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ビーストプリズン 「コウタの復讐」 1

 以前販売したイラストノベル「ビーストプリズン」シリーズから、獄中でのとある日常です( *´艸`)



 囚人同士による試合を行う地下格闘場を有している刑務所、村坂刑務所。通称「ビーストプリズン」。


 一日30分のみ使用できる個室のシャワーの他、ビーストプリズンこと村坂刑務所では、囚人の入浴は各部屋ごとに行われる。


 したがって、同室の囚人であるコウタとケントはいつも同じタイミングで入浴している。



 ドカッ!


「おらぁっ!!」


「いってぇ……! なにすんだよっ!!」


「邪魔なんだよ、バーカ」


 風呂上がり。着替えの最中だったコウタは、背後からケントに尻を蹴り飛ばされた。


 別段邪魔していたはずはなく、いつも通りの言いがかりだった。床に転がったコウタは振り返って睨みつけるも、ケントはどこ吹く風といった様子でニヤついている。


 同室にあてがわれたコウタとケントは何度も地下の闘技場で試合を組まれ、そのパワーバランスは無残なほどだった。ヒールのプロレスラーを志す巨漢にして「狂犬」と名高い戦いぶりを見せるケントに対し、新入りで体格も大きく劣るコウタが太刀打ちできるはずもなく。


 ケントは日ごろからコウタへの憂さ晴らしを絶やさず、コウタは歯向かうも、力づくにねじ伏せられるばかりだった。

 


「あ~~~~!!!」


 そして、これもいつものことで、ケントはコウタの持っていた、一人一ビンの支給品である牛乳を奪い取り、一気に飲み干す。


 牛乳が大好物であるコウタの絶望に染まる表情を、ケントはほくそ笑んで見下す。



 何ら変わらない日常。年上囚人によるいつもの意地悪。


(…………地獄に落ちやがれ、クソ犬野郎!!)


 だが、してやったりの笑みを浮かべるケントの陰で、コウタは陰でほくそ笑んだ。




「はぁ……はぁ……、あっちぃ……んだよ……っ! クソ!!」



 コウタに遠慮などするはずもなく、ケントはおもむろに上下とも服を脱ぎ、下着一枚となる。


 日ごろからその鍛え抜かれた肉体を晒しており、それは別段珍しくはないものの。……だが、今日は様子がおかしい。不自然なほどに頬を紅潮させ、その全身から尋常でない汗を垂らしていた。


(くひひ……このデカブツ相手に効くかどうか不安だったけど。いい気味だぜ!!)


 そして。ケントの荒れた息遣いの理由を、コウタは知っており……どころか、この状況はまさにコウタの仕組んだものだった。


 コウタのニヤつきからそれを察したケントは、下半身のしびれや感情の高揚のあまり頭が回らなくなり、がくと膝を床につきながらも、コウタを鋭く睨みつける。



「ふふん。どうしたんだよ。ケントさんよぉ?」


「はぁ……はぁ……、テメェ……!!」


 ケントは唸りつつも、己の性器をいたわるようにさする。

 今にも暴発しかねないような勃起ぶりを見せているその性器は、パンツの上からくっきりと形を覗かせていた。



「おい……チビネズミ……! 俺に何しやがったぁ……!!? さっきの牛乳か……?」


「へっ! アンタはもう怖くねぇよ! アンタが俺の牛乳を取り上げるのは毎度のことだったからなぁ?」


 ざまぁみろ、とばかりの物言いに、ケントはますます怒りを露にする。が、紅潮して崩れた顔色では、いつものようにコウタを威圧することはできなかった。


 ケントが明らかに余裕を失っているのをしり目に、コウタはゴミ箱の裏に隠していた、とあるアンプルの空ビンを取り出し、ケントに見せびらかした。



「へへ、こーれ、何かわかるか? 隣の房のオッサンにこっそり貰ったんだよ」


「……? …………まさか!!」


「これの入った飲み物飲んだら、発情して何も考えられなくなるんだろ?

 アンタに仕返ししてやろうと思ってな! せいぜい風呂場で恥かけよ!!」


 勿論、体に害が残る類の毒ではない、しかし、その液体にはっきりと心当たりのあったケントはあんぐりと口を開いた。


 成績良好なトップの囚人のみに配られる、疲労回復のサプリの一部。……これはいわゆる、試合後の「行為」を連日可能にするものだ。

 隣の房は、確か無類の喧嘩好きである暴力団の幹部だったか。……そして、ケントはこの露骨に効果の効きすぎている現状を鑑みて、気が遠くなる思いがした。



「お前、それ……、何滴入れやがった……?」


「……へ?」


 コウタの持っているビンが空になっているのを見て、嫌な予感はしていたのだ。案の定、コウタは呆気にとられたような顔をしている。


「何滴、つーか……、全部入れたけど……」


「っ!!!?」


 ケントはふらつきながらも、それを聞いて、言葉を失ってしまった。


 薬品自体は無味無臭だし、気が付くチャンスはなかったが……、迂闊だった……!! 


 少しして、ようやく理解が追い付いたらしいコウタを強く睨みつける。



「……なにしてくれやがったぁ……! そいつぁ薄めて使うんだよ……!

