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雨の中残された石像

雨が降る、守猫神社へ続く山道。 その道中に一つの石像が建てられていた。 ただの石像と言えど、それは見てそのまま見逃せぬ姿をしていた。 なんと、全裸の女性を模した御影石なのだ。手足は女体を隠すことなく、ただ茫然と膝をついた姿勢を保っている。 それだけでも、そこにある事が異様なのだが。更に、それがただの石像ではないと決定づける特徴がその石像にはあった。 「………」 サメのようなヒレだ。腕の途中左右に、頭のてっぺんにもついていた。 そう、この石像。彼女は元は石像で無かったうえに、人間でもない。 船幽霊のシャーロゥ。その彼女が、石に変えられ放置されていたのだ。 もう、石に代えられ5日も経つ。 化かし合いに負けた敗者が、野ざらしに放置されることは少ない。 それだけ表に置かれていたら、誰かがさらっていくか、仲間が助けに入ってもとに戻してしまうものだ。 だが、それでも彼女は戻ってない。 なぜなら、その全身に高度な妖術「認識阻害」がかけられているのだ。 動きさえしなければ、人間どころか、妖怪や魔女でさえも見つけることのできない高度なものだ。 実際の戦いにおいては、動かないで戦えるわけでもなく相性が悪く使えないのだが、こうして変わり果てた姿をそのまま放置するには、とても使いやすかった。 そんな高度な術が掛けられた石像が作られたということは、それ相応の強い実力者が新たに化かし合いに入った事を指す。 シャーロゥからすれば、すぐに仲間に強いやつの存在を知らせたいところだ。 だが、彼女の体は動かない。 それどころか、降り始めてきた雨が、彼女の素肌を絶え間なく撫でて、快感さえも感じさせてしまっている。もはや、心の声でその危険を伝えることさえもできない状態だった。 「(あ、あぁ…くしゅぐった、い…♪ ひゃぅ…)」 もう、シャーロゥの頭の中は、ぼやけてしまっていた。 こうして、これより数日後に彼女は解放されることになるのだが。そのとき、強い強者の噂を伝えるまでに、さらに多くの妖怪たちが新参者に討たれた。 相手を物に変え、監禁も同然にする化かし合い。その性質上、噂は広まるにも遅いものだった。

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