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ふゆとあんたと、どこまでも

あいつが、「超」がつくほどのデブ専だったって誤算はあったとはいえ、まあまあ、ふゆたちは順風満帆な交際をしてると思う。 ……ただ、あいつのために太ったのが、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ問題と言えば問題かも。 「んっふ……っふんっ……っはぁ……」 部屋で一人、スカートと格闘する。ちょっと前は届いてたはずのホックが、届かない。 「あっつ……っふぅ…ちょ、ちょっと横になって……」 癪だけど、一回寝転がる。……起きんのが大変だけど、とりあえず今はスカートの方。 重力で、お腹の肉がちょっと凹む。苦し…けど、そっから更に息を吸って…。 「んくっ……っふぅ…!……っはぁ…入っ…たぁ…」 ギリギリだけど、ホックが止まる。ちょっと食い込む感じがするけど、まあ、履けてるって言って良い。 「……ふんっ…!……っはぁ、ま、そうよね……」 起き上がろうとして、ちょっと体を浮かせる。本当に、ちょっとだけ体が浮いて、すぐに床に落ちる。どすんっと、自分の身体からしたとは思えない大きい音がした。 「……はぁ、っしょ……んふっ…っしょ……ふー……せーっの…!」 一回うつ伏せになって、ベッドの端に手をかけて、思いっきり立ち上がる。 「ふぅー……ほら、見なさい。……ふふんっ、ふぅ…ちゃんと、履けて……」 姿見には、汗だくデブ女。はぁはぁって息をしながら、勝ち誇った顔してるのがなんともまぁ、間抜けね。 「……あっつ…」 汗を軽く拭うために腕を上げる。ムッとする汗の臭い。 ブツッッ…! 「っ……」 腰のあたりから、いやーな音がして、お腹周りが楽になった。 「……なんなのよ、もう…!」 スカートが、また一つダメになった。 「ってわけで、目的地変更ね」 「了解」 助手席でこいつに事の顛末を告げると、一も二もなく頷いた。ま、ふゆがこんな、目を見張るくらいのデブになったのは全部こいつのせいだから、当然っちゃ当然よね。 「それ、美味いか?」 喫茶店でテイクアウトした生クリームとミルクたっぷりの冷たいドリンクは、ふゆの身体に染みてくるみたい。甘くって美味しい。カロリーは、まあ、高いんでしょうけど。だから、選んだってのもある…♡ 「悪くないわねー。…あげないわよ?飲みたきゃ後で自分で買いなさい」 「ははは、流石に冬優子から食べ物とか飲み物を貰おうとは思わないよ」 「それ、どういう意味かしら?」 「いや、他意はないぞ…?」 太めのストローで、クリーム毎中のドリンクを吸う。あっま。 「んむ……なに?」 信号待ちで、こいつの視線を感じる。別に、ふゆの事なんて常日頃から散々見てるのに。 「いや……その、スカート履けなくなったって……そういう事だよな」 「っ…!んふっ…!そ、そうだけど…それがどうしたってのよ」 突然何を言い出すかと思えば。そもそも、誰のせいでふゆがこんな、常識外れの大デブになったと思ってんの。 「……罪悪感と、興奮と、どっちを表明しようか悩んでいる」 「罪悪感なんて表明してみなさい、降りたら即蹴っ飛ばすわよ。……ふゆが決めて、ふゆがした事なんだから、あんたはありがたーく受け取っときなさい」 「……じゃあ、凄くドキドキしたって事だけ、伝えておくよ」 「ん、よろしい」 ズズッ……って音を立てて、甘ったるいドリンクを最後の一滴まで飲み干す。 実際、こいつのせいだけじゃない。 そりゃ、ふゆだって、こいつが十分興奮したし、現状維持に留めるつもりだった。 けど、この体型は厄介で、いつでもお腹がすくし、油とか、脂とか、砂糖とかがたまんなく美味しく感じる。 その上、こいつはふゆの体重が増える度、ふゆの脂肪が増える度に、こうやって反応する。 それを耐えて、現状維持に努められるほど、ふゆの精神も肉体も強くはなかった。 