「ふぅ…んふ…んむ…ふぅぅ」 荒い息と咀嚼音が響く。 やけに明るい部屋に彼女はいた。赤いランプのついたカメラを前に、一心不乱に胃袋に食べ物を詰める。 チーズのたっぷり乗ったピザを切り分けもせず口に運び、油の塊のようなフライドチキンを口に頬張る。 「んぐっ…んっむぅ…んふぅ…んぐっぐっぐっ…」 もはや食器すら使わず手づかみで。 全裸の身体には食べカスが落ち、シーツは汗ジミと食べカスでみるみる汚れていく。 ペットボトルのコーラを片手に、口につけて煽る。 「っふぅぅ……っげぇえええっふぅ…ぐふぅ…♡」 大きなゲップ。その表情は恍惚に満ちている。 「んふぅ…んむ…げっぅふぅ…」 そしてまた、食べる。ひたすらに。 アイドルと言っても成功するのはほんの一握りで、殆どの場合は鳴かず飛ばずで散っていく。 「ウソ……ですよね…?」 「…いや……本当ですよ」 彼女、貴島紗希もその一人だった。アイドルを目指し、なんの寄る辺もない東京に出てきたものの、やっとの思いで所属した事務所は、あっさりと彼女を切り捨てた。 「そんな…ねぇ、愛美さん…!」 マネージャーでもあり、彼女を見出した張本人でもある金森愛美は、悔しそうに唇を噛んだ。 「…紗希さん、私も……心苦しいんです。……でも、紗希さんはまだ若い、将来だって未来だって…」 その言葉がどれほど空虚か彼女は知っていた。だから、言葉に詰まった。 「……私が、デブだからですか?私に、魅力がないから…!」 「そんなことはありません…!紗希さんは、本当に魅力的で…」 「いいんです…知ってましたから……そう言われてるのも。…ネットとか、見ちゃったらすぐ分かりますもん」 事実、紗希は人より少しばかり骨格がよく、脂肪も付きやすい体質だった。 それでも必死に節制をして、標準体型の枠には収まっていたのだ。……けれど、厳しいアイドルの世界において、標準体型とデブは紙一重なのだ。 「……私、失礼します…。新しいお仕事とか、…実家に戻るかもとか……色々考えなきゃいけませんから……」 「……はい」 愛美には、紗希を止められず、去っていく背中を見守るしかできなかった。 アレから半年が過ぎた。 それでも、アイドルを目指して新しい若き少女はまるで筍のようにドンドンと増えていく。 それでも、愛美は紗希の事を忘れたことなどなかった。 もしかしたら、どこかで新しいスタートを切っているかもしれない。そう思いながら、日々を生きていた。 そんなある日、動画配信サイトの切り抜きがSNSで流れてきた。事務所のアカウントではない、愛美個人のアカウントの方でだ。 仕事を抜きにしても、アイドルや配信者が好きだったから、その動画を目にすること自体は不思議ではなかった。 「っ……!」 何気なく再生された動画を見て、愛美は一瞬言葉を失った。 『みんなありがと〜♡じゃあ、今日の体重ね♡…わぁっ!85kgだって、サキサキ、また太っちゃった〜♡みんなのせいだぞ〜♡』 甘ったるい声、少し舌っ足らずな喋り方。忘れるわけがなかった。 顔の輪郭が丸くなり、下着のような格好の身体はだらしなく弛み、腹肉がせり出して、腕の脂肪がぶるぶると震えている。 『サキサキにもーっとご飯食べてほしい〜って人は、チャンネル登録と、高評価、忘れないでね〜♡それから、食べ物の宛先はこっち、ほしい物リストもいーっぱいお菓子入れてるから、サキサキにもーっと太ってほしい子は、こっちもよろしくね♡それじゃあ、また次の動画で会おうね〜バイバーイ♡』 腕を振るだけで、二の腕の脂肪がゆさゆさ揺れていた。 ほしい物リストを開けば、カロリーの高そうなスナック菓子やL単位のアイスが並んでいた。 チャット欄には「お腹かわいい!」「もっと太ってほしい〜!」「100kg以下はまだまだ」などと好意的なコメントで溢れていた。 中には、赤い背景のコメントもある。 ……愛美は思わずそのチャンネルを覗く。 