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過去作再録 「紛争学園の日常~ユウキ編~ 2」


 ドゴォッ! ゴッ、ドッ! ドガッ!


「ぐぁ……っぐ、がぁ……っ!」


 短い間隔でユウキの拳が振りかぶられ、アラトの顔が左右に振られる。


 アラトが殴りかかる形でもつれるように接近戦となった二人だが、その流れはやがて一方的となっていく。


 アラトの拳が命中してもユウキが怯むことはなく、そしてユウキの反撃のストレートがアラトに綺麗に突き刺さったことを皮切りに、体格面を覆すほどの技術の差が見る見るうちに表面化していった。


 アラトの攻撃を体から適度に力を抜くことで最大限軽減し、繰り出す拳には全力の速度と力を乗せる。身軽なフットワークで目まぐるしくそれを繰り返すユウキの攻め方に、アラトは苦そうな表情でされるがままになってしまっていた。


 足遣いだけで見ても、キャンバスを踏み占める二人の足取りも、ユウキが勢いのままに押しやる形となっていった。


「はぁ……、はぁ……、テメェ、さっきから同じ動きばっか繰り返しやがって……!」


「……単細胞のお前にはこれで十分だろ、悔しかったらさばいてみろよ」


 ユウキの動きは基本的な反復だ。それが分かるからこそアラトは殴られつつも顔をしかめたが、ユウキはただグローブを振って挑発を送る。


 しかと見たアラトは、ユウキの思惑通りに顔を真っ赤にして殴りかかっていった。


 予期していたユウキの前に、冷静さを失っては近づき殴り合うことすらできず、アラトの拳は空振りか、完璧なガードの前に無力化されてユウキの体に届かない。


 それでも、溢れんばかりの体力を下地に、暴れ牛のように拳を振って襲い続ける。


 そんなアラトの乱打をひとしきり避けた後……勢いユウキは小さく息を吸った。


 ドゴォオオッ!!


「っが…………っ!?」


 狙いすまされ、足のバネを最大限に生かした鋭利な一撃が、アラトの頬を見事に捉えた。


 いくら紛争学園の生徒の中では華奢な体格だとしても、日々のトレーニングで鍛え抜かれたユウキの拳は決して軽くはない。ずっと耐え続けたさしものアラトも、強烈なストレートの直撃に動きを止めてしまう。


 目の前に晒された、ガードも何もないアラトの肉体。ユウキは冷静な目つきでそれを見据え、腰をかがめると、肩から突進してプッシングした。


「がはっ……」


 アラトの腹筋へ短めのタックルを打ち込む。互いの汗が飛び散る中、キャンバス中央から追いやられたアラトは、そのまま逃げ場を奪われてしまう。


 コーナー際だ。それを背後から伝わる冷たい感触で理解したアラトは、痛みへの苦悶の中、見る見るうちに表情を曇らせる。


「……!? くそ……!」


「降参するなら、早めにしろ。始めたら、俺は止まらない」


 そして、乱雑に振りかぶり続け、ガードにも使ったアラトの腕が、もう満足に上がることはないのも分かっている。


 足して、あれだけの一撃が入ったのだ。すぐには反撃など叶わない。ロープを掴み、乱れた息を吐くアラト。それを睨み、ユウキは身構えつつ淡々と告げた。


 だが、顔をしかめていたアラトは、ふとした拍子に好戦的な笑みを浮かべる。ユウキは眉をひそめた。


「へっ……冗談だろ、まだ、始まったばっかだろうが……!」


「……この状況、分かってんのか。俺には、今のお前の状況はサンドバックにしか見えねぇぞ」


 逃れられず、引くつく体に身動きの気配すら感じられない。状況は圧倒的に傾いた。


 しかも、薬の影響もあるだろう。向こうは頬を火照らせて満足に動けないし、此方は最大限に闘争心に満ち満ちている。実際、今にもその体を殴り潰し、アラトを屈服させたくてうずうずしている。


 残った理性の寄せ集めでの提案に対し、アラトは笑みをこぼしながらそれを唾棄した。


「オラ、来いよ……、お前の全部、受け切ってやるよ。この俺がテメェの拳なんかで倒れっかよ……! その後で、お前を絶対に倒してやる……! 覚悟しとけや……!」


 いつもの喧嘩と変わらない。耐え抜けば、必ず勝てる。コーナーに背を預けたまま、アラトはかろうじて、かかってこいと指を振る。


 ドゴォッ!


