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ジュン
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敗球!!セカンドシーズン34

敗球!!セカンドシーズンの続きです。 ようやく彩乃たちから解放されたジュンは、トボトボと帰宅の途についていた。 ジュン(明日から一体どうなるんだろう……。) 部活のことはもちろんだが、それ以上に女子たちにされるであろう「次の行為」について考えるだけで恐怖を覚えた。 そしてふと、祥子の顔が頭に浮かび、自然と涙が溢れてくるのであった。 翌日は土曜日だったので朝からバレー部の練習があった。しかし度重なる女子たちからの暴行でカラダはアザだらけになっていたため周囲にバレないように長袖を 着なければならなかった。 練習中もスパイクを打つたびに痛みを感じ、思うように動けなかった。 当然チームメイトたちには心配されたが、「大丈夫」の一点張りで通した。 しかしこの日は運悪く、女子Bチームとの練習試合をする事になった。 ジュンたち男子レギュラーチームは、女子Bチームにはいまだ負けた事が無かったが最近は接戦に持ち込まれるケースが増え、油断ならない相手になっていた。特にBチームのエース•島田沙江と万能セッター・立石亜紀は女子Aチームに入ってもおかしくない実力を持っている。 特にここ最近の、沙江の成長は目を見張るものがある。それは彼女の持ち前の運動神経もあるが、何よりAチームの絶対的エースである新鍋ゆかりという最高の手本の存在が大きかった。 女子バレー部顧問の菅原祐美も沙江の才能をいち早く見抜き、ゆかりのプレーを参考にする様に彼女にアドバイスしていた。 しかし急成長と言えばジュンも負けてはいない。夏合宿において女子キャプテンの白木蘭たちに揉まれているうちに彼のレシーブ力は飛躍的に上達していた。さらにその後も全体練習後の祥子の手ほどきにより、さらにそのレシーブ力は強化されている。 ジュンのレシーブ徹底強化は、彼のコーチ役である祥子の育成方針だ。彼女は、高さやパワーにおいてはまだまだひ弱なジュンに何とか自信をつけて貰いたくて、まずはレシーブ力を徹底的につけさせる事にした。諦めずにボールに食らいつく事で女子選手のような、粘り強い精神力を育む効果も期待出来る。 実際ジュンのレシーブは男子の中では群を抜いているし、以前は全く歯が立たなかった小西美唯や佐伯翠ら女子Aチームの準エースクラスのスパイクを拾うケースも見られるようになった。 美唯「って言うかジュンのレシーブ、ちょっと上手くなってない?」 かつて、ジュンを徹底的に打ち負かし、彼にブルマを穿かせた美唯も彼の見方を少し変えていた。 ジュンは祥子の手取り足取りの指導により成長しているのだ。 しかしこの日の彼は、全く精彩を欠いていた。 サーブの威力、スピードともに落ち、得意のレシーブでもミスを連発してしまう。 祥子(やっぱり最近のジュン君、おかしい…。) コートの外から祥子は不安げな表情で彼を見ていた。 対照的に、沙江の方は絶好調だった。 「ビシッ!!」 強烈なスパイクが男子のコートに突き刺さる。長身エースの石川がブロックしようとしたが完全に振り切られてしまっていた。 これまで沙江は、何度も石川にブロックされてしまったが、諦めずに何度も向かっていった。この負けず嫌いな姿勢も彼女の急成長の要因の一つだ。最近ではブロックアウトやフェイントを駆使したりしながら、石川から積極的に得点を奪っていく。 また彼女の習得したジャンプサーブも女子Bチームの大きな武器になっている。「男子エースの石川はサーブで崩せ」と言うのが女子バレー部の中での共通認識になっていて、沙江も石川の弱点を的確に見抜いていた。 しかもこの日、ジュンが絶不調だということを沙江はいち早く見抜いていた。外コートでの対決以来、彼女はジュンの天敵として、彼を圧倒し続けているし精神的脆さも知っている。 