※本作品はpixiv FANBOXで公開した、『あなたの街の動物園 Main Story』のサイドストリーとなります。本編をお読みいただいた事を前提にしておりますので、詳細等が省略されております。 本編を一読頂いたあと、お楽しみ頂けると幸いです。 ・・・ ここは、とあるそれほど都会でもない田舎町にある動物園。 大都市に近い訳でもないこの町の動物園、さらには規模もそれ程のものでもない、しかし、来場者はそれなりに多い。 とりわけ凄い動物園というわけではないが、この動物園には珍しい動物が多数いるからだ。 私は、【佐野 萌々香(さの ももか)】、この動物園で飼育員をしている。 飼育員といっても、私が担当するのは、【特別な動物】ばかり。 正式な動物の飼育の資格もなければ、経験も無い私が、ここで飼育員が出来ているのは、扱う動物が【特別な動物】だからである。 その【特別な動物】というのが、今、私の目の前にいる動物だ。 私は今、狭い囲まれた部屋の中に、【ゴリラ】と一緒にいる。 なんの飼育経験も無い私が、この狭い空間にゴリラと共にいるというのは、ある意味、凄く危険な事である。 しかし、今の私に危険は無い。 すると、目の前のゴリラが自らのトイレとされる場所に跨り、おしっこをし始めた。 【ジョロジョロジョロ…】 ゴリラから流れ落ちるおしっこ。 そのおしっこは、水洗で流される場所へと流れ落ちていく。 そして、ゴリラはおしっこが終わると、ゆっくりと私のほうへと寄って来た。 普通考えれば、襲われてしまう距離にゴリラがいる。 すると、私の所に来たゴリラは、自らの股を開き、私に向かって陰部を曝け出して来たのだった。 「はい、よくできましたね~~」 私は事務的な言葉でそう言いながら、手にしたトイレットペーパーをゴリラの陰部へと当てた。 「うっ…うぅっ…」 すると、ゴリラからか細い声が漏れて来た。 その声は、ゴリラの呻き声ではない。 誰がどう聞いても、人間の女性の呻き声なのだ。 そして、私はトイレットペーパーで、排尿を終えたゴリラの陰部を綺麗に拭き取った。 (未だに…恥ずかしがってるのね…) 拭き終えるまで、そのゴリラは体をプルプルと小刻みに震わせていた。 きちんと、トイレスペースでおしっこをし、更には、おりこうさんに陰部を拭かせるゴリラ、そして、その呻き声…。 そう…このゴリラは本物のゴリラではない。 中に人間の女性の入った着ぐるみなのである。 その見た目は、恐ろしく精巧に出来ており、一般人では、まず見抜けないクオリティーである。 しかし、実際には着ぐるみで、その中には人間の女性が閉じ込められているのだ。 私が世話をする【特別な動物】というのは、この動物園の中の、【着ぐるみの動物】なのだ。 この動物園には本物の動物もいるが、こういった着ぐるみの動物も何匹かいる。 その着ぐるみ動物の世話が私の役割なのだ。 それ故、私に危険はない。 相手にしているのは、獣ではなく人間なのだから。 基本的に、この着ぐるみの動物たちが、その着ぐるみを脱がされる事は無い。 どういう作りになっているか詳細は分からないが、着ぐるみの下に着ているラバースーツの性能で、中身の人間が着ぐるみを脱げなくても生活が出来るようになっているらしい。 食事も基本、液体の栄養ドリンクが与えられるため、食事らしい食事もない。 なので、私の仕事といえば、食事兼水分補給のその液体を与える事と、排尿の処理くらいのことだ。 ゴリラはそのまま排尿できるので、それ程手間も掛からないが、パンダのように、着ぐるみの中身の女性の陰部と、着ぐるみの外側まで距離があるような着ぐるみの場合、直接の排尿が出来ないため、着ぐるみ内に排尿パックが内蔵され、それの交換となる。 中身の彼女たちは、朝から晩まで着ぐるみを着せられ続けている。 そして、謎の栄養ドリンクにより生かされ続けている。 中身の彼女たちが、この後、どうなるのか、私には見当がつかない。 着ぐるみから出してもらえることがあるのだろうか…? それとも、死ぬまでその中に入れ続けられるのだろうか…? 更に言うなら、何故、彼女たちが着ぐるみの中に閉じ込められているのかも分からない。 もしかしたら、犯罪者なのかもしれない。 しかし、まあ、私にはそれは関係の無い事。 私は彼女たちの世話をすればいい…それだけの事なのだ。 この仕事、あまりにもいい給料だったので、私はこの仕事に就いた。 やる事もそれ程、難しくは無い。 守らなければならないのは、守秘義務くらい。 この動物の中に、人間の女性が入っているというのを他人に漏らさなければいい。 それだけで、こんなにいい給料を貰えるのだから、私にとっては好都合なのだ。 おしっこを終えたゴリラが背中を落としながら、再びお客の目に付く広い部屋へと戻って行った。 (…かわいそ…) その背中から、諦めと哀愁を感じる。 中身の彼女たちは、もう逃げる事は出来ないというのを悟り、着ぐるみの中身である事に諦めを覚えているのだろう。 しかし、現実には、若い女性。 恥ずかしいものは、恥ずかしいだろう。 私に排尿するところをじっくりと見られ、やむなく私に陰部を曝け出さざるを得ないのだから。 そして私は、パンダ舎のほうへと移動してった。 私がパンダ舎に辿り着くと、それに気が付いたパンダが、客目に付く広い部屋から、奥にある小部屋の方へと移動してきた。 そして、パンダは私に向かって、猛烈にアピールをしてきた。 「はいはい、今あげるからね」 パンダが私に猛烈にアピールをしてきたのは水分である。 着ぐるみ内部の詳細は知らないが、恐らくゴリラよりも、分厚い着ぐるみになっているのだろう。 更に、全身を長めの毛で覆われている。 それ故、中身の子はかなりの暑さで、水分消費も激しいのだと私は解釈している。 私が来ると、かなり必死の様子で水分を欲しがるからだ。 私は水分パックから伸びる細く長いチューブをパンダの口へと挿し込んでいった。 奥まで到達すると、見る見るうちに、水分パックの中身が減っていく。 (暑くて死にそうなのね…可哀そうに…) その水分の減り方から、中に閉じ込められた女性が、恐ろしい程の暑さに襲われているのが想像できた。 水分パックが全てなくなり、私がチューブを引き抜くと、パンダは大きく肩で息をしながら、暫くその場を動かなかった。 そんなパンダに私が語り掛ける。 「おしっこは溜まった?」 そう私がパンダに問い掛けると、パンダは無言で大きく頷いた。 「そう、じゃあ交換するから、いつもの体勢でお願い」 するとパンダは私の方に向かって腹を見せる様に座り、自らの股を開いた。 そのパンダの股蔵に私は手を伸ばす。 【ベリベリ…】 パンダの股蔵の一部が、マジックテープで開く様になっており、私はそれを開いた。 そして、その中にあるファスナーに手を掛け、ファスナーを開く。 【ジーーーー】 そのファスナーを開くと、そこにはビニールのパックのようなものがある。 そのパックの中には、パンダの中身の女性が排出した尿が溜まっているのだ。 そのパックを外し、新しいものと交換する。 そして、再びファスナーを閉め、マジックテープ部を元に戻し、再び元のパンダへと戻した。 私の手には、中身の彼女が排泄した尿の入ったパックがある。 (くさ…) パックの口から、おっしこの匂いが漂い、つい顔を背けてしまう。 まるで、介護でもしているかのような状況である。 ゴリラと違い、直接外に排尿する事の出来ない造りの着ぐるみに関しては、こうやって排尿する。 着ぐるみの中に、陰部の洗浄機能があるらしく、その機能が、中身の彼女たちの排尿後の陰部の清掃はしてくれているらしい。 尿のパックを交換したパンダは、またゆっくりとお客の目に付く広い部屋へと戻って行った。 彼女たちは基本、そちらの部屋で過ごさなくてはならない。 パンダも再び暑さとの格闘が始まるのだ。 そして私は排尿パックを処理し、次の動物のもとへ向かおうとした瞬間、ゴロゴロと動き回り始めるパンダの姿が目に入った。 (あっ…始まったのね…) 何かに悶え苦しむようなパンダの動き。 一般のお客さんから見れば、可愛らしい愛嬌のある行動にしか映らないだろう。 しかし、実際は違う…。 あの動き、あれは中身の彼女たちの陰部が攻められ始めた証拠なのである。 着ぐるみの中身の彼女たちの陰部には、快感を与えるための道具が挿し込まれているらしい。 それが時折、動き始め、中身の彼女たちに牙を向く。 着ぐるみに覆われた手では、どう止めようもない。 仮に手が自由だったとしても、その道具は彼女たちの体内、そして、その体は着ぐるみに包まれているのだから、手の届きようもない。 仕組みは分からないが、どれだけ動いても、その道具は抜けない仕組みになっているらしい。 つまり、その道具が動き始め、快感に襲われたとしても、中身の彼女たちは逃げる事は出来ず、ただひたすらそれを受けるしかないのだ。 何故、そんな処理が施されているか…?それは私にも分からない。 ここの経営者の方針であり、それが何故なのかというのは、私には関係のない事でもある。 パンダを見ていると、ゴロゴロと地面の上でのたうち回り、可愛らしい太い腕を股蔵に当てている。 分厚過ぎて分かりにくいが、体がビクンビクンと反応しているのが私に見て取れる。 分厚い着ぐるみの中に閉じ込められ、猛烈な暑さに襲われながら、彼女は陰部へ快感を強制的に与えられている。 暑さに耐えるだけでもかなりきつい事だと思われるが、そこに追い打ちをかけるような陰部への攻め。 転げまわるパンダから声が聞こえてくるようだった。 