SamuZai
デアカルテ
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悪魔のアプリLv11「身長:???cm」

―――――。


・・・・・・・ミヂ。


「・・・・・」

・・・・・ミチッ。


「・・・・・・・」

・・・ミチ、チ。


「・・・・・ぅ」

・・・・・ミヂッ。


「・・・うぅ、ん」

ミリ・・・ミリリ。


「・・・・・ん?」

・・・ミチチッ!


「・・・え」

モリッ。


何その、『モリッ』ってのは。夢にしたって、もうちょい擬音ってもんがあるでしょーに。


「うぅーん・・・」

変な夢・・・


モリィッ、モリリッ!


「夢じゃない!?」

私はガバァッと布団から飛び起きた。


ある意味、“それ”が切っ掛けであり、トドメだった。


「・・・あ」

ビリッ。


モリモリモリモリッッッ!!


ビリビリビリィッッッ!!!


「あ、あぁぁ・・・」

恐らく、私の身体はギリギリまで『6XL』の寝間着に収まろうと、頑張ったに違いない。

でも、身体の底から溢れ出る、力の奔流。筋肉の躍動を抑えることは、到底出来なかった。


「何、これぇ・・・」

もしかすると、私は初めて、リアルタイムで“身体が成長する様”を自分の眼で見たのかも知れない。

寝間着のあちこちは既に破けていたが、無事な部分も被害は免れず、徐々に身体がその範囲を広げて行った。


「はぁ、はぁ・・・」

その間、別に無呼吸ということは無かった。


例えばだけど、息を止めてる間だけ成長するとか、止めてる間は成長も止まるとか、そんなことも無く。

身体に栄養を供給する酸素の一呼吸ごとに、身体は徐々に肥大化して行った。


「む、胸・・・限界」

グググ・・・バァンッ!!


寝間着の胸元のボタンが、全て弾け飛んだ。中に着ていた寝間着と同じ『6XL』サイズのブラも、散り散りに飛び散った。

抑えの無くなった乳房が、ポロンと前方に押し出る。それまでの『Gカップ』より、明らかに大きくなってる・・・。


「ふぁ・・・」

あ、ダメ。欠伸が、出そう。


「あぁ~~あっ」

モリモリリッ。バリバリッ!!


つい力が入って曲げられた腕には、こちらもこれまで以上に大きくなった力瘤が、袖を完全に弾き飛ばしていた。


「あー・・・」

寝ていて、夜中に目が覚めた。私としては、本当にそれだけ。

ちょっと、悪い夢を見た。日常的には、ホンの些細な出来事。


「夢だと、良いなぁ」

本当に、悪い夢ならとっとと醒めて欲しい。


「今、何時・・・」

私はいつも枕元に置いてある、目覚まし時計を手に取る。


・・・ミシッ。


「え・・・」

私の手が、目覚まし時計に“喰い込んだ”。プラスチック製の時計にピシッ、と罅(ひび)が走る。


「うわ、わ」

私は慌てて、時計を枕に向かって放した・・・つもりだった。


ビュッ・・・ガシャンッ!


「あ・・・」

投げたつもりなんて無かったのに、時計は一直線に飛んで行った。

時計は物凄い勢いでベッドの端っこにある枠組みに当たり、砕け散った。


「もしかして・・・」

力が物凄く、強くなってる・・・?


