SamuZai
ももぴ
ももぴ

fanbox


クラブ ピークアンドタッチ Side Story ~天音Side~【出会い編】

※本作品はpixivで公開した、【クラブ ピークアンドタッチ】のサイドストーリーとなります。 またFANBOXで公開した《【クラブ ピークアンドタッチSide Story ~天音Side~》のAfter Storyにもなります。 本編、及び、天音Sideをお読みいただいた事を前提にしておりますので、詳細等が省略されております。 両作を一読頂いたあと、お楽しみ頂けると幸いです。 ・・・ 私の名前は【成宮 天音(なるみや あまね)】。 【クラブ ピークアンドタッチ】で着ぐるみの中身として働いている。 このお店は、着ぐるみが店内にいる店であり、メインイベントでは、着ぐるみを着た状態の中身の女の子を覗く事が出来、更に、中身を触る事が出来るという、中々、ニッチなお店だ。 日によって、着ぐるみの種類も違ったりするのだが、私が今、メインで担当しているのは、フカモコ系の熊のキャラクターの着ぐるみ。 この熊のキャラクターは3体いて、青いリボンを付けた【マリンちゃん】が私のキャラ。 そして、ピンクのリボンの【サクラちゃん】を【遥菜(はるな)ちゃん】が、そして、黄色のリボンを付けた【レモンちゃん】を【萌香(もか)ちゃん】が担当している。 遥菜ちゃんは、私と同じキャラクターショー事務所の親友、萌香ちゃんは事務所は違うが、ここで仲のいい友達となった。 つまり、私たちは、週末は子供たちの前で繰り広げられるキャラクターショーをするスーツアクターなのだ。 3人とも、色々な理由があり、お金を稼がねばならなく、この店で働いている。 ちなみに、私は平日の日中は会社員。 ごく普通の事務職で働いている。 その会社は副業が認められているか曖昧なため、このピークアンドタッチで働いている事はもちろん、キャラクターショーをしている事も、会社には隠している。 そして、今日もピークアンドタッチで、私達3人は働き始めようとしているのだった。 「よ~し、今日も頑張ろうね!」 「うん」 「頑張ろ!!」 マスクを被った私たちは、着替え室内でお互いに声を掛け合った。 お互いマスクを被っているので、少々張り気味の声を出す。 そうしないと、マスクに遮られた声は相手に届かないのだ。 そして、マスクを被ったまま声を出せるのはここまで。 着替え室を出てしまえば、私たちは完全にキャラクターに成りきるため、スタッフにも声を出さないのだ。 【ガチャ】 私たちが外に出ると、最終の仕上げをしてくれるスタッフがいて、遥菜ちゃんの手首をしっかりと止めてくれた。 私と萌香ちゃんの手首は、遥菜ちゃんに止めて貰ったため、私たちは既に完成している。 つまり、遥菜ちゃんが完成する事で、私たちの着替えは完了する事になる。 そして、お客さんを待ち受けるべく、店内に入り、入口へと向かって行く。 向かう途中で、店長が声を掛けてくれた。 入店してくるお客さんを待つ立ち位置につくと、いつも通り、開店の時間が来るのを待った。 ただ待っているだけ…しかし、この着ぐるみの衣装は着ているだけで、かなりの暑さとなる。 (ふぅぅぅ…相変わらず…暑いな…) 私の体を包み込むこの暑さ。 私は着ぐるみに身を包まれる事に心が高揚する。 この暑さは、私が着ぐるみに身を包まれている証。 そして、苦しいけども、この暑さに苦しめられる程、私の心は高揚してしまうのだ。 そんな暑さを感じながら、私は開店を待っていた。 【ガチャ】 「いらっしゃいませ!!」 19:00になり、開店時間を迎え、扉が開いた。 開店待ちで並んでいたお客さん達が列になって店内に入ってくる。 「いらっしゃいませ!」 挨拶をするスタッフの横で、愛想を振りまきお出迎えをし始めた。 そして、何人かが通り過ぎていったその時だった。 私の目の前に、思いもよらないお客さんが現れたのだった。 (さ…【坂下(さかした)】さん!?) そのお客さんの入店に、私は一瞬、体が止まってしまった。 しかし、動揺している事を気が付かれてはいけない。 すぐに、動き始め、はしゃぎながら、いつも通りの演技に戻った。 この坂下さんというお客さん…彼は、私達のキャラクターショーによく来てくれている常連さんで、さらに、私の平日の仕事の同じ会社の人なのだ。 もちろん、キャラクターショーにおいても、向こうは私が中身だという事は知らない。 ましてや、このお店で働いているなんて、絶対に知らない事だ。 着ぐるみの中から外は見えるが、外から中は見えない。 つまり、私だけが知っている事実。 私側からだけの話しだが、同じ会社の人だと知ってからは、キャラクターショーの現場に来ている時も、妙に意識してしまっていた。 それが、この店にも来店したとなれば、更に意識はしてしまうもの。 しかし、バレる訳にはいかないので、平静を装い、他のお客さんと同じ対応に心掛けなければならない。 坂下さんが私の目の前に来た。 連れのお客さんが先に、私とハイタッチをした。 そして、その後ろから、少し照れながら、手をあげる坂下さん。 【ポンッ!】 