SamuZai
烏川
烏川

fanbox


しあわせかぞく 後編

旅行の当日。 お土産買ってきてね、と表面上は快く送り出す真綾に、父も悠太も仲睦まじい笑顔で手を振って駅へと向かっていった。 機嫌よくニコニコし通しの父に対して、悠太は前回の豪華旅行の時ほど舞い上がっている様子も無く、血色の良い顔で父の傍らに新妻よろしく寄り添っていた。 そういえば、今でこそ活発で時に生意気な悠太も、出会ったばかりの時はこんな風にどちらかといえば控えめで、人見知りな雰囲気の子だった。 父の「お嫁さん」になってからの悠太の楚々とした様子に、真綾はふとそんなことを考えながら彼らを見送り、まずはお茶を飲んだ。 真綾には、これからちょっとした検証をする必要があった。その前の一服だった。 例の神社に向かってからというもの、ずっと考えていたことがあった。 あの時、神社が見つかっていたらまだ事は単純に収まっていた。 けれどあの神社にどうあっても辿り着けないという不思議体験が、余計に真綾の中でこの不可解な現状と、あの神社での願掛けとを結び付けてしまっている。 そこから、あの時の自分が念じた「4人の願いが叶ってみんな幸せになれますように」という願掛けがこの事態を引き起こした根拠になっている、という仮説が立つ。 ということは、この状況は父と悠太、この2人の願いも叶っている、もしくは2人の願いの足掛かりになっていると言えるのではないか。 そう思うと、少しでも彼らの願いについて、確かめずにはいられなかった。 そのために父に自室を長時間空けてもらう必要があった。 1人になってから小一時間おいて、主不在の父の部屋に侵入すると、机からベッドに至るまで何か目を引くものはないかと荒らしていった。 こうしてこそこそと身内とはいえ他人のプライバシーを漁るという行為に全く負い目を感じないわけではなかった。 もし父が自分に同じことをしていたらと想像すると、とても笑って許せる自信はない。 それでも形振り構ってはいられなかった。罰があるというのなら、あとでいくらでも受けてやる。 つい最近買い替えられたセミダブルベッドの上には父と悠太の枕がそれこそ親子のように並んでいるだけで、何ら変哲の無いものだ。 本棚を見やれば、真綾にはよくわからない医療専門書の山。 デスクトップPCに刺さったUSBには、知らない病院の名前が印字されたラベルが貼られている。 PCにはパスワードが設定されているだろうから、中身までは確認できないだろう。 それ以外に何かアナログ的な、例えば日記のような、父の内面が少しでも伺えるものはないだろうか。 こんな状況になって初めて、父の一人の人間としての内面を知りたくなったというのも皮肉なことである。 父はいつも自分にとって真面目で穏やかなお父さんで、真綾もそれが父の全てかのように思って一緒に暮らしてきた。勿論、父もそれでいいと思っていただろう。 ホントはそんなわけはなく、子供の自分にはわからない父なりの苦悩や影もあったのだろうが、そういうところに今まではあえて目を向けずに来た。 机の引き出しは左右1対ずつ。 右の引き出しには利き手側らしくペンや物差し、付箋といった筆記用具がやや乱雑にしまわれていた。 今はPCを使って作業をしているから殆ど使われてはいないのだろう。埃をかぶっている物が殆どであった。 左の引き出しの方は沢山の紙片が比較的新しいものから、あちこち折れ曲がったり変色したものまで何の整理もされずに詰め込まれていた。 それらを一瞥するなりすぐ、真綾は「あっ」と小さく声を出した。 見た目に統一性こそ無いが、それらの紙の束は全てかつて真綾自身が父に送ったものだった。 新しいものでは去年の父の誕生日にプレゼントと一緒に添えたちょっとしたバースデーカードであったり、自分がまだ悠太よりも幼い頃に父の日に送ったありがとうはがきまで。 真綾にとってはそれなりに気持ちを込めたものものもあれば、送った記憶さえ朧げなものもあったが、娘である自分から送られたメッセージを父はこうして大から小まで全て後生大事にしまっていたのだ。 