吹っ切れたって言うべきか、諦めたって言うべきか、どっちかわかんないけど、結局ふゆの体重は、微増を続けてる。 それこそ、前履けたスカートが履けなくなるみたいに。 「……あんたって、上限あるの?」 「上限?」 「ほら……体型って言うか、体重って言うか。別にふゆもそんなに太るつもりないけど、一応聞いとこうかと思って」 「んー……考えた事ないな」 運転しながら、そんな事を話す。とても、素敵な昼下がりに似合う会話じゃないわね。 ふゆは自分のお腹に手を当てる。そろそろ、自分でもウエストを掴むのがしんどくなってる。車のシートに座ると、太ももにお腹が乗っかって、お尻が狭くて、ドアにぶつかってる。脚を閉じるつもりもないのに、スペースが無くて、ふゆの太ももはみっちりくっついてる。 日本中探しても、滅多に見つからないくらいの体型だけど、こいつは、むしろ喜ぶばっかり。 けど、こいつの守備範囲から外れるのはふゆにとって一番の最悪だし。やっぱ、聞いといて損はない。 「……まず、大前提として、俺は冬優子なら別に何キロでも大好きだよ」 「っ…!……そ、そういう事聞いてんじゃないのよ…!ったく……」 「ははっ、一応言っておこうと思ってな。……上限なあ、考えた事ないけど、無理だって思ったことも無いから、そう言う事なんじゃないか?」 「いや、ふゆに聞かれても知らないけど。……え、あんた本気で上限って言うか、無いの?流石にそこまで太られるのは無理……みたいなの」 ふゆだって、こいつの趣味を調べるためにまあ、きっとそれなりに深いとこまで見た。それこそ、今のふゆでも全然及ばないくらいの体重の動画も、見た。 正直、あそこまで太るなんて有り得ないと思うけど……。 「思い浮かばないな……これは流石に行き過ぎかもしれないけど、俺は冬優子なら世界一重くても余裕で愛せるよ」 「せかっ……バカ、そんな称号欲しくもなんともないわよ…!」 「じゃあ日本一」 「そう言う事じゃないっての!」 「ははっ、まあそう言う事。ああ、もちろん、冬優子がダイエットするって言ったら応援するし、俺は痩せててもやっぱり冬優子が好きだよ」 「……そういうのは、説得力がある行動を取れるようになってから言いなさいよね。……あんた、自分が思ってるより数倍気持ち悪いわよ、ベッドの中とか特に」 ふゆのお腹を一時間でも二時間でも触ってそうなこいつは、正直かなりアレ。 ふゆじゃなきゃ、とっくに別れ話を切り出されてるところだと思う。 「え、そ、そうなのか…………気を付けるよ……」 「ちょ、別に嫌なんて言ってないでしょーが。客観的事実を述べたまでよ」 「……まあ、冬優子が許してくれるなら、それで良いけど」 「ふんっ、変な事考えないで、あんたは今までと一緒でいいのよ」 空になった容器を、車に置きっぱのゴミ袋に入れた。これもそろそろ片付けなきゃね。 「……あのさ、冬優子。ちなみにどういうところが気持ち悪いか教えてくれないか……?」 「だーかーら、気にしなくて良いっての!」 情けない表情をするこいつは、結構面白いので、もうしばらく教えないでいよう。ふゆは密かにそう思った。 「大きい服専門って言うわりに、ふゆサイズまでくると品揃え少ないのよねー」 「ははは……通販とかはあるんだけどな」 「それはそうだけど、現物が見れるに越したことは無いじゃない?……まあ、結構買っちゃったけど」 買った洋服を半分こいつが持つ。空いた片腕はふゆと組んで歩く。……歩くのが、ちょっとしんどいから、これが結構楽。こいつに少し体重を預けて、ちょっとだけ早足で。 「ふぅ…そろそろ、お昼時ね」 「そうだな。何か食べたい物とかあるか?」 「んー……あんまりないわね。荷物も多いし、ちょっとゆっくりしたいから、ファミレスとかで良いんじゃない?」 「じゃあ、そうするか」 こいつの腕を、ふゆの身体に押し付けるみたいに腕を組んで歩く。時々、手のひらがふゆのお腹を撫でるようにもぞもぞ動く。 「……こんなとこで盛んないの」 「あ……あー……すまん」 「っとに、筋金入りね……」 ふゆの胸とお腹の肉にむにゅうって埋まった固い腕。