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紛争学園 ~アラトのセルフデスマッチ~ 6


 ゴリュ。


「ぶぇ……」


 潰れたかは分からない。だが、指の中で妙な感触とともに睾丸が激しく滑った、その瞬間。もう一人のアラトは泡を吹いて崩れた。


 喧嘩でガチの金的なんて……あまりにお粗末だが、それでも報いをくれてやった。これだけ馬鹿にしてくれたのだ、最後にリングに立っているものが勝利で相違ないだろう。



「はぁ……はぁ……、へっ、少しは懲りたかよ」


 だが、もう一人の自分から非情な攻撃を受け続けたアラトも、すっかり疲弊し、息を乱していた。

 結局、コイツの正体も分からず終い。ともあれ、もうこんな場所にはいたくない。さっさと脱出しなければ……。



「さて……。クソ、出口はどこだよ。こんなわけわかんねぇとこ、早く……」


 ドガァッ!!


「がっ!?」


 リングの外を剥いた、その瞬間。斜め後ろより横腹に蹴りがめり込み、アラトは顔をゆがめた。



「……勝ったって思ったか? だからテメェは、負け犬なんだよww」


 男なら決して無視できない激痛であり、暫くは立てないと踏んでいたはずが、……奴はもう立ち上がっていた。その顔にもう苦痛の色はない。


 想像外の不意打ちに舌打ちし、恐る恐る振り返ったアラトは、不愉快そうな顔で睨んだ。



「あんだけ潰してやったのに……、まだやる気かテメェ……!」


「潰せなくても、潰してても、関係ねぇんだよ。俺は、お前よりも冷酷になれんだよ。もう理解してると思ってたけどなぁ?」


 もう一人のアラトはそういうと、不敵に笑い、自身の性器をパンツの上から撫でた。


「だが生憎、俺のはホラ、すげぇ元気だぜ? 死にかけるほど激しいプレイをどうもありがとよ……」


 どこか官能的な指使いで、その勃起した形をなぞるように撫でた後……、歯を剥きだして笑う。

 そのまま、反応の遅れたアラトに肉薄した。


 ドガァッ!!


「がはぁっ!」


「で、お前の間で元気なのはいったいどういう要件だ? 自分と同じ顔した奴の性器握って。自分のもおっ勃ててんじゃねぇよww」


 ドガァッ!! グボォッ!


 疲れ切ったアラトに対し、再び、容赦のないラッシュが始まる。アラトも反射的に殴り返すが、相手は涼しい顔でかわし、その顔面の拳を叩きこむ。


 固く握った拳の雨が再び降り注ぎ、アラトの顔や腹を無遠慮に潰していった。


「か、はぁ…………こ、の……野郎……!」


「当たんねぇよ、言っただろうが。追い詰められてんのはお前だって」


 グボオオオォォォ!! ドガァッ!!


 たまらず顔を庇って腰を曲げる。その肩を掴み、腹筋に膝蹴りをねじ込む。目を剥いて唾液を散らしたアラトの顎を、さらに下からアッパーで掬い上げる。


 グボォッ! ドガァッ!! ドボオオオォォォ!!


「男として終わってるお前が、俺に殴り合いで勝てるワケねぇだろ?」


「ぁ……がぁぁ……っ!!」


 アラトは膝を折り、そのまま相手の足元に倒れた。もう一人のアラトの胸に手を当て、そのまま滑るように崩れ落ちる。


「ふはは、対等なのは下半身の元気さだけだなww ま、今にそれもへし折れちまうだろうけど」


 ……ビリィィッ!!


 そして。のけぞったアラトに乱暴に掴みかかると、そのパンツを引きちぎる。その後、もう一人のアラトも舌なめずりし、自身のパンツを引きちぎった。


 パンツの影、晒された性器の形や大きさすらも瓜二つだった。闘争の雰囲気に煽られ、熱を放ってそびえたっている。




「オラオラ、もう終わりかぁ? サンドバックにもなりゃしねぇ」


「がぁ……っぁ……ぁぁ……」


 リングで動き回り、同じように性器が揺れる。だが上半身では一方的だった。一方が一方を嗜虐的な笑みで殴り続ける。


 鼻血をしぶかせ、ついにその顔から闘志が消えかける。そこでもう一人のアラトは拳を止め、背後に回り、その首を狙いスリーパーに捕らえた。



「もう全部諦めちまえよ……、屈しちまえって。結局テメェは大事なとこでは負けんだよ♪」


 漢として、誰にも負けないよう……ここまで鍛え抜いてきた己の筋肉によって、締めあげられる……。


 隙間のないスリーパーに呼吸を奪われつつ……、それでも性器は、内心の悔しさすら糧に、敗北の気配にさえ敏感に反応する……。アラトは他に例えようのない屈辱に苛まれていた。


「恥まき散らすだけの人生、もう生きてたって仕方ねぇだろ?」


 耳元で、冷ややかな声で囁く。自分と同じ声が、自分の心を折ろうとせっついてくる。抵抗できない状態からの冷徹な悪罵は、無力を思い知らせるようにアラトの心にしみていった。



「やさしー俺がこのまま、終わらせてやっからよぉ……?」


「が、ぁ……ぁぁ……んぁぁ…………」


 ……勝てない。こいつには……。


 隆起した腕で締め上げられ、肉体でもって制圧され……そう思い始める。息もままならなくなり、アラトの目から生気が消え始める。

 ぴくと小刻みに痙攣する、熱を帯びて勃起しきった性器の先からは、透明な先走りがぷつりと溢れ始めていた……。



「けど、このまま終わらせても詰まらねぇからよぉ。安心しろよ。……マゾ好みの地獄を、逝っちまった後にたっぷり見せてやっからさ」


 どのような形であろうと、喧嘩で負けるのは大きなダメージだ。だが、それだけにとどまらない。癒えた傷口が股広げられる、しかも、自分と同じ顔をした奴の手によって。



 負けた……。アラトがそう自覚すると同時に、アラトは目蓋を落とし、そして意識を手放した。




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