「こういうの、そこまで大事にするタイプだと思わなかったな…。」 嬉しいというよりは少し気恥ずかしく、こうして保存するほどの意味を込めたつもりもないものもちらほらと見かけて少し申し訳ないような気さえした。 けれど、決して悪い気分にはならなかった。 今回のような奇行にさえ走らなければ、自分にとって父は今もただひたすら尊敬する父親で、この発見も父の意外な一面として微笑ましく心の裡にしまうだけだったのに。 それから机の上やタンスの中に引き出し、ベッドの下に至るまであらゆる収納スペースを漁るも、これといって父の内面を知れるものは他に見当たらなかった。 漁った場所を全て丁寧に元の通りに戻しながら、思わず嘆息する。 何も見つからなかったのは、果たして良い事なのか悪い事なのか。 結局、一連の事象の移り変わりは自分のあの神社での願いとは関係なく、父がただ突然暴走したというだけのことなのだろうか。 そしてそれをなぜだか自分も菜穂も諸々の理由で止めないでいるだけなのか。 科学的判断に徹すれば、そうとしか言いようがない。 けれど、言葉で上手く言い表せないものの、今のこの状況が成立していること自体に何か超自然的な強制力のようなものを感じるのも事実だ。 そもそも菜穂がというより母親が、おそらく自分の命よりも大事であろう最愛の、まだ小学四年生の一人息子を中年男の嫁にされて、それを容認していること自体真綾の感性で言えばありえないことだ。 実父とはいえ、本来なら何らかの暴力的手段に訴えてでも止めるべきとすら思う。 そう思っている真綾自身がどういうわけか父の邪魔をする事が出来ないでいるのと同様に、菜穂も妙な強制力で自分の本当の気持ちのままに行動出来ないでいるのではないか。 鬱々とした心境のまま片づけを終えた、その時だった。 さっきからなんとなく感じていた、この部屋の中の違和感の正体に真綾は不意に気が付いた。 壁一面に取り付けられている本棚。 3列に連なっているその本棚の中央列の、真ん中数段。 そのあたりの部分だけ、本棚全体の奥行きの割に奥壁が随分手前にせり出しているように見えた。 おかげでちょっとした小物や文庫程度の本をまばらにしか置けていない。 そういうデザインと言われればそうなのかもしれないが、随分と無駄が多いと言わざるを得ない。 そもそもそんな趣向を凝らすようなメーカーの製品でもないし、父はそれほど家具に拘る趣味はない。 不審に思って試しに奥壁を軽く指の背で叩いてみると、随分と軽い音がした。 壁の向こうに空間の存在を感じると同時に、奥壁自体にそう厚みがないのではという印象を受ける。下手をすると下敷きくらいの厚さしかないかもしれない。 何か警告めいたものが頭の中で響いてくるのを感じながら、真綾はそれに気づかないふりをして、本棚の上の文庫類を一時退避させていく。 両手でその壁を取り払うと、想像以上に薄かったそのペラペラの木板を、破損しないよう静かに床に置く。 そして、壁の向こうのスペースの、そこに並んでいたものを前にして、真綾は形容しがたい表情を浮かべた。 そういう知識の少ない真綾にもなんとなく察する事の出来る、如何わしい雰囲気の道具がそこにはずらりと並んで立てかけられていた。 所謂、電動マッサージ機によく似ているものが多くあり、他にも細微な違いはあるものの、同じような棒状の電動器具が多い。 あからさまに男性器を思わせる形状のものもあって、思わず顔を背けた。 それ以外にも、おそらくは電池式のものと思われる、真綾には用途のあまり想像つかない道具が多数、お菓子の箱やビニール袋などにしまわれて保管されていた。 さっきとは違う、そして望ましくない形で、父の隠された一面を知ってしまう予感がひしひしとした。 真綾とてそれほど詳しくはないとはいえ、性行為の際にこうした道具類を使用するアブノーマルなプレイがあることぐらいはイメージ程度の知識として持っている。 けれど、父が一体これらをどのような用途で使うというのか。 あまりじっくりと見たくはないが、どの道具も比較的購入されて間もないように見えた。 