捕食者 前篇
Added 2019-08-09 01:44:09 +0000 UTC空から照り付ける太陽からの熱線が日々えげつなくなる中、期末試験の返却も終え、夏休みを間近に控えた中学の校内はそれでも浮ついた空気が漂っていた。 来年には高校受験も控えている3年生達にとってはただ楽しいだけの夏休みではないだろうが、まだまだ家族旅行が楽しいような年頃の1年生、2年生達からすれば約1か月の長期休暇を前にすれば浮かれるなという方が無理があるだろう。 教師としては、休みだからとはしゃぎすぎてケガをしたり何か妙な問題を起こしたりせず、誰もが9月1日を無事に迎えてほしい、と願うばかりだが。 あと、期末試験の結果の検証や宿題についてもしっかり心に留めておいてほしいところだ。 その辺の事は、最後のHRの時にちゃんと説いておくつもりだからあえて今からくどくど言うつもりはないが、この数日教室で漫画やゲームを没収したりする機会が増えたりなんてすると、やはり少し心配になる。 昼休み。 この暑いのに、今日は久々に食堂で焼肉定食なんて注文してしまった。 給料日からまだ間もないからというのもあるが、比較的安価にも拘らず割と量も多いここの定食はなんだかガッツリ食いたいと思った時には重宝していた。 それすらままならないような金の無い日は、コンビニで売れ残りの割引パンを買いこんで職員室で齧っていたりするが。 そんな俺が久々の贅沢ランチを満喫していたところに、異変は突然の稲妻のようにどこか遠くからピシャリと俺の耳に飛び込んできた。 周囲の他の人間達も、それに気付いて一様に怪訝な表情を浮かべる。 昼時の平穏に亀裂を走らせたそれは女子生徒の悲鳴、というには随分と攻撃性を強く孕んだ、むしろ怒声のような叫びだった。 その響きから、俺達教師の方がいち早く事の次第を察して、気付けば皆血相を変えて食堂を飛び出した。 食い残しの焼肉の皿にほんのわずか後ろ髪を引かれたのは俺だけだったろうが。 グラウンドに出て、食堂からそう距離も無い体育館の辺りに人だかりが出来ていた。 そこでは野次馬の生徒達に囲まれて、女子生徒が数人、地面を這いながら頭を抱えて唸ったり胸を掻きむしっている姿があった。それはまるで、狐憑きにでもなったかのような、異様な姿だった。 さっきの声は彼女達のものに違いない。 想像通りの状況の中、そのさらに中心では今度は男子が2人、いずれも着衣を乱し、局部を含めて露わになった皮膚のいたるところを謎の生体液でどろどろに湿潤させていた。表情を見れば、息も絶え絶えにその意識は混濁の様相を呈している。 それもまた、想像通りの状況だった。 「やっぱり、プレデターか!」 男性教師から緊張した声が張り上がると、その教師は用心の為に他の生徒達を速やかに教室へ避難させ、女性教師は錯乱した女子生徒達を拘束し、俺を含めた男性教師は男子達の着衣を戻して呼んだタンカで保健室へ運ぶ。救急車も呼ぶ必要があった。 要請から間もなく救急車が到着するや、それぞれの担任教師が付き添いになって、男子と女子を病院へ搬送した。 あれだけ騒がしかった現場はものの数分で見事に人気が失せて静まり返ってしまった。 後からならば、日頃の対応訓練の賜物と誇れたかもしれないが、おそらく自分達以外の誰も評価などしてくれないだろう。災難訓練などそんなものだ。それも、被害が既に起きてしまった後の訓練など。 残った教師達の誰もがやるせない顔を付き合わせながら、今の心境を互いに共有していた。 被害生徒達の搬送を終えた後は、教師の側は何事も無かったように授業を進めていくだけだったが、生徒達の方は午前中とは別の意味で落ち着かない空気を纏わせていて、授業の内容などどこ吹く風の様子だった。 確かに無理もないことだろうが、こちらとしてはそれもまたやるせなかった。きっと授業が終わればすぐに先ほどの事件の事で様々な噂話が飛び交う事だろう。 生徒達はいい気なものだ。 一方今頃、校長達は頭を抱えている事だろう。 被害に遭った生徒が心配なのもあるだろうが、教育委員会への連絡、保護者達への説明や謝罪等、想像しただけで頭の痛くなる後処理がこれから待ち受けている。 確かに、決して起きてはいけない事件ではあるが、俗にプレデターと呼ばれる存在による男子襲撃事件は今では世界中至る所でリアルタイムで起きていて、100%確実に防ぐ方法というのは現時点では正直言って存在しない。