「ぶは……!」


 直後、ユウキの拳が顎を突き上げた。その目に躊躇いを消す。


「なめんなよ、アラト……、俺も限界だ。これ以上挑発するなら、マジで容赦しない」


「っ! き……、効かねぇなぁ! オラ、もっとこいよ! その程度かよ!?」


 だが、尚もコーナー際にて虚勢を張る。薬に煽られた戦意を凝縮して、ユウキは冷徹に目を細めた。


 それから先は、通告通り、ユウキの一方的な責めが始まった。


ドゴォッ!! ドボッ! ドゴッ!


ドガッ! ドゴォッ!


「がぁっ! ごっ! ……っが、がはっ!」


 ユウキは小刻みに足を組み替えて、コーナーを背にしたアラトの体をまんべんなく殴りつけていく。胸から腹へ、かろうじてガードをしようとしてもすぐに弾き飛ばされてしまう。


 その鍛え抜かれた筋肉に拳が埋まり、すぐに引き抜く。それを繰り返す。見る見るうちにアラトの体が破壊されていった。


ドゴッ! ゴッ! ドボォッ!


「がっ! ぐは……っ!


 はぁ……、はぁ……、はっ! こんな、もんかよ……、スポンジみてぇなパンチだぜ……、なぁ!?」


 ドゴッ、ドボッ!


「ぐは……っ! ぁ……! ……ぐ! 効くか、よ……があぁっ!」


 ドゴッ、ゴッ、ドガッ!


 強がりを見せた途端に、その頬を振りぬかれ、体に拳がめり込んでいく。ユウキの拳の威力を肌身で確かに感じつつも、アラトは全身の筋肉に力を込め、必死に耐え続けた。


 グボォ! ドゴォッ!


「がはぁっ……。はぁ……、はぁ……、た……大したこと、ねぇな……、あぁ……?」


「その割には、体から力抜けて来てるぞ……! やせ我慢してねぇで、もう降参したらどうだ……?」


 ドボッ! グボッ!


「ぶっ……、……な、めんな……んなもん、で……!」


 ごまかしばかりに笑みを浮かべて見せるも、雨のように、だが的確な連撃を受け続け、やがてアラトはふらつきを強くし始めた。


 だが、倒れない。その頑丈さは折り紙付きだ。手応えとは裏腹に堪え続けるアラトにしびれを切らし、ユウキは少し息を荒らした。


「はぁ……、はぁ……、もう、おしまいかよ……? こんなもんじゃ、俺は……」


「黙ってろよ……、これで、終わらせてやる……!」


 ロープに肩をひっかけて耐え続ける、そんなアラトに対し、ユウキは静かに拳を身構えた。


 とどめだ。そう告げんばかりに、腕を思い切り引き絞る。


 ……ドボオオオォォッ!!


「がぁぁ…………っ!!!」


 一点集中。抵抗の意思を見逃さないユウキの前に、そこから逃れられないアラトに対し、十分に研ぎ澄まされた拳が深々と突き刺さった。


 コーナーとユウキの拳に挟まれ威力は倍増し、アラトは目を剥いて唾液を散らす。今までは砕かれつつも耐えてきた腹筋だが、その一撃で一気に防御の機能を奪われた。


 ……ズボッ。


「ごっ……、が、は……っ……!」


 その感触を実感し、ユウキが拳を引き抜く。と、ロープを掴みつつも、足のふらつきに堪えきれず、アラトはコーナーに背を滑らせるようにしてその場に崩れていく。


 キャンバスに腰をつける、そこで、呼吸を整えていたユウキはふと目を丸めた。


「……何、勃起してんだよ。まだ余裕みてぇだな」


「はぁ……、はぁ……、へへ……、お前だって、してんだろ……!」


 ユウキは少し目を細めた。間違いなく、薬の影響だ。試合の最中に勃起するというのは照明の効果でも経験済みだった。


 だが、既に満足に動くことはできないだろう。増して反撃など叶わない筈だ。この勝負は見えたと確信しつつ、ユウキは静かに息を整える。


「はぁ……、はぁ……! な……、殴られてる、だけで……、こんなに、燃えるなんて……な……! 」


「降参か?」


「……はっ、冗談、だろ……」


 キャンバスに腰をつけたまま、相変わらずの強情さで笑みを見せる。そんなアラトに対し、ユウキはひざを折った。


 ドボオオオォォッ!!


