SamuZai
烏川
烏川

fanbox


宗方くんは露出狂 中編

宗方との縁が出来てから数か月が経過し、水無瀬のライフスタイルにも若干の変化が生まれていた。 水曜と金曜の塾帰りに宗方の露出に付き合うために以前よりも帰宅時間は遅れ、日によっては日付の変わる直前まで帰れないこともあった。 当然親には咎められたが、友達と残って復習をしているからという言い訳で今のところはなんとか誤魔化し通している。 それもちゃんと成績に反映されなければ説得力を失ってしまうだろうが、その辺に関しては水無瀬としては割と楽観的に考えていた。 というのも、事情を知った宗方が気を使って定期的に水無瀬の勉強を見てくれるようになり、じわじわとだが実際に勉強の理解度が深まっていたのを実感していたからだ。 その為に、宗方の家まで出向いて勉強会をすることもあった。 連れられて行った宗方の家は一軒家で、噂通り医者の両親と3人で結構な豪邸に住んでいた。 宗方の部屋はというといかにも彼らしく整然として掃除が行き届いていた。 母親が多忙でマメに掃除に入るわけでもない家庭環境を思えば、全て宗方本人がしっかり管理しているのだろう。 学習机の上にはノートパソコンがあり、主に調べものとSNSの露出アカウント運営用に使われていた。 宗方のように他人に見せられない趣味があるわけではない水無瀬にとっても、自分用のパソコンがあるというのは羨ましい話だ。 初めて来た時から一貫して娯楽性を感じるものが見当たらない中、おそらく中学時代のものと思われるサッカークラブの優勝カップや部屋の隅に転がっていたサッカーボールが逆に水無瀬の頭に強い印象を残した。 そして、そんな風にお互いの部屋を行き来するような関係になってもなお、依然として学校での宗方は水無瀬とあまり接触を持とうとしなかった。 嫌われているとは当然思わないし、むしろ勉強に関しては親身に見てくれている。言わずもがな、露出を見られる事にも相変わらず熱心だった。 何か宗方なりの事情や拘りがあるのだろうと、水無瀬の側から詮索することはあえてしなかったが、それでもまざまざとした不可解を抱えたまま水無瀬は今も彼に付き合い続けていた。 ─── 「シゲー、今日も叔父さんとこ行くん?」 その日も塾の帰り際、友人達に声をかけられ水無瀬は笑顔を作って頷いた。 「あ、あーー…ウン、ごめんな。俺もマック行きたいんだけどなー。」 「そっか、大変だなぁ。いってらー。」 水無瀬が腹を抑えておなかが減ったジェスチャーをすると、向こうも残念そうに苦笑しているだけだった。 彼らには寄り道に合流出来ない理由を「叔父さんの家で用事をしているから。」ということにしていた。 まさか本当の事を話すわけにはいかないが、宗方に付き合うようになって周囲に吐くウソの数がずっと増えた。 一人になって、いつものように次の駅までの間にある例の公園へと徒歩で向かう。 ついこの間まで、まだ夜風は心地良さしか感じられなかったが、今はパーカーがないとやや肌寒い。 お楽しみ中の宗方の身にもこの冷気はもっと刺さることだろう。 きっと年末に入るころには、とても楽しんでなどいられなくなる。 そうなると、この露出狂ごっこもしばらくお休みということになるのだろうか。 ありがたいような、なんだか少し寂しいような。 水無瀬としては不思議な心持ちだった。 別に積極的に宗方の露出が見たいというほどではないが、適度に刺激のあるこの遊びに水無瀬自身、楽しみを見出だせなかったと言うとウソになる。 大人に隠れてエッチな遊びをしているというところにいたずら小僧のような気分を味わえるということもあったし、何より宗方が喜んでいるのが明らかに肌で感じられる事に水無瀬自身悪い気はしなかった。 水無瀬は、人を喜ばせることや楽しませることが単純に好きな性質でその事に自分も自覚があった。 まさかこんなインモラルな関係でそんな自分のツボを突かれるとは水無瀬自身思ってもみなかったが。 おかげで振られた彼女の事など水無瀬の中ではただの過去として消化しきってしまっていた。 しかし、この露出狂ごっこが終わってしまうともう一つ困ってしまうことがある。 宗方とのこの遊びが終わってしまうと、塾帰りの用事が無くなり、帰宅時間が必然的に早まってしまう。 突然始まったウソの勉強会が突然終了し、宗方との本当の勉強会を開く理由もなくなる。 それはつまり、宗方と関わる機会が一気に無くなるという事でもあった。 折角出来た新しい友達との縁が薄れてしまうことが水無瀬としては難儀だった。 そもそも、どうして学校での宗方はああも自分と疎遠にしたがるのか、結局いつもそこに行きつく。 公園の入り口が近づいてきた。 そのまま園内に入り、照明のほの白く灯った便所の中で痴態を晒した宗方と合流するのが習慣になっていたが、今日は園内に入ることはしなかった。 「水無瀬。」 自分を呼ぶ声に路上で振り返ると、便所ほど明るくはない、ドリンク自販機の灯りの向こうから宗方が首だけを覗かせていた。 思わず顔を綻ばせると、水無瀬の方から駆け寄ってやる。特に警戒しなくとも、今は周囲に人気は無かった。 「大丈夫、寒くね?」 今の宗方は水無瀬にそう心配されても仕方のない格好をしていた。 