仮にあったとしても、現実的ではない方法ばかりだ。 だがそんな事を開き直って口にしたところでそれで保護者達の理解を得られるかは怪しい、というか無理だろう。 大事な生徒を預かってる身として彼らの安全を確保できなかった責任からは教職員一同、逃れる事は出来ない。 なんだってあんな生き物が跋扈する世の中になってしまったのか。知っていたら、決して教職など選ばなかった。おかげでストレスは増え、この数年で頭の毛はめっきりと減った。 プレデター、という名前だけなら今や知らない人間など殆どいないだろうが、プレデター、というのは勿論正式名称じゃない。 おそらくテレビかネットでそう呼ばれるようになって、いつの間にか世間に定着してしまった呼び名だ。 プレデターの学名はOrganithorhynchus anallinus(オルガニトリュンクス・アナリヌス)という。 そんな正式名称に意味があるとは到底思えないが、彼らが姿を現すようになり、その生態が知られるようになって以来、生徒を守る立場としてプレデターについての勉強会や会議に参加する機会が何度かあって、その流れで勝手に頭に入ってしまった。 おかげで彼らに関する知識はそれなりにある。しかし、それだけ研究が進み、情報の共有が盛んに行われているというのに彼らの襲撃を未然に防ぐ術というのは確立していないのが現状だ。 プレデター。 直訳すると「捕食者」という意味だが、別に彼らに襲われたからといってケガをしたり命を奪われたりはしない。いや、場合によってはするだろうが、彼ら自身が直接人間の命を奪うという事は無い。 ただ、その名前の示す通り、彼らは人間の分泌する生体物質を栄養源としており、その摂取を目的に特定の人間を襲う習性とその為の能力を持っている。 その物質というのが、あまり大きな声で言いたくはないが、人間の雄の体液、だ。特に、精通して間もない年齢から20歳前後までの比較的若い男子のものが好まれる傾向にある。 そんなものを摂取してどの程度栄養になるのか、他に何か栄養源はあるのか、といったことはまだ明らかになっていないが、とにかく彼らは人間の男性の体液を虎視淡々と狙い、スキを見せるや襲ってくる。 体液と一言で言っても色々あるが、その中で現在明らかになっている彼らの好物は、汗、涙、唾液、腸液、精液、潮、尿など。鉄分を嫌うのか、なぜか血液だけは好まれない。 逆に精液のような男性泌尿器関係の体液に対する執着は非常に強く、彼らの生体構造自体が、効率の良い精液摂取のための進化を辿っている。 人間の精液を吸って生きる吸精生物、というとさぞグロテスクな見た目だろうと思われるかもしれないが、目撃経験のある人間から言わせるとそこまでグロくはない。 大きなトカゲのような姿をしていて、むしろパッと見だけなら人によっては良い印象を持つかもしれない。あくまでパッと見の話だ。実際に吸精しているところを見ると常人なら9割方引く。 体長は個体差があるものの大体30cm前後でゴムのような柔軟な体躯をしている。 獲物の身体を捕捉するための吸盤状の肉掌を持ち、さらに、数十cm伸びる太い尻尾を持っているが、普段は尾部に収縮・収納されている。全身の骨格、筋肉が独特な発達の仕方をしていて、見た目通りの四足歩行でその動作は意外に素早い。 数m離れた場所から、まばたき1つしているうちに既に胴体に飛びつかれていた、なんてこともざらだ。 そして、接近されると分かるのだが、トカゲにしては安定して高い体温を感じるし、その体表面には微絨毛がびっしりと生え、何やらぬるついた体液をまとわりつかせている。 トカゲかと思いきや、むしろ哺乳類に近い特性を持っていると言えるか。 この体液というのがなんとも曲者で、周囲の景色を反射してこちらからの発見を難しくする迷彩の役目を果たしている他、その潤滑性のせいで一度纏わりついてくると、大人の手でも引きはがすのにひどく困難を強いられる。 そしてこちらがまごついている間に目的の股間に辿り付いたプレデターは、普段は閉じている口をタコのように筒状に開口し、ヒトの陰茎目掛けて嬉々として食いついてくる。 おかげで、プレデターが出没するようになってから温泉やプールのような野外で薄着になったり、股間を晒すようなレジャーからは男子は遠ざかるようになってしまった。 この学校でも、水泳の授業は無くなってしまい、体育や部活の際にも男子の着替えは厳重に施錠した更衣室でのみ行うようになるなど、プレデターの存在によって人々は生活スタイルの改革を強いられている。 