最後に出会った頃から、少しだけふっくらした紗希が、一番最初の頃の動画にいた。 それが2ヶ月としないうちに更にふっくらと肥え、その頃から食事配信や、体重測定、スリーサイズ測定などが増えていた。 そして、今やそれ一色だ。チャンネル名こそ『サキサキのお部屋』と可愛らしいが、内容はとても恐ろしかった。 「紗希……」 だと言うのに、愛美はつい思ってしまった。 「良かった……」と。 「愛美さんにまた会えるなんて、びっくりしちゃいました」 紗希の配信に映っていた部屋は、愛美が何度か訪れた紗希の部屋だった。近々引っ越すらしいので、その前に捕まえられたのは僥倖だ。 「そうですね……私も、紗希さんが元気で…安心しました」 果たして、30kg以上も増量した彼女を元気と言っていいのか、少しだけ言い淀んだ。 間近で見ると、動画より一段と太く見える。脂の乗った顎や指先、部屋着を張り詰めさせている二の腕や、太もも。以前のウエストくらいありそうな脚は、むちむちと柔らかそうだ。 そして、部屋着の隙間から覗く腹の脂肪。ウエストのゴムに乗っかり、ぶよんっとだらしなくせり出していた。 「あはは、私も愛美さんに会えて嬉しいです。……でも、愛美さんがこういう趣味だって、知りませんでした♡」 「え…紗希さん…?」 紗希が、にまぁっと笑みを浮かべる。 ローテーブルの上を、紗希の肉付きのよい太い指が這って、愛美の指に絡みつく。 「だって、そうじゃないとサキサキの配信になんか辿り着きませんもんね♡そっかそっか~、愛美さん、そういう人だったんですね♡」 「ちが…私は……そんなつもりでは……」 愛美は紗希の指を解こうとする。けれど、絡みつくような指は離れず、それどころか、紗希は身を乗り出した。 「……ねえ、愛美さん。サキサキ、あれから大変だったんです。すっごく大変で……でも、今はみんなに助けてもらって……だから、愛美さんもサキサキの事、助けてくれますよね?」 喉がひりつくのを感じた。いつの間にか、紗希の自称が『サキサキ』に変わっていることに、愛美は気づいた。けれど、どうしようもなかった。 妖しく歪められた瞳も、丸く肥えた顔も、仄かに汗の臭いがする香りも……全てが、それでも愛美にとっては尊いものだった。 「…………私に、出来る事であれば……」 「ふふっ、嬉しい♡」 そして愛美は、頷いてしまった。蜘蛛に絡めとられる蝶のように、紗希に捉えられてしまった。 果たして、掴まったのはどちらだったのだろうか。 『愛美さんっ、綺麗に映ってます?』 『はい、とても……綺麗ですよ』 新しい部屋に引っ越した紗希は、当然のように愛美をアシスタントとして手元に置いた。 太った身体は、動くのを嫌い、徐々に撮影の準備や買い出しを愛美にせがむようになっていった。 そうして自分は、撮影の時でも、そうでない時でも、食べて、食べて、食べ続ける。 まるでリミッターが外れたように……キツい節制から解放された反動のように、紗希はどこまでも底なしの食欲を誇っていた。 『それじゃあ、始めまーす♡』 そして、撮影用の椅子に座り、愛美に合図する。録画状態のカメラ越しに、愛美は一番近い狂信者になる。 『はぁ~いみんな~♡サキサキのお部屋にようこそ~♡』 ぶるぶるっと二の腕を揺らしてカメラに手を振る紗希は、また一段と太っていた。それなりに大きい一人がけソファに座って、太い脚を閉じれず少し窮屈そうに、それでいて表情は以前よりも輝いている。 『今日はまず恒例の、プレゼントの紹介から!マナちゃん、お願い~♡』 そして、配信にも若干の変化があった。マナと呼ばれるスタッフが、顔出しこそしないもののサキサキのサポートをしているのだ。こうやって呼ばれれば、段ボールいっぱいのプレゼントと言う名の給餌を与え、企画の為の食事を用意し、時にはサキサキのスリーサイズを計り、その登場頻度は決して少なくない。 シルエットだけでも明らかに女性と分かる事から、サキサキのファンは好意的にマナの……愛美の存在を受け入れた。 