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幼なじみが俺で、俺が俺の妹で(39)『瑠璃が今思うこと』

 わたしたち、二年後の四月には元に戻るんだし……今は今しか味わえないこの関係を満喫したって、いいよね?  みっくんと愛し合う中、心の中で自分に言い聞かせながらも、わたしはそこに欺瞞が混じっているんじゃないかと、わたしはわたしをごまかしていないかと、考えずにはいられない。 *  男子として三年目の生活を日々送りながら、わたしは思う。  わたし、今さら女子に戻れるのかな?  光莉ちゃんは、二年間の『瑠璃』から難なく『光莉』に戻れたように見える。本人の中ではあれこれ葛藤もあるのかもしれないけれど、少なくとも表面上は。  でもそれは、他人とは言え同性になって、そして元に戻ったという話。  なら、女から男になって二年経ち、さらに二年男として生きていくことになったわたしは?  高校生活は、すごく楽しい。  まず、クラスの雰囲気はよくて、何人も友達ができた。  みんな男子だ。  女子とは、『瑠璃』との関係をオープンにしていることもあってか、微妙に距離があるのを感じる。一番近くてもまだ、「気軽に話せる知人」というレベル。彼女持ちだから気楽に接することができる、となるかと思っていたけれど、プレイボーイと警戒されているのかも。  でも二年前の入れ替わった直後よりも、わたしは今の状態を、すんなりと受け入れている。  あの時は、女子みんなと距離が遠のいたことが、内心かなりつらかったのに。  男子の一員として友達と楽しく話している最中、ふと思う。  わたし、元に戻った後、女子とこんな風に楽しくしゃべれるのかな、と。  男の子だったみっくんが『光莉』ちゃんとして女子の中に溶け込んでいったように、今は『わたし』として女子の友達ができているように、わたしだって元に戻れば身体の記憶もあるわけだしまたすんなり女子の中に混ざれるのだろうとは思う。  でもわたしの中の性欲は、すっかり男子のそれになっていて。  こんなわたしが女子のふりをするのは一種の犯罪にならないかなとすら思う場合もある。みっくんという例があるし、そこもどうにかなるんじゃないかと、思ってはすぐに打ち消しているけれど……でも、みっくんは、今のわたしとは違って、射精しか知らない状態で女の子になったんだよね。  勉強はまた一段難しくなった。それでもまだ、ついていけなくなるほどじゃない。  だけど、時々思う。  わたしが勉強に打ち込めているのって、男子の身体だからじゃないのかなと。  みっくんと愛し合って毎日のように性欲を解消できている。そして生理に悩まされることもない。  後者はもちろんだけど、前者も大きいように思う。射精して勃起のムラムラが解消された後は、かなり勉強が捗るし。  初めての中間テストは、二点差でわたしがみっくんを抑えて学年一位。でも、あれこれ二人の条件を考えてしまうと、実質的にはみっくんの方がすごいんじゃないかという気がしてくる。  三年生になると同時に女子に戻って、わたしはそれまでと同じくらいの成績を保てるんだろうか。  入れ替わる前と違って、わたしは体育の授業がいつも楽しみになった。  力強い男の子の身体で、しかもみっくんのこの身体は二年間でぐんと背が伸びて、わたしは色々なことができるようになったし、周りの男子に引けを取らなくなっている。野球やサッカー、バスケなど、様々なスポーツに興味を持ち、スポーツニュースでひいきチームの勝ち負けに一喜一憂したりもするようになった。  みっくんは、わたしの身体でそれなりに体育を楽しんでいるようには見える。入れ替わる前、みっくんの成長期はまだで、体育は好きでもすごく得意というほどではなかったから、光莉ちゃんの小さい身体やわたしの運動に不向きな身体も受け入れられたのかもしれない。  けど、わたしはあのおっぱいの大きな動きづらい身体に戻った時、今のこの身体とのギャップに耐えられるんだろうか。  ファッションも今となっては悩みの種でしかない。  二年間『光彦』として暮らすことで、わたしはファッションを気にする暮らしから解放されてしまった。  パジャマ代わりのTシャツと短パンで寝て、起きて、一日それで過ごす。そんな夏休みの日々を経験してしまうと、服装やその他あれこれに日々気を遣っていた入れ替わり前の生活って何だったんだろうと思ってしまう。  そう思うと、みっくんが『光莉』や『瑠璃』として女子の身だしなみに適応しているのが不思議ですらある。  そして何より、性的なこと。  二年前の四月一日、自分の身体の一部になってしまったことがあんなにショックだったチンポ。  なのに今となっては、これがないわたしの人生なんて考えづらいくらいになっている。  射精ってすごく気持ちいい。  そして勃起は射精したいよという合図。こんなにわかりやすく欲求を伝えてくるとわかると、やんちゃな坊やみたいでグロテスクなのに可愛くも思えてくる。  これをみっくんに手で弄ってもらって射精してもらうのが最高だった。  でも今、みっくんの中に射精するのはもっと最高だ。  将来……みっくんの子宮にまでわたしの精液をそそぎ込めたら、この最高をさらに更新できる気がする。  入れ替わる前はみっくんの赤ちゃんを産みたいとぼんやり思っていたのに、今のわたしはみっくんに赤ちゃんを産んで欲しいと思ってしまうし、そこへ至るあれこれを想像するだけで硬く大きく勃起してしまう。 *  再来年の四月、元に戻っていいんだろうか? 最近そう考えることが増えてきた。  このまま『光彦』として生きていく方が、わたしには向いているのでは?  もちろん、みっくんから『光彦』の人生を奪ってしまう罪悪感はある。  でも、みっくんには『瑠璃』の方こそが似合ってない?  あんなに可愛くて、清楚な雰囲気を保っていて、勉強もがんばっていて、人付き合いもうまくこなして、それでいて布団の上ではあんなにエッチで。  今やわたしは、みっくんほど完璧な『瑠璃』として振る舞える自信がない。  でも、みっくんには何も言えていない。  みっくんに拒まれたらと思うと、言い出すのが怖い。  このままなし崩しに、何となく、この状態のまま二年後の四月が過ぎてしまえば一番都合がいいのにと思ってしまう。  だけどそんな想像もわたしを苛む。  二年前、何も言えなかったからわたしはあんな願い事をして『みっくん』になってしまった。  それと同じような何かが繰り返されてしまわないの?  ……考えても、答えはまだ出せないまま。


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