そして、それだけの対策を施してもなお、プレデターによる襲撃を受ける時は受けてしまうのである。 勿論、プレデターが単に素早く動いてヌルついてるだけの生き物ならば流石にここまで対策必須の生き物にはなりえない。 プレデターのおかげで今や男子の薄着は激減しているし、プレデターの脅威を知った上で無防備に性器をぶらつかせてその辺を歩く男子もいない。 しっかりと危機意識を持って生活してさえいれば、プレデターがエサにありつく機会などそうありはしない、と普通ならそう思うだろう。 だが、吸精生物としてのプレデターのタチの悪さはそんな程度のレベルではないのだ。 たった今、昼間の生徒に付き添っていた担任教師から電話があり、予想通り生徒達は命に別状は無いようで、女子の方は既に正気を取り戻したようだが、男子の方は意識は保っているものの未だ精神混濁が抜けずにいるという連絡を受けた。 それも、想定の範囲内だった。 ただ精液を採取してそのまますばやく立ち去ってくれるカマイタチのような存在であったらむしろまだマシだったかもしれないが、プレデターは場合によっては色々と置き土産をしてくれるので非常に始末に悪い。 ─── プレデターに襲われた被害者の事後なら、さっきのように直接目にする機会は何度かあった。 だが、実際に誰かがプレデターに襲われている最中の光景というのは、資料でしか見た事は無い。 それもほとんどが文献資料で、視覚で目撃したのも映像記録で数回、間接的に確認したのみだ。それも詳細なものとなるともっと限られてくる。 初めて目にしたのは、職場の対策会議に参加した時。 参考資料として提出された動画を目にした時の衝撃は流石に忘れられない。 それは確か、たまたま家族で海水浴に来ていたところを襲われた小学5、6年生の男児の映像だった。 今でこそ男児のいる家で海水浴に行こうなんていう暴挙に出る家庭は見られなくなったが、つい2年ほど前はまだプレデターに対する世間の認識に格差が著しかった頃で、和やかなホームビデオの中で夏の浜辺ですっかり日焼けしたやんちゃな男の子が楽しい楽しい家族旅行を満喫しているところだった。 目の丸っこい、愛らしい少年がカメラに向かって満面の笑みを浮かべながら小さな手にピースなんて作っている。 そして、そんな少年をカメラはレンズにしっかり愛情を込めて撮影していた。 そんな、誰の目から見ても微笑ましい日常風景が刹那、阿鼻叫喚の地獄絵図に変わるとは誰が想像出来ただろう。本当に、ただの瞬き1つもかからなかった。 おそらく、それまでおいしそうな獲物を物色していたのだろうプレデターの一匹が突然横から突風のように男児に飛びついて、驚きまごついた少年の体は砂埃の舞う浜辺へと投げ出されていった。 『てつや?てつや!!!!』 突如として映像は乱れ、撮影者本人であろう父親らしい男性が息子の名前を叫ぶのが聞こえた。 それを号令とするかのように、続いて現れた他のプレデターもまた、倒れた『てつや』少年の体の上へと次々と集っていくのがかろうじて確認できた。 『なにっ!?なに、これ何!!やっ…あっ!あああぁぁっ!!!!』 何が起こったのか分からず動揺する少年の声は次第に、明らかな悲鳴に変わっていく。 少年が父や周囲に助けを求める声と映像が、同じく隣で視聴していた教師達の胸を締め付けていくのを俺も肌で感じていた。 『おとーさん!!おとーさん!!!たすけて!!!』 そういえば言っていなかったが、プレデターは一匹単独よりもむしろ集団でチームを組んで行動することの方が多い。 彼らが最も好む精液の蛇口は一人の男子に通常1つしか付いていないのだから一見すると効率が悪いようだが、その実、集団行動によって彼らは全体の栄養回収率を底上げしている。 『こい、つ……はな…っ…あっ……ちんち…っ……やだっ!!!あっ…あ、あ…ああっ!!!!やめ』 プレデターが少年のまだ幼い陰茎を既に捕捉して、喰らいついているのは明らかだった。 通常の着衣状態ならまだしもたった水着一枚の裾に首を突っ込んで獲物を素早く咥えこむなど、プレデターにとっては造作も無い。 少年自身、狼狽しつつも細腕で自分の水着に侵入したプレデターをなんとか引きずり出そうと頑張っていたが、子供の腕力程度では一度獲物を捕らえたプレデターの体は微動だにしない。 カメラの視点が安定した。 