普通のカップルみたいに腕を組みたいけど、ふゆの体型では、どっちかっていうと飲み込んでるみたいになる。 「…そういうのは、帰ってからにしなさい」 「……ん、そうだな」 釘を刺すと、それ以上はなにもしなかった。 ……ま、気持ちは分からないでもない。自慢じゃないけど、ふゆの脂肪の触り心地がいいのは事実だし。……ふゆだって、自分で触って、ちょっと気持ちいいって思う事が無いわけじゃないし。 「あそこで良いか?」 「ん、いいわよ」 こいつが指さしたファミレスに入って、ひと息つく。 荷物の量を見たのか、ふゆの体型を見たのか、4人席に通された。もちろん、ふゆはソファに座る。普通の椅子は、壊しそうで怖いし。 「ふぅ…荷物、こっちに置いたら?」 「あー、スペースあるか?」 「あんた…、ふゆがどんだけ太いと思ってんの。流石にあるわよそんくらい」 二人分の席に荷物を置いて、お腹が楽になるようにちょっと机をずらして、あんまり可愛くないけど、足を開いて座る。それでも、まあ……人一人分は無いけど、やっぱり荷物を置くくらいのスペースはある。 「冬優子、お腹は……空いてるよな?」 「なっ、……そうだけど、なんか決めつけられんのはムカつく」 靴の先っぽで、ちょっとこいつの靴を踏む。ほとんど体重はかけてないけど、それでも、ふゆの体重だ。ちょっとは痛いだろう。 「いてて、すまん、つい。……はい、メニュー」 「ん。ってか、あんたは決まったの?」 「まあ大体」 「そ、じゃあふゆもさっさと決めちゃうわね」 「いいよ、ゆっくり決めれば」 意味のない会話をしながら、食べたいものを選んでく。こういう、無駄で無意味な時間は、嫌いじゃない。 前はそれこそ、何個か食べたいのがあっても、その中から選ぶって時間があった。別に優柔不断ってわけじゃないけど、それでも人並みには迷ったりしてたし。 今は、食べたいもの全部頼んでも、普通に食べきれちゃう。だから、選ぶ時間が短くなった気がする。 「ふゆはこのパスタと、こっちのピザ、あとこのカレー。……あんたも一口食べる?」 「あー、ピザ一切れ貰うよ」 「ん。じゃあ……こっちのピザも追加で。いい?」 「もちろん。俺の財布は冬優子にご飯食べさせるためにあると言っても過言じゃないからな」 「なにバカ言ってんの。……飲み物は、いつも通りドリンクバーでいいわね」 「そうだな。じゃあ店員さん呼ぶか」 そう言ってテーブルのボタンを押した。ふゆはメニューから顔を上げる。休みの昼時だから、まあまあ混んでるわね。 ……ん? 「うわ……すご、あの人」 「ね、何食べたらああなるの……」 「男の人、彼氏かな……」 「あんなデブに?ないでしょー、あれじゃない?レンタル彼氏」 「あーっ、ありそー…!」 「……」 ……陰口くらい、もうちょっと上手くできないものかしら。 「お待たせしました。ご注文をどうぞ」 「えっと、この期間限定の冷製パスタを一つと……」 「このアラビアータ一つと、マヨコーンピザとパンチェッタピザ一つずつ、それから夏野菜カレーを一つ、ドリンクバーを二人分。以上でお願いします♡」 「か、かしこまりました。ご注文、繰り返させていただきます」 ふゆが、ふゆモードで注文を頼む。目の前のこいつと、ついでにふゆに陰口叩いてた二人が目を丸くしてるのが分かった。 「以上でよろしかったでしょうか…?」 「はいっ、お願いします♡」 とびっきり可愛く返す。 流石に、この量とふゆの体型に店員も驚いてる。ま、驚かない店員なんて今までいなかったし、ほとんど顔に出てないから及第点ね。 「……ふふっ♡」 ついでに、ふゆに陰口叩いてた二人にも、たまたま視線が合っちゃいました~みたいなテンションで笑顔を投げておく。 「っ…」 「っ……」 ほら、バツが悪くて顔を逸らした。悪口言ってる自覚があるなら、反撃くらい考えときなさいな。 店員が下がって、あとは驚いた顔のこいつだけ。 「……ど、どうかしたか冬優子?