SamuZai
yukibou
yukibou

fanbox


サファルヴェルグ~タイキの獣人蹂躙記~ VS犬獣人 4

 結局は、こちらに迷い込んできた異端者に過ぎないただの人間が、この世界の住人でありより優れた種である獣人に敵うはずなどないのだ。


 獣人が支配するサファルヴェルグにおいて、ただの人間などそうだとバレれば獣人の性奴隷でしかない。力が支配する弱肉強食が掟のこの世界で、弱い存在に真の自由など存在しない。それがいやなら、獣人を装って静かに暮らしていればいいのだ。ほとんどの獣人も人の姿に変身できるし、紛れていれば誰も気にはしないだろう。


 だから、ただの人間が獣人に喧嘩を売ろうとしているなんて、それだけで鼻についた。そして、実際に見かけたときは幸運だとしか思わなかった。軽く暴れたかったからよく泣きわめく殴りがいのあるサンドバックが欲しかっただけで、そのうえ力でねじ伏せればどうとでもなるのだから、発情した際の性処理にはもってこいだった。


 ……そのはず、だったのに。



「おいおい、あんま暴れんなし。無駄だ、つってんじゃんかよ?」


「っ……ぁ……クソ、どけ……っ! どけよぉっ!!」


 時折、犬特有の上ずった悲鳴が聞こえつつ、テツジは腕を振ってもがこうとする。


 だが、不安定極まりないうえ、獣人の怪力で必死に抵抗されているというのに……、タイキの体勢は多少全身が揺れるのみで振り落とされることなく、極めて安定していた。





 真上から、歯をむいて笑みを浮かべてくるタイキに対し、テツジは屈辱感以外に何も考えられず、冷静をかいてわき腹を小突いたり、下半身をばたつかせたりしていた。


 獣人の地力によって圧倒していたはずのテツジだったが、勝負の流れが変わったのは、タイキが度重なるボディブローで射精を強制されてまもなくだった。

 そろそろとどめを刺そうとして、テツジが大降りに殴りかかると、どういうわけか急に攻撃が当たらなくなってしまったのだ。ならばと弾幕のようなジャブを繰り出してみても、ほとんどは手ごたえを得られない。


 今までの対等な勝負が嘘であったかのように、タイキの動きが見違えたのだ。テツジの焦燥をあざ笑うかのように、タイキはジャブで応戦していく。

 その折……、一瞬生じたテツジの隙を見て、タイキが懐に飛び込むと、そのままタックルで押し倒し、驚くほどの速度でマウントポジションを奪ってしまったのだ。


 しかも、ただの馬乗りではなく。首から下の動きを完封するように押し付けられている。射精した性器が引くつくその下で、テツジは怒りによる高揚で鼻息を荒くしていた。


「くそぉ……くそっ! なんで、俺が……っ!」


「だーかーら、いまさらあがいたって無駄だって。

 お前はわかってないかもだけど、俺マウントポジションから相手を逃がしたこと一度もねぇんだわ。んで、俺の中で理想のポジション奪っちまったから、あとはお前、嬲り殺されるだけなんだよ」


 テツジにしても、たった一瞬で、しかもボクシンググローブをつけた状態で、ここまで反撃を許さずに有利を奪われるなんて想像もできなかった。自覚してからは、ただの人間に見下されることに耐えられず、テツジは唸りながら大暴れを続ける。


 だが、それでタイキを振り下ろすことは叶わなかった。仕掛けて捕らえる技術は言わずもがな、暴れ馬の上だろうとその体勢を巧みに維持するバランス感覚も、格闘技で天才といわれてきたタイキの強みの一つだった。


「さぁ、そろそろはじめっか」


「……っ!」


ドガァッ!!


「ぐがっ……っ!!」


 見せびらかすようにタイキが拳を振りかぶる。テツジが唖然と口を開いた瞬間……無防備な頬に拳が落とされた。


 ぐしゃとグローブに潰された頬の上、いまだ信じられないと目を見開きつつ、テツジはタイキを見上げていた。


「はぁ……はぁ……、ありえねぇ……ボクシンググローブつけたまんまで、こんな器用な真似できるわけ……」


「できてるから、お前は今大ピンチなんだろ?」


ドガァッ!! グボォッ!! ドゴ! ガッ!


「……っぁ……! ぐぅ……、くそ、くそぉ……っ! はなせやっ!!!」


 このままでは、言われた通り嬲り殺しにされてしまう。怒りが焦りに移っていった頃、そんなテツジの表情の変化を見下ろし、タイキは満足そうに肩をすくめた。


「さぁて……お前にはさっき気持ちよくしてもらったし……、ボッコボコにお返ししねぇとなぁ……?」


 ドゴ! グボォッ! ガッ!


 タイキは悠々と言うと、獣人さながらの犬の頭を左右に振り続ける。一方的な体勢から繰り出される暴力に、テツジは苦しげに呻き続ける。


ガッ! ゴッ! グボォッ! ドガァッ!!