「っ、あぁ……っ!!」


 ユウキはアラトの肩を掴み、座らせたままでコーナーへと張り付ける。そして、同じ個所に、もう一撃、深々と集中した拳を突き入れる。


 勢い鋭く鳩尾を貫き、アラトは九の字に体を折った。


 首をのけぞらせ、その刺激に悶えるアラト。だが、瞳の色はどれだけ殴られようとも好戦の一色で完全に血走っていた。


 薬に煽られ続けている今の状態が自分と同じだとすれば、やはり、油断ならない。結局は心が折れなければ、ともすればすぐに反撃されるだろう。


 その前に。ユウキは拳を構えた。


 グボオオオォォッ!!


「ん、ぐっ……、っはぁ……っ!!」


 もう一発。無慈悲な一撃がアラトの腹へと突き刺さった。


 コーナーの手前にて。腹を抱え、額をキャンバスに擦り付けて悶絶する。丸くなった背中には汗の粒がいくつも噴出し始める。


 それを目の当たりに、ひとまずユウキは拳を止める。こうなったらもう打撃でなく、直接締め落とした方が早いだろう。


 試合が長引くことに辟易を覚えていた矢先。薬が頭に回り切ってすこし興奮に振り回され始めたユウキが、頬の汗を軽くぬぐう。


 ……次の瞬間。


「…………うらあああぁっ!!」


「!!?」


 コーナー手前で弱々しく震えていただけの筈のアラトが、一瞬の隙を見せたユウキへ、一気にタックルを仕掛けた。


 それほどの体力が残っていたとは思いもよらず、唐突なことで反応が追い付かないユウキはそれでも抵抗したが、アラトは体勢が崩れたユウキの腰をがしと掴み、前のめりになって押し倒していく。


 ユウキの激しい抵抗を受けつつも、その体格差を活かし、キャンバスに押し倒した。


「ぐ……、お前、まだそんな力……っ!」


「はぁ……、はぁ……、くそ、腕、あがらねぇ……」


 マウントをとって殴る気だったのだろうが、アラトは押さえ込むばかりで拳を握ろうとしない。


 そこで、自他ともに拳すら満足に握ることができないことに気が付いた。あれだけ殴打を受けたのだ、反撃の力が残っていないのはその通りらしい。


 これだけ殴り、殴られ続けた二人の体は汗で濡れ、いつも以上に熱がこもっていた。とにもかくにも、このままアラトにグラウンドで押し込まれることを即座に危惧し、ユウキは対応しようとする。


「もう、満足に拳も握れないんだろうが……、いい加減、諦めたらどうだ……?」


「はぁ……、はぁ……、な、めんな……、俺は負けねぇぞ……!」


 肩を抑え込みつつ、その肩に顎を乗せて密着を強めていくユウキが耳元で告げる。アラトも同じようにしてユウキをキャンバスへと押し付けつつ、乱れた息を吐いた。


 まだ理性が働くユウキに対し、限界まで追い詰められたアラトは、ふと、笑みを引く。


「……こうなったら、しかたねぇよなぁ……?」


「……お前、何を……、っ!!」


 熱い吐息を吐きつつ、アラトはそう呟く、と、ユウキのトランクスに手をかけた。


 殴れないならてっきり関節技を狙ってくるかと想定していたユウキは、その予想外の行動にうまく抵抗できず、されるがままに身を転がしてしまう。


 暴れるユウキの体を自身の体重をかけて押しつぶし、その最中にもアラトにまさぐられ、ついにはトランクスがはぎ取られてしまった。


「っ!!」


 そして、布地に抑えこまれていたユウキの性器が外に晒された。薬の影響、それは試合が進みにつれて深くなっていき、相変わらず性器も高々と天井を向いて勃起しきっている。


 触れれば、今にも爆発してしまいそうに苦しげにびくつく。ユウキは赤面しつつ、アラトを睨んだ。


「……お前、どういうつもりだ……!」


「んなモン、分かり切ってんだろうが……?」


 残った体力の差は歴然。それも踏まえて悔し気に顔をしかめるユウキだったが、アラトはユウキの上からどかず、押さえつけ続ける。


 そこで、ふと自身のトランクスも脱ぎ始めたアラトの表情を目の当たりにして、ユウキは言葉を失った。

……見るものすべてに欲情し、戦いに飢えた獣のような、その目。


「お、お前、まさか……!」


 危惧するも、既に遅く。


 アラトはトランクスを脱ぎ捨てた後、ユウキの股を掴んで持ち上げる。ままに目の前に晒された秘部へ、アラトは自身の性器を掴んで、その先端を密着させた。


 血管が浮き出て、痛々しいほどに勃起しきった性器。その溢れんばかりの先走りを、ユウキの秘部の入り口に塗りたくる。


 殴れないなら、体力を奪うにはいっそそれが手っ取り早い。そう考えたのだろう。


「……へへ、うらああぁぁっ!!」


 グリュ……、ズボ……!!


