敗球!!セカンドシーズン36
Added 2022-06-27 09:00:00 +0000 UTC敗球!!セカンドシーズンの続きです。 ジュンが祥子に保健室で癒されている時、体育館では男子バレー部レギュラー組と、女子バレー部Bチームの熾烈な試合が繰り広げられていた。 ジュンの不調により第1セットは女子Bチームが先取し、2セットも中盤までは女子が男子を16-13とリードしていた。 (このままいけば初めて石川先輩たちに勝てる!) 女子Bチームの沙江と亜紀は勝利を意識し始めていた。 しかしこの展開が、逆に男子エースの石川に火をつけた。 石川「オレが決めるから、トス上げろ!」 部員「はい!!」 石川の指示で他の男子メンバーの士気も上がっていった。 そして、石川の打点の高いスパイクが女子のコートに突き刺ささった。 「あっ!!!」 1年女子の中で、レシーブ力に定評のある桝田友美もさすがにこのスパイクを拾うことはできなかった。 蘭たちにより弱点を晒されたとは言え石川は男子チームの絶対的エースだ、わかっていてもそうそう止められるものではない。 彼の活躍により、あっという間に男子チームが逆転した。 石川「よし!このまま一気に決めるぞ!」 石川の檄に他の2年男子も奮起する。これは夏合宿の時には見られなかった光景だった。最近の石川は以前よりも伸び伸びとプレー出来ている。それはひとえに白木蘭の存在が大きい。 「石川君はプレーで引っ張ればいいから。」 蘭のその言葉に石川は救われていた。 もともと強力なキャプテンシーを持たない石川は言葉でチームを引っ張っていくのは苦手だった。 そんな彼に蘭は、言葉でチームを鼓舞するのではなく、プレーを通してチームメイトを励ますことを提案した。最近では、男子チームの強化方針や練習方法なども、彼女と相談しながら決めている。 女子キャプテンの白木蘭が実質的な男子部のキャプテンを務めることにより、男子チームは精神的にも技術的にも大きく成長しているのだ。そしてこの男子の成長が結局は、女子バレー部のためにもなるのだ。 石川「よし!」 最後は、石川が沙江のスパイクをブロックし、第2セットが終了した。 「このセット、取れると思ったのに…。」 沙江は額に流れる汗を拭いながら亜紀にそう言った。 沙江の言葉を聞いた他の女子たちも残念がった。 そんな彼女たちの姿を蘭はコートの外から、腕を組みながら見つめていた。 (なかなかいい感じね。島田さんにも亜紀にもこれくらいで満足して貰っては困るものね。それに…啓太も吹っ切れたみたいだし…。) 蘭は女子Bチームから男子レギュラーチームに目を移した。彼らは何とか敗北を免れてほっと胸を撫で下ろしていた。 しかし、石川だけは違った。彼はまだ物足りなさそうな顔をしていた。 蘭(まだまだ、啓太と他のメンバーたちの意識の差があるようね…。) 蘭はしばらく何かを考え込んでいたが、すぐに表情を引き締めた。 蘭(ゴメンね啓太…。ちょっとショック療法が必要かも。悔しいかもしれないけどちゃんと耐えてね。) 蘭「美唯!翠!ちょっと来て。」 美唯、翠「は〜い。」 蘭はAチームスタメンメンバーの小西美唯と佐伯翠を呼ぶと、Bチームの第3セットに出場するように伝えた。 蘭「思いっきりやってきて。手加減はいらない。全力で叩き潰しなさい。」 翠「いいんですか?先輩の彼氏もいますけどぉ?」 翠はニヤリとした顔でそう尋ねた。 蘭「もちろん啓太も同様に叩きのめして。出来ればの話だけど。」 美唯「フッ。了解です。」 翠「わかりましたぁ。じゃあ行こっか美唯!」 2人は嬉々としてコートに足を踏み入れた。それを見た男子たちは戦慄した。 小西美唯と佐伯翠は男子たちが全く歯が立たないAチームのスタメンだ。しかも他校に行けばエース級の実力を持っている。 瑛太「おいおい、聞いてないぞ!Aチームの2人が加わるなんて・・・。」 男子のセッター・三浦瑛太は慌てふためいた。せっかくチームの士気が上がってきたのにこれでまた振り出しに戻ってしまうかもしれないと彼は思ったのだ。 蘭「あらあら、随分と弱気なのね、三浦君。2人はAチームだけど君よりも年下の1年生の女の子よ。」 蘭は笑いながらそう言い放った。 確かに、彼女の言う通りだ。しかも美唯と翠を加えたBチームは全て1年の女子メンバーということになる。一方の男子チームはジュンが戦列を離れていることもあり、全てが2年生の男子で構成されていた。そのため第3セットは2年男子と1年女子の対決ということになる。 翠「私達1年女子が相手だからと言って、あまりナメない方がいいですよ。」 美唯「まあ、せいぜい頑張ってください。」 美唯と翠は余裕の笑みを浮かべている。 (おいおい・・・この状況、やばくないか・・・)2年男子部員達は内心焦りを感じていた。いくら石川がいるとはいっても、最近は沙江と亜紀を擁する女子Bチームに簡単には勝てない状況になっている。それに加えAチームの2人が加わってしまったらどうなるのか。 しかも美唯と翠は自信に満ち溢れたような態度でこちらを見下すかのような視線を送ってくる。 その様子に男子たちの不安は募るばかりだった。 (これが強豪女子バレー部のAチームで主力を張る者の貫禄なのか……。) 経験の乏しい2年セッターの三浦瑛太は既に2人の1年女子の放つオーラに圧倒されていた。 石川はそんな男子たちを横目に、コートに入る前に蘭の方を見て小さくうなずいていた。 蘭はそれに応えるかのように、無言のままコクリとうなずく。 蘭(これは私からの試練だからね。啓太、頑張れ。) そして、男子レギュラーチーム対1年女子の試合の第3セットが始まった。
Comments
2年男子対1年女子の試合、めちゃくちゃ楽しみです! 男子はエース石川もいて、負けたら何も言い訳が出来ない状況なのもいいですね。 男子の強化が女子のためという設定もいいです!
タカシ
2022-06-29 10:49:02 +0000 UTC