ってことは、150kg!?」

未だに私の右手に収まっているバーベルが、高校生男子二人分はあろうかという高重量だった。


「あ、シャフトも10kgあるんで160kgぐらいの重さなんだけど・・・」

重田君は、私の右腕とバーベルの間に何度も視線を這わせて、“そういう問題じゃない”ことに気付いた。


私が、丁度良い高さにあるバーベル置きだな、と思ったのは、いわゆるベンチプレスマシンのラックだったのだ。

勿論、そこに置かれてるバーベルは、台に寝た状態で両腕で何とか挙げるウェイトな訳で。

決して、片手サッと持ち上がるような代物では無い。


「それにもし、それが60kgだったとしても、片手で軽々挙げられる人は殆ど居ないよ」

私自身の感覚が麻痺しちゃってるけど、確かに女子一人分の体重と同じって思えばかなりの重さだ。


「一応聞くけど、今まで鍛えたことって無いんだよね?」

「うん」

生まれてこの方、生粋の帰宅部。バーベル持ったのなんて、今この時が初めて。


「色んな意味で凄過ぎて、何から話せば良いかわかんないや」

まあ、普通そうなるよね・・・。

そもそも、筋肉トレーニングを一切したことない女子が、こんな山盛りの筋肉隆々なんてのがおかしいんだし。


重田君、曰く。


例えば重田君やウェイト部の先輩がこの先、十年鍛えたとしても、私の域に達するのは不可能。

また、ボディビルダーのように脂肪が削られ過ぎてもなく、また相撲取りのように脂肪が多過ぎることもなく。


筋肉の質はアスリート並み、筋肉の量はボディビルダー並みか、それ以上。

骨格筋率は60%近くが限界と言われているが、それ以上あるのではないか。


「ウェイト器具に関しては素人だろうし、順番に重さを上げてく予定だったんだ」

重田君の制止の声は、素人に危険が及ぶのを避ける為のものだったのだ。


「これは、どう?」

「ん・・・行ける」

ラックに用意されたバーベルの右手を添えると、グイッと腕を手前に引くだけでスッとバーベルは持ち上がる。


「じゃあ、これは?」

「うん」

ヒョイッと、事も無げにバーベルは持ち上がった。


元々、重量挙げ方式でやろうとしてたのは一旦、ヤメにして。

ベンチプレス用のラックに置いたバーベルを先ずは、片手で持ち上がるかで限界重量を見てみよう、ってことになったんだけど・・・。


「・・・これ、は?」

「あ、うん。ん・・・」

あ、ちょっと重めな感じ。


「んぅっ」

私が力むのに呼応するようにモリモリッ、と力瘤を大きく盛り上がる。


「仁美、凄っ・・・!」

この中では比較的、私の“カラダ”に見慣れている明子ですら。今、盛り上がっている力瘤の大きさには目を見張った。


「う、っそだろ・・・」

「マジかよ・・・」

いつの間にか、増えていたギャラリーから感嘆の声が漏れる。


「これ、何キロあるの?」

「ウェイトだけで400kg・・・」


「え、え・・・400kg?」

軽くは無いにしても、そこまで重いとは思わなかった。


でも、冷静に見て、大型トラックのタイヤ張りの分厚さのウェイトが軽い訳がない。

シャフトが撓(しな)るぐらい両脇に積まれたウェイトプレートは、実に計十六枚。限界まで過積載された、計410kgのバーベル。


「すみません、ちょっとお願いが」

「え、何?」

バーベルをラックも戻すと、良い感じにパンプアップして来た腕を、肩の高さで折り曲げる。


「・・・ぬぅ、んっ!!」

モゴモゴモゴォッッッ!!!