『うわぁ~今日もいっぱい♡みんな、サキサキを太らせたいんだね♡イケないんだ~、ふふ、なーんて、サキサキとっても嬉しい♡それじゃあ、サキサキからみんなにご褒美あげちゃう!』 段ボールをマナに戻し、今度はマナから体重計を受け取るサキサキ。 『サキサキの体重測定~、みんなのおかげで、サキサキもーっと太っちゃってるかも♡♡』 甘ったるい声の中に、確かに挑発するような、誘惑するような響きが混ざる。 カメラが、定点カメラの映像からサキサキの自撮りに変わる。 『ふふ~、最近お腹が邪魔でサキサキの体重、見えにくくなっちゃった♡サキサキがもーっと太ったら、マナちゃんにお願いするね♡』 そう言いながら、サキサキは体重計に足を乗せる。ピピっと音がして、数字が表示される。 『わぁっ♡102kg♪みんなのおかげで、サキサキもみけぽに突入しちゃった~~♡♡ふふっ、これ以上太っちゃうと大変かなぁ?……みんなは、サキサキにどうなって欲しい?』 生配信ではない。だから当然視聴者からの反応もない。……けれど、この動画のコメント欄に「もっと太って!」「サキサキは何キロでも可愛いよ!」「ギネス目指そう!」などのコメントで溢れる事を、紗希は当然のように予想していた。 『うふふっ、そうだよねぇ♡まだまだだよねぇ♡♡じゃあ、サキサキにもーっともーっと太って欲しい人は、いーっぱい応援、よろしくね♡♡それから、今度100kg到達記念生配信もするから、絶対見てね~♡サキサキとのお約束だよ!』 そうして、自撮りカメラで自分の顔を映す。更に丸くなり、顎の消えかかった可愛らしい顔を。 『それじゃあ今日の企画!サキサキチャレンジ~♡90kg越えの……マナちゃん~、タイトル、100kg越えのサキサキに変えておいてね~♡と言う訳で、90kg越え改め、100kg越えのサキサキはどれだけ筋トレできるのか!サキサキ痩せちゃうかも~♡♡』 もちろん、100kgを超えたサキサキにロクな筋トレなど出来ない。 ぶよぶよと脂肪を波打たせながらの腹筋は、たったの一回もできない。 『んふぅ…ふぅぅ…お腹のお肉で、上がんないよ~…!』 腕立て伏せは、身体を浮かせてもすぐに腹肉と胸が垂れてしまう。 『ふひぃ…重い~~…♡ふぅ、100kgもあるから、全然上がんない~…!』 そして、外に出てのランニングはもっとひどい。 どす……どすっと足音こそ鳴れど、ほとんどが歩いているようなものだ。 『ふぅっ…ふぅっ…はぁ、サキサキ疲れちゃった~…♡』 そして、最後に運動企画の恒例がある。 『ふぅ、ふぅ……動いたらお腹空いちゃった……サキサキ、ご飯食べて来るね~♡』 わざと、ラーメン屋や、カレー店の前で立ち止まり、カメラに向かってそう言うのだ。 『今日の記録!腹筋0回……1回は出来たもんっ!腕立て1回、ランニング100m!でした~♡次はどうなっちゃうんだろう、またサキサキの運動企画が見たい人は、高評価よろしくね~♡♡ばいばーい!……ふぅ、お腹空いた~~、ラーメン二つ食べちゃおうかな~♡』 最後の、切り忘れたような台詞までが一連の流れだ。 そして、動画の最後に今日の運動のカロリーが表示される。 『サキサキの今日の消費カロリー!51kcal』 『サキサキが食べたラーメン二つ!1700kcal』 『プラス1649kcal!』 そして、いつもの高評価とチャンネル登録を促す画面に切り替わり、動画が終わる。 「ふぅ…マナちゃん、またサキサキの動画見てるの~?」 紗希の声がして、愛美は顔を上げた。 「え、ええ。……紗希さんが可愛いので…」 「もう、サキサキって呼んでってば~♡」 愛美が振り返ると、動画の中より更に大きく肥えた紗希がいた。寝間着代わりのベビードールから溢れた腹肉が下腹部を隠し、太すぎる腕は脇腹と相まって閉じられてすらいない。 首の消えた顔、口元には先ほどまで食べていたアイスクリームがついている。