あ、知り合いとか……」 「ううん、なんでも。……ちょっとふゆのことバカにした声が聞こえたから、笑顔振りまいてやっただけよ」 たかだか100kg太ったくらいで、ふゆの笑顔の威力が無くなるわけない。……100kgはちょっとサバ読んだわ。 ま、なんにしろ、太ったくらいでふゆの処世術が甘くなるわけもなし。これであいつらも、少なくともふゆたちが食べてる間くらい静かにするでしょ。 「……」 「なによ、納得いかない?」 「そりゃ、恋人をバカにされたらな」 まだちょっと、視線を感じる。懲りないのね。 目の前のこいつの手に、ふゆの指を絡める。太い、ソーセージみたいな指が、こいつの固くて長い指に絡む。同じ人間とは思えない違いね。 「……冬優子?」 「なーに?……別に、ふゆは気にしてないわよ。ちょっとだけムカついたけど」 そりゃ、ふゆだってこいつ以外彼氏が出来るとは思わないけど、なんかこいつをバカにされたみたいで癪。 手のひらを握ったり、ちょっと腕の方まで指を伸ばしたり。お腹と胸をテーブルに預けて、ちょっと息苦しいけど、こいつの腕を堪能する。 「……くすぐったいんだが」 「いいじゃない。恋人の特権でしょ。……あんたの、そういう妙に正義感強いとこ、嫌いじゃないし」 「……褒められてるのか?」 「まあ、そこそこね。……はい、この話終わり。料理が不味くなるわ」 「…まあ、冬優子が満足したなら、それでいいけど」 手を離して、もう一度あいつらの方を見る。バツが悪そうに、メニューに視線を落としてた。 ふふんっ、ふゆの勝ちね。 ふゆがスカッとしてると、こいつがふゆの手を握り直す。 「あ、でも一つだけ、あんまり『ふゆ』にならないでくれ」 「ん、なんでよ。別に良いじゃない」 「良くない。俺以外が、冬優子に惚れたら困る」 真面目な顔で、そんな事言うもんだから、ついこっちが唖然とする。 「……あははははっ、なーにバカな心配してんのよ。ふゆがあんた以外に靡くわけないんだから、安心しときなさい」 「それなら、良いけど。……よし、飲み物取ってくるよ。いつものでいいか?」 「ん、お願い」 席を立って、飲み物を取りに行ってくれる。 けどホント……おっかしー、ふふっ。 「今更、あんた以外考えられるわけないでしょ」 そうでもなきゃ、人前であんなに注文したりしないし。 ふゆがどれだけ食べても、引かないどころか興奮するような変態、今更乗り換えられるわけないのに。 ホント、自己評価が低いというか、自己認識が甘いというか。 「お待たせ……どうかしたか?」 「んーん、なんでも。……ちょっとあんたの事を憂いてただけ」 「え、な…なぜか聞いても?」 「ふふっ、教えてあげない♡」 「そ、そんな……」 ま、しっかり自己認識して、ふゆを手放すような事があったら困るし、これはふゆだけのモノにしておこう。 「……さて、食べましょ」 料理が運ばれてくる。四人掛けテーブルに、いっぱい。 こいつの前に一皿、ふゆの前にパスタとカレー、あとピザが二枚、二人の間に。テーブルが狭く感じる。 「いただきます」 「お、おう。いただきます」 まだちょっと不服そうなこいつをほっといて、パスタとカレーの皿を少しずらして、ふゆはとりあえずピザを四等分にして、一枚手に取った。 食べてくと、胸とお腹が つっかえてもっと苦しいから、今のうちに遠くの物から胃袋に収めておく。これ一枚で、それこそさっきの連中なら満足するだろう。四分の一枚でも、前のふゆなら躊躇った。 「あむ…んむ。ん、美味しい」 けど、今のふゆはむしろ率先して食べる。 ふゆの悪口を言ってた連中に、こんなに食べてこんな太っても愛してくれる甲斐性のある彼氏はいるかしら?なんて、性格悪いわね、ふふっ。 手の指が、油分でべたべたしてくる。口の中いっぱいに、ハイカロリーな味が広がる。美味しい。 「んむ……っふぅ、んく…ふー。……んむ」 あっという間に一切れ食べて、取って来てもらった飲み物……砂糖たっぷりのコーラを一口飲んで、もう一枚のピザに手を伸ばす。