「ぐ……、あぁぁぁっ!!」


 トランクスを奪われて早々、アラトの性器が、ユウキの中へと挿入された。


 一気に自身の内側に入り込んでくる熱い感触に悲鳴を上げる、そんなユウキの手首を掴み、逃さぬようにして腰を動かし始める。


 先ほどまでの攻勢は一転、一気にアラトの責めに身悶える羽目になったユウキを見下ろして、アラトは息を乱しつつも、悪戯な笑みを浮かべた。


「がぁ……っ……、ん、……アラ、ト……お前……!」


「はぁ……、はぁ……、はっ! ちょっとすばしっこいからって、勝った気になってんじゃねぇぞ……、ユウキっ!」


 汗だくで絡まり合う中、アラトは眼下のユウキに向かって吠える。グラウンドにもつれ込むのは覚悟していたものの、締め技や関節技どころか、まさかそのまま犯されるなんて想像もしていなかった。


 そして、それを難なく受け入れてしまった自身の体の変化にも驚いていた。体がほてり、痛みが快楽に変わる。少しでも気を抜けば、そのままアラトに根こそぎすべてを持っていかれそうになってしまう。


 先ほどのラッシュの仕返しか、アラトの性器に下腹部を何度も突き上げられ、ユウキは必死に歯を食いしばった。


「ぐあぁ……、あっ……んぁ……っ!」


「へへ、オラッ! ギブか、あぁ!?」


 まだ、勝負は終わっていないということなのだろう。そして薬の効果で表面化した本能に身を任せたアラトは、とめどなく性器をユウキの中に叩きこみ続けた。


 負けを認めれば、それ即ち終わりだ。背にのしかかるアラトの熱い体温、そして重さから逃れようと、ユウキは震える指先を床になぞらせ続ける。


「あぁ……、が……、う……うるさい……! 俺は……、うがぁぁっ!!」


「へっ、なかなか耐えるじゃねぇか! ……じゃ、これでどうだ、オラァッ!!」


 いうと、アラトは秘部の上で切なく震えているユウキの性器を、思い切り握りしめた。


「っ……ぁぁっ! あぁぁぁぁっ!!」


 先端を覆うようにして握りしめ、親指でその裏側をこすり合わせる。粘着質な音が響き、その刺激にユウキは全身を震わせた。


「がぁぁ……、……アラト……! や、やめろぉ……っ!」


「ふふん。素直に負け認めんなら、止めてやってもいいぜ?」


「はぁ、はぁ……くっ、誰が……!」


 快楽に溺れかけつつも、それでもユウキは必死に首を横に振る。


 それを見て、アラトはますます腰の動きを加速させていった。


「へっ……、赤水呑んでるからか? キツイ気がするな……?」


「はぁ、はぁ……! アラト、お前……よくも……!!」


 そして、ユウキの反応、そして体内の温度を性器で感じ取り続け、ついにアラトは表情を変える。


「はぁ……、はぁ……、オラ、そんな強情な奴には、敗北の味を味わわせてやるよ……!」


「んぐ……ぁっ……! ぐっ……! ぅあっ……!?


「オラッ……! くらえや、ユウキ……っ!!」


 ドビュ……ビュルルルッ!!