優しいタッチで、私とハイタッチをする坂下さん。 (相変わらず、少し照れてる感じが、可愛いな…) そして、そのまま他の熊たちともハイタッチをして、坂下さんは店内へと入って行った。 全てのお客さんが店内に入り切った。 (ふうぅぅぅ…それにしても、坂下さんが来るなんて…ちょっと驚いちゃった…) 知り合い…いや、一方的に知っているだけだから知り合いではないが、知っている人が来た驚きに、少し動揺はしたものの、なんとか平静を取り戻す事が出来た。 「よし、それじゃ【マリンちゃん】、テーブル周りにいこうか」 そう言って、私にアテンドしてくるスタッフの女性が私を誘導し始めた。 お客さんの入店が完了すると、次はテーブル回り。 各テーブルを回って愛想を振りまき、写真を撮ったりしにいくのだ。 全テーブルを回る。 つまり、どこかのタイミングで、必ず坂下さんのテーブルに行くことになる。 平静は取り戻したものの、変な緊張感がそこにあった。 そして、テーブルを回って行き、ついに坂下さんのテーブルへと辿りついた。 そこには連れのお客さんと坂下さんの姿があった。 変な緊張感に包まれ、心臓の鼓動が早くなっていく。 (な…なんか…変に…緊張しちゃうな…) 「今日はご来店ありがとうございます。こちらがマリンちゃんです」 アテンドスタッフに紹介され、可愛らしい仕草で、ペコリとお辞儀をした。 「う~ん、マリンちゃんもいつも可愛いね~。お姉さん写真よろしく」 「承知いたしました」 連れのお客さんが、そう言って、アテンドスタッフにスマホを渡した。 「マリンちゃん、ハグさせて」 その言葉に私は大きく頷き、両手を開く。 すると、お客さんは私に飛び込むように抱き着いて来た。 私もお客さんの背中に手を回し、ハグをする。 【カシャ】 その様子を、アテンドスタッフが写真に収める。 「マリンちゃんも、モフモフで気持ちいいな~」 そして、一通りハグを堪能した、連れのお客さんは私から離れた。 すると、横に座っていた坂下さんが立ち上がった。 「お願いします」 そう言って、スマホをアテンドスタッフに渡した。 「あの…俺も…ハグさせてください…」 少し照れ気味に、ハグさせて欲しいという坂下さん。 その強引じゃない雰囲気が、坂下さんの好印象なところである。 そして、その言葉に私は大きく頷き、先程と同じように両手を開いた。 その瞬間である…私の頭の中に、スッと言葉が過った。 (ん…私…今から…坂下さんと…ハグするの…??) 他のお客と同じ対応をしているだけだった。 しかし、今からハグしようとした瞬間に、そんな考えが私の頭の中に浮かぶ。 他のお客とハグをするのと、坂下さんとハグをするのが、私の中で同じ事ではないという感覚が芽生えたのだった。 頷き両手を開いてから一瞬の事。 その一瞬の間に、私の頭の中に、様々な考えが過る。 (え…私…あの坂下さんと…ハグをする…?抱きしめる…ってことだよね?え…そ…そんな…な…なんで?なんか…凄く…恥ずかしい…気がする…。坂下さんが…私に抱き着く…ん…だよね…?え…ホントに?…え?…え?…え?) 一瞬の間に色々な事が頭を過ったが、受け入れ体勢を作った私の胸に、坂下さんはスッと体を寄せて来た。 そして、そのまま私の背中に手を回し、私を抱擁する。 (…あっ…) 一瞬、私は体が固まってしまったが、すぐに坂下さんの背中に手を回し、私も彼を抱きしめ返した。 私の背中に回った坂下さんの手…。 その手はとても優しく、私を抱きしめる。 (坂下…さん…) なにかいつものお客さんとは違う、不思議な感情が私の中に芽生えていた。 普段とは違い、心臓の鼓動がかなり早くなっている。 (な…なんだろ…すごく…ドキドキするよぉ…) 【カシャ】 そして、その様子をカメラに収められた。 撮影を終えると、坂下さんは私の体からスッと身を放して行った。 ほんの一瞬の出来事だというのに、何か凄く時間が長く感じた。 「ありがと、マリンちゃん」 笑顔で、そう私に向かって言う坂下さん。 その言葉に、少し、胸がキュンとしてしまった。 私は、その言葉に返すように、可愛らしい仕草をとり、リアクションを返した。 「それでは、次のテーブルに行きますので」 すると坂下さんと連れのお客さんは、私に向かってバイバイをした。 それに返す様に、私も小さくバイバイをして、坂下さんのテーブルを後にした。 (あ…わ…私…坂下さんと…ハグしちゃった…) 何やら胸の高鳴りが収まらない。 緊張なのか、なんなのか、私の心臓の鼓動が、着ぐるみのマスク内に響き渡っているのではないかと思うくらい大きく、鳴り響いていた。 着ぐるみに包まれている暑さなのか、顔がいつも以上に火照っているのを、自分で感じられた。 そして、テーブル回りが一通り終わり、中央のステージに集まった私達。 いつも通り、暫くの間は、そこでじゃれ合っている。 じゃれ合っている間も、どこか坂下さんの事が頭から離れない。 そのせいか、このじゃれ合いの時間が、いつもより長くも感じられる。 暫くその時間が続くと、次のコーナーは私たちの試練の場。 「さて、本日お集りの皆様。ただいまより、ステージでダンスショーが始まります。