ふゆが食べてる間に、切っといてくれてる。そういうとこ、流石よね。 「っむ…ん、んっく。……なによ、ジロジロ人が食べてるところ」 「え、あー……いや、よく食べるなって。……それがこう、嬉しいというか、なんと言うか……」 一生懸命言葉を選んだって、言いたいことは大体わかる。 「……ね、あんたってメニューのカロリーとか見るタイプ?」 「え、あー、気にする時もあるけど、今日は見てないな……どうして?」 「……これ、全部で3500kcal。……そういうの、大好きなあんたなら、どんくらいのカロリーか分かるでしょ?」 「っ……」 こいつの喉が鳴る。3500kcal、大の男が一日に取るべきカロリーよりも高い。……それを、たった一食で取ろうとしてる。 こいつが、それに反応しないわけない。 「興奮、したでしょ♡」 「……人がせっかく、言わないように」 「ふふんっ、バレバレよ。……んむっ、おいひ…」 「…………止めてくれ、俺がもたない」 「どうしようかしら~」 ピザを一切れ、また食べ終えた。コーラを一気に飲む。 「っふぅ……自分で頼んでおいてなんだけど、見事に炭水化物しかないわよね。……また太りそう♡」 「冬優子……!」 「なーに?別に変な事言ってないでしょ、ふふっ…」 フォークを取って、パスタをくるくると巻いていく。ちょっと汗が出てきた。じわじわと。 テーブルに、胸とお腹がぶつかって、少しズリって動く。お尻の位置を少し直すために、どすっ…てソファに座り直す。 こいつが喉を鳴らす。目の前の料理じゃなくて、ふゆに。 「あむっ……んふ、こっちも美味し。……ね、飲み物、取って来てくれる?」 「……ちょっと、今は。……立てん」 「ふふ、そ、ざんねん♡」 ちょっとだけお行儀が悪いけど、右手でフォークをもって、左手でピザを持って、交互に口に運ぶ。油と炭水化物とが、一気にふゆの胃袋に落ちていく。 背中がゾクゾクする。他人の事言えなくなったわね、ホント。 これじゃあ、こいつの性癖にふゆが付き合ってるんだか、ふゆの性癖にこいつを付き合わせてるんだか、分かったもんじゃない。 「ね、デザートも頼んでいいでしょ?」 「……もちろん」 出来るだけ、クリームとか、ソースとかがたっぷりかかってるのにしよう。カロリーを見て、一番高いやつにしよう。そう思いながら、ピザをもう一切れ掴んだ。こいつの分を残すなんて頭、もうどっちにも残って無かった。 「ふぅー……んっふ…」 胃袋の奥から、油っぽい空気が上がってきてそれを飲み込む。流石に、公共の場ではげっぷとか出来るわけない。こいつの家なら、まあ、考えてあげてもいい。 デザートのパンケーキもしっかりと食べきって、お腹が重たくって、少し触ると、スカートの奥に固い感触がある。ざっと4200kcal。ふゆと同い年くらいの女子が必要なカロリーが2100kcalくらい。つまり、他の子が一日に取る量の、倍のカロリーを、一食で蓄えた。 そりゃ、太らない筈がない。運動も碌にしないで、バクバク食べて、これで太らないわけないわよね。 朝、スカートに負けて、もう一個大きいサイズのにしたはずなのに、お腹のところが苦しい。ウエストのベルトが、ふゆのお腹を上と下に分けて、テーブルの下にも上にも脂肪が溢れる感覚。一ミリだって動きたくないし、お腹が引っかかって、テーブルを動かさなきゃ動くのもしんどそう。 ……でも、多分、まだ食べられるし、目の前に何か食べ物を出されたら、食べちゃうと思う。 あー、ホントにダメ。ダメだって、分かってんのに、やめらんない。 「ふぅ…んふー…ふぅぅ……」 「…お腹、苦しいか?」 「……ま、ちょっとね。……でも、平気」 「……この後、どうする?」 コーヒーを飲みながら、こいつが聞いて来る。外じゃなかったら、きっとふゆのお腹に顔を埋めて、じっくり堪能したいんでしょうね。さっきから、ふゆのお腹をずっと見てる。ブラウスとスカートを押し上げて、ブヨブヨってせり出したお腹を。 「……ふゆは、買うもの買ったし、ふぅ……平気。