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【2-5】「白井弟ぉぉおお!!テメェ、お姉様に何してくれてんだあああああ!!!!」

「……静かですね」 紫色の煙でつつまれた結界を前に『水崎紫乃』がひとりでにつぶやく。そのつぶやきに、隣にいる『山田仁菜(ニーナ)』が、やや退屈そうなトーンで答えた。 「ああっ、中も見えずに音も聞こえない。これじゃあ、こちらから打つ手はないだろう」 現在二人は、教会をバックに佇んでいる…だけである。 一応、目の前に広がる結界、その中で行われている『フラグメント戦』の最終防衛ラインという役割を与えられているものの、緊張感はまるで感じられない。 「ニーナちゃんは余裕ですね。中のお姉ちゃん達が心配じゃないんですか?」 「心配する必要あるか?リフレクター4人ががりで、その中にお姉様もいるんだ。いくら白井弟のフラグメントが異質でも負けるハズがない。だから私は……」 <キェェエエエエエ> 結界の中から突如現れ、飛び掛かってくる一匹の小生物!フラグメントベビーである。 「お姉様に任されたお前の護衛をこなすのみ!!」 ニーナが剣を振り、ズバッという音と共に真っ二つに割れる異形の生物。その直後、切り口から帯電していた電気が発火し、ベビーを消し炭に変える。 「おおっ!」と紫乃が感嘆の声を上げる。 事実、これは称賛される攻撃方法であった。 もし、ただ斬っただけならばベビーは泥化し、ニーナも拘束される結末を迎えていたのかもしれない。 しかし、リフレクターの剣に自身の電撃をのせた『エーテルスキル』攻撃を繰り出す事で、偶然にもその可能性を回避していた。 <パリッ…> 「ッ痛…!」 技を使った後に訪れるウデの痛みにニーナは顔をしかめる。 「(ちっ、やっぱり正反対の想いを使う攻撃は、まだコントロールが効かねーか…強制的にルージュからブルーになったようなもんだからな。そうすぐには馴染まなねぇ)」 絶望の想いではなく希望の想いを力に変える。知識では頭に入っていることがすぐには身体で実践できないように、今までの戦いで身体に沁み込んできたクセはそう簡単に抜けてくれない。やっぱり、今の私じゃ……そんな事をニーナが考え、暗い影を落としていると。 「ニーナちゃん、お手柄です!結界が晴れていきます!これで中の様子が分かりますよ!」 ニーナの表情とは裏腹に、紫乃がうれしそうに叫び、紫色の煙が徐々に晴れていく。 しかし、内部の様子が明らかになるにつれ、その表情も、すぐに曇ったものへと変化していく。 というのも……。 『!!?』 先ほど倒したものと同じ小生物達に群がられる平原陽桜莉。 拘束され身動きを封じられた羽成瑠夏。 広がっていたのは、幾多の困難を乗り越えてきたリフレクター達の敗北が、目に見て取れる光景だったからだ。 「お姉ちゃん達!!どうしてこんな……」 紫乃が「信じられない」といった表情で口元をおさえる。 「お姉様、お姉様は!?」 一方、ニーナは、ガバッと身を乗り出すと、更に奥へと視線を移し、一番大切な人の姿の確認を急ぐ。 「っ!?」 言葉にならない声を上げて目を見開き、ニーナは、現実を直視する。 いまだダメージも見当たらず、そびえ立つ白井弟フラグメント。 そして。 その腹部に身体をとりこまれ、気を失っている――。 『平原美弦』の姿を。 「白井弟ぉぉおお!!!!テメェ、お姉様に何してくれてんだあああああ!!!!」 瞬間、怒りの咆哮を飛ばすと同時に、ニーナは地を蹴り、美弦の元へと走る! 《ピギィィィイイイ!!》 新たなエーテルの反応を嗅ぎ付け、ニーナへと振り返る全てのベビー達。陽桜莉から身を剥がし、一斉に襲い掛かる。 「ウゼェ!!」 ニーナは全出力の雷を剣にのせ、ベビー達に浴びせた。 コントロールが効かず形を保てない事が功を奏し、無差別な面攻撃がその小さな身体を確実に捉える。 《ピギャアアアアアアア!!》 荒れた雷はベビー達を一瞬で蒸発させ、チリ一つも残さない。 だが、ニーナも無傷とはいかない。 大出力の雷で、服はところどころ焦げ、自身の腕にもしびれと痛みを残す。しかしそんな事、今のニーナには関係なかった。 「(お姉様、お姉様、お姉様!お姉様!!)」 お姉様を一刻も早く助け出す!その想いが大きく膨らみ続け、痛みなど感じている暇はない。 その想いの強さに比例して繰り出す雷も、更に荒れ狂うものとなっていく。 <ト@;keiにいN:sちOne×△!!!!> 身の危険を察知したのかフラグメント本体が、何かを叫びながら新たなベビーを召喚、更には、脚部分の触手を切り飛ばし攻撃してくる……が、 全ては無効。 一瞬で蒸発。 ただの1秒もニーナの足を止めることができない。 そして―― ダン!!っという大きな足音を鳴り響かせ、ニーナはついに白井弟フラグメントの目の前へとたどり着く。 顔を上げ、意思で切りつけるような鋭い眼光で相手を見据え、 青く輝く指輪をつけた人差し指を、ビッと突き出し強く叫んだ。 「お姉様を返せ!!」 =============================== ……もうパイセン主人公でいいんじゃないかな~?というくらい山ニーナさんが活躍してますね。 早く戻ってこい白井弟。でないと、いらない子扱いになっちゃうぞ☆ 戦犯は結界から飛び出てきたベビーちゃんです。 ヤツが、瑠夏ちゃんからエーテル吸えない事が不満で、結界の外まで対象探しにいっちゃったから、パイセン無双を許す事になっちゃったんですよ~。 ここからのフラグメント攻略戦は、自分の思う『ブルリフらしさ』をきちんと描きたいと思ってるので、シブではなく、FANBOXでの全体公開にさせていただきました。 理由としては、文字数の関係だったり、物語の性質上、FANBOXの方が繋げやすかったりと、まぁ色々です。 予定ではあと3話分で決着しますので、楽しみにお待ちいただけたらと思います。それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました。

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