ハロウィンは、予定通りに行われることになった。
街の警備にあたっていたコトハは「それならすぐに私を呼んでください!いいですね!」と怒った様子だった。
ナツキと俺で魔獣を倒そうという話だったが、仲間外れにされたことが心外だったようだ。次からはちゃんとお願いすると話したら、幾分か気は晴れたようだった。
「あ、相棒!!こっちこっちー!!!」
ナツキが俺を見つけて元気に手を振っている。
今日は任務も非番の日。
俺とナツキは一緒にハロウィンに出向いていた。ちゃんと仮装をして、ハロウィンを全力で楽しもうというコンセプトだ。
ナツキは、バンパイア風の衣装なのだろう。
トレードマークのパッドを装備しているのだけは相変わらず変だが、それ以外はかわいく仕上がっていると思う。

「どう?かな?」
「あぁ、似合ってると思う。そのパッド以外は」
「いいじゃん!これはもう癖なんだから」
いたずらっぽく笑うナツキ。
「君だってさぁ、人のこと言えなくない?手抜きだよね。それ」
俺の方はというと、どこぞの宇宙飛行士のような服を丸っと着た着ぐるみのようなものだ。
「そんなことはないぞ。ちゃんと街を歩いても浮かないようにだな──」
「んー、まぁいいか。じゃあいこっ!」
「おっ、おい!」
ナツキは俺の手を掴んで街を歩きだす。
街はハロウィン一色。通行止めで車も入ってこないため、そこら中に人がいっぱいいる光景が広がる。
「…守れてよかったね」
少し真剣な、安堵した顔を見せるナツキ。
「そうだな。あ、そういえば……」
「あっ!私も……」
二人は顔を見合わせる。魔獣にトドメを倒すときに現れた青白い人影のことだ。
「あれ、あたし お父さんに見えた…。顔はよく見えなかったけど、なんかあったかい感じがして……」
「きっと、ナツキを見守っててくれたんだな…。ハロウィンの元となる祭り、サウィンは夜に死者の霊が家族を訪れると言われているんだ。だから、もしかしたら本当にお父さんがナツキを守るために戻ってきたのかもな」
ナツキは少し涙を見せるような顔をした後、俺の方を見つめる。
「…君って本当さぁ、物知りだよねー」
ギュッと俺の腕を抱きしめる。
「ちょっとこうしてても…いい?」
ナツキにとって、父は憧れの存在であり大事な家族だ。きっといろいろなことを思い出しているんだろう。
「あぁ、今日は一緒に 街を回ろう」
俺とナツキのハロウィンは、こうして始まりを告げたのであった。