ホームビデオの撮影どころではなくなった父親がどこかにカメラを安置、というよりも放棄して息子を助けようと難儀している背中が映っていた。 この日の事は彼ら親子からすると災難以外の何物でもなかっただろうが、皮肉なことにおかげでこうして資料としての価値が生まれている。 プレデターの侵入を許した少年の股間は水着の布地が今にも破けそうに盛り上がって、濡れた音を籠らせながら不気味な蠢きを繰り返していた。 その様子は、釣り竿の餌に食いついた魚がぴちぴちと暴れる様を連想させた。 少年の水着の中で彼の竿に食いついたプレデターはさぞ食事を楽しんでいるのだろう。 父親も生理的嫌悪を堪えながらも、息子の体から怪物を引っぺがそうと切磋琢磨していたが、決してままならなかった。 『やあぁっ…もお…っ……吸わな…っぐちゅぐちゅ…やらっ……はぶ…っ?…んぐ…にゅる……いにゃ…あっ……!……』 プレデターの口責めを受け続けた少年の苦悶は次第に切なくなっていき、それに平行するように呂律すら怪しくなっていった。 前述のとおり、プレデターが好むのは何も男子の性器や精液だけではない。 突然の災禍に喘ぐ少年の舌を、他のプレデター達の舌が捉え、その口内に滴る唾液にすら吸い付いて少年から言葉すら奪っていた 海水浴を満喫し、塩気と脂汗の浮かんだ少年のまだ初心な肢体を、その至る所を彼らは丹念に味わい尽くしていった。 なぜもっと手際良く救出出来ないのか。自分の大切な息子だろう。 そんな風に映像の中の父親を責めるのも酷とすら思えるほど、その異形の生き物達の異様な食事は見る者の生理的嫌悪や恐怖を煽りたてるものだった。 最初は野次馬となっていた周囲の客達も次第にその場から散り散りに遠ざかり、浜辺からも撤収していった。 当然だろう。いつ自分達も同じように目を付けられて襲い掛かられるか、わかったものじゃない。 しまいには父親自身もプレデターにたかられ始め、あたふたと逃げ出し始める始末だった。 『ふにゃ…んやあっ……あああぁ…~~~~~~~~っ!!!』 一際甲高い声を上げたかと思うと、一人残された少年の腰がびくびくっと生理的な震えを起こす。 どうやらプレデターの責め立てが奏功し、とうとう少年から精液を搾り出してしまったようだ。 情緒も何もなくプレデターによって強引に引き起こされた、ただひたすら機能的な射精。 プレデターの口から喉までの距離は外見よりもずっと長く、日本の成人男性の勃起程度なら何の問題も無く全容を呑み込める。 そして、他の動物の体液を主食としているプレデターの口内には物を咀嚼するための歯というものが存在しない。 代わりにあるのは、無数に分布した粘液分泌口や中の壁からは舌のような形をした弁がいたるところからにょっきりと生え伸びて、侵入者のことを全方位から吟味し、愛撫の限りを尽くす。 粘液の絡んだ熱くて狭い口壁は、ちょうど咥えたヒトのペニスの形に拡がったと思うと、今度はきつく狭窄して獲物を捕らえ、蠕動し、絶えず新たな刺激を提供して造精と射精を促す役割を持つ。 加えて、発達した胸郭周囲の筋肉が、見た目からは想像もできない肺活量を実現し、プレデターはそれによって獲物のペニスを強烈に吸引し、搾り出した精液を一滴も残さず回収する。 そうして搾りだした新鮮なヒト精液を極上の栄養として内壁から素早く吸収するのである。 プレデターの口は口でありながら同時に他の動物でいう腸に近い性質を伴っている そうして、精も体力も搾り出され、それでも健気に逃げ出そうとする少年の孤独な背中に、今度は別のプレデターが一匹、まるで子泣き爺のように飛びついていった。 たった一度の射精で帰してくれるほどプレデターは甘い生き物ではなかった。 『あっ……な…なに゛………っ…ひゃっ……ひゃら…っ…なんれ……そんな、とこ……』 さっきも言ったが、たった一匹のプレデターの食事のためにただチーム行動をするのでは効率が悪い。 互いの食事のために互いに協力しあってこそのチーム行動だ。 息も絶え絶えになっていた少年の喉から、これまでとは質を異にした絶望の叫びが飛ぶ。 この時点で少年の姿は画面外に消えてしまい、もはや音声でしか事態を把握することは出来なかったが。尋常では無い何かが起きている事だけは音声だけでも十分察せた。 プレデターの体には人間の男から精液を採取するための様々な機能が備わっている。 