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Love Garden
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Love Garden Story 第1話

 予定外の残業を終えた俺は、深夜の電車の揺れに眠りを誘われていた。

 手に握るスマホを落としそうになる直前に意識を戻し、またスマホ画面を見れば眠りに落ちそうになるのを繰り返している。

 夜間作業員に欠勤が出たからとお願いされた残業は、お願いという言葉の強制だ。

 俺の返事なんて待っていないのだから。

「はぁ……」

 今年で30歳になった。

 大学生の20歳の時に、両親は事故で他界。

 俺は一人息子で、両親の財産を全て相続した。

 まだ20歳の俺には、相続した会社を経営する能力は無かった。

 会社の事業は瞬く間に傾いていき、競合会社に仕事は奪われてしまった。

 破産する前に会社を畳み、残ったお金で働いてくれていた従業員に退職金を渡せたのが救いだったな。

 

 それからは日雇いバイトで食いつなぐ日々。

 疲れた体で風呂無し共用便所のアパートに帰って寝るだけだ。

 正社員として就職する友人たちとも疎遠になった。

 年齢=彼女いない歴で、風俗にいくお金なんてあるわけもなく、魔法使いになる条件を達成してしまった。

 唯一の楽しみだったスマホアプリのアイドルゲームも、2を出すからと1を終わらせて始まったのに、そのシリーズ2作目は1年持たずにサービス終了となった。

 無課金で遊んでいた俺が何か言える権利なんてないけど、こんなことになるなら1を続けていて欲しかったな。

 今もこうして、起動することのないアイドルゲームのアプリアイコンを見てしまっている。

「本当に魔法が使えたらな……」

 疲れた体に電車の揺れは心地良く、手からスマホが落ちていくのに気づかないで、俺は眠ってしまった。

「やべっ!」

 再び意識が戻った時には、電車の窓の外には見知らぬ景色が広がっている。

 ここが何駅なのか分からないが、鳴り響く電車の発車ベルに焦って急いで降りた。

「どこだ……」

 降りたものの駅名らしき看板が無い。

 弱い光りの電灯に照らされて、微かに見える外の景色は見覚えのない自然豊かな風景。

 そして気づく。

 ホームは1つだけで、反対線路が無いことに。

 これ……戻り電車も同じ線路を使うってことなのか?

 

ホームの中ほどに昔ながらの改札が見えたので、とりあえず駅員に聞いてみようと向かう。

 そこは自動改札ではなく、駅員が切符を切るタイプの改札だった。

 駅員が一人立っている。

 でも……なぜか顔がちゃんと認識できない。

「あの……切符じゃなくて……あっ」

 そこで俺はようやく気付いた。

 スマホが無い。

 交通ICカードはスマホに登録している。

 それだけじゃない。

 俺は財布を持っていなくて、全てスマホに登録されている。

 日雇いバイトに持って行く荷物なんて無いから、鞄も持っていなかった。

「あ……あの……さっきの電車にスマホを落としちゃって……」

 なぜか顔の認識できない駅員に焦りながら伝えようとすると、駅員の静かな声が聞こえてきた。

「落としものに未練はございますか?」

「え?」

「未練がございましたら、そちらのホームでお待ちください。お戻りの電車がやって参ります。落としものはその電車の中にあります」

「戻りの電車……」

 戻る。

 日雇いバイトで疲れて寝るだけの日々に戻る。

「落としたものに未練は無いのでしたら、先に進まれてみてはいかがでしょうか」

「先に? この先に……進む?」

「貴方は資格をお持ちだ」

「資格?」

「切符を」

 いつの間にか、俺の手には一枚の切符が握られていた。

 なんだこれ……。

 訳が分からない。

 分からないけど……進む先があるなら……行ってみたいと思えた。

 失ったものは戻ってこないから。

 落としたものに未練はないから。

「これ……」

 顔の認識できない駅員は、俺から切符を受け取ると独特なハサミで切って箱に入れた。

「どうぞ、お通りください」

 何も持たない俺は改札を出る。

 自然の広がる景色の中、古めかしいという言葉の似合う街灯が置かれている。

 その街灯に照らされる道の先に……何があるのだろうか。

 ここがどこかも分からないのに、向かう先は見知らぬ場所なのに、俺は歩き始めていた。

 恐怖も不安もある。

 でもなぜか興奮していたんだ。

 そして数分もしないうちに、街灯に照らされる先に大きな建物が見えてきた。

 洋館という言葉が浮かんでくる大きな館だ。

 美麗な門の前に着く。

 これは……ホテル?

 もう夜も遅いし、ここに泊れないかな。

 あ、でもお金を持っていないじゃないか。

 どうしたものか。

 街灯はここで終わっている。

 道もない。

 この館に入るしかないけど……。

 門の前で考え込んでいると、誰かの足音が聞こえてくる。

 門の中からだ。

 そして、女性の声が聞こえてきた。

「どちら様でしょうか?」

 可愛らしい声だ。

 声からしてたぶん若い女性だと思う。

「あ、あの……」

 どうやって説明したものか。

 夜遅くに、ここがどこかも分かっていなくて、しかも何も持っていない。

 明らかに不審者だな。

「えっ?」

 門の中から聞こえてきた女性の声は、驚きの感情を含んでいた。

 どちら様と聞いてきたのだから、門の外に誰かいると分かっていたはずだ。

 俺は「あの」しか言っていないんだけど、どうしてそんなに驚くのだろうか?

「そ、その……道に迷ってしま――」

 俺の言葉が終わる前に、門は開かれた。

 そこには……見たことの無い……アイドルのように可愛い女性が驚きの表情で立っていた。

 そして彼女は叫んだ。

「だ、だ、だ、男性!?」

 男性?

Comments

スクフェス2… うっ…頭が…

ユウ


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