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「陸に打ち上げられて その3」

にこい様が上げてらっしゃる【要介護鎮守府3】が公開されたので、こちらでも上げさせていただきます。

この作品は元は私の方で受けたskebでの依頼でしたが、にこい様が赤城・加賀のイラストを投稿して頂けるとのことでしたので、それに合わせて全体公開とさせていただきます。

改めましてにこい様、その2のイラスト化ありがとうございました!


── ── ── ──


「と、言うわけでこちらの規定項目にそった体力測定をしてるんです」

「へぇ~・・・大変だな」


高雄型の姉妹が住まう家。

そこにやってきていた明石は制定されたばかりの【要介護艦娘】の概要を摩耶に説明していたのだ。


「だとよ。姉さん達ちゃんと聞いてるか?」

「ふぇ・・・?」


摩耶の言葉に愛宕が顔を上げて明石と摩耶の方を向く。

その手には明らかにファミリー向けサイズの大きいカップアイスが握られており、口にはスプーンが咥えられたままだ。


「き、聞いてたわ・・・よ・・・?」

「・・・」


思いっきり目が泳ぐ二人を見て呆れ顔になる明石と摩耶。

巡回任務に最近まで就いており、まだ退役して間もない摩耶はスレンダーなままだ。

それと比べ先に退役していた高雄と愛宕の二人は既にぽっちゃりでは済まない・・・どころか十分に要介護艦娘の要件を満たしているだろう。

元々肉感の良いむっちりとした体つきだった二人だけに、巨大な胸と腹が飛び出る様は案の定と言った所か。


「・・・とりあえず測定しますので」

「頼むわ・・・」


その後、片付けにドタバタとしたものの無事に測定が開始され・・・予想通り高雄・愛宕の二人は『要介護艦娘の弐』という判定になった。


「オイオイ・・・姉さん達頼むぜ?」


そう言って二人の腹を揉んだりつついたりしている摩耶。

未だ任務に就いている鳥海は勿論、退役して間もないとはいえきちんと体型を維持している摩耶はここぞとばかりに二人のことを弄っているのだ。


「食っちゃ寝食っちゃ寝し過ぎだっての。ほら、その胸も腹もやばすぎるって!」

「あ、ちょっと・・・ひゃんっ!」

「こ、こら!それ以上は・・・んんっ!!」


どこか色っぽい声を出す高雄と愛宕の二人を見て、明石はコレ以上はお邪魔だなと三人に向かって頭を下げる。


「で、では私はこれで・・・先程も言いましたがあくまでも退役という扱いなので体型維持になるべく務めるようお願いします」

「おう!この摩耶さまに任せておけって!」


そう言って二人弄りに戻る摩耶を後目に、明石は家を後にするのだった。



それからしばらくした頃。

明石は再び高雄型の家へと体力測定に向かっていた。

というのもこの体力測定は定期的に行っており、その時の評価で要介護度が変動するのだ。

つまりダイエットして元の体型に戻れれば要介護艦娘から外れるし、逆に太ればその度数が上がっていくという話である。


「あれからしばらく経ちましたけど・・・高雄さん達どうなったでしょうねぇ」


先日加賀というとんでもない爆弾を見せられたばかり。

食欲という意味では高雄・愛宕の二人も大分怪しいだろう。


「・・・陸の制定はヤダなぁ」


勿論その制定の為に動き回るというのが面倒というのもある。

だが明石としては『戦友達』が見るも無惨に太っている姿を見て回るのが思ったよりも辛いのだ。


「いっそ私も太って要介護艦娘になっちゃおうかなぁ・・・」


車を運転しつつ、そんな事を言う明石は深くため息をつく。

やがて無事に家へと着いた明石はインターホンを鳴らし、赤城の時も有ったドスドスという足音を聞き取る。


「はぁ・・・ふぅぅ・・・久しぶり~・・・!元気だったぁ・・・?」


出迎えてくれた愛宕を見て、明石はそれなりにと返しながら内心『やっぱりかぁ』と思う。

赤城に負けない程太った愛宕。

赤城以上にデカかった胸は最早爆乳というよりは超乳・・・明石の数倍はデカいだろう。

その胸に負けず劣らず飛び出た腹は膝下まで覆い隠す程垂れ下がり、足が前に出ないのか歩く時身体を横に揺する様にしないと行けないらしい。

そんな足も当然太く、腹の肉に隠れてなおその太さがわかる程というのは驚愕というよりない。

腕は明石の太もも・・・いや腰と同じ位太く、溢れ出る脇腹にぶつかってブルンブルンと揺れている。

首周りは最早肉で埋もれ、顎を引く度に首の肉に埋もれて肉がブニッと盛り上がっている。

『要介護艦娘の肆』は確実・・・測定の結果次第では伍かも知れない。


「先日通達しました通り、本日は体力測定に来ました」

「ええ・・・分かってるわぁ・・・ふぅぅぅぅ・・・奥へどうぞぉ・・・」


そんな考えをおくびにも出さないで告げる明石を、愛宕は家の奥へと案内する。


──先に赤城さんを見ていなかったらもっと驚いてただろうなぁ。


身体をゆっさゆっさと通路ギリギリまで揺らし、ゆっくりと進む愛宕の肉にまみれた背中を見ながら明石はそう思う。

やがて案内されたリビングには高雄が3人がけのソファを一人で占領するように座っており、やはり愛宕同様に要介護艦娘の肆はあるだろう。


「お久しぶり、今日はよろしくね」


やってきた明石を見て、そう座ったまま告げる高雄。

愛宕よりもほんの少しだけ胸は小さいが、愛宕よりも腹と尻が肥大化しているのは体質かそれともこの座りっぱなしスタイル故か?

