【謀略の宴】アフターエピソード(レスバス)
Added 2020-09-25 08:24:36 +0000 UTC【酒呑童子伝説】(Wikipedia引用)
一条天皇の時代、京の若者や姫君が次々と神隠しに遭った。安倍晴明に占わせたところ、大江山に住む鬼(酒呑童子)の仕業とわかった。そこで帝は長徳元年(995年)に源頼光と藤原保昌らを征伐に向わせた。頼光らは山伏を装い鬼の居城を訪ね、一夜の宿をとらせてほしいと頼む。酒呑童子らは京の都から源頼光らが自分を成敗しにくるとの情報を得ていたので警戒し様々な詰問をする。(中略)頼光らは鬼に八幡大菩薩から与えられた「神変奇特酒」(神便鬼毒酒)という毒酒を振る舞い、笈に背負っていた武具で身を固め酒呑童子の寝所を襲い、身体を押さえつけて首をはねた。生首はなお頼光の兜を噛みつきにかかったが、仲間の兜も重ねかぶって難を逃れた。一行は、首級を持ち帰り京に凱旋。首級は帝らが検分したのちに宇治の平等院の宝蔵に納められた。
【老ノ坂伝説】(Wikipedia引用)
頼光たちは討ち取った首を京へ持ち帰ったが、老ノ坂で道端の地蔵尊に「不浄なものを京に持ち込むな」と忠告され、それきり首はその場から動かなくなってしまったため、一同はその地に首を埋葬した。一説では童子は死に際に今までの罪を悔い、死後は首から上に病気を持つ人々を助けることを望んだため、大明神として祀られたともいわれ、これが現在でも老ノ坂峠にある首塚大明神で、伝承の通り首から上の病気に霊験あらたかといわれている。大江山(京都府福知山市大江町)の山中に埋めたとも伝えられ、大江山にある鬼岳稲荷山神社の由来となっている。
俺「……というのが酒呑童子伝説のあらましだな!」
兄「へーさすが中学二年生」
兄によく似た顔の旅館の従業員「へーいま酒呑童子様の逸話そんなことになってるんですねー」
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俺の名前は松野カラ松。
中学二年の夏休み、俺は兄のおそ松とふたりで花脊のリゾート旅館に旅行に来ていた。
天狗の山として有名な、京都にある鞍馬の峠を越して尚奥ーー、それがここ花脊という土地らしい。なぜわざわざ京都に来てこんなに田舎の旅館に宿を取ったのかというと、この旅行自体が商店街の福引きの景品だからだ。俺だって叶うなら清水寺とか金閣寺の近くに宿泊してみたかった。
「そういう観光スポットはきっと学校の修学旅行で行くでしょ」
そう笑う兄に対しても俺は不満だった。だって修学旅行に兄はいないのだ。
それでも長い旅程の末たどり着いたリゾート旅館にはテンションが上がった。
壮大な自然に囲まれた旅館。もはやキャンプ場に近いくらい、旅館の保有する土地は広いようだ。駐車場にほど近い距離にはバーベキューに最適な浅瀬の川が流れ、河原が広がっていた。隣にはゲートボール場もある。それらが見渡せる少し高い丘の上に俺たちの今晩泊まる旅館があった。
「なーなー仲居さん、あの玉入れの籠みたいなのはなんだ? 玉入れの籠か?」
部屋の窓から景色を一望していると、普段はゲートボール場に使っていると説明を受けたグラウンドのような場所の中心に、20メートルほどの高さの柱がぽつんと立っていた。その柱の天辺には木の籠が設置されており、さながら玉入れの籠のようだ。
「んなわけねーだろ」
「そうですよ」
「マジで!?」
俺が仲居さんにした質問を小馬鹿にしたように笑って否定したおそ松が驚きの声を上げた。
「花脊の伝統的なお祭りのひとつです。毎年8月15日の晩に、村の男たちが火をつけた松明をあのそびえ立つ燈籠木(トロギ)の中に投げ上げるんですよ」
なんでもないことのように言う仲居さんに、今度は俺も声が漏れた。
「な、投げ上げる? 火のついた松明を、あの高さの籠に?」
「いやそれ……めっちゃ危なくない? 入らなかった誰かの投げた松明は地上に落ちてくるよね?」
兄の目が地上と、その20メートル上に設置された籠を行き来した。おそ松は消防士である。一歩間違えれば火傷じゃすまない伝統行事にドン引いていた。
「大丈夫です。地元の消防士さんが最後火を消すために待機してくださってますし、ここにはヘリポートもあります。万一のときは早急に市内の病院に搬送されますので」
「そ、そう……」
おそ松の顔が恐らく地元の消防士さんへの同情の色に変わった。仲居さんが少し困った顔で笑いながら言う。
「この伝統行事を考案した方はあれくらいの高さも松明の熱さもどうってことなかったのです。愛する方の燈籠を模した遊びとして始められたのが、いつの間にか五穀豊穣の祭りとして讃えられ受け継がれるように………ようになった、と、いった説もあります……っ」
慌ただしく言葉を締める仲居さんに俺たちは首を捻った。まるで知り合いが始め、その変遷をみてきたかのように言う。
「そ、それではどうぞごゆっくり」
話は済んだと退出しようとする仲居さんに、そのクレイジーな祭りの名を訊いた。返事はとてもシンプルだった。
「松上げと申します」