相変わらず、同性同士の性描写、暴力描写のほか、若干「父×子」要素がありますので、苦手な方はご注意ください!
●
「クソ親父ぃ……、今日という今日は堪忍袋の緒が切れたぜ……!!」
「はっはっは。クソガキめ。俺に勝てると思ってんのか?」
リングの上。ボクシンググローブをつけた二人の、年の差がある男がにらみ合う。
一方は、紛争学園の下級年である、いかにも不良然とした青年、セイタ。そして相手は、歴戦の軍人であり現在は引退の身、そしてセイタの父親である男、ダイキ。
きっかけは、久々に実家に帰省したセイタが、実家にて見知らぬ男に自分の部屋を使われているのを目の当たりにしたことだった。無論、そいつは奔放な父親が連れ込んだ男だ。
元々私生活においてだらしない一面を隠さなかったダイキは、軍を引退した後はその自由さにさらに拍車をかけ、相手をとっかえひっかえ。現在は趣味と実益を兼ねて地下格闘技で暴れまわっているという。
息子であるセイタは、そんなダイキに普段から少なからず怒りを覚えており……、子としてブチ切れるがままダイキに掴みかかり、現在に至っている。
「今日こそはテメェを超えてやる……!!」
グボッ! ドゴオオオォォォッ!!
隠して勃発したこの壮大な親子喧嘩がボクシングルールにのっとってあるのは、セイタの「反抗」を受けて立つダイキからの条件だった。引退したとはいえ軍人であった自分と不良息子とのハンデを考え、そして息子に無用なケガを負わせないため。
……とはいえ。ダイキはそれを忘れるほどに集中してしまっており……、セイタも鬱憤を晴らすべく実父の屈強な肉体に襲い掛かり、容赦のない応酬を繰り広げていた。
「今日はマジでやってやるぜ……、この部屋から立って出られるのは一人だけだ」
「ほぉ、まだまだ愉しめそうじゃねぇか」
「正真正銘のデスマッチだぜ。ぶちのめしてやるよ、親父……!!」
……グボオオオォォォッ!!
「ぐおぉぉっ!!」
ドゴオオオォォォッ!!
「がぁぁああああっ!!」
重いボディ、そしてストレート。
セイタはかろうじて反撃を繰り出すも、父親の鍛え抜かれた筋肉に覆われた分厚い胴体にはうまく響かない。
「はぁ……はぁ……っ!! クソ……親父ぃ……っ!!」
「すこし見ないうちに強くなったじゃねぇか、セイタ。やっぱ軍立に放り込んで正解だったな」
そして、ゴング代わりの何度目かのタイマーが響く。
ダイキの大きな拳が、紙一重、追い詰められていたセイタの顔面近くで止まる。
ダイキは「命拾いしたな」と言わんばかりの笑みを浮かべ、嬉々として拳を振り回しながら踵を返し、コーナーに戻った。
「へっ! かわいい息子とやらをボコボコにしてくれやがって。よく言うぜ!」
「勤めてた時はなかなか会えなかったからな。それに、お前とはこうしたほうが手っ取り早いだろ?」
セイタの拳には積み重ねてきた怒りの感情が乗っており、動きも鮮明だったが、やはりダイキには及ばず。対等に打ち合っていたのも序盤の数ラウンドで終わってしまった。
様子見から始まり、今では父親の容赦のない拳を喰らい続けたセイタの怒りはさらに膨れ上がった。
「節操なくいろんな奴家に連れ込みやがって……! 一夜限りの知らねぇ野郎に俺の部屋まで貸しただろ!!
今日こそはぶっ飛ばしてやる……!!」
「俺ぁ第二の人生を満喫中なんだよ。もうテメェの面倒はテメェでみられるだろ?」
父の手一つで育てたセイタが中学に上がり、手がかからなくなった頃からダイキは性事情に疎くなり、セイタが神原学園に入学して寮生活が始まって以降はさらにエスカレートした。
そんな父親に、ダイキは強い男としての尊敬はあれど、やはり反発しきっており。今の戦いは、そんな父親に拳でもの申せる、またとない機会だった。
「そろそろラウンドが明けるぞ、再開するか」
バシッ、バシッ!!
「っしゃぁっ! こいや、親父!!」
「気合入ってんな! 俺に逆らうたぁ十年早ぇ、セイタぁっ!!」
だが、闘争で燃え上がる熱気を前に、会話も長くは続かず。父と子は再び殴り合いは始めた……。
次回はこちら

前回はこちら ● 「オラァッ!! まだやる気か、クソガキ!」 グボオオオォォォッ!! 「がはぁっ!!」 猛然と唸り襲い掛かってくる父親を前にし、拳を頬に受けるも、セイタはひるまず、グローブを握り直して迎え撃つ。 セイタは父親との体格の差を顧みず、至近距離での殴り合いに挑んでいた。無謀な勝負だ...