……あんたは?」 「俺は……平気。…お腹、苦しいなら、俺の家でいいかな」 「……ふふ、ええ。良いわよ。……あんたのお望み通り、ね」 「ぐ……敵わないな……立てるか?」 「ん。ふぅぅ…平気…」 こいつが先に立って、テーブルをずらす。背もたれに身体を預けててもお腹がくっついてたテーブルが動いて、ちょっと楽になる。 「冬優子、荷物」 「ん、はい」 ふゆの横にある荷物を渡して、テーブルに手をついて、こいつに腕を取ってもらって、ようやく立ち上がる。お腹が重くって、ちょっと背中を反らないと歩くのがしんどい。 「ふぅ……んふ…あんま、くっつかないで、……お腹、まだいっぱいだから」 いつもみたいに腕を組もうとしたこいつを制する。しょうがないので、手を握るだけ。 「……早く戻りたいでしょ」 「……まあ、な。……わかるか?」 「だって、あんた顔に出やすいし。……んふっ、先、出てるわよ」 身体を横にして、通路を通って店の外に出る。お腹の奥で、さっきの料理たちを消化してる感覚。お腹が、ぐるぐるってうごいてる。……また、太る…♡ 「はぁ……ったく、全部あいつのせいよ、本当に……ふふっ」 まあ、満更でもないけど。……この後が楽しみで、やっぱり背中がゾクゾクと震えた。 「……ホント、よく食べるようになったよな」 車の中、駐車場に向かう途中でアイス屋でカップのアイスを買った。今はそれを口に運んでる。冷たくて甘い。沢山食べて熱くなった身体が、ちょっとクールダウンする。 「誰かさんが喜ぶんだもの。……ふゆってば、恋人思い」 「ははっ、本当に。……あ、でもさっきみたいなのはやめてくれ」 「え~、さっきみたいなのって、どれの事ですか~?」 「……そういうのも」 「ふふっ、良いでしょ、たまには。……さっき、店で陰口言われてたのよね。何食ったらああなるんだーとか、そういうの」 「ん…………そうか」 「ま、ふゆがニコニコしてやったら、バツが悪そうにしてたけど。あーいい気味っ♪」 「ははは……強かだな」 「褒められてると受け取っとくわ。……でも、ふゆ思ったのよね。あんたが居ると、そういうの全部、むしろ『で?あんたらには、こんだけ太ってもベタ惚れしてくれる奴はいるの?』って」 「ベタ惚れって……まあ、そうだけど」 「でしょう?……だから、ま、あんたが気に病むような事じゃないっての」 「……バレてるんだよなあ、そういうの」 ハンドルを握ったまま、こいつが苦笑する。 「トーゼンじゃない。ふゆを誰だと思ってんのよ」 「俺の素敵な恋人」 「っ、そ、そういう事言ってんじゃないの……!ったく……」 少し溶けた甘ったるいアイスがふゆの舌の上にあるからだ、この、妙な口のもどかしさは。 「……ふゆは、あんたで良かったって今も思ってるから、安心なさい」 「ん、そうする。……お腹、もう平気か?」 「んなわけないでしょ、あんだけ食べてもう平気だったら、いくら何でも化物よ。……まだちょっと苦しいし、ほら、パンパン」 指をお腹に埋めてく。いつもなら、スカートが破れるんじゃないかってくらいむにゅうって贅肉に沈んでくのに、今は、割とすぐに止まった。 こいつの喉が鳴った。軽く頭を振って、前だけを見る。 「……運転中は本当にやめてくれ」 「……うん、今のはふゆが悪かったわ。ごめん」 「……早く、戻らなきゃな」 「そうね。……早くしないと、全部消化しちゃうものね」 「……まあ、そう言う事」 まだ夕方にもなってないのに、車の中はどこか、粘っこい雰囲気だった。 「…………今日、泊まるから」 「ん、わかった」 そういえば、まだ言ってなかった。今更だと思うけど。 「んふ…んふぅ……」 「っはぁ…冬優子……んむ……」 帰ってくると、シャワーも浴びず、買った物の入った袋を適当に置いて、服を脱ぎだす。 スカートのベルトを緩めて、ホックを外す。やっぱり、少しきつい。床に下ろして、ベッドに腰かける。ギシ…って音がした。脚を思いっきり開いて、ショーツを見せつけるみたいな格好。 ブラウスを脱ぐ。