【いやぁぁぁぁ!!!やめてぇぇぇ!!お願いだから!!これっ!!止めてェェェェェ!!】 のたうち回るその姿から、裏を知っている私にはそう聞こえた。 一般のお客からしてみると、それは、【パンダが愛らしく転がっている】、そう見えるだけだろう。 そんな叫び声が見て取れるのは私だけだろう。 暫くのたうち回っていたパンダが、一度大きく体を跳ね上げさせ、ゆっくりとその動きを止めた。 (あ…イったのね…) どうやらパンダの中身の彼女は絶頂を迎えたようだった。 力なく横たわるパンダは、小さくビクンビクンと体を痙攣させていた。 (ホント…可哀そう…。暑いだけでも大変なのに…無理矢理イかされて…) 横たわるパンダから悲壮感が漂っていた。 その悲壮感を感じるのは私だけ…。 お客の目には、何も伝わらないだろう。 そして、そんな絶頂を迎えたパンダを後にし、私は担当する動物の中で、一番過酷だろうと思われる動物のもとへと向かった。 【ガチャ】 その動物のいる部屋へと入って行った。 私のいる小部屋の向こうの広いスペースにいる動物。 それこそが、一番、中身として過酷と思われる動物…まあ、実際の中身の事は私には分からないので、予想ではあるが。 そこにいるのは【コビトカバ】だ。 コビトカバは視界が良くないのか、パンダと違い、私がここに来ても気が付くことは無い。 私は、ここに来た事を知らせるために、部屋にあるスイッチを押した。 【ピッ】 すると、地面に横たわっていたコビトカバがフラフラと立ち上がり、私のいる小部屋へと向かって進み始めた。 その進むスピードはかなり遅く、少しずつ足を進め、こちらに向かってくる。 進むスピードが遅いのは当然だろう。 あのコビトカバの着ぐるみ、どうやって中に女性が入っているのだろう?と考えてしまう造りだ。 短い両前足と後ろ足には、確実に中身の女性の手足が収納されている。 それでなければ、四肢を動かす事は出来ない。 しかし体から伸び出る四本の足は、あまりにも短く、とても人の手足の長さは無い。 なので、恐らく、前足には肘から先、後ろ足には膝から下だけ入っていて、後の手足の部分はボディの中にあると思われる。 そして、それしか出ていない手足で、四足歩行を強いられているのだ。 可動域が少ない上、ゴリラのように二足歩行も出来ない。 早く進むことが出来ないのは当たり前である。 そして、体全体を覆う分厚い肉…厚い着ぐるみとでもいうべきだろうか。 恐らく、あれだけ分厚ければ、着ぐるみの中の温度も、相当なものになっているだろう。 更にはその着ぐるみのサイズと分厚さを考えれば、重さもそれに比例する。 その状態で、私のいる小部屋まで進むというのは、中身の彼女にしてみても、かなりの体力を消耗するはずだ。 ヨチヨチとゆっくりとこちらに向かって進んでくるコビトカバ。 進むのは大変だが、私のもとまで来なければ、水分補給は出来ない。 壮絶な暑さに包まれた彼女にとっては、水分は無くてはならない存在。 必死に、こちらに向かって進まざるを得ないのだ。 私はコビトカバが、こちらに辿り着くまで、ゆっくりと待った。 その中身の彼女が奮闘する様を傍観しながら。 そして、暫くの後、コビトカバは私のいる小部屋に辿り着いた。 【ドサッ】 小部屋に辿り着くと、そのまま横倒れに崩れ落ちるコビトカバ。 ここまでの移動が、どれだけ大変かが感じられる。 「さて、それじゃあ、水分いれるから」 そう言って私はコビトカバの首の下付近にこっそりとつけられた穴に、水分パックのチューブを挿し込んだ。 チューブが奥まで入ると、勢いよくパックの中の水分が減っていく。 その様は、パンダの勢いを超えるものである。 すぐに水分パックが空になったので、新しいものと取り換えると、それも見る見るうちに、無くなって行った。 その様子からも、コビトカバの中身がいかに暑いかという事が想像できた。 コビトカバの首付近。 恐らく、カバの頭の中ではなく、首の辺りに中身の女性の頭があるのだろう。 精巧に作られた着ぐるみなので分かりにくいが、首の付近に覗き穴的な部分がある。 私は中身が人間と言う事を知っているから、その覗きを確認する事は出来るが、一般人には気付かれないだろう。 コビトカバの首付近に覗き穴があるという事は、普通に四肢で立った状態では、地面しか見えないという事になる。 コビトカバの頭を上げた時だけ、前が見えるという事だ。 実際、コビトカバが、この小部屋に向かってくる際も、時々、頭を上げていた。 それは、自らの進路を確認するためなのだ。 そして、水分を補給したコビトカバに私は声を掛ける。 「尿を抜くから、いつもの体勢になって」 私がそう言うと、コビトカバは、横向きに寝そべっていた状態から、少し体を転がし、仰向けの状態となった。 