紛争学園の上級年カツヤと、カツヤと最も仲がいい中級年、シンヤとの勝負となっております。
カツヤの喧嘩に参加させてもらえないシンヤがカツヤに食い下がり、そのしつこさからカツヤは苛立ち始め……。
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紛争学園 上級年 カツヤの部屋
ドンっ!!
「シンヤぁ……! 俺を怒らせたな」
「カツヤ、さん……っ!!」
仲睦まじい先輩後輩として、いつも通り、上級年寮のカツヤの部屋に遊びに来ていた中……、冷ややかに怒るカツヤに肩を掴まれ、壁に押し込まれたシンヤ。
普段なら、心の底から敬愛するカツヤの言葉に口答えなどありえない……が、今日のシンヤは、カツヤを不遜な態度で睨み返していた。
「どうやら、今回も俺とやる気らしいな。……明日、面かせや」
「……上等だぜ、カツヤさん……、今回は絶対に負けねぇ……!!」
実の兄弟のように仲がいいカツヤとシンヤ。だが、意見の食い違いから殴り合いを行うのは珍しいことではなく。言い合いからすぐ熱くなる二人のタイマンは定期的に行われる。
カツヤが不良として直情的な熱血漢であり、シンヤもそれに強い影響を受けているがゆえに、二人の間には拳で語らう「肉体言語」が存在した。
今回の諍いの種は、カツヤがシンヤを、他校との喧嘩に連れて行かなかったことだった。
後輩可愛さに今後も一切自分の喧嘩にかかわらせないと断言したカツヤ。それにシンヤが食い下がり、しつこいシンヤにカツヤの機嫌も悪くなり……、争いは激化。タイマンで決着をつける運びとなった。
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上級年トレーニングルーム リング上
「俺の言うことが理解できねえなら……、殴り合った方が早ぇよな。覚悟しろや、シンヤ……」
カツヤはシンヤを睨み、ぱし、と拳を叩き合わせる。
カツヤとシンヤでは簡単には埋められない実力差が存在し、実際、幾度となく行われた喧嘩にシンヤが勝ったことはない。だが、カツヤが後輩にも対等に接してくれる熱血漢であることを理解しているシンヤには、さほど緊張はなく。
「へっ……、どうだ、カツヤさんっ!」
ぐぐ、と、シンヤはふと、腕を折り曲げ、力こぶを誇示して見せる。
「徹底的に鍛えてきたんすから……、俺に惚れたんなら、甘えてもいいんすよ?」
「…………」
喧嘩やトレーニングで鍛えられたシンヤの肉体は、引き締まって無駄がなく隆起している。敬愛する不良であるカツヤとの喧嘩を前に気分は高揚し、強さを示すよう威圧のためにバルクアップを決める……。
「俺だっていつまでも中坊じゃねぇ、今日こそあんたに認めさせてやるっ!!」
「……ふん」
だが、カツヤは全く動じない。当然ながら、勢いばかりの道端のチンピラを圧するには十分でも、リングで相対するカツヤはつまらなそうに鼻を鳴らすばかり。
「……フンッ!」
ビキッ!!!
「んな……っ!?」
同じように、カツヤがポージングを極め、自身の肉体を際立たせる。
ボコと浮き上がる二頭筋、深く溝を生む腹筋、筋張って太い血管が張り詰める胸筋……、シンヤより背丈も筋肉量もあるカツヤの威圧に、シンヤの肉体美も謙遜を強いられる。
「……はっ! ガタイでの威圧、ってのは、こうやんだよ……」
「う、ぐ…………」
喧嘩の前にもかかわらず、やはり、漢としての格の差を見せつけられる……。シンヤは尊敬を強めるも今ばかりは悔しさが募り、そっと、腕を下ろす。
「つーか、俺にバルクで挑むたぁ、いい度胸じゃねぇかよ……あ?」
「ぐっ……」
「どうすんだ、シンヤ……、今謝るなら、シメるにしても手加減してやるが?」
「っ……、ひ、引くわけねぇしっ!! 絶対、負けねぇっ……!」
喧嘩はガタイじゃない……、シンヤは挑んでおきながら、自分を無理やりに納得させて、カツヤに挑みかかった。
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ドゴォォォォォオオオッ!
「ぐぁぁっ!!」
「オラ……、どうしたよ……、シンヤぁ……!」
カツヤに殴り飛ばされたシンヤは、すぐに立ち上がり、カツヤにまた挑む。
勝負の流れは、当人たちが予想していた通り、カツヤが圧倒的な力を見せつけ続けた。 悠然と立つカツヤにシンヤが挑みかかり、殴り飛ばされ、それにまた立ち向かう……それを幾度も繰り返している。
「ぐぐ……ぅぅ……っ!!」
「俺にたてついた気合いはこんなもんか? あ?」
「ふーっ! ふーっ……、フンッ!」
ガシッ!
リーチの違いもあり、打撃では到底敵わない。ならばと、シンヤはカツヤを押し倒すことを考えた。
カツヤはシンヤのタックルを、避けることもせず、正面から受け止める。
「くっそ……びくとも、しねぇ……!!」
「当たり前だ、後輩にすっぱぬかれるほど、弱くなった覚えはねぇぞ」
カツヤの腰につかみかかり、全力でもって押し込むも、カツヤは動かない。シンヤは唸り、それでも懸命にカツヤに挑み続ける。
「はぁ……はぁ……、諦め、ねぇぞ……っ! アンタが、俺の力、認めるまで……」
「だったら……、認めさせてみろよっ!!」
ドガッ!!
カツヤは唸り、逆に深夜の腰を担ぎ上げ、キャンバスに転がしてしまう。
カツヤは頬に垂れる汗をぬぐい、また、シンヤが立つのを待つ。ロープ際まで転がっていったシンヤも、すぐに体制を整え、立ち上がり、拳を構える。
「こいや、シンヤぁっ!!」
「カツヤさんっ!!」
……腕利きが必要な場面において、カツヤが一切自分を頼りとしないのは、シンヤにとっては苦痛だった。
肩を並べて、戦いたい。この人の力になりたい……、その為には、この人を倒さなければならない。そうでなければ、カツヤさんは理解などしない。
拳をかざし、唸るカツヤに、シンヤは勇猛にとびかかっていった。
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