ゆっくりとご覧ください」 もう既に、かなりの長時間、着ぐるみに身を包まれた状態での、連続のダンスショー。 これを乗り切るには、かなりの体力と精神力が必要なのだ。 そして、曲がなり始め、私たちはダンスを始める。 連続で間髪を置かず、続くダンス。 最終曲が終わるころには、呼吸も限界を迎え、体温もかなりの上昇をする。 ただでさえグショグショになったインナーの全身タイツは絞れるのではないかという程の汗になる。 (はぁっ!!はぁっ!!はぁっ!!) 最後の曲が終わり、ストップモーションでポーズを決めた。 しかし、あまりの呼吸の乱れから、とてもストップモーションと言えない程に、私たちの肩と胸は大きく上下している。 そして、ストップモーションが解かれると、天井よりベルトのついたワイヤーが垂れ下がってくる。 このベルトにより、私たちの両手は上方に拘束される。 【ピークアンドタッチ】の時間が来たのだ。 いつも通り、手首にベルトを絞められる。 「それでは、ピークアンドタッチの始まりです!!アップお願いします!!」 【ウイィィィィィィン!!】 (んうぅぅぅぅ!) そして、私達の両手は上方へと吊り上げられ、万歳をした形で拘束された。 これから、私たちは、着ぐるみの中を覗かれ、そして触られる。 見知らぬ男性に触られるのには、未だ抵抗があるが、仕事なので仕方がない。 むしろ、私は自らが流されないように耐える事に専念する。 この着ぐるみに包まれる事で、私を襲う暑さ…。 私は、その暑さに興奮してしまっている。 ここまで追い詰められる程の、着ぐるみの暑さは、私の心をかなり高めている。 そこに加えられる刺激…。 見知らぬ男性に触れるのだから、普通なら嫌悪感しかないだろう。 しかし、高揚しきった私の体は、その嫌悪感を通り越し、快感に変わってしまう。 頭では嫌悪感があるものの、体は反応してしまうのだ。 なので、最後まで、持ちこたえるよう、私は必死に呑み込まれないように必死に耐えるのだ。 そして、いつも通り、ピークアンドタッチが始まって行った。 お客さんの手が脇の穴から中へと入り込んで来る。 (んぅっ!!さ…触られて…んぅ!我慢…我慢…ぁっ…んぐぅ…) 私の汗でビショビショに濡れたタイツに包まれた胸を揉まれる。 相変わらずの嫌悪感があるものの、体は正直にビクンビクンと反応してしまう。 そう…これは仕事…耐えなければならないのだ。 (んぅっ!!ち…乳首はっ!!んあっ…我慢…が…我慢…) そうして私は、お客さんに好き放題、着ぐるみの内部を覗かれ、そして胸やお尻を触られ続ける。 そして、必死にもっていかれないよう耐え続ける。 (んはぁ…はぁ…はぁ…。今日は…なんか…ちょっとハードな感じが…する…) いつもよりも、快感が大きく感じ、それに耐える精神力も消耗している気がした。 そして、何人かのお客さんをやり過ごした時だった。 目の前に次のお客さんが現れた。 (さ…坂下さん!?) 着ぐるみのマスクの覗き穴に移り込んだ、その人物は、坂下さんだったのだ。 そして、坂下さんは私の方を見ている。 (え!?さ…坂下さんは…私に…投票したの!?) 今はピークアンドタッチの時間。 そして、各キャラクターにはお客さんは一人ずつ付く。 私…マリンちゃんの前に立っているのは坂下さん。 つまり、坂下さんは、私に投票したという事なのだ。 (え…!?…ちょ…ちょっと…待って…。じゃ…じゃあ…今から…坂下さんに…触られるって…こと…??) あまりにも予想外の事態に、気が動転して考えが纏まらない。 通常に考えれば、坂下さんが私にする事は筋道通りだが、それが本当の事という現実が飲み込めない。 (え!?…ちょ…そんな…やだ…こんな汗だくの体…さわっ…触られるの…いやぁぁぁぁぁぁぁ!!) すると、坂下さんは私の視界から消えた。 恐らく、私のサイドに回り込んだのだろう。 すると次の瞬間、聞きなれた音が聞こえてきた。 【ベリベリベリ】 今日も、既に何度も聞いている音…それは耳のパーツが取られる音。 それと共に、マスクの中に外気が流入してくる。 そして、動きが無くなる坂下さん。 (あっ…いや…見られてる…マスクの中…坂下さんに見られちゃってるよぉぉぉぉ!!) 普通のお客さんに見られているのと、全く違う感覚が私を包み込む。 着ぐるみのマスクの中…それは、着ぐるみにより隠された私の素顔のようなもの。 頭部の側面しか見られていないが、素顔を曝け出しているようで、恐ろしく恥ずかしく感じる。 その秘密の素顔を坂下さんに見られている…。 (いやぁぁぁぁ!!恥ずかしい!!恥ずかしすぎるぅぅ!!!) 「はぁ…はぁ…はぁ…」 暑さから来る荒れた呼吸。 しかし、その呼吸音すらも、中身の人間を露呈しているような気がするので、それを聞かれるのにも恥ずかしさを感じる。 可能な限り小さく、出来るだけ聞こえないように、呼吸を抑える。 (恥ずかしい…恥ずかしい…やだやだやだ…見ないで…見ないでぇぇぇぇ!!) ただひたすら、そう願いながら、私は坂下さんに視姦され続けた。 そして、暫くして耳のパーツは元に戻された。 耳のパーツが元に戻されるという事は、必然的に次の工程に移るという事なのだ。 