暗がりで、むずむずと動くものがあった。 それは、パストだ。しかし、いつも活発に動く手足は無い。 テカテカなボディに股にささる飾り棒。 そして、普段は着ることの無い女性らしい可愛らしい服。 マネキンにされてしまったのだ。 普段は元気なパストも、今だけは服を展示するためのマネキンである。 『んっ、く・・ぅ… うごけない…ろきは…』 桜安姫の事を案じた。 試着室のギツクモに食われる前に彼女の悲鳴を聞いていたのだ。 しかし、もうこうなってしまっては探す事もできない。 股のこしょばゆさに耐えながら、かろうじて向きを変えてみるが。改めて桜安姫の悲鳴が聞こえた方向を見てみるも、その方向は下着コーナーだった。 パストは想像した。 きっと、桜安姫もギツクモに飲みこまれてしまい。彼女は下着に変えられてしまったのだろうと。 目の前に無数に並ぶ衣服類の用に、棚の上に下着として丸められ。お客が買うのを待ちわびる商品の一つにされてしまったかと思うと。もう探す事もできない。 お手上げだ。必死に意識が落ちきらないように抵抗するが。だれかヒーローとなる妖怪が来ない事には、もう助からない。