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クラウストラムの後継者 #9 願い

 興奮したゴブリンのあげる雄たけびをあげながら、すっかりゴブリンに成りきったエマは森の中をひたすらに駆け巡った。  やがて。  エマは見覚えのある場所に出た。  一週間前に宝玉を見つけた巣穴の前だ。  広場に進み出たエマは、辺りの様子を見渡す。  ゴブリンの精が染みこみ、...

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クラウストラムの後継者 #8 秘密

 館に戻ってからのエマは、どうしようもない感覚に苛まれていた。  それは虚無感というのか、焦燥感というのか、そういったものが入り混じった感覚だ。  あの日、フェイとノルンがどうしてあんなことをしたのか、わからない。  悪ふざけというには、あまりにも危険が多い行動だった。 ...

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クラウストラムの後継者 #7 穢れ

「フヒ……」  ゴブリンの顔に浮かんだのは、何とも言えないいやらしい笑みのような表情だ。  自分のことはしっかりと覚えている。  豊穣を司る[[rb:大地と樹木の精霊 > ドライアド]]の少女、エマであることは、覚えている。  その自分が今や、正反対の存在といってもよい、下劣な[[rb:...

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クラウストラムの後継者 #6 巣穴

 クラウストラムが存在する「狭間」には太陽が昇るということがない。  そこはいつでも、霧がかった薄暗い世界だ。  侵入者を防ぐ幾重にも張り巡らされ館の結界の外には、鬱蒼とした森がどこまでも広がっている。  ひとたび踏み込めば、どこまでも境のない、迷いの森だ。  館のほど近...

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クラウストラムの後継者 #5 披露

 団らんの間のドアの外側で、遊跳は緊張した面持ちで立ちすくんでいた。  先に部屋に入ったエマが、部屋の中にいるはずのフェイとノルンに事情を説明しているのだ。  クラウストラムに奉仕する新たなしもべ、生まれて間もない精霊の少女マヤとして、2人に紹介されるのである。  自ら...

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クラウストラムの後継者 #4 誓い

「思った通り。ユートさん、とっても良く似合っているわ」  少しはしゃいだ様子で、エマが両手を遊跳の肩に乗せた。  しばらくの間茫然としていた遊跳は、やっとのことで少しだけ冷静さを取り戻していた。  つばを飲み込むと、そろそろと姿見から目を離し、エマの方に向き直る。 「ね...

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クラウストラムの後継者 #3 着替え

 ほの明かりに照らされた廊下をふたりの少女が歩いている。  前を歩くのは、メイド服に身を包んだ鳶色の髪をした美しい少女だ。  亜麻色の髪の小柄な少女が、所在なげな様子でその後に続く。  小柄な少女は、周りの様子をしきりに気にしている。  無理もない。  彼女は、大きすぎる...

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クラウストラムの後継者 #2 変化

「ね、ユートさん。試してみましょう」  そう言ってエマは、手にした宝玉を自分の方に体を向けた遊跳のすぐ目前に差し出した。  そのまま手を伸ばし、遊跳の額にすっと宝玉を押しあてる。 「!」  ひんやりした宝玉の感触を遊跳は額に感じた。  次の瞬間、宝玉の内に閉じ込められて...

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クラウストラムの後継者 #1 導入

 その空間は、さながらガラクタ箱の中、とでも言おうか。  もう少しマシな表現を考えるとしても、歴史のある博物館か古びた骨董品店のバックヤード、といったところだ。  高い天井の半ばまで、うず高く積み上げられた木箱や、ショーケースの類。  ケースの中や、棚の上には、様々な種...

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