「MAD END」が定期的に行っている「フェス」に、アラトが王者であるノボル直々の招待を受ける話となっております!
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荒くれた男が己を鍛え上げ、殴り合いを興じる場所。 地下格闘技場「MAD END」。
選手や観客の欲望を満たすために、今宵も試合が行われる。そして今夜は特別なイベント……「フェス」の日取りであり。いつもよりチケットが少し割高な分、出場する選手も多い。
「…………」
アラトは出場する選手の一人として、自分の試合の順番を待っていた。
軍立のヤンキーとはいえ一学生であるアラトがプロに紛れて出場を可能としたのは……、以前より面識のある「MAD END」のチャンピオン、ノボルの招待を受けたからだった。
今宵の「フェス」のテーマは、ボクシング。アラトも控室にてボクシンググローブを装着し、ぱすぱすと叩き合わせて緊張を紛らわせている。
アラトの順番はおおトリ……、すなわち、王者であるノボルとのスペシャルマッチだ。
『フェスの締めくくりを飾るのは……、あの「MAD END」のチャンピオン……、板垣 ノボル!!』
派手で、時に凄惨な試合を連続して堪能した観衆のボルテージは最高潮だ。
ノボルはそんな観客たちの歓声や視線を一身に受けつつ、拳を振り上げ、鍛え抜かれた肉体にローブをまといつつ……、リングへと向かっていく。
不敵に笑いつつも王者のふるまいを見せるノボルに、早くもアラトは圧倒されかかっている。
『あえて瞬殺はしないと豪語していたノボル、今宵も魅せてくれるのか!?』
(はっ……どいつもこいつも、俺をジョバー扱いかよ。ノボルさんが強ぇってのは、もうわかり切ってんだよ!)
今までの試合を見てきたアラトは、この「フェス」に限り、台本のようなものが存在していると理解していた。
対等な実力のマッチングは一部であり、ほとんどは、現役地下格闘技選手と喧嘩慣れした一般人など……、明確に実力に差をつけている。もちろん、後者は全員が長い時間をかけて徹底的に甚振られ、犯されて散っていった。
観客もおそらく暗黙の了解で理解していて、それこそが「フェス」の楽しみ方だということなのだろう。
「よぉ、アラト……、来てくれて助かったぜ。ギャラはしっかり払うから……、心おきなく負けていいぜ?」
「はっ……アンタに勝負挑まれて、俺が逃げるワケねーだろ! アンタをぶちのめすチャンスだったらどこにでもいってやるよ!」
すなわち、自分はジョバー……負ける役目としてここに呼ばれた。気づいたアラトは猛烈な苛立ちを感じたが、久しぶりのノボルの姿を見て、考えを改めた。
この人は、強い。何度も戦い、負けてきた。そう思われても仕方がないし、呼ばれた経緯なんてどうでもいい。拳を振り上げ期待を背負うその立ち振る舞いは、やはり、勝ってきた男のそれだ。
これは、ノボルからの挑発であり、挑戦なのだ。アラトは笑みを浮かべ、拳を固く握りしめる。
「まだんなこといってられんのか? お前ももうわかってんだろ?
お前はジョバーなんだよ。勝つのは俺だ、決定事項は覆らねぇ」
「楽しみだぜ……、アンタの勝ちだと分かり切ってる観客どもの前で、アンタが泣きわめくまでブチ犯すのをよ!」
「……相変わらず、くそ生意気なガキだ……、いいイキがりっぷりだぜ……」
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ドゴォォォォォオオオッ! グリュ! グボッ!
「がははっ! 一瞬でも、クソ真面目にお前にリベンジのチャンスをくれてやったとでも思ったか?」
「お前が俺に勝てるワケねぇだろうがよ!」
グボォォォォォォォッ! ドゴォォォォォオオオッ!
「がぁっ……ぐぁぁぁぁ……っ!!」
「オラオラァッ! 簡単に終わんじゃねぇぞっ!!」
鋭いアッパー、怯んだアラトに容赦なくラッシュを浴びせていく。
試合は王者の一方的な展開から始まった。この場にいるアラト以外の誰もが、このまま王者の圧倒的な力によってジョバーが崩れ去ることを期待している。
「がぁぁああ……はぁ……はぁ……!」
「オラ、しっかりきばれや、アラト……」
早くも追い詰められ、苦い顔で頬をくするアラトを、ノボルは拳を振って挑発する。
「勝ち負けは問題じゃねぇ、俺の勝ちまでどんだけ時間をかけるかが問題なんだよ……、こっちがはたいたギャラ分は粘れよ、アラト?」
「がぁぁぁ……上、等……だ……っ!!」
……このままで終われるか。アラトは拳を固く握りこみ、ふらつきながらも殴り掛かった。
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※English version
yukibou
2023-06-05 11:25:23 +0000 UTCマゼンタ
2023-06-05 11:18:28 +0000 UTC