今すぐに壁を元に戻して無かったことにしたかったが、それと同じくらいの怖い物見たさで棚の上にあるものを物色していると、あるものを見つけた。 数本のUSBが小さな缶の中に保管されていた。 先ほどと違って、保管場所からして仕事関係で使われているものではなさそうだ。 僅かの時間迷った末に、真綾はそのUSBを缶ごとひったくると、それを持って自室の、自分のPCのある学習デスクに直行した。 本当は、そんなものわざわざ見なくても良かったのかもしれない。 けれどその時は衝動的にPCの電源を入れ、USBをポートに挿し込み、そこに眠っているであろう自分の知らなかった父の内面を暴くことしか考えられなかった。 そして、その中身を見た真綾は、この世には一生知らなくてもいい、いや、一生知らない方がいい事もあるという真理を身を以て思い知ることになった。 ─── PCの中身の大半は、画像と動画のデータだった。 サムネイルの画像は若干の程度の違いはあれど、皆どれも似たような色彩をしている。 画像を開いて全体像を見れば、映っているのはどれもこれもおそらくは10代の始めか半ばまでと思われる男児の皮膚ばかりだ。 そこに映っているどの男児のことも、真綾には見覚えはなかった。 父の患者にしてはどの子もやたら健康そうな肌を惜しげもなく曝け出している。 半裸のものから、何も隠すものを持たない生まれたままの姿の画像もあって、自分で開いておきながら真綾は小さく悲鳴を上げて目を逸らすのが精いっぱいだった。 なぜこんな画像を集めているのか。何かの業務用の資料、のわけはない。 娯楽目的以外の用途は真綾の頭でも想像できなかった。 父にこんなものを収集し、鑑賞して楽しむ趣味があったのか。 少年達はただあられもない姿で映っているだけではない。 性器を弄り、もしくは誰かに弄られてくすぐったそうにしていたり、あるいは恥ずかしそうに身を捩っている動画もいくつかあって、その誰かがおそらく父ではない事に、真綾は妙なところで安堵してしまう。 所謂「ロリコン」と呼ばれる趣味の性別逆転版とでも呼べばいいのだろうか。 父が同性の、それも年端もいかない子供を相手にそんな欲望を抱いている姿を真綾は想像出来なかったし、頭の整理が追い付かなかった。 けれど、真綾の動揺とは無関係にそこに収められていたデータは無情にただ事実だけを真綾に突きつけてくる。 真綾の知らない、不特定多数の少年達のデータはあるところを境に見られなくなっていた。 そこから先は、不特定多数ではなくたった一人の子供のみが映り込んでいた。 今度は、その男児の事を真綾もよく知っていた。 「悠太………。」 映っていたのは、今よりもまだ少し幼い頃の弟だった。 おそらくは真綾達の家に通うようになってまだ間もない、子供のくせに少し陰のある表情が当時の記憶を真綾にも思い起こさせる。 浅黒い肌をした、くりっとした円らな瞳で不安そうに自分を見上げていた当時の悠太に、ひどく母性本能を擽られたのが、まるで昨日の事のようだ。 ごはんを食べていたり、宿題をしていたり、ぬいぐるみを抱っこして寝ていたりと画像の中の悠太は無邪気そのもので、それだけを見て居られるならまだどんなにか救いがあっただろう。 けれど、この画像が収められている場所を考えればそんな生易しい現実で済むはずもなかった。 悠太がリビングでお昼寝をしている画像があった。 見た目の雰囲気からして、おそらく一年ほど前の彼だろうか。 口の端によだれを滲ませて、くぅくぅと寝息が聞こえてきそうな、そんなあどけない寝顔だった。 着ているタンクトップは肩ひもが捩れ、服の裾がやや乱雑に首元までまくり上げられている。 寝ながら無意識にやったにしては随分と力の込められた、何らかの意図を感じる引っ張られ方だった。 おかげで、悠太の薄い胸板の上に浮かぶ、淡い突起までもしっかりと映り込んでいる。まるでそのために脱がされているかのように。 次に目に飛び込んできたのは、おそらくお風呂上がりだったのだろう、被写体である悠太の視線も、その距離も不自然な一枚。 どう見ても隠し撮りにしか見えないその一枚からでも、当時の父が秘めていた、悠太に対する陰湿な感情がひしひしと伝わってくる。 