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ゴリュ。
「ぶぇ……」
潰れたかは分からない。だが、指の中で妙な感触とともに睾丸が激しく滑った、その瞬間。もう一人のアラトは泡を吹いて崩れた。
喧嘩でガチの金的なんて……あまりにお粗末だが、それでも報いをくれてやった。これだけ馬鹿にしてくれたのだ、最後にリングに立っているものが勝利で相違ないだろう。
「はぁ……はぁ……、へっ、少しは懲りたかよ」
だが、もう一人の自分から非情な攻撃を受け続けたアラトも、すっかり疲弊し、息を乱していた。
結局、コイツの正体も分からず終い。ともあれ、もうこんな場所にはいたくない。さっさと脱出しなければ……。
「さて……。クソ、出口はどこだよ。こんなわけわかんねぇとこ、早く……」
ドガァッ!!
「がっ!?」
リングの外を剥いた、その瞬間。斜め後ろより横腹に蹴りがめり込み、アラトは顔をゆがめた。
「……勝ったって思ったか? だからテメェは、負け犬なんだよww」
男なら決して無視できない激痛であり、暫くは立てないと踏んでいたはずが、……奴はもう立ち上がっていた。その顔にもう苦痛の色はない。
想像外の不意打ちに舌打ちし、恐る恐る振り返ったアラトは、不愉快そうな顔で睨んだ。
「あんだけ潰してやったのに……、まだやる気かテメェ……!」
「潰せなくても、潰してても、関係ねぇんだよ。俺は、お前よりも冷酷になれんだよ。もう理解してると思ってたけどなぁ?」
もう一人のアラトはそういうと、不敵に笑い、自身の性器をパンツの上から撫でた。
「だが生憎、俺のはホラ、すげぇ元気だぜ? 死にかけるほど激しいプレイをどうもありがとよ……」
どこか官能的な指使いで、その勃起した形をなぞるように撫でた後……、歯を剥きだして笑う。
そのまま、反応の遅れたアラトに肉薄した。
ドガァッ!!
「がはぁっ!」
「で、お前の間で元気なのはいったいどういう要件だ? 自分と同じ顔した奴の性器握って。自分のもおっ勃ててんじゃねぇよww」
ドガァッ!! グボォッ!
疲れ切ったアラトに対し、再び、容赦のないラッシュが始まる。アラトも反射的に殴り返すが、相手は涼しい顔でかわし、その顔面の拳を叩きこむ。
固く握った拳の雨が再び降り注ぎ、アラトの顔や腹を無遠慮に潰していった。
「か、はぁ…………こ、の……野郎……!」
「当たんねぇよ、言っただろうが。追い詰められてんのはお前だって」
グボオオオォォォ!! ドガァッ!!
たまらず顔を庇って腰を曲げる。その肩を掴み、腹筋に膝蹴りをねじ込む。目を剥いて唾液を散らしたアラトの顎を、さらに下からアッパーで掬い上げる。
グボォッ! ドガァッ!! ドボオオオォォォ!!
「男として終わってるお前が、俺に殴り合いで勝てるワケねぇだろ?」
「ぁ……がぁぁ……っ!!」
アラトは膝を折り、そのまま相手の足元に倒れた。もう一人のアラトの胸に手を当て、そのまま滑るように崩れ落ちる。
「ふはは、対等なのは下半身の元気さだけだなww ま、今にそれもへし折れちまうだろうけど」
……ビリィィッ!!
そして。のけぞったアラトに乱暴に掴みかかると、そのパンツを引きちぎる。その後、もう一人のアラトも舌なめずりし、自身のパンツを引きちぎった。
パンツの影、晒された性器の形や大きさすらも瓜二つだった。闘争の雰囲気に煽られ、熱を放ってそびえたっている。
「オラオラ、もう終わりかぁ? サンドバックにもなりゃしねぇ」
「がぁ……っぁ……ぁぁ……」
リングで動き回り、同じように性器が揺れる。だが上半身では一方的だった。一方が一方を嗜虐的な笑みで殴り続ける。
鼻血をしぶかせ、ついにその顔から闘志が消えかける。そこでもう一人のアラトは拳を止め、背後に回り、その首を狙いスリーパーに捕らえた。
「もう全部諦めちまえよ……、屈しちまえって。結局テメェは大事なとこでは負けんだよ♪」
漢として、誰にも負けないよう……ここまで鍛え抜いてきた己の筋肉によって、締めあげられる……。
隙間のないスリーパーに呼吸を奪われつつ……、それでも性器は、内心の悔しさすら糧に、敗北の気配にさえ敏感に反応する……。アラトは他に例えようのない屈辱に苛まれていた。
「恥まき散らすだけの人生、もう生きてたって仕方ねぇだろ?」
耳元で、冷ややかな声で囁く。自分と同じ声が、自分の心を折ろうとせっついてくる。抵抗できない状態からの冷徹な悪罵は、無力を思い知らせるようにアラトの心にしみていった。
「やさしー俺がこのまま、終わらせてやっからよぉ……?」
「が、ぁ……ぁぁ……んぁぁ…………」
……勝てない。こいつには……。
隆起した腕で締め上げられ、肉体でもって制圧され……そう思い始める。息もままならなくなり、アラトの目から生気が消え始める。
ぴくと小刻みに痙攣する、熱を帯びて勃起しきった性器の先からは、透明な先走りがぷつりと溢れ始めていた……。
「けど、このまま終わらせても詰まらねぇからよぉ。安心しろよ。……マゾ好みの地獄を、逝っちまった後にたっぷり見せてやっからさ」
どのような形であろうと、喧嘩で負けるのは大きなダメージだ。だが、それだけにとどまらない。癒えた傷口が股広げられる、しかも、自分と同じ顔をした奴の手によって。
負けた……。アラトがそう自覚すると同時に、アラトは目蓋を落とし、そして意識を手放した。
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jin
2021-02-13 09:30:27 +0000 UTC