……撮影ではなく、ただただ食べていたのだ。2Lのアイスを。 100kg突破記念生配信を行ったのが、遠い昔のように思える。今見ていた動画の投稿日はたった3ヶ月前だと言うのに。 「マナちゃん、サキサキお風呂入りたいな~♡」 「あ、はいっ。すぐ準備しますね」 100kgを超え、110kgを超えた頃から、紗希は愛美に更に頼るようになった。入浴だけでなく、着替えや、食事までも。 愛美もまた、紗希への罪悪感以上の感情を抱いていた。例え、それが許されないとしても。 紗希の寝室に入る。甘い香りは、寝室でも何かしら食っちゃ寝しているせいでもあったが、紗希の甘い体臭にもよるものだ。それを、間近にいる愛美は確かに感じている。 紗希のパジャマと自分の寝間着をタンスから取り、脱衣所へ向かう。紗希は、先ほどまでアイスを食べていたはずなのに、また棒アイスを舐っていた。 「んはぁ……あ、マナちゃんありがと。食べる?」 「あ、いえ…私は……」 「え~、サキサキはマナちゃんにも食べて欲しいな♡」 「……では、少しだけ」 紗希の差し出すバニラ味の棒アイスを齧る。少しだけと言いつつ、結局一本食べてしまった。最近はこういう事がよくある。 スレンダーだった愛美の体型も、それに伴って少しづつ緩んできていた。……もっとも、それ以上のスピードで肥えていく紗希の前では些末な事だが。 「ねえマナちゃん、やっぱりマナちゃんも一緒に配信出ない?」 紗希のベビードールの下から手を差し込み、バンザイした紗希の太い腕から抜き取ると、紗希はほとんど裸だ。下着すら、下しか着けていない。むぅっと汗の臭いがする。 「わ、私は……そう言うのはあまり……」 「え~、マナちゃん可愛いし、サキサキと一緒に出たら絶対人気になるのになぁ~♡」 紗希が、愛美の身体をぎゅっと抱き寄せる。上背こそ愛美の方がずっと高いが、体重差は倍以上ある。むにむにとした脂肪と、胸や腹の沈み込む贅肉の感触に、愛美の体が強張る。 甘ったるい紗希の体臭に、思わず息を飲む。アイドルの頃の爽やかな雰囲気は一切なく、べたつく様な濃い物を感じた。 「ねえ、愛美さん。紗希と一緒になって欲しいな♡♡」 吐息混じりの声。鼻を刺すような甘く強い汗の香り。どこまでも沈み込む贅肉の感触。 愛美は、ただ呻き、頷くしかなかった。 『んむ…げふぅ…』 マナの唇の端から、生クリームが零れる。ワンホールあったケーキが丸ごと胃袋に収められてしまった。3000kcalはくだらない。 『わぁっ♡♡マナちゃんすご~い♡このままじゃサキサキ、追い抜かれちゃうかも~♡♡』 ホールケーキを完食し、ぽっこりと膨らんだマナのお腹を、サキサキの分厚い手の平が撫でる。その体は、マナより数段太く、とても追い抜かれるような体格差ではない。 『じゃあ~、マナちゃん頑張って!って人も、サキサキ負けないで~って人も、チャンネル登録と高評価よろしくね♡♡ご飯の差し入れもいっぱい待ってま~す♡♡』 お決まりの言葉で動画が終わる。再生回数は、以前よりも増えていた。 ……そして、出演者の体重も比例するように増えていた。 「んむぅ…んふぅ…あむ、んむ…んちゅ…」 更に大きくなった腹肉をテーブルのようにして、両手でバケツに入ったフライドチキンを頬張るサキサキ。指先は油にまみれ、素肌には汗が滴っており、強烈な臭いを放っている。 可愛らしいからとスイーツを食べている写真や動画を上げる事は多いが、その実紗希は脂っこいものやジャンクな物が好きだった。まだ若いからか、それともアイドル時代特に断っていたものだったからか。 「んぐっ、っむぅっ…っげぇっふ…んふぅぅ♡♡ふぅ、美味しかったぁ…♡♡」 10本あったフライドチキンを全て平らげ、満足げに腹を撫でる。ぶよぶよと太ももの上まで広がり、座っていても秘部が隠れるほどの腹肉は、紗希の手のひらを受けてぶにゅんっと沈む。 「ふふっ、また太っちゃうなぁ…♡♡でも、マナちゃんに追いつかれちゃうかも……ね、マナちゃん?」 