「んぁ……がぁっ! ごは……っ!」


 レフェリーがいたならとっくの昔にストップがかかっているだろう。が、これは試合ではなくただの喧嘩。タイキもそれを見越して、あえて意識を奪うような威力では殴らなかった。


 自分に勝てると踏んで、調子に乗っていた相手の表情が流れの変化によって曇り、逃げることもできず、そして鼻血や痣だらけの顔が痛みへの恐怖で歪んでいく様は……、タイキにとって何度も味わってきた独特な愉悦であり、タイキの性感帯のような嗜虐心を芯から煽るものだった。


 そして、殴打を続け、テツジの尻尾が垂れて抵抗が弱くなってきた頃合い……、タイキは弱く息を吸うテツジに顔を寄せ、にんまりと笑みを浮かべる。


「よぉ、ワンちゃん。すっかりグロッキーだなぁ? ただの人間サマに何もできずに殴られる気分はどう?」


「……最、悪、だ……、わざと、気絶しないように甚振りやがってぇ……っ!!」


「そろそろ降参させてやろっか? 大人しく尻尾振って俺のチンポでもしゃぶるってんなら、許してやってもいいぜ?」


「はぁ……はぁ……、クソ、テメェ……!」


 自分の性器を掴み、テツジの鼻先に叩きつけながら言うタイキの言葉に、しかし状況的に後は敗北を受け入れるばかりとなったテツジは、顔をそむけることしかできなかった。



「……いつからだ……?」


「あー?」


 ふと、テツジが言う。タイキは性器を叩きつけるのをやめ、額に垂れた汗を軽くぬぐいながら聞き返した。


「いつから、俺に合わせて力を抜いてやがった……?」


「…………俺は、最初っから本気だぜ~?」


「なめん、じゃねぇ……! 俺だって、格闘家のはしくれだ……! いつから、わざと俺に殴らせてた!?」


 そんなはずはない。

 最初はいつでも倒せるだろうとたかを踏んでいて、後にただの人間といえども油断ならない相手だとして本気を出し始めた末に、こんな苦汁を舐める羽目になったテツジには、絶対だと言い切るだけの自信があった。


 軽い気持ちで喧嘩を売ったのはこちらだとは言え、国家の拳闘大会をも視野に入れて打ち込んできたプロのライセンスを持つ格闘家であるからこそ、テツジはタイキの試合での力の変化を見逃さなかった。


 一方、戦う相手を馬鹿にするだけではなかったテツジの意識と観察眼に、同じ格闘家として少し感心を覚えたタイキは、拳を止め、口を丸めていた。


「へぇ……、ま、途中からだよ。お前が俺の性癖理解して、燃えるくらい俺の体痛めつけてくれんの、楽しんでたぜ。

 当たり前だろ? 俺はいろんな意味で気持ちよくなるために格闘技やってんだからよ」


「ぐ……」


 分かっていた。とはいえ、実際にこうしてマウントを奪われた上で上から言われれば、やはり悔しさは膨れ上がった。

 ただの人間に、まして格闘技の実力で劣っていたなんて。勝てると踏んで挑んだ喧嘩の結果を踏まえても、容易くは認められない現実だった。


 テツジは憤りを膨らませ、喉を鳴らして唸りながらタイキを睨んだ。


「こ、の……バケモンが……っ! ただの人間のくせに、こんなレベルの技術……、生意気だっ!!」


 ドガァッ!!


 だが、テツジが何を言っても、タイキは涼しい顔のまま、拳を落とす。


 どれだけ侮蔑を吐いたところで、この状況が全てだった。弱肉強食が掟だというのは、獣人側から言い出したこと。もう何度落とされたかわからない拳に、口の中で屈辱を噛み締める血の味が滲む。


「まーだ、ただの人間とか馬鹿にすんのな~。強気はいいけど、……状況少しは理解しろよ?」


「はぁ……はぁ……、う、ぐぅ……!」


「さ、降参するか? 降参しねぇと俺止まらねぇよ? お前が死ぬまでやっちまうかもな」


「……っ! 上等、だ……やれるもんなら……っ!」


グボォッ!


「ぶは……っ!」


 ドゴ! ガッ! ゴッ! グボォッ!


「げはっ! ……あ、がぁ……っ!」


「ま、降参したくなったら言えよ♪」


 テツジは苦しげに悲鳴をこぼす。一方で、タイキは嬉々として拳を落としていく。


 その角度もまた、的確だった。意識が吹き飛ばないぎりぎりと威力で頬や鼻先にグローブが食い込み、テツジの顔は瞬く間に痛々しい痣にまみれて崩れていく。


「はぁ……はぁ……、が、ぁぁ……」


「やっぱ俺を見下してくる獣人をこうして殴んのは」


 ドゴ! グボォッ! ドガァッ!!


