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「ぐは……ぁぁ……ぶぅ、ぇぇ……っ!」
「雑魚が。イきってんじゃねぇぞ…………」
リングの上に、二人の筋肉隆々の男。一人は敗者の図で倒れ、それよりも一回り豊かな肉体の持ち主が、勝者の図でそれを見下す。
血と汗に乱れてキャンバスに伏せるセイタに、サガヤは唾とともに、無機質に吐き捨てる。
強者に挑んだセイタの想定をはるかに上回る強さと冷徹さで、セイタは文字通り半殺しになりつつあった。元より軍人と一生徒。こと「肉体の破壊」で勝負すれば結果は見え透いている。
だからこそ、セイタにとっては挑む価値のある相手、だったのだが。サガヤは絡んでくる生徒に対し、上手くじゃれるような勝負をして納得させるタイプではない。
そして学園の性質上、腕に自信を持つ不良の集う軍立でも、並みの相手ならばとっくに心が折れているのが必然だった。
「ま、てぇ……ゴ、ラァ……っ!」
喧嘩を売るには体躯の差があり、さらには心を折るほどの実力差。岩をも砕くような破壊力の拳は、丸々と硬く隆起した肩や胸からも推察できる。その完成された肉体美だけでも圧倒されるようだった。
それでも、セイタはサガヤの足首を掴んだ。
生意気な後輩の、涙目の懇願を期待していたサガヤの眉間に、筋が浮かぶ。
「ま、だ……やれ、んぞ……クソ、ハゲ……っ!!」
ブチッ
「……マジで殺っちまうか」
セイタがボコボコに腫れあがった顔をかろうじて上げ、かすれた声で吐き捨てる。
サガヤは瞳孔の開き切った瞳で瀕死のセイタを見下し、そのまま太い足を持ち上げ、その体に跨った。
馬乗りで、筋張った堅牢な拳を握りこむ。
グボオオオォォォ!! ドガァッ!!
「がぁっ! んぎぃっ!」
「んだよ、まだ鳴けんじゃねぇか」
ドガァッ!! ドボオオオォォォ!!
怒り狂ったサガヤでも、流石に殺す気ではなかった。……だが、死ぬ限界までならばと、容赦のない拳を、セイタのひくついた腹筋に落としていく。
右に、左にと、黙々と拳を落としていく。それらはひしゃげた腹筋を押しつぶし、奥深くまでめり込んでいった。
ドガァッ!! ゴッ! グボォッ! ガッ! バキッ!
「ごほっ! ぐ、ぇぇ……っ! ぶ、がぁ……ご、ぁぁ……ごっ! がぁぁ……がっ! ぐ、は……っ! がはっ!」
ついに、悲鳴とともに、唾液に赤が混じり始める。飽きるまでに喧嘩慣れしたセイタが経験した範囲を超えるダメージの兆候が現れ始める……。
それでも。サガヤは止まらない。セイタにとっての何よりの不幸は、サガヤの異常なまでの短気さを甘く計算していたことだった。
恵まれた肉体に、軍人としての景観が合わさったその破壊力は、軽い冗談を飛ばした同期の軍人にさえ牙を剥く。
「とりあえず、鳴けなくなるまで潰すか」
グボオオオォォォ!! ドガァッ!!
「ぐが……っ! ぶ、ぇ……っ!!」
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jin
2021-02-13 10:17:27 +0000 UTC