「・・・・・」

私は、借り物の『No.3』のハンドグリップを手に取った。


グ。


「・・・!?」

あっという、間。一瞬で、グリップは閉じてしまった。

鉄製なので、プラスチックの時計みたいに一思いに握り潰しはしなかったけど・・・。


それでも、このまま力を入れ続けたらどうなるか。そう思えるぐらい、今の私には力が漲った感覚がある。

結局、何度か試して、“指三本”で『No.3』を閉じることに成功した。指三本で、127kg。


「でも、どうして・・・」

昨日、寝る前に身長を測った時は、確かに174cmだった。朝測った時と変わらず。

勿論、明子の提案通り、『DQ』は一度も起動していない。


部屋の柱を背に立って、恐る恐るペンで印を付ける。“恐る恐る”なのは、ペンを折ってしまわないように。

・・・というか。もう既に、二本ぐらい折っちゃったんだけど。今って、握力何kgぐらいあるんだろ・・・。


「うっそ、でしょ・・・」

『2m』の巻尺をフル回転させて、何度目かの真夜中の計測。

少々のことじゃ驚かないと思ってたけど、それでもやっぱりあちこちの数値がバグってた。


上腕は、力を入れずにダランと伸ばした状態で、36cmもあった。

因みに、ウェストは70cm。ウェストの半分の太さがある上腕、ってことになる。


そして、目一杯に力瘤を盛り上げると、二の腕周りは62cmにもなった。成人女子のウェスト並・・・。


上半身は、トップバストが132cm。これだけでも充分凄いけど、アンダーバストが・・・。

下胸・・・というか、胸板が99cm。女子高生の胸板が、99cm・・・。まあ、胸筋プラス背筋で、ってことか。

それでも、アンダー差が33cmあるので、堂々のJカップ。


そのJカップに成長したバストに比べると、ウェストの70cmは細い。超、逆三角形な体型になってる。

むしろ、ウェストの増えた4cmって、腹筋がぶ厚くなった分なんじゃ・・・。


「う、わぁ・・・」

残る、部位。私は一呼吸置いて、“それ”に巻尺を巻いた。


股下から膝上までの間の、寝間着のズボンの生地を全て弾き飛ばした、太腿。

身長を測ろうと、“気を付け”立ちした時。生まれて初めて、ギュギュという筋肉同士が擦れ合う音を聴いた。


普通、人間って両足を揃えて立つと、両膝が隣り合って当たる。真っ直ぐ立てば、基本的には“そう”なる。

だけど、今の私の場合、太腿に盛り上がる大腿四頭筋の隆起が凄過ぎて、腿同士が当たって膝が付かないのだ。


その数値は実に、82cm。成人男子の胸板並。

「・・・・・」

立て鏡で改めて、自分の立ち姿を見てみる。

海外コミックの某水夫のような、大きな力瘤。格闘ゲームの某女刑事キャラのような、極太の腿。


三度目ならぬ、四度目の正直。


もし、『DQ』が原因じゃないとしたら・・・一体、何が・・・。

本当に、“成長期”ってだけで“ここまで”になるんだろうか・・・。


――翌日。


セカンドオピニオンならぬ、サードオピニオン。病院としては、通算で三か所目。


「うーん。異常なし、ですね」

「そんな・・・」

三か所とも、同じ検査結果。

短期間でここまでの成長を繰り返したにも関わらず、検査結果は変わらず異常なし。


偶然は三度、続かない。この成長には、何かしらか原因がある。

ただ、その原因は“身体の異常ではない”、というのだ。


「どうしても、と言うなら“こちら”を紹介しますよ」

そう言って、病院の先生は一枚の名刺を手渡してくれた。


【麻隈スポーツ医学研究所 麻隈探】


「マスミ・・・・・タン?」

人名?にしては、普段見掛けない漢字が並ぶ。


「マクマ、サグル。そう読みます」

「・・・はぁ」

変わった、ってのは失礼だけど、珍しい名前・・・。