 ユウキに詰め寄るように襲い掛かり、震えるその体を押さえつけ、腰を打ち込む。その直後、ユウキの体内で激しく絶頂を迎えた。


「がぁ……っ……、ああああぁぁっ!!」


 アラトの性器から打ち出された熱い奔流を体内で感じる。そしてほぼ同時に、ユウキの性器も白濁を吐き出した。


 高く吹き出した白濁は、それまでため込んできた快楽全てを吐き散らすかのように長く飛び出し続け、互いの体を白く汚していった。


「へっ、中に出されちまったなぁ~?」


「はぁ……、はぁ……、お、お前……」


 よもや、刺激の渦に流されて、恥辱を噛みしめる時間すらなかった。まさか、体が赤水の効果に犯されているとはいえ、こんな安直に犯されるとは。アラトにも自分にも驚きを隠せず、ユウキはただ目元を手の甲で覆い、茫然と息を荒らしていた。


「客観的に見て、俺の勝ちだよなぁ? ユウキクン?」


 鼻息荒く宣言すると、アラトがようやく、ユウキの体から性器を引き抜く。


 タイマンの末に犯され、しかも思い切り中に出した。熱い吐息を漏らすユウキ、そしてその秘部から自分の白濁がこぼれだす様を得意げに眺める。


 アラトは辛うじて腕を持ち上げると、これ見よがしに力こぶを作り、勝ち誇るように笑みを浮かべた。

ユウキはすこし浮いたような表情でそれを見つめた後……、腰の影で、静かに腕を動かした。


 ……ガシッ!


「!!?」


 行為の余韻で力など残っていないと思われたユウキが、なんと上体を持ち上げ、完全に油断しきっていたアラトの肩に掴みかかった。


「っ、テメェっ! まだ……」


 すぐにもがこうとしたが、それこそ暴れ牛を御しきるように巧みに体重を使い、アラトの首に手をひっかけて押し倒し返す。


 仕掛けたアラトもすでに限界であり、ユウキの寝技に翻弄されるまま、互いの位置を簡単に逆転されてしまった。


「はぁ……、はぁ……」


「……くそ、ユウキ……!」


 散々に犯され、そして見下ろしてくるユウキの表情は、先ほどのアラト同様に余裕のない、獲物に食らいつく獣そのものと化していた。


 理性のタガが外れ、そして復讐とばかりにアラトを捕えたユウキは、静かにその耳元で囁き始める。


「……よくもやってくれたな……。覚悟しろよ、アラト」


「ぐっ、テメェっ! やめ……」


 迫りくる反撃の気配に、アラトの背がびくりと反応する。ユウキはそんな体を転がす様に反転させ、アラトに抵抗を許さないままで、滑りこむ様にアラトの下に回った。


 そして、アラトの体を握り、押さえつけていく。逃がさぬようしっかりと捉えると、背後にユウキの性器の先端が密着した。


 その怒張の温度に、アラトはつい先ほどまで余裕だった顔色を一変させ、戦慄する。


 やがて、その熱は汗と先走りで滑り、アラトの秘部へと迫っていった。


 ビュル……グリュ。


「っぁ……、があああぁぁぁっ!!」


 そして、秘部を割って押し入ってくるユウキの性器の感触に、アラトは大口を開けて悲鳴を上げる。


 自分がやったことと同様に、その先端が秘部をかき分け、窮屈な自分の中をその形へと開発していく。

もがこうにも、確かな格闘の技術を持ったユウキに捕まって抵抗を封じられている。そのまま腰を押し付けていけば、ユウキの性器はアラト自身の体重によって、より深くへと挿入されていった。


「あ……がぁ……、テメェ……! 奥、まで……!」


「……俺だって、余裕はない……、お前に、変なもの呑まされたからな……!」


 そして、アラトの影に覆われたユウキは汗を振り乱したまま、その体内で性器を引くつかせる。その先端に敏感になった奥深くをかき乱され、アラトの指先や足が跳ね上がった。


「はぁ……、はぁ……! ぐぁぁっ! あ、が……ぁ……!!」


「はっ……、情けない声だしてんじゃねぇよ」


「ぐっ、ユウキ……く、そぉ……っ……!」


 最奥まで至ると、引き戻し、そして押し込む。腰を叩き付け、性器の裏側にあたる部分を何度も性器で突き貫かれ、アラトは首を上に逸らしてひたすらに身悶えた。


「かっ、は……、う……っ、が……っ……ぁ……!」


 アラトの体内をひとしきり凌辱しきると、ユウキは腰を逸らし、思い切りアラトの奥底へと性器を穿った後……、返ってくる刺激のままに声を漏らし始める。


「アラト……、出すぞ……!」


「はぁ……、はぁ……、んぐ……、……うぁぁぁああっ!!」


 ……ドビュ、ビュルルルッ!!


