町の方にて、祭り屋台が並ぶお祭りが始まった。 船幽霊のシャーロゥも気になって、屋台を回っていた。 しかし、ふとしたところで何も商品が置かれてない屋台を見つける。 準備中かと思いきや、屋台の看板さえもが、何も無い無地ときたものだから、 気になって「すみません、この屋台はなにを売るんです?」と尋ねた。 すると、屋台の人間は薄ら笑いをしつつ 「ええ、商品がもう少しで並ぶんですよ。もう少しですねぇ」なんて答えた。 ふと後ろを通った歩行者が、その屋台を見てこう言った。 「ここまだ来てないのかな?もう人たくさんなのに」 「商品の仕入れでも間に合わなかったんじゃね? 今頃ワゴンカーとかで、ひいこら急いで向かってるさ」 なにを言ってるんだ?屋台はすでにここにある。 「!しまっー」 全ては遅かった。屋台は一般人に見えていない! 屋台の人間は影が伸びるように暗闇として広がり、後ろへ飛び退こうとするシャーロゥを包み込んでしまった。 もがく中で、離せと聞こえるも。その声は、もう通りすがりの誰もが気づかなくなっていた。 人が大勢行きかい、浴衣に明かりが淡く光る中。暗闇から何かが抜け落ちた。 「………」 抜けたそれは何もしゃべらない。 元が船幽霊らしかったからか、全身に甘い水をしたたらせた、シャーロゥの形をした屋台アメだった。 つい先ほどまでシャーロゥだったその水色アメは、胸にお腹、股をキラキラと反射させている。 彼女をアメに作り変えた暗闇は、元の大きさにまで戻っていき、またも人型になった。 「やっとこさ、商品が並びましたよおアメさん」 もう何人か並べれたら、商売始めましょうかねぇ。 その妖怪は、さも当然のように呟いて、もっと甘いアメを待ち始めた。
のなめ
2019-02-11 14:18:32 +0000 UTC