そう…次は脇のファスナーだ。 【ジーーーー】 分かってはいる事だが、脇のファスナーが開けられた。 (んあぁぁぁ!!いあやぁぁぁぁ!!そんな!!坂下さんに、体が見られちゃってるよぉぉぉぉ!!) 開けられた脇のファスナー。 その穴からは、私の全身タイツに包まれた体が、坂下さんの目に飛び込んでいるだろう。 インナー等は何も付けていない。 暑さに高揚している私の乳首は、はっきりと立ってしまっている。 そんな無防備な体を、坂下さんに曝け出しているのだ。 (恥ずかしい!!いやぁぁぁ!!恥ずかしすぎる!!いやぁぁぁぁぁ!!) しかし、この状況から、私は逃れる事は出来ない。 体を小刻みにプルプルと震わせながら、耐えるしかないのだ。 そして、ついに事態は訪れた。 (んうぅぅぅぅっ!!) 坂下さんの指が私の体に触れたのだ。 思わず体をビクンと反応させてしまう。 その指先が脇付近にそっと触れただけ…。 しかし、その触れただけの感触に、私は恐ろしい程に感じてしまう。 そして、その優しく触れた指先が何かを探す様に、私の体をなぞり始める。 (んうぅぅぅぅ!!あんっ!!いやぁぁぁぁぁ!!!) 坂下さんが汗でビショビショになったタイツに触れる。 それだけでも耐えがたい事実。 そんな嫌悪感のようなものが、私の体に与えらえる刺激を増幅させる。 優しく私の体をなぞる、その感触に、体がビクビクと反応してしまう。 (あぅぅぅ!!んぅっ!!だめぇぇぇぇ!!) そして、その指先は、ついに私の胸へと到達した。 (あぁっ!!そこは!!そこはっ!!) ムニュっと私の胸に沈み込む指先。 坂下さんの手は、確実にそこが胸だという事を確信しただろう。 そして、次の瞬間、指先だけだった感触が、一気に広がった。 その触れる感触が、私の胸を覆ったのだ。 坂下さんの手で私の胸が掴まれたという事…。 そして、掴まれた坂下さんの手の平には、私のはっきりと浮き出た乳首が触れている。 (いやぁぁぁぁ!!恥ずかしいっ!!恥ずかしいよぉぉぉ!!) すると、その私の胸を覆った手の平が、ゆっくりと優しく、胸を揉み始めたのだった。 (んあぁぁぁっ!!それはぁっ!!んうぅっ!!いやぁぁぁぁ!!) 体が今までになく、大きくビクンと反応してしまう。 嫌だという表現…それは決して、知らぬ男性に胸をもまれる嫌悪感ではない。 汗でビショビショのタイツを触られる【嫌】、そして何より、与えられる快感が大きすぎて、自分が耐えられないという【嫌】なのだ。 しかし、坂下さんの手は、優しく私の胸を堪能し続ける。 (あぅぅぅ!!むりぃぃぃ!!声っ!!出ちゃう!!んううぅぅ!!) その与えられる快感に、思わず声が漏れそうになってしまう。 しかし、私はスーツアクター、着ぐるみの中身が声を出すわけにはいかない。 体は恐ろしい程にビクンビクンと反応してしまうが、声だけはなんとか必死に堪える。 (あんっ!!ぁっ!!んんんうぅぅぅ!!ダメ!!ダメェェェェ!!) 坂下さんの、その優しい胸の揉み方。 他のお客さんとは全く違う、何か包容力のあるような感覚。 それに加えて、私が坂下さんを意識しているからこそ、この壮絶な快感が出来上がる。 今まで味わった事のない快感の波が私を襲う。 (いやぁぁぁぁ!!ムリィィィ!!それっ!!耐えられっ…ないぃぃぃぃ!!) しかし、その快感から私は逃げる事は出来ない。 両手を拘束され、着ぐるみに身を包まれているのだ。 一方的にその快感を受け入れるしかない。 (なにィィィ!!こんなのぉっ!!こんなの初めてェェェェ!!) 坂下さんの手から与えられるその快感は、今までに経験した事のない大きな波を私に与えて来る。 (んああぁぁぁぁぁ!!!) もう既に絶頂を迎えてしまうのではないかという所まで達した。 すると、その瞬間に私の胸を捉えていた手が、スッと離れていった。 (んぁっ…ぁ…胸から…手が離れた…) 襲い続けていた快感の波が収まる。 「はぁっ!!はぁっ!!はぁっ!!」 その快感は無くなったものの、悶えさせられ続けた体は、恐ろしい程に高揚して、呼吸も乱れる。 (…な…なんとか…耐えた…) しかし、一連の流れを考えると、これはまだ終わりではない。 すると、着ぐるみのボディが後ろに少し引っ張られる感触があった。 【ジーーーーー】 小さくだが、ファスナーを開ける音が聞こえた。 つまり、これはボディにつけられた尻尾が外されたという事を意味する。 という事は、今、尻尾の穴から、着ぐるみの中が覗かれているという事。 坂下さんの視界には、私の汗でビショビショになったタイツに包まれたお尻があるという事なのだ。 (いやぁぁぁぁぁ!!そんなぁぁぁ!!見ないで!!見ないでェェェ!!!) どう逃れる事も出来ないが、着ぐるみの中で、お尻をモジモジとさせてしまう。 ピッチリと張り付き、はっきりと私のお尻をトレースするタイツ。 その晒け出したお尻を、坂下さんに見られている。 (恥ずかしいっ!!恥ずかしいよぉぉぉぉ!!見ないでぇぇぇ!!) しかし、見られて恥ずかしいというだけなのも束の間。 すぐに、坂下さんの手が私のお尻に触れた感触が伝わってきた。 (んあぁぁぁっ!!いやぁぁぁぁ!!触っちゃ…ダメェェェェ!!!) その瞬間、体がビクンと反応してしまう。 そして、坂下さんの手は、胸の時と同様に、優しく私のお尻を揉み始めたのだった。 (んうぅぅぅ!!!あうぅぅぅ!!んぅっ!!いやぁぁぁぁ!!お尻!!お尻!!ダメェェェ!!) その感触に体がビクンビクンと反応してしまう。 もう既に火照り切らされている体は、敏感に反応し、ちょっとした刺激すらも、大きな快感に変換する。 そして、私のお尻を堪能し続ける坂下さんの手。 その手が与える快感に、私は次第に蹂躙されていく。 汗だくのタイツを触られるのが嫌…。 それは実際に思っている事…。 触られる相手が、坂下さんだから…。 坂下さんだから、汗だくのタイツを触って欲しくない…。 そう…坂下さんだから。 触っているのが坂下さんだから、こんな今までにない快感を感じてしまっている。 そう…坂下さんだから。 私は坂下さんの事を…。 (んうぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!) するとお尻を堪能していた坂下さんの手が、お尻の柔らかい部分からワレメの方へと移動してきた。 その感触に思わず、お尻にキュっと力が入ってしまう。 その指先の移動方向。 (ダメェェェ!!それ以上進んだら!!ダメェェェ!!ムリィィィィ!!) その指先の進む先には、私の陰部があるのだ。 今のこの状態で、そこに触れられたら、私は一瞬で絶頂を迎えてしまうかもしれない。 それくらい私の体は高ぶってしまっている。 絶頂を迎えるくらいの反応をしてしまったら、手で触られているだけでも気が付かれてしまうかもしれない。 絶対に絶頂を迎えてはいけないのだ。 しかし、今の私に、その坂下さんの手を止める術はない。 そして、坂下さんの手はゆっくりとゴールへと進んでいく。 (ダメェェェェェ!!ムリィィィィィ!!イクッ!!イクッ!!イっちゃうよぉぉぉぉぉ!!) もうだめだと思った瞬間だった。 「はい!そろそろお時間となります!次のお客様に交代となります」 スタッフの終了の声が入り、坂下さんの手がピタッと止まった。 (と…止まった!?) すると、その手は私のお尻から離れ、その存在を無くしたのだった。 (はぁっ…はぁっ…はぁっ…終わった…終わった…なんとか…耐えた…) 未だかつてない程に、高ぶってしまった体と心。 なんとか絶頂を迎える寸前で、踏みとどまった。 恐ろしい程に呼吸は荒れ、心臓は跳ねるように鼓動しているが、ギリギリの所で乗り切ったのだった。 (はぁ…はぁ…はぁ…あ…足に…力が…入らない…) 絶頂を迎えた訳でもないのに、腰が砕けるような感覚があり、足に力が入らない。 吊られた両腕を支えに、なんとか立っている状況だった。 そして、私はその後も何人かのお客さんの相手をして、なんとか最後まで耐えきったのだった。 その後、本日のマスク覗きが始まった。 「さて、今日の抽選の結果を発表します!」 【ドゥルドゥル…】 ドラムロールが鳴り始めた。 【ドンッ!!】 「今日の抽選結果です!端末に【Lucky‼】と表示されたお客様が、今日の当選者となります。ではステージのほうへどうぞ!!」 当選したお客さんは、サクラちゃんを指名した。 スタッフが、マスクの鼻のパーツを取り除く。 鼻のパーツを取り除かれると、マスクの中を正面から見られる状態となる。 そして、お客さんがサクラちゃんのマスクを覗き込んだ。 あの鼻の穴からは、中身である遥菜ちゃんの頭部がある。 タイツで頭を覆われていて、目しか出ていないのだが、やはり、正面からその目を見られるのは、かなり恥ずかしい。 スーツアクターとしては、普段の衣装で、斜幕に光りが当たって透けるだけでも、嫌なことだから、完全な穴から露呈された目を見られるというのは、相当に嫌なことなのだ。 しかし、お客さんからしてみれば、それだからこそ、この当選に意味があるのであって、着ぐるみの秘密を見ているような感覚らしい。 今回の指名はサクラちゃんだったので、私は免れたというところ。 お客さん次第だが、当たりたくないコーナーだ。 そして、マスク覗きが終わり、お客さんたちは帰るまで、お店で寛いで行く。 その間も、私たちはステージ上で、両腕を吊られたまま放置されている。 ピークアンドタッチを堪能したお客さんたちが余韻に浸れるように、その状況のまま晒されているのだ。 (はぁ…はぁ…はぁ…暑い…暑い…くるしい…くるしい…んっ…ぁ…) 坂口さんから与えられた刺激は収まりを見せたものの、これだけ長時間、着ぐるみを着続けているのだから、体を包む暑さは収まるはずも無い。 その暑さは、私たちを苦しめ続ける。 しかし、その暑さに苦しめられる事に、興奮してしまう私にとっては、この時間もまた、全身が欲してしまっているのだった。 そして、閉店の時間が訪れた。 拘束されていた両腕は解かれ、自由になる。 そして、私たちはお客さん達のお見送りに向かうのだ。 再び、キャラを演じ、キャッキャとしたテンションで、お客さんを見送って行く。 