真綾の瞳孔は、大きく開いた。 データの内容が、ある時点を境に突然過激さを増した。 わざわざ日付を調べなくても、画像の中の悠太がごくごく最近の彼であることは見て取れた。 そんな彼が、今度は隠し撮りではなく、カメラの向こうの相手を明らかに意識して笑顔を見せている。 見せているのは笑顔だけではなく、ピースサインを向け、未熟な性器を、悪びれもせず相手の視線に晒している。 一糸纏わぬ、という表現は誤りだった。 その左足には、まだ記憶に新しい真っ白な包帯がぐるぐる巻きに巻かれていた。 画像の中の悠太は、例の転落事故直後の彼に違いない。 最近は一緒にお風呂に入ることもない悠太の大事な男の子の部分は、真綾が見てもまだ愛らしいという言葉が似合うもので、こんな姿を欲望を持って見る者がいるなんて信じられないほどだ。 けれど、父のカメラは嬉々としてそんな悠太のあどけない肉体を、余すところなくとでもいうようにあらゆる角度から絵に収めていた。 今度はこっそりではなく、堂々と映し込まれた褐色の胸板に薄い桃色の突起。 子供らしく少しむっちりと膨れたお腹の下のおちんちんを、悠太自身や、おそらくは父の手がいたずらしている。 かと思えば、いたずらな笑顔の悠太が自ら両の太ももを抱えて、おちんちんだけでなく小さな包みや、その下の窄まりを父に向けて掲げている姿もある。 画像の中の悠太はほぼ全て笑顔で映り込んでいた。 その恥じらいの無さは、まだ小学生ゆえの無垢さからきているものか。 その無垢さに付け込むかのような父の所業に、真綾は初めて実の父親に軽蔑の気持ちを抱いた。 沢山の動画があった。 さっきまでの悠太以外の男児のものとは違い、今度はどの動画にもタイトルと日付が記載されていた。 『悠太 おしゃぶり』と題された動画の中では、確かに画面上に大映しになった悠太が、何かを握らされ、しゃぶっていた。 丸いほっぺを大きく膨らませた悠太が、唾液の濡れた音を立てながら頭をしきりに前後している。 『んっ…んちゅ…じゅぷ………ん~むー…っ………。』 悠太の小さく窄められた唇から出入りするその棒状のものが全容を晒すよりも先に、それが成人男性の性器であることに気づいた途端、喉奥から酸っぱいものがこみ上げた。 『ははは、悠太くん。ただ口に入れるだけじゃなくって、中でぺろぺろしたり味わってくれなきゃだめだよ~。』 声の主が父であることは、もはや疑う気にもならなかった。 叱られた悠太はゆっくりと父から口を離すと、大きな黒目でじとっと見上げる。 『え~~~………だって、やっぱちんちんっておしっこするとこだし………。』 『でも、悠太くんだって、おちんちんぺろぺろされたら気持ちいいだろ?同じことをしてくれたらいいんだよ。』 『だってぇ………あっ………あははっ…きゃーーーーー!!!!!!!」』 画面が急に暗転したのは、父がカメラを投げ出したからだろう。 悠太のけたたましい叫びは、おそらく父が何かをしたからに決まってる。 衣擦れの音や、悠太の言葉の内容から、父が悠太の着衣を脱がせてその体を愛撫しているに違いなかった。 『きゃっ…ひゃあーー…あははっ…!!やっ…くすぐった……うぅーーーっ……!』 ぴちゃぴちゃ、くちゅ、とさっきの悠太と同じように濡れた音が立ち始めると、悠太のはしゃぎ声はしだいに弱々しくなっていった。 『んな…おじちゃん…っ…お、おいしそ…に…っ……やぁ…っ…ぅっ……』 『………ふふふっ……だっておいしいからね、悠太くんのおちんちんは…………っ…んぷぷ…じゅるぷっ…むぷ……』 『ううぅぅぅ~~~~~~~~っ…』 父が悠太を嬲る音がいよいよ苛烈になってくると、まるで泣くのを我慢しているような悠太の歯噛みが部屋中に響き渡っていた。 そこからはしばらく父と悠太の荒い呼吸だけが続いた。 『ほらね、気持ちよかっただろ?そのうち悠太くんも、俺…おじさんと同じように白いおしっこも出るようになるよ。』 『えーーーやだよぉ、なんか恥ずかしいもん………。』 『そんなことないよ、今よりも気持ちよくなるから。』 『ほんと?』 『本当だよ。