【ギュッ】 そして、私はコビトカバの股蔵付近にある切れ目を、グッと手で押し広げた。 そこは、普段は綺麗に閉じているが、力を込める事で穴が開く様になっている。 その穴に私は手を突っ込み、あるものを探した。 「え…っと…あ!?あった」 その穴の中に収納されたチューブを取り出す。 チューブ自体はすぐに見つかるのだが、その先端を私は探していたのだ。 そのチューブの先端をコビトカバの体内から取り出す。 【カチャ】 そして、その先端を用意した吸引機に接続した。 【ブゥゥゥゥン…】 吸引機が作動し、チューブを伝って、コビトカバの中から、尿を吸い出す。 コビトカバは、パンダよりも女性の陰部がかなり奥まった所になってしまうため、パックの交換が困難なので、一時的に尿が溜まる場所が着ぐるみ内に存在している。 そこから吸引機を使って吸い出すのだ。 そして、吸引機が溜まった尿を全て吸出し、作業は完了した。 「はい、終わりよ。戻っていいわ」 私がそう言うと、コビトカバは仰向けの状態から、体を捻り、再び横たえた体勢となった。 そして、そのまま地面に横たわったままのコビトカバ…立ち上がる気配がない。 とは言え、動物は皆、広いお客の目につく部屋に出なければいけないのがルール。 ここで、横たわっていてはいけないのである。 「ちょっと、早く客側に戻ってよ。給餌の時間があまり長くなると、私が上から言われるんだから」 私がそう言うと、コビトカバはピクッと体を動かし、短い足を少しずつ動かし始めた。 「しょうがないわね。手伝ってあげるわよ」 そう言って私はコビトカバの体を掴もうと、着ぐるみの表面に手を当てた。 「熱っ!?」 コビトカバの体の表面は、予想を超える熱さとなっている。 中の彼女の体温から来るものなのか、外的要因が温めているのか…。 火傷をする程ではないが、ここまで熱くなっているという予想は無かった。 何にせよ、外側でこれだけの熱気を帯びているのだから、中の彼女は恐ろしい程に暑くなっているのは間違いなかった。 しかし、着ぐるみが熱くなり、中身の彼女が大変な事になってしまっていても、それは私には関係のない事。 私ににしてみれば、あまり給餌に時間を掛けて、もたもたしていると、私が怒られかねないだけなのだ。 私は再びコビトカバの体に手を触れ、立ち上がるために力を込めて引っ張り上げた。 私に手伝われた事で、立ち上がる事を余儀なくされるコビトカバ。 そして、立ち上がったコビトカバは、再び、ヨチヨチとした足取りで、広い部屋へと向かって行くのだった。 なんとかして、広い部屋へと戻ったコビトカバ。 四肢で立たなくては行けないという大変は作りなのだから、常に横たわっていればいいと思うのだが、コビトカバは時おり立ち上がって活動する。 横たわっていると、時々ビクッと大きく体を動かして、その後に立ち上がる。 その動きから察するに、ずっと横たわっていてはいけないようだ。 横たわっていると、なんらかの合図が与えられ、暫く起き上がって行動しなければならないのだろう。 あれだけ分厚い着ぐるみ…。 四足歩行を強いられる…。 不十分な視界…。 それ故、私が想像する、中身の女性にとって一番過酷な動物だといえる。 そんな中身の彼女たちは、着ぐるみの中に入れられて、何を考えているのだろう…。 彼女たちは、何故、着ぐるみの中に閉じ込められているのだろう…。 この動物園は、なぜ、こんな着ぐるみの動物を展示しているのだろう…。 様々な疑問が存在する。 しかし、それは、私にとってはどうでもいい事。 私は、この仕事で、いい給料を貰い、ある程度溜まった所で、海外に移住するつもりだ。 そのための単なる【仕事】なのだ。 中身の彼女たちが、どうだとかは、私にとって関係の無い事だ。 そして、私は日々の仕事をこなして行った。 ・・・ そんなある日の事である。 「ふあぁぁぁぁ…ね…眠い…」 前日の夜に夜更かしをしてしまい、睡眠時間がかなり短く、今日の仕事に来ていた。 とはいえ、それ程、仕事内容は難しいものではないので、多少、眠気に襲われていてもこなせる範囲だ。 淡々といつものように仕事をこなして行く。 動物の着ぐるみの中の彼女たちに水分を与え、排尿を管理する。 そして、一日が終わり、私は更衣室へと辿り着いた。 「ふぅぅ…終わったぁ…ね…ねむ…」 更衣室といっても、この仕事に従事しているのは私だけなので、私専用の更衣室…というか、物置部屋のような部屋。 眠さに打ち勝ちながら仕事を何とかこなし、更衣室へ辿り着き、部屋にあるソファーへと腰を下ろした。 「な…なんか…疲れた…。だめだな…やっぱ、寝不足は」 ソファーと言っても、豪華なものではなく、偶然置き場所がなく、ここに置かれたような代物。 