そんな下らない事を考える明石だったが、ふと摩耶が居ないことに気づいた。


「ええ、よろしくお願いします・・・ところで摩耶さんは?」

「あー・・・居るには居るけどぉ・・・」

「摩耶はね・・・」


質問に曖昧な言葉で返す二人に、猛烈に嫌な予感が湧き上がる明石。

だが会わないわけにもいかず、明石が二人に案内を頼むと二人は揃って摩耶の部屋へと案内してくれる。

えっちらおっちらと、昔海で戦っていた頃の数十分の1の速度で歩く二人に連れられてようやく部屋へと到着した明石は、とりあえず二人の息が整うのを待つ。


「はぁ・・・はぁ・・・よし。摩耶、開けるわよ?」


そう言ってガチャリと扉を開ける愛宕。

それに続いて中に入る高雄と明石。

そして愛宕の横から部屋を覗き込んだ明石の目に飛び込んできたのは・・・


「ん~・・・二人してどうしたんだ?」


座り込み、手にしたお菓子を貪っている摩耶の姿があった。

明らかに高雄と愛宕よりもデカい身体。

大淀と同等かそれ以上に太い身体はあのスレンダーだった摩耶と同一人物とは思えないほど肥大化している。

胸は高雄達と比べれば大分小さいが、それでも一般的に爆乳と呼ぶにふさわしいサイズだ。

腹は足を前に出していることもあってかその足の殆どを覆い隠す程前に出ており、脇腹の肉ですら横に垂れ下がっている。

腕は鎮守府でよく見たドラム缶を思わせる程太く、摩耶が動かす度にダッポンと大きく揺れる。

首はついにマフラーの様に盛り上がり、何をしなくとも顎が食い込む程になっている。


「まぁ丁度いいや・・・新しい食べ物取ってきて欲しいんだけど」

「摩耶・・・少しは自分で動きなさいよ。そんな事だからそんなに太るのよ?」


自分のことを大分棚に置いた発言をする高尾に、摩耶ははいはいと返す。


「高雄姉さんには言われたくねぇよ・・・それにもう戦争なんて無いんだからコレぐらい太ってたっていいだろ?

 だから食べ物を・・・って明石!?」


そこでようやく部屋にいる明石に気づいたのか、摩耶が慌てて自分の姿を隠そうと腕を伸ばす。

・・・が、当然今の摩耶の身体を隠すには腕だけで足りるわけもなく、ブクブクと太った身体が殆ど丸見えである。


「な、なんで明石がここに居るんだよ!?」

「お久しぶりです摩耶さん・・・その、今日は体力測定の日だとお伝えしてあるはずなのですが・・・」

「体力測定・・・あっ!」


明石の言葉にようやく思い出した様子の摩耶。

それを見て高雄がため息を付きながら話す。


「摩耶も最初は体型維持とか頑張ってたのだけれど・・・平和そのもの。

 戦争が始まるなんて雰囲気もなくて・・・摩耶も緊張の糸が切れて。

 それからはこうして毎日毎日私達以上に食っちゃ寝食っちゃ寝で・・・気づけばこの状態なの」

「私達もこの通りだからねぇ・・・摩耶にも強く言えなくって・・・」


二人の語る自分の醜態、そして前に摩耶自身が明石に『体型維持なら任せろ』と言った事もあって摩耶は物凄く恥ずかしそうな顔をしている。


「・・・とにかく、体力測定をしますので広い場所へ行きましょうか」


渋々従う三人をよそに、『摩耶さんそもそも立てるかな?』と明石は不安になるのだった。



「ぜぇぇぇぇ・・・ひぃぃぃぃいい!!!」

「これは・・・駄目ですね」


数十分後。

念のために積んでおいたリハビリ用の補助柵などを展開してようやく体力測定の準備ができた明石達は、早速測定を開始したわけだが・・・

当たり前だが3人の結果は良くない。

高雄と愛宕は普段から多少は出歩いているのだろう・・・戦闘はできないだろうがある程度の測定は補助なしでもこなしている。

だが摩耶の方はひどく、補助の柵を持って、愛宕達に捕まってようやく歩ける様な始末。

当然身体を傾ければそのまま倒れるから前屈なんで無理・・・どころか腹の肉が邪魔で身体を前に傾けることすらできない。

一度座り込めば起き上がるまで時間はかかるし、起き上がるのですら高雄と愛宕が補助しないとできない状態。

結果測定不能の項目がいくつも出てきて、まともに測定できたのは肺活量と短距離走のみ。

それすらもそこらの太った一般人の方がよっぽどまともな結果を出せるというような数値・・・


「・・・えー、測定の結果ですがー・・・高雄さんと愛宕さんは『要介護艦娘の肆』。摩耶さんは『要介護艦娘の伍』と認定します」

「アタシが・・・姉さん達よりも・・・デブ・・・」


明石の言葉にようやく自分の状況を理解した摩耶。

まともに歩けず、身体には贅肉だけ。

その事が摩耶をずぅぅぅうんと沈ませていた。


「・・・一応今後リハビリ施設の運用も検討されてますので良ければ。

 その、大淀や大和さん、加賀さんなんかも伍に認定されてますのであまり気を落とさずに」


そう明石に告げられ、摩耶の顔に少し生気が戻る。

それに気づいた高雄達も摩耶を励ましているのを見た明石は、そっと家を後にする。

だが・・・果たして今後こんな生活に慣れきった摩耶が元に戻る日は来るのか?

明石は車を運転しながら、できればそうなって欲しいと僅かな希望に祈る。

・・・が、後に制定された『要介護艦娘の陸』に摩耶が認定されたことは言うまでもないのであった。



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