ボタンを外して、はだけさせるとふゆの汗の臭いがムッとする。ちょっと油っぽい汗の臭いは、まさしくデブの汗の臭いなんだと思う。自分では臭いと思うけど、こいつは凄く好き。 ショーツがパツパツに張り詰めてて、下腹を締め付けてる。今にもゴムがちぎれそうで、下にズリ下ろすと、お腹の肉がぼよんって前にせり出して、太ももを隠す。 「冬優子、イイかな……」 「ん、好きにして良いわよ…」 ふゆがそう言うと、待ちきれなかったみたいにこいつが、ベッドの端に座るふゆの脚の間に入る。ふゆが、わざと大きく脚を開いて、下品な格好してたの、こいつのためだ。 「んむ……凄い…むにむに柔らかいのに、奥が堅くて、腕を回すのも精一杯で……」 「んふっ…♡…満足……?」 「ああ、凄く……気持ちいい、ずっとこうしてたい…」 ふゆのお腹に顔を埋めて、深呼吸しながらうっとりしてる。背中がゾクゾクして、ショーツが濡れるのが分かる。 「ふぅ…んふ…♡また太ったの…♡…前より、重たいでしょ?」 「……ホントだ」 ふゆのお腹を下から持ち上げて、ぶるんっぶるんって揺らす。ブラに包まれた大きい胸が揺れて、お腹の奥が重たくって気持ちいい。 「…グルグルって、鳴ってる。さっきの、消化してるのかな……」 「かもね……んふっ…♡」 まだちょっと固い、上の段と、ぶよぶよで脂肪しか感じない下の段。大きな二段になったふゆのお腹、その段差に手を挟んで、たぷたぷって揺らす。 お腹の肉が震えて、ぺちぺちって太ももに当たる間抜けな音がする。 信じらんないくらいのデブになって、全身が贅肉まみれになって、けど、それがこんなに気持ちいい。 「っふぅ…♡んふぅ…♡♡…苦し…♡」 「あ、ああ……すまん」 「いいわよ……っふぅ…♡別に…♡」 お腹を手で押されて、ムニュムニュって贅肉が沈む。ちょっと苦しくて息が漏れる。けど、ジンジンってお腹の奥が熱い。こいつの、ケダモノの部分が全部ふゆに向かうこの瞬間が、たまんない。 「すごい……後ろから持ち上げても、凄く重くって…冬優子のお腹、俺の手がすっぽり埋まっちゃう」 「んふぅぅ…♡…嬉しい?……ふゆが、こんな太って…♡」 「ああ……凄く。……あ、でも…太ってるからってだけじゃないからな…?」 「ふふ……ふぅー…♡説得力、全然ないわよ…♡」 背中に、……ふゆの背中と尻の肉に、こいつの固いのが当たってる。ぐにぐにって、贅肉に押し付けられて、そこが熱くなる。 「いいじゃない…あんたは太ってるふゆが好きで、ふゆは、太った身体をあんたに触られるのが好き♡……それだけで」 「……そう、だな…」 お腹に回した手を、むにゅむにゅと動かす。脇腹の深い段差をなぞって、指を入れてぶるぶるって震わせて、お腹の下、太ももの間に手を挟んで、下からだぶっだぶって揺らして、下腹を掴んで、ムニュムニュ、指を沈み込ませて。 他のとこ、胸も、お尻も、アソコも、一切触ってないのに、ふゆのお腹の奥はドンドン熱くなって、ショーツが、意味ないくらい濡れる。 「……ね、脱がして♡」 「っ、ああ……」 ふゆの前に戻って、前から、お尻に手を伸ばす。お腹に顔を埋めながら、ふゆのお尻を、手がまさぐって、ショーツのゴムをずりずり下げていく。 肉が引っかかるみたいに、ちょっとずつショーツがずり下がってく。 「……腰、上げて」 「んふぅぅっ…♡っふぅぅ…♡」 ベッドにおもいきり体重をかけて、ちょっとだけ両手でお尻を浮かせる。ショーツを脱がせて、前に持って来る。ふゆの脚の間に、枕カバーかってくらい大きな布がひっかかる。 しかも、後ろの方は汗で、前の方はふゆので、ぐっしょり濡れてちょっと透けてる。まだ触られても無いのに、ふゆのアソコはぐしゅぐしゅになってる。 「脚、浮かせて」 「んふぅ…ふぅぅ…♡」 たった数秒、身体を持ち上げてショーツを脱いだだけで息が上がった。 そのうち、こういうの全部、コイツがいなきゃ出来なくなるかもしんない。 服を着るのも、シャワーも、お風呂も、トイレも、食事も、性欲の処理も、全部全部、こいつが居なきゃ出来なくって、一人じゃ何にもできない、ただ太るだけの女に。 