先程、自らの胸やお尻を触っていたお客さん達だというのに、そんな事は無かったかのように、愛想よくお見送りをする。 慣れと言うのもあるが、やはり私たちは着ぐるみのプロ。 ピークアンドタッチのコーナーは、あのコーナーの事。 今は、キャラクターとして、お客さんをお見送りする場なのだから、きちんと演技を続けるのだ。 すると、坂下さんとお連れのお客さんが出入口の所まで来た。 (あっ…さ…坂下さん…) その瞬間、先程、坂下さんに胸やお尻を触られていた事が脳裏を過り、顔が真っ赤になってしまう。 いや…既に暑さによって、顔は真っ赤だろうから、精神的に恥ずかしいと感じただけだ。 すると、坂下さんが私に向かって言った。 「マリンちゃん、めちゃくちゃ可愛かったよ」 (う…嬉しい!!!) その一言が、本当に嬉しく感じ、私は胸に手を当て、小さくピョンと飛び跳ねた。 (そんな…そんな…こと…言われたら…) 坂下さんが可愛いと言ったのはマリンちゃんの事で、私の事ではない。 しかし、私に向かって、そう言ってくれただけで、私の胸は恐ろしく弾むのだった。 そして、私はスッと坂下さんに向かって、手を差し出した。 坂下さんもその手を優しく握り返してくれた。 その手を放すと、坂下さんは優しい表情で言った。 「また来るね」 その言葉に私は大きく二回ほど、ウンウンと頷いた。 「またね、バイバイ」 (さよなら…坂下さん…) 私は手を振りながら、店から出ていく坂下さん見送ったのだった。 (はぁ~~…。びっくりしたなぁ…坂下さんが、このお店に来るなんて…。しかも、指名…私だったし…。あっ…私…坂下さんに…胸や、お尻…触られちゃった…) その事実を再び思い返した瞬間に、また心臓の鼓動が早くなるのだった。 そして、坂下さんはこの店の常連となり、毎回、私を指名してくれるようになった。 その度に、私は絶頂寸前まで追い込まれ、ギリギリの所を保ち続けるのだった。 ・・・ ある日、いつも通り会社で仕事をして、会社から出ようとしている時だった。 会社のビルの出入り口付近で、坂下さんと遭遇した。 (あっ!?坂下さんだ!!) 会社は同じと言えど、フロアが違うため、ほとんど出会う事も無い。 今日は偶然、帰りの時間が合ってしまった。 私は坂口さんを見るや否や、柱の後ろにサッと身を隠した。 (危ない…危ない…鉢会う所だった…) いきなりの遭遇に、心臓がドキドキと高鳴ってしまう。 ピークアンドタッチやキャラクターショーでは、あれだけ会っているのに、成宮天音としては全く会っていない。 それ故、この遭遇はファーストタッチという事にもなる。 柱の後ろに隠れ、なんとかこの場をやり過ごそうとした。 (ん??…まって…??か…隠れる必要ある??) ふと、自分の行動に疑問を抱いてしまった。 よくよく考えてみると、こちらは坂下さんの顔も存在も知っているが、向こうは、私の事はまるで知らない。 キャラクターショーのスーツアクターである事も、ピークアンドタッチのキャストである事も知らない。 ましてや顔など、全く持って認識すらしていないのだ。 ただの同じ会社の女子社員にしか過ぎない。 つまり、隠れる必要などさらさらないのだ。 (そっか…そうだよね…) その事に気が付き、私は柱の陰から出た。 向こうには帰っていく、坂下さんの背中が見えた。 ピークアンドタッチでお見送りするのとは、また違った光景に映る。 あの店は、特殊な空間であって、ここは日常の空間。 日常の中で見る、坂下さんの背中は、全く違うものに映るのだった。 日常で見るからこそ感じる事…。 改めてその姿を見送りながら感じてしまう。 (私…坂下さんに…いつも…体を触られてるんだ…) その背中を見ながら、そんな事を思ってしまったので、いきなり壮絶な恥ずかしさが込み上げてくる。 なんの変哲もない、会社のビルの入口で、顔を真っ赤にしてしまった。 (わ…私…な…何…考えてるの!!も…もうっ…は…早く…帰ろ!!) そんな現実世界での出来事に、顔を真っ赤にしながら、急いで帰途に付くのだった。 ・・・ そして、いつも通り、ピークアンドタッチで働いていたある日の事。 その日は、坂下さんが来店していた。 いつも通り、ピークアンドタッチの時に、坂下さんはマリンちゃんを選んでくれて、彼に着ぐるみの中身を感じられていた。 相変わらず、私は坂下さんに触られると、絶頂寸前の所まで追い込まれる。 その余波は、その後のお客さんの時まで影響し、その日を乗り切るのに必死になる。 そして、その襲い来る刺激に、何とか耐え抜いて、ピークアンドタッチの時間を乗り切った。 (はぁ…はぁ…はぁ…今日も…なんとか…乗り切った…) 後は、マスク覗きの時間を乗り切れば終わりである。 まあ、マスク覗きに関しては、触られる訳ではないので、肉体的な刺激は無い。 体的には、その後の歓談時に両手を拘束されたまま、放置されるのと変わらない。 マスクの中の顔を覗かれるという事に対する、羞恥心的なところだけだ。 そして、本日の当選者が決定し、ステージへと上がってきた。 (はぁ…はぁ…はぁ…暑い…苦しい…はぁ…はぁ…) そんな進行とは裏腹に、着ぐるみの中の私たちは、暑さに極限まで追い込まれ、必死に耐えている。 