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「ごほっ……はぁ……はぁ……!」
「弱ぇなぁ、オイ? そんなんで、昔はよくもいちびってくれたよなぁ?」
クロキに殴り飛ばされ、ぐったりとキャンバスの中央で横たわる。そんなアラトの横腹をクロキは軽く蹴り飛ばし、侮蔑の視線で見下す。
そして……、事あるごとに、悶絶するアラトに対し、昔のことを引き出しては責め立てていく。アラトは歯噛みするも、実力で敵わない相手には耐えるしかなく。
「オラ、昔はもっと気合乗ってたろ? こいや」
「はぁ……はぁ……、っおらぁぁぁぁぁぁっ!!」
クロキにとっても許しがたい屈辱だったのだが、ようやく、その屈辱を晴らすことができて大変爽快なのだろう。
アラトはキャンバスを叩き……、飛び上がるようにして起き上がり、もはや先輩への遠慮などかなぐり捨ててクロキに殴り掛かった。
バシッ!!
「効かねぇんだ、よっ!!」
グボオオオォォォ!!
「ぐ、ぎぃっ!!」
だが、喧嘩の場数で大きく優位を得ているクロキは、アラトの直線的な攻撃を軽くいなし、反撃のボディブローを見舞う。
腹筋がひしゃげ、都がっった唇から唾液がしぶく。後ずさって悶えるアラトに、クロキは容赦なく距離を詰めていく。
「オラッ!!」
「がぁっ!」
「しっかり立てやテメェ!! 休んでんじゃねぇ!!」
髪をひっつかんで、無理矢理に引き起こす。激昂した先輩の乱暴さにアラトは顔をひきつらせた。
そして、ダメージの抜けないアラトの胴に、その鍛え抜いた腕を回す。
湿った熱い肌と、逞しい感触……、逃れるのが遅れたアラトの頬に、冷や汗が垂れた。
「おいコラ、捕まえたぞ、クソガキ……覚悟はできてんだろうなぁ?」
「ぐっ……ぁぁ……!」
ベアハッグ。それは、喧嘩や試合ではっきりと相手との優劣を示すことを好むクロキが、喧嘩相手に好んで仕掛ける必殺技。
クロキとの喧嘩が初めてではないアラトも、それはよく知っていた。……否が応でも、自分の絶体絶命を直視する羽目になる。
ギシッ……ミシッ……
「…………っ!!」
「しおらしく土下座でもして俺に奉仕すんなら、今日ばかりは見逃してやってもいいぜ?」
アラトの恐怖を誘う為か、まだ力は込めない。だが、肌同士の隙間をじわと狭めていく。
だが、ここで半端にしおらしくしたところで、自分がクロキにしたことと、クロキの恨みは消えないだろう。
……キャンバスに額を擦り付け、徹底的に謝り倒すか?
いや。男同士の決闘の中ではそんなのはありえないと、アラトは顔を引きつらせながら、敢えて笑みを浮かべた。
「はぁ……はぁ……、……勝った気になってんのかよ? 先輩??」
「……あん?」
「へへ、土下座すんのはテメェだぜ……、昔は俺に泣かされてた分際でよぉ……? 今に犯してやっから、今のうちに精々イキっとけや……!」
圧倒的不利で、ともすればこのまま終わってしまうアラトからのまさかの挑発に、クロキは額やしまった二の腕に筋を浮かべる。
びきびきと、ともすれば自分を絞め潰そうとする肉体の表面に血管が浮き立っていくのは恐怖でしかなかったが、それでも、アラトは歯を剥いて笑い続けた。
「は、はは……。あんま煽んなよテメェ……、このまま絞め殺しちまうだろうがよ……?」
「御託はいいから、オラ、来いよ。それとも俺に力で勝つ自信ねぇのかよ?」
「…………あーなるほどな。俺にベアハッグハメられて、絶体絶命だもんな? 今にギブしそうになる自分を保たせてんのか」
クロキはそう察しをつけた。……図星かどうかはともかく、調子に乗りすぎている後輩への怒りで頭がどうにかなってしまいそうな中、必死に冷静を取り戻そうとした結果だった。
「…………けどよぉ。……誰にんな口きいてんだ?」
ギシッ……ミシッ……!!
グキベキバキッ!!!!
「ぐぁ……がぁぁああああああああああぁぁぁっ!!」
「おらぁぁぁっ! 死ねおらぁぁぁぁぁぁっ!!」
グリュ、グキュッ!
「んがぁぁぁあああああああっ! ぐぁあああああああああっ!!」
ついに、クロキが力を入れ……すぐに全力になる。
アラトの腰に腕が食い込み、肌が擦れ、筋骨が破壊されていく鈍い音が響く。
鍛え抜かれた肉体同士の凶悪な抱擁に合わせ、硬く隆起したクロキの胸筋に押し出されるよう息を吐き出したアラトの口からは、ただただ悲鳴が絞り出されていく。
「うっせぇんだよ! オラァッ!」
「ごあぁぁぁぁぁぁぁあぁっ!!」
汗を振り乱し、沸騰しきった怒りのままに一心不乱にアラトを甚振り続ける。アラトの体格相手に全力でベアハッグを極め続けるのは、普通ならば困難だろうが、クロキは一味違った。
激昂に比例し、圧力も増していく。クロキの色黒の恵体は腕力のみならず持久力にも優れており、こと体力面でも、アラトに一歩譲っていた少年時代とはまるで違っていた。
「五体満足で教室戻れると思うなや! ガチのタイマンで、誰も助けになんかこねぇぞ!」
「あがぁ、がああぁぁあああああああっ!!」
「オラァァッ!! 降参しろやテメェッ!!」
「ぐぁぁぁあああああっ!! ……ノーッ! ノーッ!!!」
「くだらねぇ意地張ってんじゃねぇぞ! もうテメェは終わってんだ、「RAD」ッ!!!!」
叫べば叫ぶほど……、クロキの怒りと嗜虐芯を煽り、さらに力が込められていく。
大きく膨らんだ胸は力むごとに固さを増し、磔にするアラトの胸や腹筋に食い込み、押しつぶしていく。
昔の「RAD」との試合を、その悔しさごと思い返してか、アラトを「RAD」と呼び、アラトもまた、意識が混濁するほど追い詰められながらもギブを拒否し、首を横に振る。
「舐めた口ききやがって……、簡単にはつぶさねぇぞ! まだまだ地獄見る覚悟できてんだろうなぁっ!!?」
「んがぁぁぁあああああああぁぁぁっっ!!!」
振り返れば、振り返るほど。目の前の相手が憎らしくなる。
燃え滾るクロキの復讐心に、その苛烈な攻撃としてまともに晒されているアラトは、ただひたすらに悲鳴をあげてもがくしかなかった。
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jin
2021-02-13 09:37:52 +0000 UTCyukibou
2020-11-05 03:49:52 +0000 UTCyshbs177
2020-11-04 23:20:00 +0000 UTC