いつものようにメガネとスニーカー以外は一切身に纏わない姿で、流石に冷気のせいかいつも以上に白い肌を呈しながらその表情は恍惚としている。 「ちょっと寒いけど、大丈夫…。」 「そっか……。」 やせ我慢という印象は受けなかった。 それが証拠になるのかどうか、ついさっきまでさほど力を持っていなかった宗方の股間は水無瀬の視界に入るなりぐんぐんと熱と質量を持ち始め、彼の手の中で立派な竿と化している。 一度そうなってしまえば、宗方の方から腰を突き出して膨張した自身の欲望を誇示するように扱きたてる。 固太りした亀頭の縁を皮越しに擦りたてながら歓喜の吐息を漏らしていた。 「んは……はぁ…っ…はっ……。」 先端からどくどくと滲みだす先走りが、自販機の灯りを反射する。 目で分かる弾力と共に躍動する白い腹筋が、水無瀬の視線を受けてひと際強く波打っていた。 露出狂のくせにいい体してんなあ。モテそう。 見るたびに水無瀬はそう痛感した。 水無瀬とてだらしない体はしていないが、かといって堂々と人に自慢できるほど引き締まってもいない。 「俺が来るまで、誰か通らなかった?」 「………自転車が一台…。」 「え…っ……マジっ?……大丈夫かよ?」 自分で聞いておいて水無瀬は驚き、心配した。まさか肯定されるとは思わなかった。 「すぐ公園に隠れたから、たぶん、大丈夫………。」 「んなら、いいけど………。」 たとえいい体をしていようと、美男子だろうと、所詮は露出狂。 こんな姿、もし今自分以外の誰かの目に晒してしまえばそれは変質者以外の何物でもないだろう。 それをわかっていてもやめられないのはまさに業としか言いようがない。 宵闇の静寂の中、卑猥な水音がぐちゅぐちゅと響き始めた。 おそらく個人差があるのだろうが、宗方は先走りの量が多い方のようだと水無瀬は気付いていた。 見ただけで匂い立ってきそうな同性の性器に苦笑すると同時に、お望みどおりに強く視線を送ってやった。 「あ…っ…うぅ………そんなにじっくり見られたらみなせ、俺……っ………。」 切ない声を漏らす宗方の眉間の皺をなぞるようにして見つめてやると、水無瀬は他の友人に対するのとは違う作り笑いを浮かべた。 「何?もうイっちゃいそう…?」 こくこくっと勢いよく頷くと、宗方はそこで手を止めた。 手を離しても、宗方の肉棒は決して勢いを失うことなく雄々しく勃ちあがったまま透明な液を零し続けている。 今にも絶頂しそうな状態で当然のように手を止めてしまう宗方が、内心で水無瀬はおかしかった。 少しでも長い時間今の興奮と快感を維持していたい、という強い欲求をその行為から感じる。 「はぁ…はぁ………あっ………ぁ……っ…。」 だが、たとえ直接的な刺激がなくともその全身を舐める水無瀬の視線だけで今にも達してしまいそうに見えた。 断続的に脈打つ肉棒、普段の理性をかけらも感じない、陶然とした瞳の揺らぎ。 忘れる前に、水無瀬は宗方の今の痴態を携帯のカメラで捉えていた。 自販機のすぐ傍らで再び扱き始める様を、動画としても撮影する。 これは勿論水無瀬の個人的な趣味ではなく、宗方のためだ。 宗方の後々のオカズ用であり、彼の趣味であるSNSの露出アカへの投稿用。 水無瀬の協力は今やそんなところにまで及んでいた。 宗方の呼吸がこれまで以上にはやり出し、切羽詰まった熱い吐息が彼の絶頂が目前に迫っていることを水無瀬に伝える。 水無瀬は屈んで、そんな宗方の姿を真正面から映し、宗方のピークを待ち受けていた。 もはや言葉がなくてもお互いの視線だけでわかりあっていた。 そのままいつものように絶頂シーンを撮影して終わりのはずだったが、そこで想定内のアクシデントが起きた。 それこそ言葉よりも先に水無瀬の体は宗方の体に飛びつき、彼の背中を自販機の影、冷たいコンクリートの壁へと押し付けた。 それはまるで、宗方の体に欲情した水無瀬が襲い掛かったかのようだったが、勿論そうではない。 自分を追い詰めた水無瀬の肩の向こうを、一台の自転車に乗った男が通り過ぎていくのを宗方は目にした。 向こうはこちらの存在にはまるで気づいていない様子で、キコキコとペダルの音を立てながら、すぐに宵闇の向こうへと見えなくなっていた。 「はぁ……………。」 自転車がいなくなった事を音だけで判断すると、水無瀬は軽く安堵の息を吐いた。 「っとと………わり、背中、すりむいてねぇか?。」 他に方法が無かったとはいえ、急いで宗方をかばったせいで彼にケガをさせたかもしれない。 「大丈夫…だと思う……ありがとう。」 吐息がかかりそうな距離で答える宗方の声に、水無瀬は小さく頷く。 と、まるで男同士で抱き合っているかのような今の体勢にばつの悪い顔をした。 けれど、さっき感じた脅威がまだ少し胸に残っていて、すぐには離れられない。 間近で香った宗方の肌は存外不快な匂いではなかった。 男とか女とか関係なく、親しい相手や好意を持った相手の匂いというのはそういうものかもしれない。 「あと、ごめん………。」 ようやく警戒を解いて離れようとした水無瀬に、宗方はなぜだか小さく謝罪した。 何を、と問いかけたところで水無瀬は腹のあたりが妙に温もっていることに気づいた。 