「っ!? 何だ、あの腕・・・」

「人間の腕って、あそこまで太くなるもんなのか」

上腕の二頭筋と腕の後ろの三頭筋、それぞれにスイカが丸々くっ付いたかのような、比喩ではなく倍近く膨れ上がった二の腕。


「この腕の太さを測って欲しくて。通せる袖の服が無くて・・・」

そりゃそうだろう、という視線を向けながら重田君が巻尺を持って来てくれた。


「・・・119cm」

1mの巻尺では足りず、2mの長尺に取り替えてようやく測ることが出来た数値が、これ。


「俺の胸板が110cmなんだが・・・」

ウェイト部の中で一番良い体格をしている重田君の先輩が、ポツリとそう呟いた。


「「「・・・・・」」」

最初は、バーベルを持ち上げる度に凄い、凄いと沸いていたギャラリーはいつしか無言になっていた。


「ウェイトってまだ増やせるの?」

「いや、無理・・・」

既に、限界重量チャレンジみたいな空気では無くなっちゃった感じ・・・。


ベンチプレスでフルギアという補助具ありの世界記録が、500kgらしい。

だけど、器具無しのノーギアだと、335kg。どちらにしても、両手で挙げた場合の記録。


「ひょっとして、まだ行けそう・・・なの?」

重田君が、恐る恐る聞いて来る。


「あー、うん」

私は、ガッチガチに盛り上がっていた119cmの力瘤から力を抜いた。


パンプアップしているせいか、力を抜いて弛緩させても上腕三頭筋の隆起が収まらない。

力瘤を盛り上げる動作は上腕二頭筋が収縮するが、逆に腕を伸ばす作業は上腕三頭筋が作用するのだ。


「あ、でも。重いことは重かったから、限界まで後もうちょいだとは思う」

一応、私なりのフォロー。いや、まあ、何に対してのフォローなのか、私も良くわかんないけど。


「レッグプレスっていう脚用のマシンがあるにはあるけど・・・」

流石に安全上、脚用のマシンを腕力測定に使用するのはNG、ってことになった。


「まあ、安全云々以前に、レッグマシンでも最大重量は500kgだから・・・」

先輩も、それ以上は敢えて言葉にしなかった。

言うまでも無く、『500kgですら足りるかどうか怪しい』ってことな訳で・・・。


「そういや、脚はどんな感じなの?」

「あ、じゃあ・・・」

私は、下着が見えない程度にスカートを捲し上げた。


「「「・・・っ!!?」」」

今日何度目だろうか。ギャラリーが絶句した。


「明子、折角だから測ってくんない?」

「あ、うん」

乙女の生足なので、流石に男子陣に測って貰う訳にも行かないので、明子に巻尺を通して貰うことに。


「・・・131cm」

「「「・・・・・」」」

最早、私にとっては単なる数値以上の感想は無いんだけど。ギャラリーにとってはそうじゃなかったみたい。


「どうやったらそんな身体に・・・って、それは禁句なんだっけ」

「いえ、そんなことは・・・。私も知りたいぐらいで、ははは」

“病気”っていう建前もあり、私は笑って誤魔化すしか無かった。

何の確証もなく、死が伴う『悪魔のゲーム』を勧める気にはなれない。


「腕相撲とか、何かやった方が良いですか?」

私は遣り残しがないよう、重田君や先輩に聞いてみる。


「“事故”が起きたら不味いし、また別の機会にするよ」

先輩の言う事故とは、“どちらが遭う”事故なのか、というのは聞かないことにした。


「最初、あわよくばウチの部活の助っ人で大会に、って思ったんだけど・・・」

まあ、そんなところだろうとは思ってた。


「“そういうレベルじゃない”ってことがわかったし、勧誘はやめておくよ」

筋力トレーニングや筋力系競技に全くな素人が、出場即優勝。

『その身体はどうやって作ったんですか』なんて聞かれた日には、答えに困ってしまう。


「じゃあ、“これ”は有難く貰って行くね」

そう言って、私は無料クーポンをヒラヒラさせた。


まだ袖が残っている左腕では出来ない芸当。既に右腕の袖は破けて無くなっているので、右腕なら曲げ放題。

紙切れを顔の高さでヒラヒラさせるだけの所作でも、腕を曲げる必要があるのだ。


重田君や先輩たちが、無料クーポンではなく、私の二の腕を最後まで見ていたのは気付かない振りをした。

Comments

感想ありがとうございます。 こちらも続き書かないといけないな、とずっと思ってました。当初の想定より大きくなってますが、まだ余地はあると思ってます。

デアカルテ

感想ありがとうございます。 あまりインフレさせちゃうと話終わっちゃうんですが、つい肥大化させてしまいます。

デアカルテ

更新お疲れ様です。 腕の太さが、逞しい男性の胸囲より大きいなんて最高です。 一般人の服には腕すらも通らないんですね…

okita

久しぶりの続き待ってました! 知らない間に更に大きくなってるー!

名無しです


More Creators