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サファルヴェルグ~タイキの獣人蹂躙記~ VS犬獣人 1


 サファルヴェルグ。獣人だらけのこの世界にタイキが迷い込んで、早くも一か月が経過した。


 周りのほぼすべてが、自分とは明らかに違う遺伝子を宿している人々だという環境に急に放り込まれたタイキだったが、現在ではその状況を十分に満喫していた。少なくとも格闘技に精通していれば食うことには困らず、それなりの住処を得るまではスムーズだった。


 自分が格闘技を好きになり始めてから、その興味に素直になって突き進めば進むほどに相手はいなくなり……そしてついには、少し本気を出せば、いつでも倒せてしまう相手ばかりとなった。


 そんな昔と、現在はまるで違う。獣人は普通の人間よりもはるかに五感や身体能力に優れ、しかもほとんどの奴らが最強を目指すために格闘技に夢中だという。そんな獣人自分との違いは、単なる実力にとどまらず、勝利への執念や野生じみた迫力からもひしと感じられた。

 しかも、獣人同士の戦いは、「相手の肉体」を賭けて本気で行われる。格闘技にリスキーな刺激を求めていたタイキにとっては、ただの人の体では一筋縄にはいかないような強敵ばかりが集う、まさに「楽園」に違いなかった。


 そして、今日もまた獣人相手にリングに上がる。自信家の獣人相手に己の実力を示し、キャンバスに叩き伏せて屈服させるその瞬間を心待ちにして、タイキは舌舐めずりした。



 今日もまた、タイキは嬉々として行きずりの相手と拳を交える。先にキャンバスに沈んだほうが相手に体を差し出す暗黙の了解は、根っからのサディストであるタイキにとっては十分リスクとリターンのある戦いとなった。


 そして、声色や態度でもわかる通り、それは相手も同様だろう。耳をぴくつかせ、しっぽを振る獣の姿をした人、「獣人」も、相手がただの人間と分かっていれば負けるなんて毛ほども想像していないはずだ。



「はっ……、準備はいいか? つるつる赤ちゃん肌の人間ちゃん?」


「いつでもいいぜ? 毛むくじゃらのワン公」


 鼻先がかすれるような距離で挑発を投げ合う。リングの上、ボクシンググローブを装着してタイキと相対しているのは、黄土色の少し傷んだ毛並みをした、鋭利な牙をぎらつかせた犬獣人、テツジだった。鮮やかな色の髪を立たせ、耳にはピアスを光らせており、犬の要素を抜きにしても気性の粗い不良といった見た目をしている。


 全ては、通りすがりのバーで因縁をつけられたのが事の発端だった。タイキが鼻歌交じりに酒を口にしていれば、獣人ではないただの人間だと見抜いたテツジは仲間内で差別的な言葉で挑発し、怒るどころか悠々と言い返したタイキの態度を気に入らず、二人の戦意は一気に剥き出しになり、今に至っている。


 プレイルームに備え付けてあったボクシンググローブを身につけてはいるが、ルールは特に決めていない。一触即発の喧嘩をそのままリングの上に持ち込んだような雰囲気だった。


「はっ……、ただの人間の分際で、この俺に勝てると思ってんのか?

 ここは獣人サマの世界、サファルヴェルグだぜ? テメェらみてぇな軟弱な人間が生きていける世界じゃねぇんだよ」


「獣人の中でも、お前はそんなに強そうには見えないけどなぁ? ま、下着のセンスだけは認めてやるよ」


「……テメェもな。へぼそうなブツおっ勃てやがって。今からこの俺にボコられんのに、ずいぶん余裕じゃねぇか?」




 タイキはテツジの下半身に目を落としつつ、不敵に笑った。


 リングの上で裸一つで殴り合う為、鍛え抜かれた肉体を晒しながら……、互いに身に着けていた下着は、筋肉の線を明確にするようなブーメランパンツだった。タクジは己の肉体美を周囲に知らしめるべく普段から露出の高い下着を好んでいたが、それはこの相手も同様だったらしい。

 そして、その布地を押し上げ、先端の形状が浮き出てしまうほどに互いの性器は既に勃起していた。タイキは昔から試合での興奮などがそのまま下半身が直結していたが、それは精力旺盛な獣人とさして変わらないと知るのは早かった。


 勃起した性器をパンツ越しに突き合わせ、競うように擦り合わせつつ、互いに挑発を重ねていく。 獣人であるテツジの誇らしげな勃起は、人間に対する敗北など想像すらしておらず、すでに勝利の先の凌辱までを見透かしているようだった。


「ははっ、俺も拳闘でランクを稼いできたけどよぉ……ただの人間を喰っちまうのは初めてだぜ。薄汚ぇねぇサンドバックになって終わるだろうけど、精々いい声で泣いてくれよ?」


「そいつはこっちの台詞だぜ。……キツネちゃん?」


 首を傾け、タイキがあざ笑うように言う。……その言葉に、テツジは表情を変えた。


「……俺は犬獣人だ。無知なお前に一つ教えといてやるぜ。

 獣人はなぁ、他の種族に間違われんのはそれだけで屈辱なんだよ。……次いったら命はないと思えよ」


「あぁ、そうかよ。さっさと始めようぜ、キツネちゃん」


 それは、これまでも獣人と拳を重ねてきたタイキも知っているうえでの挑発だった。そして忠告を受けてなお、タイキは自ずと地雷に踏み込んでいく。

 嘲るような余裕が消え、怒りに染まった野獣のような剣幕になっていくテツジは、余裕を消さないタイキを冷酷に睨み付けた。

 


「……死にてぇらしいな。クソ人間。すぐに血みどろの肉団子にしてやるよ……」


「オラ、とっとと始めようぜ。せいぜい楽しませてくれよ?」


 会話はそこまでが限界だった。至近距離での睨み合いに耐え切れなくなったテツジが襲い掛かる形で、ゴングが鳴り響いた。




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サファルヴェルグ~タイキの獣人蹂躙記~ VS犬獣人 1

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