「んむ…んっふぁ……ふぅ、ふぅ……紗希さんには、まだまだ……」 「だーからー、ふぅ、サキサキでしょう?……お仕置きだなぁ♡♡」 「っ…♡♡」 紗希が食べなかった甘い物を一心不乱に食べていた愛美は、紗希のお仕置きと言う言葉に喉を鳴らした。 「よいっ…しょぉ…ふひぃ…んふ……」 二人掛けのソファのひじ掛けに体重をかけて立ちあがり、ふぅふぅと息を荒げ、のっしのっしと身体を横に振りながら紗希がごちゃごちゃした台所へ向かう。 「んむ…あむ、んぐっ…っげふぅ……」 愛美が、目の前のテーブルに広がっていたクッキーやチョコ菓子を一度に平らげて、大きく息を吐いた。口内どころか、体中が甘ったるい臭いに包まれているような錯覚にさえ陥る。 台所で、ミキサーのようなものが動く音がする。愛美の体温が上がっていく。 「ふぅ…ふぅ……はぁ…♡」 吐く息が甘い。まるで、誰かの体臭のようだ。……もっとも、今の彼女の体臭はもっと強く、濃くなっているが。 「んしょ…はぁいマナちゃん♡♡ふぅ、お仕置きミルクだよ~♡」 紗希が自身の胸や腹の肉で支えるように抱えているのは、1.5Lのミキサー。 その中身は、白濁した液体で満たされていた。 視聴者からの生クリームや、甘ったるいハチミツ、コンデンスミルク等を、食べかけのまま冷凍してしまったアイスで混ぜた一品。ただ甘ったるくカロリーが高いだけの白い液体は、紗希にとっては甘すぎる産物だったが、今の愛美には寧ろご褒美だった。 「はぁいマナちゃん……いっぱい飲んでね♡」 「んふぅ…っぅ…♡」 逃げる素振りもない愛美の身体を抑えるように、紗希が馬乗りになる。 太く弛み、だらしなくなった愛美のウエストの上に、紗希の超重量級の身体が伸し掛かり、完全に逃げ場を断つ。 ミキサーの蓋を外し、愛美の口に宛がう。 「んふぅ…っふぅぅ…♡♡」 鼻息を荒くする愛美に、紗希が満足そうな笑みを浮かべる。 「ふふっ…ふぅ、マナちゃん可愛い~…あ、今度配信でこれやろうね~♡♡お仕置きミルクで、マナちゃんをぶくぶく太らせちゃう配信、きっとみんな喜んでくれるよ♡♡」 「んぐっ…んぐっ…んふぅっ…んむっぐぅ……」 どろっどろっと愛美の口に甘いだけの高カロリーの液体が流し込まれていく。 「あは、お腹グルグル~って言ってる♡♡……なんだだか、マナちゃん見てたらサキサキもお腹空いてきちゃった♡これ飲み終わったら、また一緒にご飯食べようね~♡♡」 指同士の感覚すら狭くなった太く分厚い手で、愛美の脂肪がつきぶにぶにとして来た腹部を撫でる。愛美は、ソファに体を預け、両手でミキサーを抱え哺乳瓶のように飲んでいた。 「……ふふ、マナちゃん可愛い~♡♡」 『今日は、ふぅ、二人の、身体測定~♡♡パチパチパチ~♡』 パツパツのスポーツウェアで胸と下半身を包んだサキサキが拍手をすると、二の腕だけでなく全身の贅肉がぶよんぶよんっと揺れた。 『わ、わ~…!』 それより幾分か細いが、十分すぎるほどに肥満体型のマナがつられて拍手をする。やはり、二の腕が揺れるだけでなく、歳のせいもあってハリがない腹肉がぶるぶると震える。 『それじゃあまず、スリーサイズから♡マナちゃん、お願い♡』 『は、はいっ…!』 サキサキが腕を広げると、二の腕がだるんっと垂れさがる。そして、動画には乗らないが、むわぁっと強い汗の臭気がマナの鼻を刺激する。 マナがメジャーをサキサキの胸に回していく。腕を目一杯伸ばし、抱きつくような姿勢だ。 『ひゃっ、マナちゃんくすぐったいよ~♡』 『ご、ごめんなさいっ!サキサキちゃん、とっても柔らかくって…!』 『え~、あとで仕返ししてあげなきゃ♡♡』 和気藹々としながら、極太のサキサキの身体にメジャーが巻き付く。ボンレスハムのように細いメジャーに脂肪が締め付けられていく様子に、赤い投げ銭やコメントは増えていく。 