 そして、いまだ窮屈なアラトの奥深くに、勢いよく白濁を吐き散らす。


 先ほどとは逆の体位で、今度はアラトが、その体内の熱い感覚に負け、自身の性器からも白濁を噴き出す羽目となった。


「はぁ……、はぁ……。……終わったな……」


 ユウキは行為の余韻に息をこぼすと、粘着質な音を立てて、アラトの体内から引き抜く。アラトは切ない声を僅かに漏らした後、キャンバスに崩れて大人しくなってしまった。


「はぁ……、はぁ……」


「おい……、アラト。お前の負けだ……!」


 告げると、ユウキもまた大の字に倒れる。胸を膨らませ、乱れた息を吐き続けた。


 普段の試合では、射精してしまえば、まるで体中の力を使い果たしたかのように倦怠感に襲われ、まして試合など続けられなくなる。赤水に襲われた状態では言わずもがなだ。


 体力は限界、だが、互いの性器は、白濁で汚れつつも、いまだ萎える気配を見せず、硬く勃起しきっていた。


「はぁ……、はぁ……! ……ざ……、けんな……。まだ、ケリはついてねぇ……!」


「…………」


 それを示す様に、アラトがキャンバスに手を突き、絶え絶えの息でも何とか立ち上がろうとする。動かす度に、体内に吐き出された泡立つ白濁が股から一筋こぼれだしていく。


 それを尻目に、ユウキも同様に震える足を立たせていく。


 にらみ合い、闘志を燃やす。そうすれば、全てではなくとも不思議と汗だくの体から疲弊感は消えていった。


 意識は浮いた状態で、ただ、闘争心だけに支配される。二人はどちらからともなく立ち上がると、あたかも獣のように額を突き合わせた。


「はぁ……、はぁ……。言ったよなぁ、ブッ倒して、絞り取ってやるってよ……! 勝つのは、俺だ、ユウキ……!」


「まだ、やる気なら……、お前が潰れるまででも、やってやる……!」


 まだ、終わっていない。ふらつく体で、二人は同時に拳を繰り出した。



 ………………。


 苛烈な争いの末に、もう、何度射精してしまったか。互いに分からなくなってしまった。


 白濁で所々汚れてしまったキャンバスと、互いの体。赤水の効果は強まるばかりで、もはや殴打でさえ、繰り出した方も受けた方にも、熱い刺激を与えるばかりだった。


 殴り、蹴り、関節を極め合って、互いの肉体を絞り合う。


 睨みあえば冷静は吹き飛んで、、それだけで呼び覚まされた闘争本能が鞭を打ち、じっとしていられず遅いかかっていく状態となる、理性がはち切れて、どれだけ経ったのか。窓のない部屋ではわからなくとも、既に外には陽の光が覗けていた……。


 ギュウ……!


「はぁ……、はぁ……! うらああぁぁっ!!」


「うぅ……ぐ……っあぁ……!!」


 アラトの剛腕が、ユウキを胴から絞り上げていく。そして下腹部では、何度吐き出しても萎える様子を見せない性器が互いの先端を擦り合わせていた。


 赤水の影響の前にもはや技術の差は皆無となり、互いに本能のままに襲い合う。


 アラトのベアハッグに捕らわれたユウキは、抵抗する力すら残されていないらしく、されるがままに垂れた足を震わせ、苦し気に顔を歪めていた。


「はぁ……、はぁ……、オラァッ!!」


「ぐあぁぁ……! こ、のぉ……、ア、ラト……!」


 ユウキの悲鳴に比例するように、なけなしの体力でその体を搾り上げていく。抱き合いになることで、比較的線の細いユウキの肉体は、アラトの太い腕にすっかり覆われてしまっていた。


 そして、下では粘着質な音が響く。アラトの性器が、ユウキのそれを裏から擦りあげ、扱いていた。

二人の性器は何度も吐き出した、どちらのとも知れぬ白濁で汚れ切っており、アラトが押し付け、擦りあげることで、滑らかに刺激をユウキへと送り続けた。


 ビュル……ビュルル……!