いつのタイミングだったのか、正確には分からないが、ごく短時間密着している間に宗方は絶頂に至っていたようだ。 そして、その放たれた白い欲望が飛沫となって、水無瀬のシャツの腹を情け容赦なく濡らしてしまっていた。 「うげっ!!」 水無瀬が悪気なく呻いたのも、無理からぬことだった。 気付くと同時に、今度は明らかに水無瀬にとっても不快な臭気が立ち込めてくる。 もう一度、ごめんと謝る宗方に流石にすぐには気の利いたリアクションが返せなかった。 出来るのは、申し訳程度にポケットティッシュで拭うぐらいだ。 「まあ、しょうがねえよ………ウチ帰ってこっそり洗うから。」 便所に戻って着替える宗方に水無瀬はそう言うも、当の宗方はそれでは気が済まないのかジャージの上着を着るではなく、水無瀬に渡してきた。 「そのシャツ、洗って返すから、替わりにこれ着て帰って。」 「いやいやいや、それじゃお前がさみぃだろ。そんなシャツ一枚で……。」 「俺は、どうせ走って帰るから。」 確かにそうだろうが、迷った末、水無瀬は宗方の提案を受け入れることにした。 それで宗方の気が済むというのなら、それでいいと思った。 着衣に戻った宗方は、やはりいつものように凛々しい青年の顔に戻り、「じゃあ」と一言残して予告通り走り去っていく。 一人になると、水無瀬は何とも言えない困ったような笑顔を浮かべた。 大分慣れているとはいえ、楽しくないわけではないとはいえ、今日はいつもより疲れた。 サイズのちょうどいい宗方のジャージは、着るとさっき嗅いだばかりの宗方の匂いがより濃く感じられる。 まるで宗方と肩を組んで帰っているかのようで、それはそれで、悪い気はしなかった。 ─── 宗方との露出活動は実際の撮影のみならず、SNSの運営も並行して行われていた。 宗方の部屋で、まるでビジネスパートナーのようにパソコンの前に座る時間は、水無瀬にとっても楽しい時間だった。 「atsuro2003」という味もそっけもないアカウント名も、「あっくんとシゲの露出部屋」とより目を引きやすいように改名し、紹介文も水無瀬が書き直した。 『ここはイケメン露出狂「あっくん」とその友達でカメラマンの「シゲ(俺っす)」がこっそり運営しています!みんな気軽にフォローしてってね!』 絵文字やギミックたっぷりに書き連ねられた文章を読んだ宗方が眉を潜めていたのが水無瀬としては面白かった。 「イケメン……って、俺、別にそんなイケメンじゃないし…。」 「いやいや、結構イケメンだと思うぞお前?それに、どうせ顔隠すんだから、へーきへーき。」 謙遜する宗方の肩をやっかみ交じりに叩き、部屋の趣旨である宗方の露出画像や動画を次々に投下していく。 幸いなことに、ネタには一切事欠かなかった。 宗方一人で撮影していた頃とは明らかにクオリティの異なる画像や動画を、手探りながら加工アプリで加工していく。 ただ修正を入れるだけでなく、モザイクと黒い目線を使い分けたり、動画の中で撮影時の状況を文章で流したりと、飽きが来ないような工夫も凝らした。 おかげで、以前はフォロワー100人足らずに過ぎなかった寂れたアカウントが次第に目を集めるようになっていった。 日に10人、20人、とフォロワーの数は伸び、投稿した作品にコメントが付くのも珍しい事ではなくなった。 『若いねー!!めっちゃエロい体してるし!!即フォロー余裕でした!!』 『もしかして高〇生?けしからん、おじさんと一緒に来なさい(笑)!!』 『どこ住み?近かったら一緒に露出しませんか?』 『顔隠してても、イケメンなの分かるよ!!イケメンなのに変態ってサイコーだね!!!』 自分達の作品に対するねっとりと纏わりつくような情熱の籠ったコメントに、二人そろって顔を突き合わせるのもしばしばだった。 「どーよ、こんなに沢山の人に見られて、コーフンする?」 サイトの改装からしばらくしてそう聞くと、宗方は確かに嬉しそうに赤い顔で頷いてくれた。 水無瀬も、やり甲斐を感じると共に、二人で作ったこのSNSのページを散歩でもするように覗くのが習慣になっていた。 「『シゲさんは露出しないんですか?』だってよ。しねーよ俺は!」 コメントへの返信は、主に水無瀬の仕事で、ごくまれに宗方本人が返信を返すとその場はとても盛り上がった。 ただ、サイトの運営は楽しいが、少し困った問題も間近に迫っていた。 今はまだ投稿ネタは手元に残っているものの、やはりこれから寒くなってくれば新しい作品が作れなくなってしまう。 流石の宗方でも、真冬の厳しい寒さの中での露出は興奮よりも苦痛が勝る。 春に変質者が増える理由を妙なところで実感する二人だった。 「仕方ない。冬の間は我慢する。その間、SNSも休止しよう。」 宗方の意見は実に真っ当であると言えた。 だが、水無瀬としては折角盛り上がり始めたSNSを止めるのが忍びなかったし、何より宗方との接点が減ってしまう事が寂しかった。 もはや宗方の露出に付き合うことは、水無瀬にとって当たり前のライフワークとなりつつあった。 結果から言えば、二人のSNSが休止する事は無く、そして、屋外という場所を封じられた彼らの行動は、逆にその過激さを増すことになるのだった。 「宗方くんは露出狂 中編2」へ続く…