沙江「ジュン君、試合に集中出来てないじゃん。何かあったの?」 ジュン「別に。」 沙江は一瞬、ムッとした顔を見せたが、すぐに笑顔に戻った。 沙江「ふーん。まあ良いけど。でも、私よりずっと弱い君が、試合に集中も出来ないんじゃハッキリ言って勝負にならないわよ?」 ジュンは悔しさに唇を噛み、スパイクを打っていったが、彩乃たちからの暴行による激痛で沙江にあっさりとブロックされてしまう。 沙江「ほら、また私の勝ち♡」 ジュンは何も言い返せず、黙って俯く事しか出来なかった。 そんなジュンの様子を見て、沙江は亜紀にそっと耳打ちする。 沙江「亜紀ちゃん、ジュン君狙い目だよ。」 亜紀「うん。私もそう思ってた。元気ないね。声もいつもより出てないし。」 沙江「守りの要のジュン君を潰しておいて、それから石川先輩を料理するってのはどう?」 亜紀「それで行こっか。」 こうして2人は笑みを浮かべながら作戦を練っていた。 この後にジュンはBチーム女子の集中攻撃に晒されてしまう。 (身体が思うように動かない。) ジュンの不調は暴行による肉体的な痛みによるものだけでは無かった。むしろ彩乃たちに植え付けられた女子への恐怖心の方が問題になっていたのだ。まして相手は彼の天敵である島田沙江だ。身体能力の違いをとことん見せつけられてしまう。そして1セット目後半には既にジュンは沙江にボロボロにされていた。 (やっぱり…島田には勝てない…。高さもパワーも違いすぎるよ。) 沙江(ヘロヘロじゃん。いつもだったらもっと抵抗するのに…。) さすがの沙江この日のジュンの脆さには驚いたくらいだ。 沙江(でもコートに立っている以上、手加減はしないよ。) 沙江は何度も何度も執拗に、ジュンに向かって、強烈なサーブやスパイクを打ち込んで行った。 「うわぁぁ!」 「くあぁぁ!」 その度にジュンの悲鳴にも似た叫びが体育館中に響き渡る。 女子Bチームはあっという間に1セット目を取ると、そのまま第2セットも猛攻を仕掛けてくる。 沙江「ジュン君は弱い。弱すぎるよ。入部して私の最初の目標だったのに…。ここまで弱かったなんてガッカリしたよ。」 ジュン「……。」 沙江「ねぇ、聞いてる?試合中なんだから返事ぐらいしなさいよ!本当に情けない。」 何も知らない沙江にとって、今のジュンはただひたすら痛めつけられるだけのサンドバッグでしかなかった。最初は男子バレー部No.2を圧倒出来て快感を覚えていた彼女だったが、ここまで手応えがないと練習相手にすらならない。むしろ怒りの感情さえ湧いてきたようだった。 沙江は連続でジュンに向かってサーブを打つ。ジュンはまともにレシーブ出来ず、サーブもネットインばかりしてしまう。 (もう嫌だ……。早く終わってくれ……。) もはやジュンの心は完全に折れてしまっていた。 そして試合の中盤、ネット際の押し合いでジュンは沙江に完全に押し負けて転倒してしまった。 沙江「これまでだったら私に散々やられても、挑んできたけど…、その気持ちすら無くなっちゃった?今の君じゃ、いくら頑張っても私は止められない。」 沙江は倒れたまま動けず、震えることしか出来ないジュンを見下ろしながら言った。 蘭「これまで…かな。」 コートの外からこの試合を見守っていた白木蘭はさすがにジュンの状態を見て、彼を試合から外した。最近では彼女が実質的な男子バレー部のキャプテンのようになっていた。 そして楠本祥子に話しかけた。 蘭「ジュン君のこと、お願いね。最近様子変だなって思ってたけど、ちょっと重症ね。あれは…。」 祥子「はい…。でも、私…。」 蘭「だって、あんたあの子の保護者でしょ?しっかりケアしてあげな。」 祥子「わかりました。ありがとうございます。蘭先輩。」 祥子はコート上で立ち上がれないジュンに優しく手を差し伸べた。


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