単にペニスに吸い付いて刺激して射精を起こし、精液を採取するというのもその機能の1つなら、相手の口内などの敏感な粘膜や全身を舌で舐めまわすという行為は、唾液や汗を回収すると同時に性感刺激も兼ねている。 他にも、さっきも少し触れたがプレデターの尾部には普段は収納しているが伸縮自在の太い尻尾があり、この尻尾を使って獲物の肛門周囲や直腸内部への侵入による性感刺激を行って、獲物の造精を促す行動が各地でも確認されている。 厳密にいうとプレデターのこの尻尾は尻尾というより性器や産卵管に近いもので、皮膚と同様に表面から粘液分泌を行っているのでこれによって対象の体腔内への侵入を容易にし、比較的硬度のある先端の産卵口付近を使って獲物の腸壁や前立腺刺激を行うことが出来るというわけだ。 また、複雑な動きを可能にするためにプレデターの尻尾は筋肉だけでなく神経も非常に発達している。 そんなプレデターの尻尾による少年の肛門への抽挿は、それ自体がプレデター自身の快感にもつながっていることは想像に難くない。 『はぁ…っ…はあっ…はぁ…っはぁ……………っ…』 少年の必死な呼吸が映像から伝わり、見ている側まで緊迫感を覚えるほどだった。女性教師の中には耐え切れずに途中で退室した者もいた。 そりゃあいきなり自分のお尻の穴に、それも訳の分からない生き物に侵入されようとすれば、彼でなくとも抵抗を示しただろう。 小さな身体を強張らせ、括約筋に力を込めて決死の抵抗を試みる少年の姿が目に浮かぶようだった。 けれど、プレデターを背中から引きはがす術も体力も、この時点の彼に無い以上、陥落は時間の問題だった。 『も゛ぉ、やめ、でぇぇ………う゛んっ!?…お゛おぉっ!?!?!?』 少年の叫びのトーンがまた少し変わった。 一度、小さな雄叫びのようなものが聞こえたと思うと、そこから奇妙なリズムを伴った弾むような声を、出すというよりも楽器を鳴らすようにして強いられていた。 『あ、んぎっ…ぃっ…いひゃあっ…ああんっ…ぎゃんっ……はっ…あああぁぁ~~~~っ!!!!』 『あ゛…あ゛…おぉんっ…ぉあっ…!……あ、あん…っひゃ…あ……っ…』 プレデターの尻尾は嬉々として少年の肛門を掻き鳴らし、彼の口を介して聞き苦しい音楽を奏でていく。 おそらくは抽挿音と思われるぐちゅぐちゅ、ぐぽぐぽ、という悩ましいBGMが響きを増すにつれ、それに相対して少年の声音は覇気を失い、従順を呈していった。 『はぁ…はぁっ…ああぁんっ、あん、あん、…もっ…ぉ…っ…やだ…っ…もっと~っ!』 少年が愉悦に目覚めた途端、そこからのプレデターは少年のアナルをいよいよ躍起になって蹂躙した。 画面から響く音声の加速ぶりが、聞く者の脳に半ば強制的に鮮明な像を創り出してしまうほどだった。 「はぁんっ、ふやぁんっ…!!そんなの、だめぇ…っ…また…っ…おひっこ、でひゃう…っ…でひゃうぅ……っ!!」 陥落した。 そういうことなのだろうか。 少なくとも、少年の声からは最初は明らかに滲ませていたはずの嫌悪や恐怖はほぼ感じ取れなくなっていた。 いや、代わりに何か別のものに上書きされていたといったところか。 映像はそこでストップされた。 おそらくは資料としてはこれ以上はもう必要ないという判断だったのだろう。 プレデターが獲物を発見すると、一匹がメインの食事である精液採取の為に股間を襲撃し、無防備になった相手の口腔やその他体表面から分泌される他の体液の回収を行う。 さらに、余裕のある者が尻尾を使って肛門内部への侵入を行い、腸壁及び前立腺への性感刺激を行ってさらなる造精を促し、対象の精液を可能な限り搾り尽す、というのが彼らのチーム行動の基本スタイルと考えることが出来る。 そして、産卵管でもあるプレデターの尻尾は当然卵を産み付けるのにも使用される。 記録映像のみではそこまで知る事は出来なかったが、他の資料によると、この不運な少年も後の病院での検査の結果、腸内に無数のプレデターの卵が産みつけられていたことが発覚し、摘出処置を受けていると記載されていた。 なぜ他種族である人間の雄の腸内に卵を産み付けるのかという件に関しても議論がされているが、プレデターよりも若干高い人間の体内温度と、弱アルカリ性の腸液を含む人間の腸内が、たまたまプレデターの卵の孵化に適した環境であったからというのが現在の説となっている。 プレデターにとって少年や青年というのは食って良し、住んで良しのとても都合の良い、便利な生き物なのだ。 後篇へ続く。