メジャーを持ったまま背後に回ったマナが、数字をマイクに乗るように大きめの声で読み上げる。 『えっと、バストが、130cm』 『え~、またおっきくなっちゃったな~♡』 わざと胸を寄せて、深い谷間をカメラに見せつける。その下の腹肉が重力に負けて垂れ、更に大きく見える。 『次は、みんなが好きなお・な・か♡どのくらいおっきくなってるかな~♡♡』 カメラにせり出した腹の贅肉を見せつけ、ぶるぶると揺らす。画面いっぱいに肌色の脂肪の塊が広がり、ぶ厚い段差が波打つように揺れる。 『ふぅ、ふぅ、じゃあマナちゃん、おねがい♡』 『……っは、はいっ!』 そんなサキサキに見惚れていたマナが我に返り、メジャーをサキサキのだらしなく膨らみ垂れた腹肉に回していく。 『んっ、ふぅ……』 『んぅう、マナちゃん息くすぐったいよ~?』 『す、すみませんっ……!サキサキちゃんのお腹、おっきすぎて、上手く手が届かなくって…!』 腕を目一杯伸ばし、バックハグのようにサキサキの身体にメジャーを回すマナだが、それでもなお蓄えに蓄えた腹の脂肪には回りきらない。 『んふ、じゃあ、サキサキもお手伝い~♡よいっしょ……』 自身の脇腹辺りまで来ていたマナの手からメジャーを取り、へその方に持っていく。腕を伸ばし、腹を少し引っ込め――本人は引っ込めてるつもりだ――ながら、メジャーをぐるっと一周させる。 『ふぅ、はふぅ……これでオッケー♪ね、マナちゃん♡』 『は、はい……えっと、ウエスト……わっ、162cm……!』 『え~♡♡やばーい、サキサキ、身長よりウエストの方が太くなっちゃった~♡♡』 流れる「サイコー!」「もっともっと!」「200cm目指そう!」というコメントに、紗希の表情は緩み、身体は昂る。 そして紗希は……サキサキは、その言葉通り、もっともっと、そう思う。 『じゃあ次、サキサキのおっきいお尻ね!』 後ろ、つまりマナの方を向いて、先ほどのようにカメラに尻を押し付けるように見せつける。黒いスパッツの様なスポーツウェアがパツパツに引き伸ばされ、もう少し動けば裂けてしまいそうだ。そうなれば、BANは間違いない。 「ねぇ、愛美さん」 サキサキが……紗希が、マイクにも乗らない小さな声でマナ……愛美に耳打ちする。 「アイドルって、すっごい気持ちいいね……♡♡でしょう…?」 「っ………………はい……♡」 今にも口づけしそうな距離の二人の顔は、残念ながらサキサキの巨大な尻肉でほとんど視聴者には見えなかった。 「ふぅぅ…んふ、懐かしい…んぐ、んむ…はぁ、ぁむ……げぇっっぷ…♡♡」 ベッドに座ったまま、腹肉をテーブルにノートパソコンを開く。そこには、まだ辛うじて身体にメジャーを回せていたころの自分が、彼女と一緒に身体測定をしている動画が流れていた。 「ふふ、ぶふぅ……結局、ふぅ、BAN、されちゃったんだよねぇ…んっぐ、んっぐ……っふうぅぅ…♡♡」 もはやベッドなのか食べ物置きなのかもわからない。1Lのコーラのボトルを鷲掴みしごくごくと飲み干していく。ぼたぼたと、汗や食べカスや、飲んだ液体がシーツを汚すのも気にしない。 過激な行為こそ行っていなかったものの、極度の肥満により着られる服が無くなり、ほとんど下着で動画に出演することも多くなった。結果として、あまりにも画面を占める肌色の割合が多くなったチャンネルは配信サイトからBANを受け、新たに別の配信サイトへ移る事になった。 「ふぅ、んぐむぁあ……んっふ、そっちの方が、んく、楽でいいけど……んぐっんぐっんぐっ…げぇぇっふぅ……♡」 新しい配信サイトは、元来、いわゆる成人向けの動画も多く、多少下着がズレようが、カメラを切り忘れて全裸になろうが、あまつさえ嬌声にも似た声を漏らしながら食事をしている最中に下着がズレ、乳輪どころか乳首まで露わになろうが問題はなかった。 それどころか、そういう配信サイトに移ったこともあって、視聴者の希望も増える一方だ。 