しかし、その大きなソファーは柔らかく座り心地はいい。 寝不足で疲労感の増した私だから、そんなソファーに腰をおろしてしまうと、体がぐっと重くなるように力が抜けて行った。 (あぁ…だめだ…疲れて動きたくなくなってきた…) そのまま私はソファーの上へと横になってしまった。 (ちょっとだけ…10分でいいから…ちょっとだけ…寝よ…) あまりの虚脱感から、私は帰る前に、ほんのひと眠りだけする事にした。 ・・・ 「んあっ!!」 一瞬で目が覚めた。 ひと眠りしたのか、していないのか分からないくらい一瞬の事だった。 しかし、先ほどまでより、頭が明瞭に働いている。 恐らく、短い時間だが、深い眠りに落ちたのだろう。 すぐに今が、何時か時計を確認した。 「え!?は…8時!?」 感覚的には、一瞬、目を瞑っただけくらいに感じたが、私が視線を向けた時計は、夜の8:00を指していた。 「やばっ!!結構寝ちゃってた!!早く帰らないと!!」 私は急いで私服に着替え、更衣室を後にした。 「暗いな…」 普段、帰る時、この通路には外からの光りも挿し込むし、暗くなれば電気も付く。 しかし、時間が遅いせいか、通路の照明もついていない。 私は携帯のライトをつけ、その暗い通路を進んでいった。 そして、いつもの通用口から、外に出ようとした。 【ガチャ】 「あれ!?」 いつも開くはずの扉が開かない。 時間が遅くなったため、施錠されてしまったのかもしれない。 「やばっ…なんとかして出ないと…」 私は止む終えず、いつも出る扉ではない所から出口を探す事にした。 とはいうものの、あまり普段から使う通路以外は施設内を良く知らない。 (え…っと…方向的には…こっちかな…) 感覚で、恐らく同じ方向だろうという方へと伸びる通路を進んでいく。 そして、通路を進みながら、扉を見つける度に、そのノブを回していった。 【ガチャ】 (だめだ…ここも閉まってる…) 何か所か扉に遭遇し、ノブを回してみたが、開いている扉に遭遇しない。 (やばいよ…もしかして…閉じ込められた…) まるで知らない施設内の場所。 そして、この暗さ。 回らないノブが続き、私の中に焦りが生じ始めた。 すると、また扉に辿り着いた。 見た目的には今までのドアと雰囲気は変わらない。 また開かないのではないかという不安が私の中に過る。 そして、私は再び、ドアノブを回した。 【ガチャン】 (あっ!!開いた!!) すると、そのドアノブが回り、私は初めて、違う進路へと進むことが出来たのである。 (よし…こっからなら、出られるかも…) 初めて迎えた進展に、心を躍らせながら、私はその扉の中へと進んでいった。 暫く進んでいるが、他に出るための扉が見当たらない。 となると、この通路を先まで進んでみるしかない。 そう思い、私はその通路をどんどんと先へ進んでいった。 (ん!?あれ…明かりがついてる…) 暫く進んだところで、開いている扉があり、そこからこちらの通路の方に光りが漏れていた。 つまり、その扉の先には誰かがいるという事だろう。 (よし、ようやく外に出られる) そう思った私は、急いでその開いている扉のほうへと向かって行った。 すると、中にやはり誰かがいるらしく、話し声が聞こえてきた。 (誰かいる…) そして、扉までたどり着いた私は、こっそりと扉の中を覗いた。 誰かに遭遇し、施設から出る通路を聞かなくてはいけないが、こんな時間に施設内にいるのもおかしな事。 私の事を知っている人に会えばいいが、知らない人なら、私は不法侵入者と思われてしまうかもしれない。 (知ってる人で…ありますように…) 私はゆっくりと扉の中に視線を向けた。 (え!?) その扉の中を覗くと、予想外の光景がそこにあった。 その扉の先にある部屋の中央には、檻に閉じ込められたコビトカバの姿があったのだ。 そして、その周りには、スーツを来た男性たちが数人群がっていた。 (え??なんで…こんなところにコビトカバがいるの…??) 予想外の光景に驚き、私は息を潜めて、中の様子を伺う事にした。 すると、その男性たちの会話が、私の所まで聞こえてきた。 「それでは、契約書の額面どおりで、これを買い取らせてもらいます」 「ええ、こちらは問題ございません」 (え??買い取る??コ…コビトカバを!?) その言葉に驚き、コビトカバに視線を向けた。 すると檻に閉じ込められた、コビトカバは、四肢で立ち、フラフラと動いている。 つまり、そこに閉じ込められているのは、置物でもなんでもなく、私が世話している、中身が女性のコビトカバという事。 「ふふ…これだけのものが、この価格で手に入るなんて…安いものですね…」 「そんな…結構な額ですよ。あなた様だから支払える額なんですよ」 (そ…そんな…コビトカバを買い取るっていうの??