進行具合がどうか等に気を配っている余裕もない。 ただひたすら、動かずにじっとしているだけ。 暑さにより朦朧とし、進行のスタッフとお客さんのやり取りが、少し遠くで聞こえているような感じがする。 「おめでとうございます!お客様。それでは、お客様は誰をご指名になられますか??」 「マ…マリンちゃんでお願いします」 「マリンちゃんをご指名ですね。分かりました」 (え!?マリンちゃん!!…きょ…今日は私か…) うっすらと聞こえるお客さんの言葉の中に、確かにマリンちゃんという名前が聞き取れた。 つまり、今日、鼻のパーツを外され、中を覗かれるのは私という事。 (はぁ~~…や…やだな…) 今までも何度も見られてきたが、やはり、マスクの中の顔を正面から覗かれるのには抵抗がある。 逃げようのない恥ずかしさがそこにあるのだ。 するとスタッフが私の前に回り込み、鼻のパーツを取り外し始めた。 【カパッ】 (あっ…と…取られた…) 普段から視界として使っている、鼻の部分だが、やはり、クリアパーツが取られると、ダイレクトに外が見えて、それだけでも何か恥ずかしい感じがする。 (うぅ…や…やだな…やっぱり…) そんな、はっきりと開いた穴から中を見られると思うと、恥ずかしさが込み上げ、つい視線を斜め下に落としてしまう。 (うぅ…も…もう…見られてるよね…多分…。息も…我慢しないと…) 恐らくもう、お客さんに中を覗かれているだろう。 正面から見られているだけに、暑さで荒れた呼吸がダイレクトにお客さんのほうに行ってしまう。 呼吸を聞かれるのもまた、中身の人間を感じさせるので、恥ずかしさがある。 私は、荒れた呼吸を出来る限り押し殺した。 (恥ずかしい…よぉ…) お客さんに見られている事が分かっているのに、それを確認しようとしてしまう。 私はゆっくりと視線を、その穴のほうへと向けて行った。 そして、その視線が、覗き込むお客さんと合い、私の目に驚くべき光景が飛び込んで来た。 (え!?さ…坂下さん!!?) その穴から覗き込んでいるのが、坂下さんだったのだ。 鼻のクリアーパーツが付いていた部分の穴など、それほど大きな物ではない。 しかし、その穴から見えるお客さんの顔…その部分だけで、私には、その人物が坂下さんだと認識出来た。 (う…うそっ…そ…そんな…!?) 私は驚きのあまり、目をぱっちりと開いてしまう。 そして、すぐにその視線をまた、斜め下へと落として行った。 (うそ…うそ…うそ…そんな…坂下さんに…マスクの中を…覗かれてる…恥ずかしい…恥ずかしすぎる…あぁぁぁぁぁぁ…) 心臓の鼓動が、一段と早くなっていく。 誰かに覗かれるだけでも、恥ずかしいというのに、覗いている相手が坂下さんだというのだ。 この上の無い恥ずかしさが、私を包み込んでいく。 (そんな…いや…恥ずかしい…見ないで…あぁぁぁぁ…) しかし、私に逃げる事は出来ない。 拘束された体、避ける事も出来ないし、開けられた穴は塞ぐことは出来ない。 その穴から、着ぐるみの秘密の部分である、中身の私の顔を凝視されているのだ。 タイツにより覆われているので、露出しているのは目だけだが、全てを見られているような感覚に陥り、とてつもない羞恥心に苛まれる。 (恥ずかしい…恥ずかしい…恥ずかしいよぉ…いやぁぁぁぁ…) あまりの恥ずかしさに、恐ろしく動揺してしまい、目が泳ぐ。 聞こえないように、必死に抑えている呼吸音も、逆に動揺と焦りにより、荒くなってしまう。 (いやぁぁ…ダメ…無理…無理だよぉぉ…恥ずかしすぎる…やだよぉぉぉぉ…) 今すぐにでも逃げ出したい気持ちだが、そうはさせてくれない。 秘密の部分を晒したまま、私はひたすら耐えるしかないのだった。 ほんの数分だというのに、恐ろしく長い時間に感じられた。 「お客様、そろそろお時間となりますので」 終わりを告げる、スタッフの声が聞こえた。 (お…終わった) すると再びマスクを弄られる感覚があった。 恐らく鼻のクリアパーツが再び取り付けられたという事だろう。 視線を鼻に戻すと、もうそこは、いつもの着ぐるみの視界に戻っており、坂下さんの顔もなくなっていた。 そうして、私は坂下さんにマスクの中を見られてしまったのである。 (あぁ…さ…坂下さんに…中を…見られちゃった…) 何か大切なものを奪われたような感覚が私の中に過る。 しかし、それは私自身の問題であり、今までと何も変わらない。 坂下さんは知らない…私の事は知らないのだ。 単にマリンちゃんの中身というだけの存在。 成宮天音という女の子の存在は、全く認識されていない。 つまり、意識しているのは私のほうだけで、坂下さんからしてみれば、何も変わらないのだった。 そうして、衝撃の事態が訪れた一日は終わって行った。 ・・・ そんな、衝撃の体験をした数日後の事であった。 私は日中の仕事をしていて、資料を手にして、他の部署に届けに行くところだった。 (えっと…営業2課は…っと…) 目的の部署をキョロキョロと探しながら、歩いていた。 滅多に違うフロアに来ないので、たまに来ると、その勝手が分からない。 (ここが…営業1課だから…もうちょっと…先かな…) 目印となる札を見ながら、進んでいた、その時だった。 【ドンッ!!】 「いてっ!」 「キャッ!」 よそ見をしていたので、前を見ておらず、誰かにぶつかってしまったのである。 【バサッ】 不意に当たってしまい、手に持っていた資料が、床へと散乱してしまった。 「す…すいません!!」 「大丈夫??」 謝りながら、ぶつかってしまった相手の方に視線を向ける。 「さ…坂下さん!?」 ぶつかった相手がなんと坂下さんだったのだ。 「そ…その…すいませんでした!ちょっとよそ見をしてしまって…」 かなりの動揺を見せながら、私はなんとか言葉を繋ぐ。 (やばい…つい…名前…呼んじゃった…) ほぼ関与の無い、違う部署の上司。 私が名前を知っているはずは無いのだ。 しかし、裏では坂下さんの事を【私は】よく知っている。 なので、つい名前を言ってしまったが、知ってる事自体、あまりにも不自然な事なのだ。 色々な意味で、とてつもない動揺が私を包み込む。 「こちらこそ、こんな所で立ち止まってる俺も悪いし」 「そ…そんな事…ないです。悪いのは私のほうで…」 「じゃ、喧嘩両成敗って事で、資料、拾おっか」 「は…はい!」 動揺しきっている私を他所に、冷静に対応してくれる坂下さん。 そして、坂下さんは私と一緒に資料を拾い始めてくれた。 (どうしよ…どうしよ…どうしよ…) 何をどうしていいのか分からないという混乱と動揺で、心臓が破裂しそうなくらいになる。 思考が正しく回っていないくらいの焦りが私に見え隠れする。 「ホントに…ぶつかったの私なのに、手伝って貰っちゃって、ありがとうございます」 「気にしないで、俺も悪かったんだから…ほい、これが最後の一枚…」 そう言って、坂下さんは私に最後の一枚を手渡してくれた。 「ありがとうございました!」 私は坂下さんに視線を向け、お礼の言葉を述べた。 ここまでの雰囲気から察するに、私が名前を呼んだ事には気が付いていないようだ。 すると、その瞬間だった。 「あれ??成宮さん…」 「え!?」 唐突に名前を呼ばれ、つい恥ずかしくなって視線を斜め下に逸らしてしまう。 「成宮さんって、入社してどのくらい??」 「え??は…はい…。まだ一年くらいです」 「俺と会った事ある??」 「い…いえ…は…初めて…お話させて頂いてますが…。な…なにか…??」 あまりにも唐突な、かつ刺激的な質問が投げ掛けられた。 実際、会った事と言われれば、何度も会っている。 しかし、それを認識しているのは、私の方だけ。 口が裂けても言えない事である。 しかし、何もないのに、こんな質問が出るのもまた、おかしな事だ。 坂下さんの中で、何か感じるものがあったのか…。 「あ…いや…ゴメン…俺の勘違いか…。なんか…成宮さんに会った事がある気がして…」 「かか…勘違いだと…思います」 「そっか、そうだよね。ゴメン、ゴメン、変な事言って。セクハラだって訴えないでよ」 「そ…そんな事いわないです!そ…それより、本当にありがとうございました」 私はペコリと坂下さんに頭を下げ、その場から急いで離れていった。 (び…びっくりした…な…なんで…突然…あんな事を…) 資料を目的地に届け、急いでこのフロアを後にした。 そして、その後、その出来事の事が頭の中を埋めつくしていた。 なんで、坂下さんが、あんな発言をしたのか…。 色々な事を考えた。 そして、状況等を考えて、一つの結論に達した。 (も…もしかして…【目】…ってこと??) 先程も、お礼を言って目を合わせた。 そして、恥ずかしくて私は視線を逸らした。 坂下さんが、あの発言をしたのは、その瞬間だった。 つまり、その私が目を合わせ、視線を逸らした映像と、ピークアンドタッチでマリンちゃんのマスクの中で見た映像がリンクしたというのだろうか…。 (いやいや…そんな…お互い1回だけだし…そんなわけないか…) そうも考えたが、ピークアンドタッチで中を見られたのも一度きり。 こうやって生で会ったのも初めてなのだ。 そんな一瞬の事で、気が付かれるはずもない。 (ぐ…偶然だよ…ね…。ま…まあ…そんな事もあるよ…きっと…) 私は、結論付け、また普段の仕事に戻っていくのだった。 そんな会社での偶然もあり、私はまた、ピークアンドタッチでお客さんを…坂下さんをお出迎えするのだった。 今日も、私はいつも通り、着ぐるみに身を包まれている。 (さて…今日も頑張ろっ!!!) ---------------------------END------------------------------------------

クラブ ピークアンドタッチ Side Story ~天音Side~【出会い編】

Comments

(,,ᴗ ᴗ,,)

ももぴ

その儚い感じもいいですね… でもこのシリーズ好きなんで続けて欲しいです(笑)

little

コメントありがとうございます! そうですね・・・これはこれで終わりにしておくのも、想像をかきたてていいかもです^_^

ももぴ

こういう気付いたか気づいてないかみたいなの萌えますね…

little


More Creators