そうなれば、人間は低きに流れるもので、今では配信中に服や下着をつけていることも少なくなりつつあった。……当然、配信外の今は全裸だ。 だらんっと膨らみながらも垂れた胸がハの字に腹肉を避け、巨大な腹の脂肪はぶよぶよと蠢き、生尻はベッドのシーツにじわじわと汗染みを広げている。 「んくっ…んくっ…っふぅぅ…♡コーラ、無くなっちゃった……マナちゃーん」 1Lを、まるでグラス一杯飲み干すかのように飲みほして大きなげっぷをしたサキサキが、同居人のマナを呼ぶ。 「マナちゃーん……ふぅ、またアレかなぁ……んっしょ…んふぅぅ…っしょ…」 積み重なった腹の脂肪の上に乗せていたノートパソコンをベッドの上に置き、ずりずりと尻を振りながらベッドの上を這うように移動する。 増え続ける体重は、ついに一人で立ちあがる事すら億劫にさせた。食べカスや何かの染みがついたままのシーツがぐしゃりと歪み、サキサキの溢れる贅肉がゆっさゆっさと揺れている。 「ふぅ…ふぅ…ベッド、広いなぁ…んふぅぅ……」 通常サイズのベッドでは潰してしまう可能性すらあるので、クイーンサイズのスチール製のベッドに座っていた。そのせいで動くのに時間はかかるし、スチール製だと言うのにミシミシと軋むような音はやまない。 「ふぅ…んっふ、っふぅぅっ!……っはぁ、はぁ…」 ベッドの端で、床についた脚を広げ、邪魔な腹肉をその間に垂れさせる。もはや、一人ではろくに触れなくなりつつある巨大な腹肉は、ぶよんっと軟体生物のように垂れさがった。 両膝に手をついて、振り子のように身体を揺らし、勢いをつけて立ち上がる。それだけでぜぇはぁと息を吐き、汗をポタポタと流していた。 「ふぅぅ…ふひゅ……マナちゃーん、コーラぁ……」 膝近くまで垂れた腹肉がべちべちと音を鳴らす。すり足のようにずりずりと、しかも太ももが干渉するせいで身体を横に振るように歩き、早々に壁に手をついて壁を伝いながらリビング……食糧庫と化しているリビングダイニングに辿り着く。 サキサキが少し喉を鳴らす。甘ったるい臭いが充満している。換気も疎かな部屋中に二人の汗や食べ物の臭いが充満しているが、マナの主な活動場所でもあるリビングダイニングはより一層甘い臭いが強い。 「んちゅぅ…ちゅっ…ちゅぅぅ…んちゅ、ちゅぱぁ…♡♡」 PCの乗っているテーブルを素通りしてサキサキが冷蔵庫の方へ向かう。すると、自身と同じくらい巨大なシルエットが、冷蔵庫の前に座り込み、スプレー式のホイップクリームを口に流し込み、ドロドロに溶けたアイスをスプーンで掬っていた。 「ぇぇっふ…ふぅ…ふぅぅ……」 「ふぅ、マナちゃん、お腹いっぱいになった?」 「っ…さ、紗希さんっ……あ」 「…ふふ、お仕置き配信、しよっか~♡♡ふぅ、マナちゃん、わざと?」 「ち、違いま…っふぅぅ……違います……はぁ、ふぅ、……はぁ♡♡」 その緩んだ表情からは、とてもそうは思えない。まるで望むかのように、マナはサキサキの名前を呼び間違える。 「んふ、でも、マナちゃんこの間、キモチよすぎておもらししちゃったからなぁ……♡♡ふぅ、お仕置きに、なってないかも~…♡♡」 「そ、そんな……」 焦らすようなサキサキの言葉に、マナが露骨に絶望した顔をする。そんなマナが、可愛くて仕方がないと言った様子で、サキサキはくすくすと笑う。 「ふふ、ウソウソ、ちゃーんと、お仕置きしてあげる…♡♡」 『ふぅ、ふぅぅ、サキサキとマナちゃんのお部屋にようこそ~♡♡んふ、今日は、特別配信でーす♡』 サキサキの甘い声が響く。普段の画角と違い、手持ちの自撮り棒にスマホのカメラをセットしている。顎が完全に首と一体化した顔がアップで映った。極度に太り過ぎて、目は細まり口元も少々緩いとはいえ、元アイドルだけあってアップに耐えられるだけの可愛らしさがある。 その顔の肉と、背景が僅かに揺れていることから、今歩いていることが分かる。ふぅふぅと荒い息まで配信には乗っている。 