「トレーニング理論から、最新のスポーツ医学まで、幅広い分野を研究してる第一人者です」

精密検査で異常の無かったこの身体も、スポーツ医学の観点なら何かわかるかも知れない、とのこと。



――更に、翌日。


都合、二日連続で学校はお休みしちゃったけど、背に腹は代えられない。


「・・・ふむ。貴女が件(くだん)の・・・。お話は伺っていますよ」

麻隈探(マクマサグル)先生は、白髪交じりの中年の先生だった。白衣を着た、良くも悪くも本当に普通な先生。


「よ、よろしくお願いします」

白衣の下は恐らくスーツな先生と比べて、私は非常にラフな格好をしていた。


Tシャツに短パン。


まるで体育の授業を受けるみたいな格好だけど、そう指定されたのだから仕方ない。


「まあ、そう身構えないで下さい」

血液や細胞を採ったりはしないので、と先生は話した。

確かに、その辺の検査はもう散々やった。もうこれ以上、やれることが無いぐらいには。


「・・・しかし、確かに凄いですな」

先生は、私の姿を見て、そう言った。


一言でTシャツに短パンと言っても、サイズは『7XL』。しかも、『メンズ』。

女物のレディースではなく、男物のメンズサイズ。『7XL』ものビッグサイズになると、レディース自体が無いのだ。


『7XL』は、身長2mオーバーの人でも着られるかなり大きなサイズ。なので、丈は凄く余裕がある。

Tシャツの胸周りは何と、170cm。普通の人の身長レベル。私のJカップバストを収めても、まだまだ余裕がある。

短パンも、ヒップ周りが150cm。胸もお尻も40cm近く余裕がある計算。


首周り、肩幅。胸周りに、お尻周り。どの部分も、余裕。

逆に言えば、これだけ余裕があるのに、下のサイズだとダメな理由。それは勿論、二の腕と太腿のせいだった。


「こう言っては何ですが、腕も脚も何をやったらそんなに? スポーツでも?」

「いえ、特には・・・」

先生は驚く、というよりはどちらかというと『ご冗談を』といった表情をした。

まあ、その気持ちはわからなくもない。むしろ、冗談で済めばどれだけ良いか。


「・・・ふぅむ。ま、取り敢えず測ってみましょうか」

巻尺による目分量じゃない、ちゃんとした測定。身長、体重。身体の各部位の正確な周囲。


「次は、“これ”を握って下さい」

「これ、何ですか」

レバーというかグリップが付いた装置。グリップから太いチューブが伸びて、大きな機材に繋がっている。


「これは、特製の“筋力計”です」

「筋力計・・・」

既視感があると思ったら、グリップ部分は握力計のそれだった。

付属している機材が余りにゴテゴテし過ぎてて、却って気付かなかった。


「先ずは、右手で思いっ切り、目一杯これでもかと力を入れて握って下さい」

「あ、はい。じゃあ、んぐ・・・っ!」

私は先生に言われるままに、グリップを右手で握り、渾身の力を込めた。


「次は、左手。終わったら、今後は背筋力を測りましょう」

左右それぞれの手で、グリップを数回繰り返し握った。

その後、グリップ部分の自転車のハンドルバーのような物に付け替え、背筋力を測った。


アタッチメントを付け替えることで、色んな筋力を測定出来るらしかった。


「最後に、“腕力”を測ってお終いです」

「腕力、ですか・・・」

腕力測定、は聞いたことがない。


「まあ、バーベルカールみたいなものです」

「・・・はぁ」

『バーベル』は物体としては知ってるけど、“カール”なるモノが何かは知らなかった。


「カールをご存じない、か。いやはや」

何か、私の知らない所で先生は呆れていた。


台に両肘を載せて、固定。背筋力測定の時とは逆に、“逆手”でバーを持つ。

バーを手前に引くように、思い切り力を込めた。バーが上方に引かれるのに比例して、モリモリっと力瘤が盛り上がる。


ピチッ、ピチチッ!