Comments

毎回長文乱文で申し訳ない限りです。返信を頂き更に楽しみになりました。小さい子に見られてしまう敦朗君も捨てがたいですね…どんな反応をしてくれるのかわくわくします。 烏川さんも良い年をお過しください。

紙縒

こんばんは、いつも楽しい感想をありがとうございます(^^ 常識的?な範囲内で露出を楽しんでる若い男の子2人を描くのは楽しいですが、難しいです。男子高校生なんて、もう子供にしか感じられない・・・。 宗方くんなんてまだ17歳なのに、そんなショタが人が来るかもしれない屋外で全裸でオナニーをしてるなんて🤤 屋外の露出を封じられた彼らがどうなっていくのか、楽しんでいただけると幸いです。 それではよいお年を!

烏川

更新ありがとうございます。中編2へと続くという事でまだまだたくさん読めると今から続きが楽しみでなりません。 露出をする・見る・SNSに更新するという背徳的かつとんでもな事をしているのにちゃんと学生としてやるべき事をして日常を過ごしているというのが良いですね。『あっくんとシゲの露出部屋』是非とも中身も拝見したい…。 見られないように庇う水無瀬君も良いですし、その時にイってしまう宗方君もエッチですね。本当にいい二人組で読んでいて状況が状況なのにほっこりしました。 そして改めて烏川さんの作品を読んでいると『露出は屋外で脱ぐだけではない!』という当たり前(?)のような事を気付かされます。この先敦朗くんと滋くんの二人がどんな過激なことをしてくれるのか本当に楽しみです!

紙縒


More Creators