 コップ一杯の水に、一滴!! それが適量で、そんだけで死ぬほどキまるんだけどなぁ……」


「え……?」


「……クソ……、流石にこれは、冗談にならねぇぞ……!!

 あ……が……ぁぁ……」


 ケントは太く隆起した足を震わせ、床に手をつく。さすがにこれはまずい……と見えたのか、コウタは慌てて傍まで駆け寄った。


「だ、大丈夫、かよ……? だ、だって! 薄めて使うとか、効いてなかったし……」


「はぁ……はぁ……、大丈夫に、見えんのか……?

 へ……クソが。……テメェの望み通りになったじゃねぇかよ……!」



 肩を掴んで心配そうにしているコウタを見て、ケントは強気に笑みを作り、突き飛ばす。


 ……だが、ケントの手にはいつもの力強さはなく、小刻みに震えている。コウタははっとしたようにニヤついた。


「ふ、ふはっ!! 今のアンタなら楽勝でボコボコにできるってことだよな!?」


「コウ、タぁぁ……! この、俺に、こんな真似して……、生き延びれると、思うなよ……!!」


「……ひっ……!! う……、うるせぇっ! 日ごろから俺をいじめてくんのが悪ぃんだよっ!!」


 掃除を押し付けられたり、何の意味もなく蹴られたり、プロレス技の実験台にされたり、今日のように好物の牛乳を奪われたり。

 そんな、我が物顔の暴君として自分を支配してくる男が、今は崩れた顔で息を乱し、膝をついている。


 ……ほんの少し辱めようとしただけとはいえ、絶好の機会以外の何物でもなかった。今こそ復讐の時。


「覚悟すんだな! 今のアンタなら余裕でボコボコにできるぜ!」


「この……クソ、ガキィ……! 同じことばっかほざいてんな……!

 図に乗んじゃ、ねぇぞ……、テメェごとき……!!」


 コウタとの会話の最中にも、ケントは己の性器を掴み、かするていどに弄っている。性器の先には先走りがシミを作っている。


 下半身の制御ができず、今にも自分で刺激して白濁を噴出させてしまいたい欲に駆られてしまう。衝動的な欲求はますます高まり、ケントはそれをかろうじて残る理性で押し殺すのが精いっぱいとなっていく。



 ふとして、ついにケントは己の下着自体に手をかけた。小さくあえぎ声を漏らしながらも、鬱陶しそうに脱ぎ捨ててしまう。




「……って、なんでパンツまで……!!」


「はぁ……はぁ……、クソ……、布ずれで、イっちまいそうになっちまったぜ……、テメェも、脱げや!!」


「っ!!」


 ケントに言われ、コウタは身をすくめてしまう。……それ以上に、薬を盛られて熱い吐息をこぼし、全身の肉体を呼吸の度に上下させている姿は、……中々に刺激が強かった。


 コウタはごくりと唾を飲み込み、服を脱ぎ捨てた。意地悪で鬼畜めいた先輩囚人でも……、その顔と体が男として魅力的であるのは違いない。


 ……ケントを倒せば、この身体を思う存分いじくりまわして発散できると思うと、その挑発に乗ることになんら迷いはなかった。



「日ごろの恨みを、晴らすんだよなぁ……? オラ……、くんなら、こいや……殺してやる……!」




 互いに完全に応戦状態になった後、ケントは赤く染まった頬に張り付く髪を払い、汗の垂れる顎先をぬぐいつつ、拳を身構えて威嚇する。


「いつもみたいに、手加減してもらえると思うなや……!

 つーかさっさとケツ差し出せや。チンポが爆発しちまいそうなんだよ……! わかるよなぁ……?」


「なっ……」


「はぁ……はぁ……、逃げ場はねぇぞ。それでもテメェにとっちゃ、絶好のチャンスだよなぁ?

 けどなぁ、俺を倒せなきゃ、テメェ……、丸一日は種ツボになる覚悟しとけ……!!」


「!!! …………。


 はっ……、俺をビビらせようと必死になってんのがわかるぜ……!」


「…………っ」


「俺だって、アンタとここまで付き合ってきたんだよ! わざわざ拳を構えてんのがその証拠だろ?

 いつもはプロレス技でいじめてくるし、よっぽど余裕がないらしいなぁ?」


「……こ……この、クソガキ……!!」


 ケントの違和感を見逃さないコウタの言葉はまさしく図星だった。そもそもにしてケントは、日ごろのことをやり返されることを警戒しているきらいがあった。


 普段からおちょくったり見下している相手から、屈辱的な仕打ちを受ける。コウタに対し弱った自分を見せるのは、サディストでプライドの高いケントには耐えがたいことだった。


 だからこそ、珍しくも拳を身が得て応戦の構えを見せている。……が、その下では、触れずとも血管がびきと浮き出している性器をびくつかせており……、ただ時間が経つだけでもケントが追い詰められていくことを示していた。



「ちょうどいいぜ! エロビデオみたいに、今日はあんたを俺の奴隷にしてやるよ……!!」


「はぁ……はぁ……、どうやら……、死にてぇ、らしいなぁ……、かみ殺してやるよ……!!」


 ……正直、ここまでにする予定ではなかったが。


 いつもの余裕が消え失せ、勃起しきった性器を庇うように拳を構えるケントを前にして。コウタは悪戯な笑みを浮かべた。



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