さ、悠太くん、続きしよっか。』 『うん!』 再び画面の中に戻ってきた悠太の顔は、さっきよりもほんのりと頬は赤く色づいて、自ら父のものを根元から掴むとあーんと口を開けてそれを頬張っていた。 『おじちゃん、気持ちいい?』 『ああ、悠太くんにおしゃぶりされるの、気持ちいいよ。』 褒められた悠太は赤い舌で父の大きな、真綾から見て醜悪な先端を、躍起になって舐めまわしていた。 さっきよりも強く押し付けた舌で、先っぽの裏側をくすぐり、間の抜けた声を上げる父の反応を楽しんでいるようですらある。 おそらくはそれも自分が父にさっきまでされていたことなのだろう。 『悠太 おしゃぶり』というタイトルの動画はこの一本だけでなく、いくつもあった。 『悠太 オナニー』『悠太 ごっくん』『悠太 ぶっかけ』『悠太 初アナル』『悠太 アナル調教』『悠太 ビジホ』 延々と続く悠太絡みの動画。 悠太の名前以外の殆どの単語の意味は分からなかった。 唯一『悠太 お仕置き』というひと際不穏なタイトルのものを見つけ、気になって真綾は緊張で強張ったままの指で、その動画を再生した。 動画の内容そのものは決して目にしたいものではない。 けれど、事実を知りたいという気持ちが強くあるのも事実だった。 動画が再生されるや、真綾の目元は一層険しいものとなった。 『あっ…ああぁっ…ううぅぅっ…ふー…っ…ふぅ~っ……やぁ…っ…いやぁうぅっ…』 雑音に混じってスピーカーから聞こえるのは、あの元気な悠太のものとは思えない、聞き慣れない悩ましい声。 さっきの動画の時ともまた違う。 どちらかといえば断続的だったさっきの啼き声に比べると、しきりに何かに耐え続けているような印象を受けた。 おそらくは父のベッドの上と思われる場所に悠太は拘束を受けていた。 両の手首を後ろ手に縛られ、大きく開かされた両の脚を曲げた状態を維持したまま、包帯のようなもので固定されていた。 一方、左脚の包帯が無くなってる事から、時系列的に怪我がほぼ完治した後なのだろう。 ただ拘束されているだけではない。 悠太の体のあちこちに、奇妙な道具が宛がわれていた。 それらが、先ほど父の部屋の本棚で見つけたアダルトグッズの数々であることに気づくのにそれほどかからなかった。 真っ白な医療用テープが悠太の両胸の突起の上でバッテンを作っている。何か小さなボール状のものが固定され、貼り付けられているようだった。 おへそのすぐ下や、足の裏。 よくよく見れば、オチンチンの、袋の、そのすぐ下の膨れたところでも道具が悠太の皮膚の上で蠢いている。 さっきから動画の雑音だと思っていたのは、それらの道具が放つ振動の音だったのだ。 『ひゃ、ひゃはっ……おじ、ちゃんっ…おじちゃん、取ってぇ…っ…これっ…取ってよぉっ……!!!!!』 見ているだけでも全身がむず痒くなるような「お仕置き」から、悠太自身も逃れようと身を捩っていたがそれも叶わずただしきりに元気なおちんちんをぶらぶらと揺らして見せる結果にしかなっていない。 『ふふっ……悠太くんはすぐにおちんちんで気持ちよくなろうとするからね。もっと気持ちよくなれる方法を教えてあげないとな。』 父の声が聞こえてくるなり、彼の手に握られたリモコンのようなもののスイッチが小から大の方向へ容赦なくぐいぐいと寄せられていく。 『ふっ…ぐっ……やあぁっ…あう…あうぁぅ~~~~っ!!!』 さらに大きくなる振動音に合わせるかのように悠太の細く小さな体はびく、びくっ、と電気でも走ったように強張って震えだす。 そこで真綾は、悠太のお尻の穴にも何か異物が挿入されていることに気づいた。 それも、あの棚の中にあったあの棒状のおもちゃの中のどれかなのだろう。 父の悠太に対する一連の嬲り方を見た真綾の頭にはSMという単語が浮かんだ。 決して詳しいとは言えない真綾も知識として、他人を虐めたり縛ったりという遊びがこの世にあることは知っている。 父の行為は、そんな真綾の中の拙い漠然とした「SMプレイ」のイメージに当てこまれていた。 悠太みたいな小さな子に、こんな変態まがいのアブノーマルな遊びを仕込んでいるなんて。 