『それじゃあみんな、ふぅ…ちゅうもーく♡』 そう言いつつ、太い指をスマホに伸ばす。インカメラから外カメラに映像が切り替わる。 『んふぅぅ…♡♡んふぅぅ…♡♡』 そこは、トイレだった。 そして、便座に、やや窮屈そうに座らされているマナ。両腕を上にあげる形でガムテープで固定され、口には口枷の様な物がハメられている。丸い穴だけが空いた口枷から、ふぅふぅとマナの息が漏れる。 『ホントはマナちゃんとサキサキの体重測定の予定だったんだけど~……マナちゃんが最近すっごーく頑張って、ぶくぶくって太ってるから、応援配信にしま~す♡♡ふぅ、んふ、題して、「マナちゃん、200kg突破耐久配信~!」わー、パチパチパチ~♡♡』 『んふぅぅ♡♡んんぅぅ~♡♡♡』 全裸で、両足を開くように便座に固定されたマナがダラダラと唾液を零しながら呻く。しかし、高画質なスマホカメラは、マナの股間がテラテラと粘っこい液体で濡れてるのをしっかり捉えていた。 『これが、マナちゃんの配信前の体重で~す♡』 配信画面に、先ほど撮った体重計の数字を出す。サキサキのよりもだらしなく垂れた腹肉と一緒に映る数字は「192kg」。 『マナちゃんに頑張って欲しいな~♡♡って応援のコメントも、プレゼントもいーっぱい募集しまーす♡♡あ、でも、早くしないと、マナちゃんが200kgになっちゃうかも~?』 そう言いながらサキサキが、片手でミキサーを持ち上げる。……ほとんど、胸と腹肉で支えている。 『それじゃあ、マナちゃん、いただきまーすしようね~♡♡』 『ん、んふぅぅ♡♡んぅぅ♡♡』 口枷にホースを嵌め、その先に漏斗をあてて、そこにミキサーの中身を流しこむ。中の白濁液はもちろん、マナの大好物のお仕置きミルクだ。 『ふふ、いーっぱい食べてね~♡♡おしっこもうんちも、全部しちゃっていいよ~♡♡』 LIVEと表示された配信で、サキサキが放つ言葉を止める者はいない。それどころか、コメントは加速し、早速「プレゼント送りました!」「Mana more!」「おもらし待機」などのコメントすら見受けられる。 『ふふ、んふ、マナちゃん良かったね~♡♡…ふぅ、あ、「サキサキもやって!」~?うーん、じゃあ、サキサキはもう200kg超えちゃったから……250kg突破配信しよっかな~♡♡』 「うぉぉぉ!」「サキサキにもプレゼント送った!」コメントは加速する。 紗希の表情は更に興奮するように昂る。愛美だけでなく、紗希の股間もしっかりと濡れていく。 『わぁ~、みんなありがとう~♡♡…ふふ、マナちゃん、もう飲み終わっちゃった?すぐ、次の持って来るね~♡♡んちゅ…んれぇ……あまーい♡♡』 空になったミキサーとホースを口から外し、口枷で空きっぱなしのマナの唇を舐める。便器が、マナとサキサキの体重を受けてミシミシと軋む。配信画面は、ぶにゅぶにゅと歪む二つの肌色で埋め尽くされる。 じょぼじょぼじょぼじょぼ……液体が水面に落ちていく音が響き始めた。 「ふふ、もう、またお漏らししちゃった…♡♡」 小さい声で紗希はそう言って、カメラを動かす。極太の脚の間、垂れた腹肉の陰から黄色い小水がじょろじょろと流れていた。 コメントは、更に加速する。 「ふぅ…んふ…んむ…ふぅぅ」 荒い息と咀嚼音が響く。 やけに明るい部屋に彼女はいた。赤いランプのついたカメラを前に、一心不乱に胃袋に食べ物を詰める。 チーズのたっぷり乗ったピザを切り分けもせず口に運び、油の塊のようなフライドチキンを口に頬張る。 「んぐっ…んっむぅ…んふぅ…んぐっぐっぐっ…」 もはや食器すら使わず手づかみで。 全裸の身体には食べカスが落ち、シーツは汗ジミと食べカスでみるみる汚れていく。 ペットボトルのコーラを片手に、口につけて煽る。 「っふぅぅ……っげぇえええっふぅ…ぐふぅ…♡」 大きなゲップ。その表情は恍惚に満ちている。 「んふぅ…んむ…げっぅふぅ…」 そしてまた、食べる。ひたすらに。 『サキサキ、250kg突破記念配信』