みんながいてくれるから 01 「姫センパイー」 苦しい授業を今日も終えて、おーじと昇降口まで降りてきたとき。聞き覚えのある声が耳に入った。 「ゆうちゃん?」 昇降口の向こうで、ゆうちゃんが元気に手を振っている。 「あ、ほんとだ」 そう言ったおーじは、 「なんだろ?」 と聞いてきた。 確かにここは、高等部の校舎。中等部、しかも1年生のゆうちゃんが来るとは、何かよっぽどのことなのかもしれない。一緒に帰宅することはけっこうあるけれど、それはあらかじめ待ち合わせの場所を校門とかで決めている時の話だ。 「ま。聞いてみよ」 わたしはローファーをトントンして履いて、ゆうちゃんのところにおーじと行ってみた。 「ーーこんにちは」 「フローラちゃんまで」 ここから死角だった柱の影に、フローラちゃんもいた。おーじがちょっとびっくりした声を出すのも無理はない。 「どしたの?」 わたしは、ゆうちゃんとフローラちゃんに聞いてみる。おーじが、 (歩きながらの方がいいかもよ) と目で言うので、一緒に校門を目指しながら。制服が違っているので、周囲から際立ってしまうと言えばその通りだからだ。 「おーじセンパイも、お元気ですか」 ゆうちゃんはニコニコしているけれど、フローラちゃんの顔色がなんとも冴えない。それにおーじも気づいたんだろう。 「うん、元気だよ。ありがとう。ゆうちゃんもフローラちゃんも、今日は授業、長かったんだね」 「んー。ちょっと違くて」 「ゆう。わたくしがお話ししますわ」 遮ったフローラちゃんの声が、少しだけ重たかった。なんだろう? 「じゃ、お願い」 ゆうちゃんは、あっさりと引き下がる。いつもの守衛さんに帰りの挨拶をして、4人で校門を通り過ぎた。ここから駅までは、まだそれなりに距離がある。話を聴きながらでも、聴き終えるには足りるだろう。 「実は……」