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紛争学園を離れ、街中でぶらぶらと買い物していた、あくる日。アラトはふと、その待ちかまえていた気配に鼻をひくつかせる。
軍による運営実態が成されている軍立の教育機関は一定地域である程度群集しており、位置的にも立場的にも、その中央に存在する神原高校の名前は有名だ。
「おい、テメェ。神原の前畑だよなぁ?」
「あぁ?」
勿論、他の軍立高校の生徒に絡まれることもざらではない。人気のない商店街を歩いていた先に声をかけられ、アラトは目を細めた。
こんなことは初めてではなく、郊外での喧嘩など日常茶飯事だ。特にアラトは所かまわず因縁を吹っかけるほどではなくとも、比較的進んで喧嘩を買っていた。他の軍立高校との生徒とのタイマンは勝ったり負けたりだが、そうしているうちに勝ち星が増え、今では名前まで広まってしまった。
それ自体には、寧ろアラトは男としての勲章とでも言わんばかりに鼻を高くしていた。友人のコウやユウキにも日ごろから自慢している。……そんなアラトが得意げな顔をして歩いているだけで、目の前の青年はさぞ不愉快極まりそうな顔をしている。
(……一人か。珍しいな)
「テメェだけかよ、俺とタイマンはろうってか?」
「話が早いじゃねぇか。神原だか何だか知らねぇが、ここらは俺らのシマなんだよ。テメェなんぞにでかい顔させらんねぇんだわ。……俺とサシで戦えや、前畑」
「へっ……、上等だ」
二人ともが同じような人種であるからか、無駄な話はなく、喧嘩の気配に胸が高鳴った。さっそくとばかりにアラトは拳を握る。
だが、相手の青年はそんなアラトを見て笑みを深めると、顎を振った。
「テメェをぶっ倒すとっておきの場所があんだよ、面かせ」
「場所?」
「テメェも知ってんだろ? 「G・lack」。そこでケリつけんぞ、まさか逃げねぇよな?」
聞き覚えはあった。軍立の高校が立ち並ぶこの地域のは、喧嘩っ早い不良の抜港するある意味無法地帯。その場所で、アマチュアの格闘技の取り組みがあると。
そのうちの一つが、「G・lack(ジー・ラック)」。希望する軍律高校の生徒を集めた、地下ボクシングの会場だった。
「テメェも軍立高なら、試合やってんだろ? リングの上でケリつけようぜ?」
「へっ、いいぜ。どこでだって勝つのは俺だ」
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選手として登録が終わり、それから先は早かった。
現在はフリーな時間帯らしく、観客もいなければ、ゴングもない。本当に場所だけ映したような感触だったが、着替えさせられた格好は確かにボクシングのそれだった。
互いにリングの上に立ち、準備が整った。相手はグローブを叩き合わせつつ、同じようにして待機しているアラトを睨む。
「よぉ、前畑。ただタイマンはるだけなのもつまらねぇよな。負けた方が、相手に体差し出すってのはどうだ?」
「いいぜ。さっさとボコって、泣くほど犯してやるよ」
アラトの側にも迷いはなかった。普段から試合で慣れているし、なによりも、負けるなんて全く考えていいなかったから。
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挑発の投げ合いがあっては、始まるまでに長くはかからなかった。
ボクシングとは名ばかりの、殴り合いが展開される。だが、互いに器用にガード、もしくは回避し、双方の猛攻をやり過ごしていった。
「オラ」
「!」
ふとして、アラトがガードを上げる。見事に割れた腹筋を、拳を握り締める青年の前につきだすような格好となった。
「責めて来いよ、テメェのボディなんざ俺には効かねぇ」
「テメェ……!!」
「へっ、潰せるもんなら潰してみろや。テメェとは鍛え方がちげぇんだよ!」
何発でも耐えられる。そういわんばかりのアラトの態度に、青年の表情みるみる険しくなる。
「後悔すんじゃねぇぞ……オラァッ!!」
自信に満ち満ちたアラトの挑発についに感情が爆発し、青年は怒りで目を見開き、その腹筋へと襲い掛かった。
……続く、かな?
yukibou
2018-11-08 14:38:53 +0000 UTCムキムキ翔太
2018-11-08 11:10:22 +0000 UTC