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建前の「プロレスごっこ」よりも、昔自分に屈辱を味わわせた相手を痛めつけることに重きを置いているのは明白だった。それはそうだろう、審判抜きに普通にやれば自分が勝つと信じて疑っていないのだから。
そもそも、相手に復讐心を抱いていて、互いにもう大人の肉体。遊びで済むはずもなく。
「がぁ……あぁ……、はぁ……はぁ……!!」
クロキと打ち合って数分。
アラトは早くも苦しげに息を切らし、あてつけるように舌打ちした。
やはり敵わない。根本的な腕力やスピードが追い付いておらず。中級年の中でも実力派のクロキとの差は大きかった。
「オラ、立てやっ!!」
ドボオオオォォォ!!
「ん、ぎっ!」
クロキも無意識下に、過去に「RAD」にしてやられたことを当てつけているのかもしれない。倒れこむアラトを、さもヒールレスラーのように髪をひっつかんで無理やりに立たせ、乱暴に肘や拳を当てていく。
グボオオオォォォ!!
「げはぁっ!!」
強引に首相撲を挑んで、わき腹に膝をねじりこむ。ひくついた腹筋に、さらに拳をうずめていく。
その一発一発が重く、アラトは中をかき乱されるような衝撃の連続に表情をゆがめる。
「残念だったなぁ? 俺を倒せてたらワンちゃんあったかもしれねぇのによぉ?」
「はぁ……はぁ……!!」
クロキが手を離せば、アラトはすぐにまたキャンバスに崩れてしまう。息も絶え絶えになったアラトを見下し、嘲笑する。
「おい、アラト……、舐めた口きいてくれたけどよ、どうすんだ、この状況?」
「ぐ……ぅぅ……」
アラトにとっても、相手が逆らい難い先輩とはいえ、いざ一対一の喧嘩になれば加減などできないし、する気もない。だが、徹底抗戦の態度は、かえってクロキの復讐心に火をつけてしまう結果となった。
気合を入れても、全力で歯向かっても、クロキはその実力でもって押し返してくる。今ならアラト一人簡単にねじ伏せられるという自信と事実は、過去に自分が受けた屈辱の清算にもつながっているのだろう。
「まさかお前、俺が「BLACK」だったことを知って……、急に自分の方が強くなった気にでもなってたか?」
クロキが膝を折り、キャンバスに手をつくアラトの前に座り込む。
「先輩相手に、なんとかなるとでも思ったか? なぁオイ?」
ベチッ!
「……っ……!!」
「まだまだやれんのかよ、オイ?」
煽るよう、アラトの頬をはたく。アラトは額にビキと筋を立て、見る見るうちに、その目に反抗心が蘇る。
「しぶてぇな、ま、望み通りだけどな。
お前だけは、百回ボコっても気が済まねぇんだ。プロレスで負かして、実験台にして、犯して……、俺にあんなレベルの屈辱をくれたのはお前だけだぜ……、なぁ?」
「はぁ……はぁ……、く、そ……がぁ…………」
「まだまだ楽しもうや、アラト……」
グボオオオォォォ!!
暴れまわり、汗に濡れた肉体同士が再び絡み合う。クロキがアラトの肩を掴み、ふらとアラトがその胸にもたれかかり、無理矢理に立たせる。
クロキが妖しく微笑む。直後にはまた、アラトの顔面に拳がめり込んだ。
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jin
2021-02-13 09:35:57 +0000 UTCyukibou
2020-10-20 12:11:54 +0000 UTCyshbs177
2020-10-20 11:47:15 +0000 UTC