1
ピシャリ……ピシャリ……今宵も父親の振るう房鞭の音が洋館に響いていた。黒光りする鞣し革の束が繰り返し、繰り返し娘の尻に絡みつき、その白い肌に赤い痕を幾重にも刻みつけていく。学校の成績から立ち居振る舞い、ちょっとした言葉遣いまで、毎夜の折檻の理由には事を欠かなかった。
手ずからスカートをたくし上げ、それを受けている娘は涙を流しながらも、口を結んで声一つ漏らさない。それは執拗な鞭の痛みに対してのみならず、折檻の準備、実の父親にドロワーズを割り開かれた時の羞恥に対しても徹底されていた。
尤も、彼女は最初から特別に我慢強い子供だったわけでは、もちろんなかった。ただ、こうして自らに与えられる羞恥に、あるいは痛みに悲鳴を上げる度、それは新たな鞭となって――それも途方も無い数となって――その身に返ってくる事を、幼い頃より文字通り痛感させられた故の緘黙だった。
2
その日、娘はたっぷりとお尻を叩かれた。仕事から帰ってきて、まだ着替えてもいないパパに"カミエシ"を目指すとか言って、"エキタブ"という高価なおもちゃをねだって困らせたのだ。まあ、かわいい娘のやることだもの、多少のワガママなら聞きもするし、少しくらい駄々こねたって普段だったらいなしてしまうのだけど。
でもこの日、娘はちょっとまずいことをした。いつもみたいにワガママが通らないのに癇癪を起こして、パパなんてキライ!と、ネクタイに飛びついてぶら下がったのだ。幸い、パパがネクタイを掴んで首は締まらずにすんだけど、勢い余って縫い目がビリリと裂けてしまった。
「これはな、パパの大事なものなんだぞ」
滅多に聞かないパパの低い地声。そういえば、あれは今の仕事を始める時に私がプレゼントしたものだった。空気の変わったのに気付いて戸惑う娘の腕を掴んで、そのままお膝へ。静かな所作で決して乱暴ではないけれど、有無を言わさない力強い動作。そうしてパジャマを脱がされた娘のお尻に、一つ、また一つと手形が増えていった。
やっとのことでごめんなさいが言えた頃には娘は疲れ切っていたらしく、涙が引いた頃にはもう、うつらうつら。お風呂に入ったパパが出てくる前にはもう、お尻をしまうことも忘れて夢の中だった。
しおごはん
2021-05-14 16:38:14 +0000 UTCC.haru(C.h.a.u)
2021-05-14 12:45:53 +0000 UTC