あの人が…) 驚きが隠せない。 その人たちの会話の内容を考えると、目の前にいる、人間の女性入りの着ぐるみのカバを売買しようとしているのだ。 (ちょ…ちょっと待って…そんなの人身売買じゃない…) もちろん、あの飼い主も、それが本物の動物でなく、中に人間の女性が入っている事を知っていての売買だろう。 だとすると、これは人身売買という事になる。 そんなやり取りがされている現場に、私は遭遇してしまったという事。 (や…やばい…。これ…絶対…やばいやつ…だよね…) その事実を認識してしまった私は、見つかったらやばいと思い、体が縮こまる。 (み…見つかる前に…逃げないと…) 変な汗を掻き始めた私は、向こうの人達に見つからないようにゆっくりと静かに後ずさりを始めた。 (やばい…ばやい…よ…) 【ドンッ!】 (え!?) 後ずさりを始めるとすぐに背中に何かが当たった感触があった。 先ほどまで来た時の記憶を辿るに、そんな近くに壁は無かった。 (え…ま…まさか…) 私はまさかとは思うものの、ゆっくりと背中側に視線を向けた。 「ひぃっ!?」 振り返ると、そこにはやはり壁ではなく人間。 こそこそとしていたが故、振り返った瞬間に人影があって、心臓が飛び出るかと思う程驚く。 その驚きのあまり、声を漏らしてしまったが、今の状況からか、その叫びそうな声が自然と抑えられた。 「困りますね…佐野さん…。こんな所まで入ってこられては」 「わ…【渡瀬(わたせ)】さん!?」 渡瀬さんとは、私の職場の上司に当たる人で、色々と作業の指示も出してくれる人だった。 振り向いた先にあった人影が、知っている人だったという所に少し安堵するも、暗い通路の中、私に視線を向けながら立ち尽くす渡瀬さんに、少し恐怖を感じてしまう。 「す…すいません…道に迷ってしまって…」 私は少し震えながら、渡瀬さんに謝った。 「ふぅ…それで、その扉の先に何があったのですか??」 少しあきれ顔の渡瀬さんが、私に質問してきた。 「あっ!そ…その…コビトカバが居て、それを買うって人が…」 私は焦りながら、とりあえず目で見た光景を口にした。 「そうですか…。それは驚きましたね…」 「は…はい…私がいつも世話しているコビトカバで…」 「まあ…落ち着いて下さい」 そう言った渡瀬さんは、ポンと私の肩に手を乗せて来た。 「とにかく、もう、後戻りは出来ませんよ」 「え!?な…何を…」 【チクッ!】 「痛っ!!!」 私が渡瀬さんに質問しようとした瞬間、首にチクッとした痛みが走った。 渡瀬さんの手を振りほどき、私は首元に手を当てた。 (何…今の…痛み…) なんの痛みか分からないが、恐らく渡瀬さんの手からのものだろうと判断した私は、咄嗟に渡瀬さんから距離を取った。 「な…何ですか…今の痛みは…?」 「ちょっとした麻酔のようなものです」 「ま…麻酔!?」 (そ…そういえば…少し体が重く…なってきた…) 「見てしまったのならしょうがないですね…」 そう言った渡瀬さんの表情は、薄暗い中でも不気味に笑っているのが分かった。 その瞬間、先程のコビトカバの売買に渡瀬さんも関与しているという事が理解できた。 「わ…渡瀬さんも…コビトカバの売買に関係してるんですか…?」 会話をしながら時間を稼いで距離を取ろうとするが、体が重くなり、思うように移動できない。 「ええ、もちろん」 「そ…そんな…あんなの…人身売買じゃないですか?」 「違いますよ。私達が販売しているのは、コビトカバの【着ぐるみ】。あのお客様も、コビトカバの【着ぐるみ】を買って頂いただけなのです。まあ…着ぐるみの中身が入っているか入っていないかは知りませんが…ね」 「そんな…」 「私達は人身売買などしてはおりませんし、動物の売買もしていない。【着ぐるみ】を売り買いしているだけですが…何か問題でも??」 確かに渡瀬さんの言っている事に間違いはない。 着ぐるみを売っているだけ…お客はその着ぐるみを買っただけ。 その売買に中身の女性は含まれていないという事。 さらには、本物の動物でも無いのだから、希少動物の売買でも無い。 渡瀬さんの主張をそのまま飲み込むなら、そこに問題などないのだ。 しかし、私には分かる…実際には違う。 中身の女の子は、着ぐるみの中に入れらたまま、あのお客に引き渡さられる。 つまり、着ぐるみの中身として引き取られるのだ。 「でも…じゃあ…中身の彼女は…」 (ダメだ…体の…自由が…利かなくなってきた…) 会話をしている最中も、その麻酔の効果が、全身に現れていく。 もはや、自力でこの場から逃げ去る事は出来ない。 「さて??どうなるのか??中身の事は契約に入っていないので、私達も知りませんね」 「…う…あ…頭が…」 体だけでなく、頭がボーっとし始め、体を起こしているのもきつい状況となってきた。 