「……っふぅぅぅぅ…♡♡」 想像したら、背筋にものすごい快感が走った。アソコがキュウって、何も挿入されてないのに疼く。 ベッドの上で、立つことも出来なくて、こいつにお世話されながら、ずっと贅肉を触られて、愛を囁かれて。……そんな、最悪の生活が、想像するだけで、脳が真っ白になるくらい気持ちいい。 「……冬優子?」 「っはぁ…んふ…ふぅぅ…♡♡♡な、なによ…♡」 「……なんでもない。……冬優子、今の体重、聞いてもいいかな」 「んふぅ…ここに、体重計、持って来れば、いいじゃない…♡♡」 「……たしかに、その通りだ」 こいつが立って、脱衣所に向かう。何も着てないから、ガチガチに立ってるアレが嫌でも目に入る。 お腹の奥が疼く。さっきの想像が、まだ脳裏にしっかりと焼きついてる。 ベッドの上で、立てもしないで、贅肉をぶよぶよ揺らしながら、ご飯を食べさせられて、トイレの処理なんかもされて、そんで……あいつので、毎日全身を犯されて……。 あいつの欲望全部、ふゆの身体に蓄えたみたいなデブになって、それでも、あいつに毎日毎日愛される。そんな、女としても、人間としても終わってる生活に、ふゆのお腹の奥が、ギュウギュウって痛いくらい疼く。 こんな破滅願望、知りたくなかったわよ……♡♡ 「……冬優子、乗ってくれないか?」 「……いいわよ、ふぅ…乗ったげる……♡♡」 ベッドの脇に置かれた、体重計。普通のやつ。昔のふゆが、1kgで一喜一憂してたやつ。 今のふゆも、多分、1kgで一喜一憂する。減ってるか増えてるか、真逆だけど。 「ふぅ…手、貸して」 「ああ、もちろん……」 こいつの腕を掴んで、脚を体重計に乗せて、ベッドから立ち上がる。なんだかもう、半分、その領域に入ってるかも♡ 多分、もう、ひとりで起き上がることは出来ない♡こいつがいないと、そのうち、ベッドから立つのもしんどくなるかもしんない♡ 「……前測った時、167kgだっけ」 「ふぅ…♡…よく、覚えてるわね…♡」 もちろん、ふゆも覚えてる。たった、半月前の話だ。……その後、170kgを越えてから、測ってない。 「……変態♡…デブ専♡」 全部、自分にも返ってくる言葉だ。自分からこいつのためにって言い訳して、自分からバカみたいに食べて、自分から、ぶくぶく太ってる…♡♡ 体重計の文字は、ふゆのお腹のせいで、もう見えない。けど、こいつの顔が、生唾を飲んだ喉が、またふゆが、太ってる証拠♡♡ 「…んふ、何キロだった…?」 「……179kg…」 「ふぅ…そう…♡♡……ね、あんた…ふぅ…♡♡」 ふゆが、ベッドにもっかい座る。どしんって音がして、ベッドが軋む。体重計から変な音がした。 腕を広げる。ムワァって汗の臭いがして、二の腕の贅肉が垂れる。全身の脂肪が、ふゆが息するだけでふるふるって震える。 こいつが、ふゆの腕の中に入ってくる。抱き合って、耳元で囁く。ふゆのぶよぶよの身体を、全身で堪能するこいつに。 「…言ったわよね…♡♡……ふぅ、世界一重くても、ふぅ…愛せるって…♡♡♡」 「っ……ああっ……」 ふゆのお腹に、こいつの固いのがむにゅうって潰れて、びゅくっびゅくって射精する。 「んふぅぅぅっ…♡♡♡っふぅ…でてるっ…♡♡♡」 お腹に押し付けただけで射精しちゃう変態と……世界一重くなることを想像してイっちゃう変態。きっと互いに、世界中で一番、お互いが必要。 「……ちゃんとっ…♡♡んふぅぅ…♡♡…守りなさいよっ…♡♡んふっ…その、っふぅ…言葉…♡♡♡」 しちゃいけない事、やめなきゃなんない事。そういうのが、音を立てて崩れてく。 でも平気、ふゆとこいつは、一蓮托生だから。きっと、どこまでも、二人で一緒。 「ふゆが、世界一太った女になっても…♡♡♡…一生、愛しなさいよ…♡♡♡♡♡」

ふゆとあんたと、どこまでも

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