「ぐあ、ああぁぁぁぁぁっ!!」


 そして、当初よりはるかに薄まった精液をまた射精する。歪な感覚で吹き出し、痛みすらつき走る射精は、ユウキの頭に明滅するような圧倒的な感覚をもたらしていく。


 快感、痛み、疲労感、脱力感、熱。そして相手を倒すこと。体力が限界まで削り取られ、感覚がマヒし、それらしか考えられなくなっていく。


「あぁぁ……! ア、ラト……、もう……、ぐ……! 出、ねぇ……っ……!」


「はぁ……、はぁ……! 絞り出す、つっただろ……? それとも、降参すんのかよ……!? あぁ?」


 腰を揺さぶりつつ、アラトが勝利の明け渡しを催促する。だが、ユウキは目を絞りつつも、かろうじて首を横に振った。


「……オラ、もっと出せよ! 出せんだろ!?」


 射精直後だとしても、容赦はなく。興奮のあまり歯を剥いて笑うアラトは滾るような自身の性器をユウキのそれとすりつけ、執拗に責め立てていく。


「んぐ……が……っあぁ……! ああああぁぁっ!!」


「くっ……、うあああぁぁぁっ!!」


 ビュル……ビュルルルッ……。


 そして、今度はそろって、薄まった白濁を噴水のように散らした。汗ほどに互いの体を濡らしてなおも、萎えることさえも許されない。


 この瞬間だけでも二度も射精を強要され、ぐったりと垂れるユウキの体をそれでも締め上げつつ、アラトは荒れた息遣いとともに、その耳元で囁き始めた。


「はぁ……、はぁ……! おい、もう、限界かよ……? 打ち止めなら、俺の勝ちだよなぁ……?」


「はぁ……、はぁ……、……だま、れ……! 俺、は……、まだ……っ!」


「……そう、かよ……っ! だったら、このままぶっ壊れるまで続けてやるぜ……!」


「……させ、るか……っ!!」


 ドゴォッ!


「っ!」


 アラトが更に締め上げ続けようとした、その矢先。


 ユウキが腕を持ち上げ、アラトの鼻先を殴りつけた。まるで威力のない拳でも、今のアラトを怯ませるには十分な一撃となった。粘着質で濡れていたのもあり、アラトの腕が外れてユウキから滑り落ちる。

ままに、二人はキャンバスにつき倒れる。隙だらけの体を晒し、すぐに反撃することはかなわなかった。


 散々に殴り合い、締め上げ合った体はすでに動かすだけで悲鳴を上げ、なんども精液を吹き、尚も勃起する性器は腫れたように痛い。


 ……だが、いつまでも倒れていては、またアラトに捕まってしまう。ユウキはキャンバスに手を突き、震えながらもなんとか立ち上がる。


 同じように立ち上がろうとするアラトより一足先に身構え、キャンバスを蹴った。


「……アラト……っ!!」


「!?」


 ドボオオオォォッ!!


「がああぁぁ……っ!!!」


 跳躍し、その後。鋭利に立てた肘が、無防備に晒されていたアラトの腹筋に突き刺さった。


 体重を乗せ、アラトはそれらすべてを腹筋ただ一点で受け止める形となり、衝撃はすさまじくその四肢を跳ねさせた。


 そして、まるで押し出された様にアラトの性器からは白濁が噴出し、体内に出されていたユウキの白濁も勢いよく秘部から噴き出した。


「が……ぁ……ぁ…………」


「はぁ……、はぁ……。うらぁっ!」


 ドゴオオオォォッ!!


「ごあぁ……っ!!!」


 すかさず腕を引き、そしてすでに突き破った腹筋の中央へと、再び肘を突き落とす。


 アラトの苦しみようを見るに、もしかしたら腹筋ごと内臓までに至っているのかもしれない、深々と埋まる肘を引き抜く。


 だが、そこで止まれなかった。先ほどのアラトと同様。ユウキの瞳も、既に闘争心そのもので染まり切っている。


「……降参か、アラト」


 グボオオオォォッ!!


「ぐぶ……っぁあああ……!!」


「……降参かって聞いてる」


 ドボオオオォォッ!!


「っがぁ……!!」


「何とか言えよ……、アラトっ!!」


 グボオオオォォッ!!


