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「おらぁっ!!」
威勢良く唸り、怒りのままに拳をふるう。喧嘩腰のまま迫るアラトに、もう一人のアラトは冷たい笑みのままで回避に徹する。
まるで、鏡映しの相手の一挙手一駆動を嘲るように……、回避の隙間にも意味が深そうな笑みは絶えず、アラトの頭にますます血が上っていく。
「くそ、くそぉっ! ちょこまか……動いてんじゃねぇぞ! 男らしく殴り合いやがれっ!」
「はっ、自分相手に何言ってやがる! お前もそんな変わった動きしてねぇだろうが、よっ!!」
ドボオオオォォォ!!
一刻も早くその余裕を潰さんと、さらに殴り掛かろうとしたアラト。その腹に、鋭い横蹴りが炸裂した。
鞭のようにしなった足が腹筋を砕いてめり込み、アラトは目を見開いて手を止める。
「が……はっ!!」
「はは、わりぃ~ww んな見せかけの腹筋じゃ、今のは利きすぎちまったか? 軽く叩いただけだったんだけどな」
アラト同様、長めの足を引き戻しながら、腹を抱えて悶絶するアラトを見下す。同じ顔に笑われて、アラトは苦悶に顔をゆがめながらも額に筋を立てた。
「テ、メェ……!! キレすぎて、頭がいかれちまいそうだぜ……!!」
……いつまでも、見下されたままでいられなかった。アラトはすぐにキャンバスを蹴る。
「……ぶっ殺してやるっ!!」
だが、悪意の笑みで待ち受ける自分そっくりの相手に、伸ばした拳が届く、その寸前……。
腕、そして足、次は胴体。唐突にもそれらの動きが封じられた。
「うぉっ! っぁ! くそ、なんだ、これ!!」
引き絞られるその強さに、握った拳が開く。腕、それから全身に至るまで次々に巻きついてきたのは、黒く艶めくゴム質のベルトだった。天井から伸びてきて、まるで蛇のようにアラトの体に巻きついていく。
勝手に動いては締め付けて、アラトの筋肉質な体に食い込んでいく。突然謎めいた攻撃を受けて昏倒するアラトを、もう一人のアラトは余裕のまま眺め続ける。
「放せっ! っぁ! んだ、この……っ!!」
「イきがるのはいいけどよ。ここは俺のフィールドだっての、忘れんなよ? お前は食われる側なんだよ、負け犬野郎」
そして、……完全にベルトに四肢の動きを封じられたアラトは、抵抗できないまま、己が体を晒す羽目になる。
いったい、何が……。そもそもにして理解を超越したこの空間、そして自分そっくりの相手。やがては怒りで誤魔化しきれなくなり、動揺が蘇った。
「どんな手を使ったか知らねぇが……! くそっ! 放せや、卑怯者が……っ!」
「正々堂々やってぼろ負けして、だらだら精液垂らしながらチンポ晒してるお前には死んでも言われたくねぇわww」
ドガッ!
「んぎぃぃっ!!」
腕も足も、自由を完璧に奪われたアラト。その盛り上がった三角の下着の上から、前蹴りを見舞う。
布一枚挟んだ上から性器を甚振られたアラトは、一気に顔色を変えた。
「はは、チンチンいてぇか~? おらよっ!」
「ぐぁぁぁぁっ! や、めろぉ……ひっぱん、なぁぁ……っ!」
さらには、いつの間にやらアラトの胸の突起が、細いワイヤーによって縛りつけられてあった。もう一人のアラトがそれを一つに束ねて引っ張ると、自然、アラトの胸の突起も強烈に刺激される。
リングの上で肉弾戦に挑んでいたはずが、瞬く間に、悪魔の所業のごとき性的虐待を受ける図が完成してしまった。しかも、自分と同じ顔の相手に……。
「ちぎれちまうんじゃねぇか? ま、日ごろ先輩との試合で開発されてんもんなぁ? くく、早速大きくし始めやがってよぉ?」
「うぉ……ぉぉ……がぁぁ、ぁぁぁ……、や、めろぉ……、はな、せぇ……っ!!」
「乳首引っ張られて勃起するとか、どこまで変態なんだお前?」
ビクッ! ビクッ!
「はぁ……はぁ……! ……殺す……、くそがぁぁっ!!」
執拗に性器を蹴られたり、かかとで押しつぶそうとして来たり。そのたびにアラトは身をくねらせ、股を挟んだりしてもがいた。
だが、胸の突起を引っ張られるのはどうしようもない。いくら糸を引き回す勢いでねじられたりしても、拘束は外れず、アラトはその強引すぎる性感帯の開発にひたすら悶えた。
「ぎぃ、ぃぃ……っ!! っぁぁ!! やめろ、つってんだぁっ!!」
「ははっ! いっそここで潰してやろうか? 負け犬のお前には必要ねぇだろ、こんなもん」
やがては、性器が熱を帯び、固くなっていく。嗜虐的な責め苦、そして性的な空気を隠さない嘲笑と責め方に、すでにアラトは発情を余儀なくされていた。
もう一人のアラトが、こんもりと盛り上がった性器のふくらみを踏みにじり、果てには、まだ癒えきっていないプライドさえも踏みにじろうとしてくる。
「ケツ穴さえありゃ、勝者様に何かしら献上できんだから、よっ!!」
「ん、ぐぁ、がああああぁぁぁぁぁっ!!!」
「くははははははははははっ!!
お前はまた負けんだよ! いい加減恥ずかしくねぇのかぁ!?」
アラトの悲鳴をかき消さんばかりの笑いを上げ、糸をちぎれん勢いでひっぱい回す。激痛と快楽の狭間でアラトは泣き叫び、甚振る側はさらに責め抜いていく。
この空間に存在する全て。アラト自身が作り出している、甚振られる側の空気ですらも、アラトの敵になっているようだった。
「まーでも。安心しろよ。なぁ、ここでお前がイきまくって、……うっかり死んじまったらどうなるか……わかるか?
安心しろよ。その後は俺が成り代わってやっからよぉ……?」
「ぁ……ぁぁ……がぁぁぁ……、ぁぁぁぁっ!!」
「ぎゃははははっ! 負け負け負け! お前は一生負け犬なんだよ、バーカ!!!」
「んがぁぁぁぁぁああああっ!!!」
もはや、勝負の気配はなかった。
そこには、殴り合いを制しようとした屈強な青年が、今は自分自身を支配しようとしている痛みと快楽に必死に抗い、その上から、同じ顔の相手に調教され続ける図が残されていた。
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