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Love Garden Story 第2話

 た、大変だ!

 男性だよ! 男性が門の外にいるよ!

「も、も、申し訳ございません!」

 私はすぐに頭を下げて、驚いてしまったことを謝罪します。

 でも、まさかこんな夜更けに男性が門の前にいるなんて、誰も想像できないよ!

 主のいない館でも夜の見回りはメイドのお仕事。

 今日は私が当番で見回りしていたら、門の外に誰かが立っているのが見えました。

 薄暗くて誰か分からないから、門の中から声をかけてみたら……返ってきた声は男性の声でした。

 驚いて門を開けたら、本当に男性が立っているんだもん!

「よ、よ、ようこそお越しくださいました!」

「……え?」

 い、いけない!

 焦っていきなり変な挨拶しちゃった!

「え、えっと……ど、どうぞ中へ!」

「いいんですか?」

「はい! もちろんです!」

 落ち着け……落ち着くのよホノカ。

 男性よ、男性なのよ……間違いなく『迷い人』の男性なのよ。

 ウミちゃんとコトリちゃんは寝ているから、私がちゃんとおもてなしするのよ!

 私がちゃんとおもてなしして……ご、ご主人様になって頂けたら!

 コトリちゃんもマキちゃんも……コトネ様もミキ様も……お母様も……みんな幸せになれる!

 捨てられた地になるはずだったここが、ご主人様を迎えた祝福の地になれるんだから!

「こ、こちらへどうぞ♡」

「失礼します……」

 迷い人の男性をご主人様の部屋に案内します。

 男性をこの部屋以外に案内するなんて出来ません。

「え……この部屋は……」

「こちらをお使いください♡」

「え!? い、いえ、そんな……こんな豪華な部屋は……」

 案内している間に、迷い人の男性は道に迷ってしまって一晩泊めて欲しいと仰ってきました。

 これは教本に載っていた流れの一つですね。

 迷い人の男性は、まだここが……ご自分の生きていた世界とは違う世界だと気づいていません。

 ここは和国。

 地球にある国の一つです。

 迷い人の男性と和語で問題無くお話出来ているので、次元の違う世界で和国となる国にお住まいだったはずです。

 だからこそ、ここに来られたはずです。

 この世界は……女性しか産まれません。

 大昔は男性も産まれていたそうですが、今はもう男性が産まれることはありません。

 こうして次元の違う世界からやって来る『迷い人』と呼ばれる男性を迎えることで、種の存続を成しています。

 男性は世界の宝です。

 男性を主人として迎えた場所は祝福された土地と言われます。

この音乃楽領の地も……数年前からとある男性をご主人様に迎える話が進んでいました。

 領主のミキ様と副領主のコトネ様の尽力であと一歩というところまで話は進んだのですが……その男性に裏切られてしまったのです。

 いいえ、最初からあの男性は音乃楽領のご主人様になるつもりなんて無かった。

 ミキ様とコトネ様、そして私達を罠に嵌めて奴隷にするつもりだったに違いない。

「お腹は空いていらっしゃいますでしょうか? お食事の用意を致しましょうか?」

「い、いえ! こんな夜遅くに悪いです。それにお腹はそんなに空いていないので……」

 男性はまだ事情を知らない状態だけど、私達を裏切ったあの男性と違って謙虚で優しい人だと分かります。

 もちろん……この人も事情を知って、ご自分の持つ力を理解した後は……どうなるか分かりません。

 でも、最初に迷い人に出会えた幸運を……私達に情を……愛情を持って頂ける機会を逃すわけにはいきません!

 後戻りはできない。

 もしこの男性がご主人様になって下さらなかったら……私が……私だけが音乃楽領を出ていけばいいのだから。

「では湯の用意を致します」

「あ、ありがとうございます」

 私は浴室で湯の用意を始めます。

 ウミちゃんとコトリちゃんは気づかないで寝ているかな。

 男性はたくさんの女性からご奉仕受けるのを好むって教本には載っていた。

 ご主人様になって下さった男性にみんなでご奉仕するのは当然だけど、まだこの男性が私達のご主人様になって下さるかどうか分からない。

 特にコトネ様の娘のコトリちゃんは、純潔を失うわけにはいかないから。

 お湯の用意が出来た私が部屋に戻ると、男性はソファーに座って何かを考えていました。

 自分の置かれた状況を理解できないでいるのでしょう。

 まさか、今まで生きていた世界とは違う世界に迷い込んでいるとは夢にも思わないはずです。

 でもこの世界にやって来て下さったということは、前の世界に未練は無いはず。

 未練のある方は元の世界に戻るはずですから。

「湯の用意ができました」

「あ、ありがとうございます」

 浴室に向かう男性に、私は意を決して言いました。

「あの……よろしければ……お身体を洗うお手伝いをさせて頂けませんか?」

「え!?」


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