「がはぁ…………っ!」



「はぁ……、はぁ……」


 散々に肘打ちを落とし続けて、ユウキの疲労も限界だった。そしてアラトも、その傍らで大の字に倒れ、弱々しく、息を吸っている。


 ……ドゴッ。


「っ……!!」


 そして、なげやりながら、最後に一撃、肘を落とす。


 アラトの性器が跳ねて残りわずかな白濁を飛ばし切り、四肢が少し跳ねる程度に終わったが、それ以上はこちらの腕が持ち上がらなかった。


「はぁ……、はぁ……、おい、アラト……」


「はぁー……、はぁー……。……っ、あ……お、れは…………」


 少なくとも、十発以上は食らわせた。声をかけるものの、アラトはうわ言のようにしか返事を返さない。


 赤水の効果の下、ここまで休みなしに戦い続けてきたアラトには十分な、残酷なほどのトドメだったかもしれない。

 やりすぎたか。自身もまた虚ろな意識の中で、その腹筋から肘を引き抜き、キャンバスに身を投げ出すアラトを見やった。


 ……寧ろ驚くべきことは、ここまでしても尚、アラトが意識を保っていることだった。もしかしたらアラトのタフさも、薬の効果により増強されているのかもしれない。


 そして、恐ろしいことに、アラトがまだ消えかけでも戦意を灯そうとしていること。


「お、れは……ま、だ……!」


「いや、終わりだ。……アラトっ!」


 指をピクリと動かしたアラトに対し、ユウキは静かに目をつむった後、試合を終わらせるべくアラトの肉体へと迫った。


 殆ど抵抗の返ってこないアラトの体を転がし、スリーパーホールドに捕えるのはかように容易かった。

肩ごと首に回した腕で、ゆっくりとアラトを締め上げていく。


 呼吸の自由を奪われたアラトは目を絞ったが、手足はほとんど動かず、胴を捻じる程度しか抵抗することはできなかった。


「終わりだ、アラト……っ!!」


「がぁ……っ……、……っ!!」


 ユウキが力を振り絞り、アラトの首を本気で締め上げる。


 あたかも断末魔のように、最後に性器が跳ねて透明がかった白濁を大きく吹き出した後……、アラトの腕はぼとりととキャンバスへ垂れた。



「おい、アラト。……アラト」


「ん…………」


 締め落とした後……、少ししてからのそりと近づいて、アラトの頬を叩く。


 目蓋を薄く開くアラトは、ユウキを目の当たりにして、一気に目を見開いた。


「……お、れ……、まさか、お前、に……!?」


「……まだ、やる気か……?」


「っ!」


 そして、ここがリングの上で、今しがたまで戦っていたのを思い出したか、アラトは重い体を持ち上げ、ユウキの肩を掴み、キャンバスへ押し倒した。


 仰向けに倒れるユウキの眼下に、アラトの顔がある。互いに緊張が張り付き、それを隠す様に睨みあう。


 ……少しの沈黙の後、アラトが大きく脱力の息を吐く。


「はぁ……。……おい、お前……」


「……なんだよ」


「…………その……」


 躊躇いで語気を濁す。だが、決心した様子でアラトは軽く咳払いすると、言いかけの言葉を続けた。


「……クソ。負け、認めてやるよ。今回だけ、な……」


「………………」


 目を逸らし、ぽつりとアラトが漏らす。その意外過ぎる降参に、ユウキは目を丸めてしまった。


 そして、そのままユウキの上に崩れるように身を落とす。その大柄な体躯から這い出るように首を覗かせ、ユウキはその背中を軽く叩いた。


「……おい、重い……どけよ……」


「な……、なんか……、力、抜けて……」


「まさか……、副作用か……?」


 言いかけたアラトの声が、次第に小さくなっていく。そしてそれはユウキも同様だった。


 先の試合。頭が随分冷えた今だからわかる。明らかに限度を超えて体を酷使しきっていたし、液体の効果が切れたのだろう今では、すさまじい骨の節々の痛みと倦怠感が体を満たし、それらを上回るほどの猛烈な眠気に襲われている。


 つまり、今からは肉体に残された疲労やダメージと向き合わなければならない時間だ。身動きすら取れず、アラトと二人、全裸のままで。


 アラトはとっくに意識を手放してしまったようだ。耳をそばだてれば、小さく寝息をたてている。


「……巻き込んでんじゃねぇよ、クソ……」


 試合でもないのに、何が原因でこんなことになったんだか。だが、少なくともあんな液体を持ち出すことなんてなかったのだ。だが、アラトの挑発に乗った自分こそ軽率だったと後悔して、苦くも嘆息を吐いた。


 アラトの体重にすこし息苦しさを感じつつも……、密着し感じるその体温を心地よく感じて、ユウキもそっと目を閉じる。


 ……とはいっても、目を覚ました時。勝利を誇ろうとすればまた同じことが起こる気がする……。頬に垂れた、汗だか精液だかわからない滴を拭い、ユウキは息を吐いた。



 引き分け、だな。そして、ユウキもばたりと倒れ、そっと意識を手放した。

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やりたくなった

yshbs177


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