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タイマンマッチングアプリで……。 3

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タイマンマッチングアプリで……。 2

 前回はこちら ●  グボォッ! ドゴォッ!!  ……ドゴオオオォォォッ!! 「ぐぉぉぉっ……があああぁぁぁぁっ!!」  ただの陰気なガキだと……俺がその一方的な認知を改めるまでもなく。  鋭いアッパーで顎を勝ちあげられた俺は、早くも違和感、そして後悔を覚え始めていた。 「はぁ……はぁ……っ!」 (がぁぁ……こいつ、...




 きっと、これまでも多くの相手を、ただ黙々と倒してきたのだろう。


 目的すら感じない、そんな奴の無慈悲な攻撃に、俺はすでに心を折られていた。



「はぁーっ! はぁーっ!」


 ここには二人きりしかいない、アプリの性質上やむなしだが。俺はこれまで自分の暴虐を許してきたそのシステムに追い詰められている。


「た、のむ……、もう、俺の……負け……!」


 グボオオオォォォッ!! ドボオオオォォォッ!!


 最早俺の逃げ腰は省みても悲惨なほどだった。砕けた腰で這い、痛みにおびえて奴から逃げようとする。奴は、そんな俺を淡々と追い詰めていく。


 勝負になどなっていない。一方的な暴力、だが密室で行われる限りはタイマンは続く。



「降参する……! だから、もう、やめ……!」


 ドゴオオオォォォッ!!


「があぁぁ!」


 真剣勝負。聞こえはいいが、要するに決着を当人たちに任せるということ。いくら残酷な実力差が存在しても、弱さを盾にはできない。


 ただのありふれた貸しリングが、今は死と隣り合わせの戦場となってしまっている。些末な違いは、武器はなくただ二つの肉体があるのみ……。



「そん、な……がはぁっ!」


 ドゴオオオォォォッ!! グボォッ!


(こ、いつ……やべぇ……いくら煽ったからって……!)


 奴の拳が、俺の全身ではじける。首がねじれるほどの威力でジャブがはじけ、ストレートが炸裂する。


 ……俺にそこまでの覚悟はなかった。ただストレスの解消でアプリを起動してきた。



(ま、さか……ころ、される……?)



(い、やだ……いやだ、いやだいやだ、いやだぁっ!!)



  命乞いは意味をなさず、顎を跳ね上げられる。


 俺は理解した。こいつは両極端なタイプだ。

 平凡な生活をこなしながらもスリルを欲し、非日常なことを一線を超えるそのぎりぎりまで器用にこなすことが出来るタイプなのだと。


「た、のむっ! 悪かった! ごめん、なさい……っ!」


 普段のコイツを俺は知らない。だが少なくとも今のコイツは、「真剣勝負」を望んでいる。

 俺の悲鳴や命乞いを聞こえないふりをしている。実際の戦いにルールや敵にかける情けは存在しないから……。あるいはコイツに殴られる度に飛び出る俺の情けない声で、コイツの勝負は完成していくのかもしれない。


「もう、立てな……がはぁっ!」


「………………」


 結局は強者と弱者が存在して、勝者が弱者を屠るのみ。それこそが「真剣勝負」、こいつはそれを好んでアプリを活用しているらしい……。


 グボオオオォォォッ!! ドボオオオォォォッ!! ドゴオオオォォォッ!!


 馬乗りになり、拳を次々と落とされる。見上げた奴の顔に大した感情を感じないのは、これは「結果」へのただの順序でしかないからだろうか。


 意識は混濁し、鼻血は渋く。年下に好き放題にされている屈辱ももはや消えかかって、こいつへの恐怖ばかりが感情を支配し始めていく。


 こいつは、それを期待しているのだろう。俺を屈服させるまでやる気らしい。強さを競うほかの男を蹂躙する喜び、何物にも代えられない愉悦は、俺にだって理解できるが……。



 まさか、俺が、喰われる側になるなんて……、この身に迫る圧倒的な敗北感を感じながら、俺はただ殴られ続けた……。




 次回はこちら

タイマンマッチングアプリで……。 4

 前回はこちら ●  ガッ! ドガァッ!!   グボォッ! ゴッ! バキッ!  ドゴオオオォォォッ!! 「ぐぉぉぉ、ぉぉ……っ!!」  ドゴォッ!! 「がっ……」  今の自分の強さを図りたい、思いつくままに「戦い」の練習をしたい。  奴はきっと深くは考えていないのだろう。怯え、しかし逃げ場のない俺を、奴は容赦...


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Comments

ありがとうございます、まだ名もなきキャラですが、また別シリーズで登場するかも……

yukibou

最後のイラスト…!とてもかっこいい…!

ミケ空


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