「え・・・っ」

余裕があった筈の、Tシャツの袖がいつの間にかパンパンに張っていた。


「あー、“それ”はパンプアップという現象ですね」

「“パンプアップ”?」

トレーニングとかに精通してなくても、聞いたことぐらいはある単語。

筋肉に負荷が掛かると、体内物質が筋肉に送られ、筋肉が膨らむ作用のことを言うらしい。


「これが、パンプアップ・・・」

二の腕が一回りは大きくなり、上腕二頭筋のあちこちで血管が浮き出ている。

只でさえ大きな力瘤が更に膨らみ、袖回りはもうギッチギチになってる。


ジジ、ジ。


「ようやく、測定結果が出ました」

程なくして、プリンタから印刷物が出て来た。

パンプアップ収まれ~、と私が自分の腕と格闘している内に、測定が終わったようだった。

「・・・・・」

巻尺によるどんぶり勘定ではなく、かなり細かく正確な数値が出ていた。


「先ず、最初に言っておきます。貴女は、病気ではありません。疾患なども無く、異常はありません」

「・・・やっぱり」

町の医者から大学病院まで、色んな病院で診て貰った結果と、同じ診断。


「もう一度、確認します。スポーツや運動経験、それにトレーニング経験は?」

「ありません。学校の体育の授業ぐらい、です」

何を今更、な質問。


「で、あれば。計測結果は、充分に“異常”と言えるでしょう」

「・・・!?」

医者から“異常”と告げられたのに、心の底から喜んでいる自分が居た。


「実際、筋肉が付き易くなる“症状”の方は居ます。ですが、貴女はそういった症例でも無い」

通常、人体は筋肉が付き過ぎないよう、抑制が掛かるようになっている。

遺伝子異常などにより、そういった抑制が掛からない場合、異常な筋肥大となってしまう。


「また、当然ながら特殊な薬物を摂取した訳でも、異常な量のトレーニングを積んだ訳でもない」

ボディビルダーの中には、薬物で自発的に筋肉を抑制させる、いわゆる『ドーピング』する人も居るらしい。

勿論、私は“そんなこと”してないし、ましてやトレーニング経験も無い。


「第一に・・・こう言っては何ですが、“そこまで”筋肉が付くぐらい鍛えると、普通は乳房は小さくなるんですよ」

「そう、なんですか?」

男女問わず、筋肉を付ける為にはどうしても脂肪を落とさざるを得ない。

脂肪を落とさず鍛えると、それこそプロレスラーや相撲取りみたいな体型になる。


「貴女みたいに体脂肪率が8%まで削ぎ落されてるのに、胸の脂肪が落ちて無いのは通常、有り得ない」

体脂肪率8%は、ボディビルダーとまでは言わずとも、一流のアスリート並・・・らしい。


「人為的な努力では作り得ない凄まじいプロポーションなのに、“自然な肉体”なのが“異常”なんですよ」

それこそ、“神”か“悪魔”が齎した、かのような。


「まさ、か。はは・・・」

“そこ”はつい最近、否定された・・・筈。


「更に・・・」

「・・・更に?」

まだ、あるんだろうか。


「もし仮に百歩譲って、その筋量が有り得たとして・・・」

実際、男性のボディビルダーには劣るし、女性のトップビルダーなら今の私以上も、居るには居るらしい。


「トレーニング経験の無い女性が、握力200kgに背筋力560kg。こんな筋力持ってること自体、異常でしょう」

そりゃ、そうよね・・・。尤も過ぎて、グゥの音も出ない。

男性ビルダー未満な筋量なのに、ギネスに載り兼ねない怪力。握力の世界記録は、192kgだとか・・・。


大昔から、人体が発揮出来る筋力は、500kgが限界だと言われて来た。骨や腱が耐えられないらしい。

ここ数年でようやく、『デッドリフト』というバーベルを挙げる競技で500kg超えが達成された、ぐらい。


因みに、腕力の255kgという測定結果は、片腕換算。両腕で行った腕力測定の結果は、510kgだったらしい・・・。


「お相撲さんを片腕でリフトアップ出来る女性は、世界広しと言えど、貴女一人だけでしょう」

「あー、はは・・・」

お相撲さんなんて持ったことないし、今後も持とうとは思わないけど・・・。


「身体面以外・・・例えば、精神的な部分で何か心当たりは無いのですか?」

「心当たり・・・」

私は精神科を紹介される覚悟で、『DQ』のことを話した。


「・・・ふぅむ。俄(にわ)かには信じ難いですが、一つ挙げるとすれば『プラシーボ効果』でしょうか」

『偽薬効果』や『プラセボ効果』と呼ばれる、いわゆる・・・


「“思い込み”による効果、ってことですか?」

「その可能性がある、って話ですね。精神と肉体って、想像以上に密接に関わっているのです」

プロスポーツ選手の『ルーティーン』に、『イメージトレーニング』。

『幻肢痛(ファントムペイン)』など、精神ありきで肉体に効果を及ぼす例は枚挙に暇が無い。


「ただ、貴女が言う『ゲーム』の効果も、否定された訳ではありません。なので・・・」

“次”何かあった時に、改めてここを訪れることになった。

“その時”の数値と、今日計測した数値との比較で何かわかるかも知れない、ということらしい。


「念の為、今日帰ったらその『ゲーム』のステータスを確認してみるのも良いかも知れません」

その数値も、次の時との比較になるから、と麻隈さんは言った。


「うーん、一度も起動してないんだから、何も変わってない筈・・・」

帰宅して一息付いた後、私は久々に『DQ』を起動した。


「・・・・・・・・・っ!!?」

私は、自分の眼を疑った。


「・・・え、嘘。どうし、て・・・・・」

数週間振りに見る、ゲーム画面。アバターとステータス。

アバターの頭身と、ステータスの数値。その二つとも、明らかに“増えて”いた。


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Comments

感想、ありがとうございます。 一応、裏設定ですがレベルとパラメータと現実のサイズには相関関係があります。こちらも今後をご期待下さい、といったところでしょうか。

デアカルテ

感想、ありがとうございます。 私としては、何事も描き方だと思っています。少しの変化でも、細かく描写すれば読める物になるのではないか、と。最終的に何処まで行くかはお楽しみ下さい。

デアカルテ

凄い勢いで成長してますね。 だいぶ大きくなったと思いましたがまだ男性ビルダー未満なんですね… 更なる成長楽しみにしてます。

okita

待ってました! かなりの成長なのにまだレベル39… MAXまでレベルアップするとどうなるのか…

名無しです


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