「さてと…これでうちの動物園から【あの】コビトカバがいなくなってしまいましたから、明日からは、【新しい】コビトカバを迎えなければなりませんね…」 頭が朦朧とし、渡瀬さんの言葉が遠くで聞こえている気がする。 思考が薄れ、その言葉を頭で理解できなくなる。 【ドサッ】 体を起こしている事が出来ずに、私は、その場に倒れ込んでしまった。 体全体…意識までもが、私の支配下から外れていった。 「あぁ…丁度いい…素材があるじゃないですか…」 (…だめ…だ……意識……が……) 渡瀬さんの声がぼんやりと聞こえる中、私は意識を失ってしまった。 ・・・ (はっ!?) 目を覚ますと、何やら見知らぬ部屋に寝転んでいた。 脳は覚醒し、一気に思考は明瞭となるが、体を動かすことが出来ない。 (な…何??体が…動かない…) 「お目覚めのようだね…佐野萌々香さん…」 私の視界の外から声が聞こえた。 (こ…この声は…渡瀬さん…) 「よし、じゃあ始めてくれるかな…」 渡瀬さんがそう言うと、動かない体が何者かの手により、起こし上げられる。 (な…何…?) 自らの体の自由が利かない状況。 そして、この異様な状況に、思考の理解が追い付いていかない。 上半身を起こされると、目の前には椅子に座った渡瀬さんがいた。 「佐野さん…多分、状況が飲み込めないと思いますから、今の君の姿を鏡に映して見せてあげますよ」 渡瀬さんがそう言うと、二人掛かりで大きな姿見が運ばれてきた。 そして、私の目の前にその鏡を置いた。 (う…うそ…でしょ…!?) そこに映っているのは、背中を支えられ、上半身を起こした謎の生き物の姿だった。 その全身は、黒い光沢感のあるゴムのような、タイツのようなものに包まれている。 そして、頭をも、その黒い素材が包み込んでおり、目の部分だけが露出し、口元からは長いチューブのようなものが伸びていた。 そこに映っているものが何なのか…?? 一瞬、異質なものを見るような目で、その黒い人間のようなものを見てしまった。 しかし、状況を考えると、持ち込まれたのは鏡。 そして、私の前に鏡は置かれた。 という事は、そこに映っているものは、鏡の前にあるもの…そう、つまり私だという事なのだ。 (うそでしょ…これ…私だっていうの…) 「お分かりになって頂けましたか??あなたの今の姿」 (何??え…何??何が起こっているの??) そこに映っているのが自分だとして、何故、自分がこんな姿になっているのか、そこに思考が追い付いて行かない。 「まあ…混乱しているようですし、説明してあげましょう…。そちらを見てください」 渡瀬さんがそう言うと、私は上半身を起こしたまま、90度体を横に回転させられた。 すると、驚愕なものが、私の視界に飛び込んで来た。 (え!?ちょ…ちょっと…待って…これ??) 「そう、それはコビトカバの着ぐるみですよ」 世話をして来たのだから分かる。 それは、世話をしていたコビトカバの着ぐるみ、そして、そのコビトカバの着ぐるみの背中がパックリと口を開けているのだった。 「え~…っとですね。端的にいうと、佐野さん、あなたは今日からコビトカバの中身になってもらいます」 (な…中身に!?) 「ご存じの通り、昨日、コビトカバの【着ぐるみ】が売れてしまいましてね。中身の女性もどこに行ってしまったか分からないので、今日からコビトカバがいなくなってしまって、困っているんですよ。来園するお客様たちも楽しみにしているので。なので、佐野さんにはコビトカバになって、お客様を楽しませてあげて貰いたいのですよ」 (そ…そんな…そんなの聞いてない…。あんなの…ムリに決まってる…。勝手に話を進めないでよ!!) 心ではそう叫んでいたとしても、声も出ない、体も動かない。 なんの抗議も出来ないのだった。 「そう言う事で、今日も開園時間が迫っていますので、急いで準備に取り掛からないと…ですね」 渡瀬さんがそう言うと、何人かの人が私の体を掴み上げた。 (え!?ちょ…ちょっと…待って…嘘でしょ…そんな…) そして、持ち上げられた体は、背中をパックリと開け、受け入れ準備万端のコビトカバの着ぐるみのほうへと移動させられていった。 (うそうそうそ!!そんな…) どんどんと近づいてくるコビトカバの着ぐるみ。 その口を開いたコビトカバの着ぐるみの背中が、あっという間に私の下へとやってきた。 (そんな!!私!!着ぐるみの中身なんて聞いてない!!やだっ!!着ぐるみ中身なんて…絶対いやよっ!!) そう心の中で叫んだとしても、準備を進める人の手は止まるはずもない。 自由が利かない手足を持たれ、コビトカバの前足と後ろ足の方へと調整して挿し込まれ始めた。 もうコビトカバの着ぐるみの内部が、私の目の前に広がって来ていた。 