「がぁ……はぁ……はぁ……、……く、そぉ…………くっそぉ……、ど、け……っ…………!!」


「気持ちいいなぁ?」


 ガッ! ドゴ! グボォッ!


「ビビってるその面、くせになりそうだ、ぜっ!」


「はぁ……はぁ……! ……どけ、やっ! きた、ねぇぞ……っ!!」


 降参しなければ、取り返しのつかない事態になる。そんな状況にまで負い積まれれて尚も……、テツジは赤黒く膨らんだ目蓋で、必死にもがき続けた。


 ただの人間相手に降参など、考えられなかった。……それでも、このまま殴り殺される恐怖を考え始めれば、テツジは尻尾を丸めてすくませていた。


「はは、無駄だっての。お前の稼働する関節とか、全部計算して体重かけてんだから」


 タイキの言葉が決して脅かしではないことはわかっている。この勝負、始まる前からこの男の手の上で操られていたようなもの。今更、人間離れした格闘技の技能を一つ二つ備えていたとしても驚かない。


 ……今にして思えば、獣人相手に喧嘩を売られて怯まなかった時点で、違和感を感じて然るべきだった。実在など信じられなかったのだ、獣人相手に、ここまで戦えるただの人間の存在なんて……。


「あ、でも、舌伸ばしたら、俺のチンポに届くかもな? 俺をイかせまくって脱出を企んでみるか? 俺はどっちでもいいぜ?」


ドゴ! ゴッ! グボォッ!


「がはぁ……はぁ……はぁ……」


 もう、限界だ。手加減されているとはいえ頭部への殴打が続き、ついには意識が濁り始めてきた。


 最後まで抗おうと決意を固めていたのもつかの間、テツジはついに戦意をなくし、その鼻先にある、白濁をまといながらもいまだ勃起が収まっていない性器を眺める。


 ……負ければ、こいつをぶち込まれる……。ただの人間に敗北し、この世界のルールによって犯されるなんて、獣人としての最大級の不名誉だ。


 だが、命には代えられない。テツジは震える瞳でタイキを見上げ、静かに白旗を挙げる決意を浮かべた。


「く、そぉ……勝負、ついてん、だろうが……っ! だから……」


「あー? ギブって言わないとわかんねぇなぁ?」


「な……っ! ただの、人間相手に、ギブなんざ……!」


「あっそー」


 ドゴ! グボォッ!


 テツジが最後に意地だけでも守ろうとしても、タイキは取り合わなかった。笑いながら、拳を落とす。


 タイキの要求はシンプルでありながら、自分のプライドを自分でへし折って粉々に砕かなければならないような、受け入れがたい困難な内容だった。

 テツジは息を乱しつつも、揃った牙を食いしばり……、ついに、自分をこんな屈辱にまで追い込んだタイキを凄むように睨みつけつつも、口を開いた。



「くそ……ギブ、ギブだ……。俺の……、負け……っ!!」


「うっし。よく言えたなぁ、いいワンちゃんだ♪」


 そこで、ようやくタイキは拳をほどく。まもなくして、テツジの上から退いた。


 タイキは腰に手を当て、敗北に打ちひしがれてか弱々しく呻くテツジを含み笑いで見下ろす。



「っ……っ! くそぉ……くっそおおっ!!!」


 ようやく解放されたとしても、全く安堵できなかった。


 しばし自分が命欲しさにしたことさえも受け入れられず、茫然としていたテツジだったが……、ただの人間相手に敗北を捧げた己の不甲斐なさを自覚する。勝負が決した今では、どこにも向かいようがない怒りばかりがこみあげてくる。


 ……だが、怒りのままに襲い掛かるなんて、格闘家失格なことはできなかった。仮に自分の矜持を捨てて襲い掛かったとしても、また同じことになれば、今度は殺されるかもしれない……。


 そこでテツジは、すっかり、目の前の自分に勝利したタイキに恐怖してしまっている自分を目の当たりにすることになった。失った戦意で尻尾が震え、砕かれたプライドで耳の先がへたりと折れる。

 ただの人間、すなわち獣人に比較したなら劣等種に過ぎないタイキを、自分よりも優れた雄だと認めなければならない、不合理なまでの恥辱。

 今まで散々に中傷し、見下し、罵ってきた分、自分はそれ以下なのだと投げた言葉の全てが跳ね返ってくる。


 ただの思い付きで売った喧嘩で、想像もできないほど大変な代償を強いられたテツジは、悔しさから何度も拳をキャンバスに叩きつけていた。

サファルヴェルグ~タイキの獣人蹂躙記~ VS犬獣人 4

Comments

コメントありがとうございます! 以前より理不尽なほど強いキャラを描いてみたくて……( *´艸`)

yukibou

その前全部テツジにハンデをつけるのか でも、テツジに殴られるのもシャレにならないでしょう、 そんな状態でまだ痛みを楽しんで満足した後も冷静に反撃をするなんて、 これはホントにありかよ...

nensei


More Creators