気づけば、ひんやりとした土の上に横たわっていた。
裸の肌に、森の湿気が纏わりつく。
青い髪が、散乱した枯葉にまみれていた。
感情は、まるで凍りついているかのように、何も湧いてこない。
ただ、漠然とした不安だけが、胸の奥底に沈殿している。
どれくらいの時間が経ったのか、
不意に温かい手が私を包み込んだ。
顔を上げると、そこにいたのは屋敷の主と名乗る男性だった。
彼は私に布をかぶせ、体を抱き上げ、森を抜け、大きな屋敷へと連れ帰った。
最初に通されたのは、湯気の立ち込める浴室だった。
温かい湯が裸の体を包み込むと、微かに安堵が広がった。
主人は何も言わず、ただ優しく私の背を流してくれる。
記憶は、まるで真っ白な紙のように、何も書かれていない。
森に倒れていた近くに落ちていたというペンダントを渡された。
古びた銀色のフレームの中には、笑顔の家族写真。
そして、その裏には「20年前」と刻まれた日付。
写真に写る、青い髪の少女。これが私なのだろうか。
しかし、どんなに目を凝らしても、どんなに頭を巡らせても、何の記憶も蘇ってこない。
服を着せてもらおうとすると、なぜか体が拒絶する。
布が肌に触れるだけで、嫌悪感にも似た、
言いようのない不快感がこみ上げてくるのだ。
主人は困惑しながらも、根気強く私を助けてくれた。
少しずつ、肌を覆う感覚に慣れていく。
しかし、記憶は依然として、暗闇の中を彷徨い続けていた。
ある夜、突然、私の体が熱を持った。
理由も分からず、ただ、内側から突き上げるような衝動に駆られる。
抑えきれない欲求。気づけば、私は主人の寝室の扉の前に立っていた。
扉を開けると、主人は驚いた顔で私を見つめた。
しかし、私の体はもう、彼の存在を求めて、勝手に動いていた。
彼が優しく私の体を癒してくれると、初めて知る快感が全身を駆け巡った。
それは、言葉にできないほど甘く、痺れるような感覚。
その夜を境に、私の体は、まるで新しい生命を得たかのように、
急速に発達し始めた。
肌は潤い、曲線は豊かになり、女性としての輪郭が際立っていく。
一体、私は誰なのだろう。
どこで、どのように暮らしていたのだろう。
記憶の欠片は一つも蘇らない。
それでも、体が求めるものだけは、はっきりと分かる。
それは、男性を求める、抗いがたい欲求だった。
主人の優しさだけでは、もはや私の体は満たされない。
彼は私の変化を理解し、ある提案をしてきた。
「君の体を満たしてくれる相手を、見つけよう」
彼の言葉に、私の心は喜びで震えた。
記憶はない。自分が何者かも分からない。
それでも、この体が求める快楽だけは、確かに感じられる。
そして、私は新たな扉を開くことに、何の迷いもなかった。
うさいん
2025-06-08 00:39:58 +0000 UTCうさいん
2025-06-08 00:39:26 +0000 UTC