その瞬間、世話をしていた時のコビトカバの姿が脳裏を過る。 必死に水分を補給するその姿。 体全体で呼吸をする様。 四肢で歩く事を強要されている姿。 それを見ていた私の感想が頭の中に浮かぶ。 (めちゃくちゃ暑いんだろうな…あの中…) (呼吸もしにくいんだろうな…肩で息してるし…) (四肢で歩くなんて…きつくて…私には出来ないよね…) (可哀そ…中の女の子…) その全ての事が、今、私のものとなろうとしているのだった。 その瞬間、頭の中に一気に恐怖が押し寄せてきた。 (いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!あんなのっ!!耐えられるわけない!!あんな暑そうなの!!苦しそうなの!!いやぁぁぁぁぁぁ!!やめてぇぇぇぇぇぇ!!) 頭の中が恐怖でパニックを起こし始める。 しかし、今の私の体に自由は無い。 ただ、されるがままにされるしかないのだ。 (ムリムリムリ!!あんなの死んじゃう!!やだぁぁぁぁぁ!!入りたくないぃぃぃぃ!!) どれだけ嫌がろうと、開園準備は進んでいく。 体が降ろし始められ、コビトカバの着ぐるみの内部が私に近づいて来る。 (いやあぁぁぁぁぁ!!!入りたくないっ!!入りたくないっ!!) 何をどうしようが私にそれを避ける事は出来ない。 着ぐるみの内部の壁が私の回りを囲んでいく…。 そして、私の体は、コビトカバの中に、すっぽりと入れられた。 (いやぁぁぁぁぁぁぁ!!) 着ぐるみ内の何かの装置とも接続され、後は背中のファスナーを閉めるのみとなった。 (お願いっ!!やめてぇぇぇぇぇ!!着ぐるみの中なんていやぁぁぁぁぁ!!) 「さてと…後は背中を閉めて、皮膚を溶着するだけです」 (溶着!?) それはつまり、着ぐるみに私を閉じ込め、完全に出られなくするという事。 (いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!閉じないでェェェ!!着ぐるみの中はいやぁぁぁぁ!!!) 溶着と言う言葉に、私が完全に閉じ込められるという事が現実味を増し、私に襲い掛かる。 「さて時間もないので…。…佐野萌々香さん…今日からあなたは、単なるコビトカバの中身…もう…名前など必要ないでしょう…。それでは…さようなら…」 【ジーーーーーーーー】 渡瀬さんがその言葉を発すると、背中のファスナーが閉められ始めた。 (いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!) 私の心の叫びも虚しく、背中のファスナーは完全に閉じられ、私の周りを暗い世界が包み込んでいった。 私はコビトカバの中身にされた…。 (いやぁぁぁぁぁ!!着ぐるみの中なんてぇぇ!!出してぇぇぇ!!ここから出してぇぇぇ!!) もう何をどうしようと、自らの意思でここから出る事は出来ない。 そんなのは、構造を考えれば、容易に想像出来る事。 誰かが出してくれるしか、私がここから出る術はない。 私は動けない体のまま、心の中で叫び続けた。 (出してぇぇぇ!!ここから出してぇぇぇ!!お願い…出してぇぇ…出してよぉぉ…) 顔の付近、恐らくコビトカバの首元だろうと思われる部分から、外の世界…この部屋の床だけが見える。 着ぐるみ内部はかなり狭く、体中が圧迫されるような感触がある。 未だ体の自由は戻らないものの、この着ぐるみの分厚さが当たっている感触で伝わってくる。 溶着作業が終わるまでの短い時間ではあったが、もう既に、着ぐるみの中が暑くなってきているのが感じられる。 そして、私はそのまま台車に乗せられ、コビトカバの部屋へと運ばれていったのだった。 (出してぇぇ…暑い…暑い…こんなの…耐えらえない…暑い…死んじゃう…暑い…) 今はまだ、着ぐるみを着ただけ…。 まだ、客目につく部屋へと出て行った訳ではない。 つまり、この後、更なる暑さが私を苦しめる事になるのだ。 (…お願い…出して…ここから…出して…) 動物園のコビトカバのブース。 そこには、昨日と変わらず、コビトカバが一匹、展示されている。 そう、お客目には、昨日と変わらない光景。 しかし、実際には、昨日のコビトカバと、今日のコビトカバは違う。 見た目はほぼ同じ…そう見た目は…。 違うのは、その中身なのだ。 今日のコビトカバも、いつものようにビクッとしながら立ち上がり、フラフラと弱々しく歩くのだった。 動物園の平凡な一日は、何事もなく続いていくのだった。 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ももぴ
2024-06-03 22:12:10 +0000 UTClittle
2024-06-02 22:10:30 +0000 UTC