エレキングに閉じ込められたウルトラマンビクトリーの女性のその後が気になり、SNSの動画投稿を頻繁にチェックしていた。 結局、1週間後にSNSの動画が投稿された。 動画は倒れ込むようにしてテントへと戻ってきたエレキングを男性スタッフが支えるところから始まっていた。 テントの中でうつ伏せに倒れ込んだエレキングの表皮を剥がすと、男性スタッフはファスナーを開いてウレタンを掘り起こすように引き出していた。 ある程度ウレタンが引き出されるとスタッフはエレキングの中に手を突っ込んで、ウルトラマンビクトリーを引き出そうとするが上手くいかない。 エレキングの中にギッシリと詰めたウレタンが邪魔をしてウルトラマンビクトリーの腕や足が抜けないのだ。 壊れた人形のように脱力し切っウルトラマンビクトリー。 テロップが流れる。 [エレキングを演じたウルトラマンビクトリーは暑さで動けなくなっている様子] そこへエレキングの後ろから引き揚げてきたウルトラマンXがエレキングの着ぐるみを押さえてくれた事で男性スタッフはウルトラマンビクトリーを引き出す事ができた。 疲弊し切ったウルトラマンビクトリーをその場に寝かせて風を送る。 少しでも休んでもらうという男性スタッフの配慮だろう。 テロップが流れる。 [あと2分でウルトラマンビクトリーの出番、立ち上がってショーに出演はできるのだろうか?] 間近でウルトラマンビクトリーを撮影するカメラ。 お腹が激しく上下している様子が映し出され、ウルトラマンビクトリーを演じる女性の呼吸音がはっきりと聞こえてきそうな程だった。 時間がきたのだろう。 男性スタッフがウルトラマンビクトリーの体調を気遣いながら声を掛けて体を起こすのを手伝う。 男性スタッフがウルトラマンビクトリーに触れた手を見ていた。 テロップが流れる。 [ウルトラマンビクトリーはかなりの熱を帯びているようだ] よろけながらも立ち上がったウルトラマンビクトリーは男性スタッフに肩を借りながらテントの出口へと向かうのだった。 映像が途切れてウルトラマンXとウルトラマンオーブに支えられる形でテントへ戻って来たウルトラマンビクトリー。 その場に崩れるように仰向けに横たわるウルトラマンビクトリー。 先ほどよりも激しくお腹が上下している。 ここでテロップが流れた。 [ウルトラマンビクトリーはダウンしたため、握手会はウルトラマンXとウルトラマンオーブでする事に] 横たわるウルトラマンビクトリーを起こして、ウルトラマンビクトリーの接着されたヒダをカッターで切り開いていく。 だが、接着剤はファスナーまで達しており簡単には開けられない。 剥離剤を使いながら少しずつファスナーを開いていていく。 テロップには [ファスナーまで接着してしまい、簡単には開かないようです] 続けて [ファスナーを開けるのに時間が掛かり、握手会が終了した模様] と表示された。 握手会を終えたウルトラマンXとウルトラマンオーブのヒダの接着も外されてファスナーが下ろされたのだろう。 ウルトラマンXとウルトラマンオーブの中の人が心配そうにウルトラマンビクトリーに声を掛けている。 それを見て驚いてしまう。 ウルトラマンXもウルトラマンオーブからも顔を出しているのは、いずれも女性だったから。 ショーの後で汗をかき、当然ノーメイクなのにかなり可愛い。 そこで動画は終わっていた。 「あれ?!」 俺はその動画を見終えて何か引っ掛かった。 「あの2人どこかで」 そう、ウルトラマンXとウルトラマンオーブに入っていた女性を俺は知っているというより会った事がある気がした。 1人ならまだしも、2人ともというのは… 。 「ただいま!」 妻が買い物から帰って来た。 かなり買い込んできたようで、大きなレジ袋が2つ。 それをダイニングテーブルの上に置いて、椅子に座る。 そんな妻に俺は先ほどのウルトラマンXとウルトラマンオーブに入っていた女性の動画を見せる。 「ねぇ、ここに出てくる女性って見たことない?」 そう言って俺は先ほどまで夢中になって、みていた動画を妻に見せた。 妻はその動画を見て驚いていた。 「え!うそ!マジで!?」 あまり普段から何事にも動じない妻がえらく反応した。 「でしょ!ウルトラマンに入っていたのが女性だったら驚くよね、ところでこの2人に見覚えがある気がしてさぁ」 そう言うと妻の反応が妙に悪くなった。 そして尋ねてくる。 「ところでウルトラマンビクトリーの中の人の顔は見たの?」 「うん見たよ!ウルトラマンビクトリーも女性だったよ!でも、しっかりとは映ってなくて横顔が少し見えただけだったけど、可愛い感じだったよ」 「そうなんだ!」 そんな会話の後、妻は買って来たレジ袋の中身を冷蔵庫へ詰めると夕飯を作り始めた。 そう言えば、ウルトラマンに入っていた女性2人に見覚えがないか答えてもらってなかったなあと思いながらも俺は話を切り上げた。 あまり、しつこく聞いてヤキモチを妬かれても困ると思ったから。 つづく