『はぁ…はぁ…んん…や…っ……はぁ…ふぅ…っ…ふぅ…っ……』 時を経るにつれ、悠太の口からは「やめて」とか「取って」といった否定の言葉は失われていった。 代わりにただひたすら弱々しく切ない吐息が上がるだけになる。 『気持ちよくなってきただろ?強い刺激ですぐ気持ちよくなるよりも、弱い刺激でじわじわ、ちょっとずつ気持ちよくなる方が長ーく楽しめるんだよ?』 『ふぅ…ん…んん…っ……あふ…ぅ……っ……』 肯定する代わりに、甘い声音で応える悠太。 そんな悠太に、父はさらなる試練を課していた。 『ひゃっ……ひゃはっ…やぁ…っ…ちょおっ…おじちゃんっ……』 何を思ったか、父はフーチのようなピンク色のおもちゃをぶらぶらと片手に下げて、その錘の部分を悠太のとっくに元気になっているものの先っぽに軽く当てていく。 他のあらゆる性感帯を刺激され、すっかり敏感になっていた子供の先端は想定を遥かに超えた強い刺激を受けてビクっとひとりでに跳ねて見せた。 悠太自身も、それに倣うかのように背を仰け反らせてたじろいた。 その反応と聞こえてくる音から、そのフーチもまたビリビリと強く振動を起こしていることが分かった。 『ひっ…ひぃっ…ひゃははっ…やめ……おじちゃ…っ…ちんち…やだぁ~~~~…っ』 あまりに強すぎて痛みと区別が付かなくなりそうな性感を、父は無情に与え続けたり時折離したりして、混乱する悠太の反応を楽しんでいるようだった。 『ひんっ…っ…ひんっ…あっ…あうぅ……んひっ……!』 刺すような快感に悶絶する様を堪能したり、かと思えば、もっとしてほしくなって自分から腰を掲げる悠太にわざとお預けをくらわせたりと、やりたい放題の限りを尽くしていた。 いつの間にか、悠太は精通を迎えていた。 父が真正面から撮っている目の前である瞬間、触れてもいないおちんちんはぴゅるり、と勢いよくミルクを放って悠太自身のお腹の上を濡らした。 その事に悠太自身驚いているのが見て取れたが、続けて全身を駆け巡る快い絶頂感に微動だに出来ずにシーツの上で呼吸を荒げるばかりだった。 『………な?悠太くん、おちんちんだけで気持ちよくなるより、こうやって色んなところを弄ったり、いっぱい恥ずかしい事した方が、気持ちいいだろ?』 『うん……っ………きもちいぃ……はぁ…はぁ…はー…あぅ…ぅ………』 悪魔の誘惑のような父の言葉に、悠太は素直にこくんと首を振る。 初心そのものだった少年の身体は、大人の汚い欲望によって刻まれる快感の前に既に堕ちてしまっていた。 とはいっても、10歳やそこらの子供に、大人のくれる「気持ちいい」に対して良いや悪いを区別する判断力を持てとか、ましてや抗えなどと言う方が難題であっただろう。 それも相手はお医者さんという、大人にとっても子供にとっても立派な大人の象徴のような存在である。 続けて、体中に張り付いていたオモチャは外され、ぬぷり、と音を立てて悠太の後ろから器具が抜き出されていく。 思っていたよりもずっと複雑な形状をしたそれは三日月型に反り返っていて、挿入されている間、ずっと悠太のおちんちんを裏から苛めていたのだろう。 『よぉし、じゃあ次は後ろだけで気持ちよくなる練習をしようか………。』 ねっとりと纏わりつく父の声に、悠太は既に勝手を知ったように仰向けに寝転がったまま、何を指示されずとも自分から父の前で両脚を開いて掲げ、男の子の部分も既に潤んだ後ろの穴の入り口がヒクつくところも、全てを見せつけてくれていた。 『おぉ……熱々……悠太くんの中、もうすっかりぐにゅぐにゅだねぇ………おいしそうだ………。」 『ん………っ………』 再び声だけになった黒い画面がそれから数秒続き、その動画はそこで終わっていた。 それからさらにいくつかの動画を開いてみたが、見れば見るほど底無しの幻滅を味わうばかりだった。 父は勿論、既に父の手管の虜と化していた悠太に対しても。 「しあわあせかぞく 終編」へ続く・・・

Comments

ありがとうございます近日中に終編上げます!

烏川

この話、とっても好きです……

mtosak


More Creators