駅に着くと、恥ずかしさからどちらからともなく手を離した。 帰る方向は同じなので、ホームで電車を待つ。 お互いを意識し始めて、会話が出て来ない。 やって来た電車に2人で乗ると縁川さんが話しかけてきた。 「輪田くんの最寄駅はどこ?」 そう聞かれて最寄り駅を答えると、縁川さんはビックリしていた。 「ええ!終電なくなってない?」 「もう終電ないよ!縁川さんの最寄り駅でネットカフェにでも泊まるよ」 そう言った後、再び会話がなくなったまま、電車は縁川さんの最寄り駅に到着した。 ホームに降りてから俺は縁川さんに聞いた。 「駅から家まで遠いの?」 俺がそう聞くと縁川さんは少し遅れて答えた。 「あっ、うん、5分ほどだよ!」 「せっかくだから家まで送るよ」 そう言うと縁川さんは笑顔を見せた。 駅を出発してすぐに人通りがなくなってくると、どちらからともなく手を繋いだ。 お互い何を話していいか分からず無言のまま歩いていく。 今日は縁川さんを送っていく事がハズレクジを引いたと思ったが、大当たりだった事に頬が緩んだ。 「輪田くん、ありがとう、家ここなんだ」 意外と駅からは近いところに縁川さんのマンションはあり、そこで繋いでいた手を離した。 「うん、じゃあまた月曜日に」 俺がそう声を掛けたのだが、縁川さんはマンションの中へ入って行こうとしない。 俺が不思議に思い首を傾げていると縁川さんが小さな声で言った。 「… ってく?」 顔を真っ赤にして、そう言った縁川さんの言葉が聞き取れずに俺は聞き返した。 すると、縁川さんが突然抱きついてきた。 そして、俺の耳に近づけてこう言った。 「輪田くん、もう遅いから、うちで泊まっていって」 抱きつかれた事と縁川さんの思いが伝わってきて、俺は素直に頷いた。 手を繋いで縁川さんのマンションへと入っていく。 縁川さんは玄関に入ってすぐにダウンコートを脱ぐと俺の方を向くとお願いをしてきた。 「お願いがあるんだけど… 」 少し言いにくいそうにそう言う縁川さんに俺は尋ねた。 「どんなお願い?」 「うーん、このブーツ1人で脱ぐの大変だから手伝って欲しいの」 「うん、全然構わないよ」 そう返すと縁川さんは笑顔になって、玄関に準備してあった椅子に腰掛けて足を組んだ。 ここへ戻ってくる途中もそうだったが、ブーツが擦れるたびに『ギチギチ』と音を立て、そのたびに俺はゾクゾクしていた。 「このブーツって、エナメル?それともラバー?」 俺の質問に驚いたような反応見せた縁川さんだったが、ブーツはエナメルだと答えてくれた。 ふくらはぎの内側にあるニーハイブーツのファスナーを下ろした縁川さんが言う。 「輪田くん、そっちから引っ張って」 目の前に出された黒光りし、見事なまでに足に張り付くブーツを目の前にして、このまま脱がせてしまうのが惜しくなった俺。 「ねぇ縁川さん、俺からも変なお願いしていい?」 「何?」 今なら何を言っても縁川さんは受け入れてくれると思った。 「俺、実はブーツフェチでもあり、光沢フェチでもあるんだ、だからこんな素敵な足を見せられたら堪らなくなってきて… 」 そう言うと縁川さんは言った。 「光沢フェチという事は、もしかしてダウンコートも着た方が輪田くんは嬉しかったりする?」 「うん!するする!」 そう言うと縁川さんは一旦は脱いだダウンコートを再び羽織った。 「これからどうしたら輪田くんは喜んでくれるの?」 そう言われて俺は顔が熱くなるのを感じた。 また、そう言う縁川さんも顔が真っ赤になっていた。 思い切って俺は縁川さんに欲望をぶつけてみた。 「俺は縁川さんのニーハイブーツの内ももに顔を挟まれてみたい」 恥ずかしげもなく、そんな事を言ってさらに顔が熱くなるのを感じる。 縁川さんは顔を真っ赤にしながら言った。 「そんな事でいいなら、いくらでも… 」 縁川さんのその言葉を聞いてから俺はせっかくならと思い、ニーハイブーツを脱ぎ掛けたふくらはぎのファスナーを閉めた。 縁川さんはイスに座ったまま、両手を広げて俺を受け入れてくれる。 ドキドキしながら、俺は縁川さんの絶対領域に顔を埋めていった。 柔らかく白い縁川さんの太もものすぐ下には黒光りしたエナメルのニーハイブーツの筒の部分があり、エナメル部分に触れてみた。 無機質で黒光りするエナメルは縁川さんの体温で温められていて、見た目とのミスマッチに俺は妙に興奮を掻き立てられた。 会社からの帰りずっと見てきた妖艶で黒光りする縁川さんの美脚に触れ、さすりながら俺は独り占めした。 凄く嬉しくて俺は笑顔で顔を上げて縁川さんを見た。 縁川さんもまた笑顔で俺を見てこう言う。 「ダウンコートにも包まれてみたい?」 「うん!」 どう言う事か分からなかったが俺はそう答えた。 すると縁川さんはダウンコートのファスナーを閉め始めたのだ、俺の頭をより縁川さんの太ももに密着させて。 俺は頭を振って縁川さんの股の間に顔を埋めていく。 「もうぉ、輪田くん!」 そんな声が頭の後ろの辺りから聞こえてきたが、縁川さんに嫌がっている様子はなく、むしろ喜んでいる様だった。 頭だけダウンコートの中へ取り込まれ、ニーハイブーツの太ももに密着している。 そのため、両手は自由である。 その両手で今度は黒光りするダウンコートの感触を楽しむ。 わざとダウンコートを触りながら、縁川さんの胸を揉んでみた。 「輪田くんダメだよ、私変な気分になっちゃうよぉ」 縁川さんの声の調子から本気で嫌がっているわけではないのは一目瞭然だった。 俺は聞こえないフリをして、縁川さんの胸をダウンコートの上から揉みしだく。 それから、数時間後に俺たちは全裸で抱き合っていた。 ベッドの中で縁川さんといろいろな話をした。 仕事の事や同期の事、そしてフェチの事も。 仕事でもあまり接点のなかった縁川さんとこんなに楽しくフェチの話ができるなら、もっと早くしておけば良かったと思ったが、それは縁川さんのファッションを見たからであり、縁川さんを送って来なければ知る事のない事実だった。 明日の土曜も一緒に過ごす約束をして抱き合いながら眠りに就いた。 俺の光沢フェチはラバーフェチからきている。 そのラバーフェチを百合子に告白しようかと考えている。 今の百合子なら俺の全てを受け入れてくれそうに思えたから。 縁川さんから百合子に呼び方が変わったのは付き合う事になったから。 俺も呼び名が輪田くんから稔に変わったことを付け加えておこう。 翌日、目が覚めると百合子の姿はベッドになかった。 その代わりにいい匂いが漂ってくる。 俺は服を着ていい匂いに誘われていくと、朝食が用意されていた。 「あっ稔、おはよ!」 彼女に縁がないと思っていたのだが、急に彼女ができるとそれはそれで少し照れ臭い。 それでも同じようなフェチが共有できて、かつそれが自分の彼女であるというのは最高だった。 テレビを見ながら食事を摂った後、それほど広くないソファーで密着していると、自然とキスをしていた。 「ねぇ、稔のフェチって他にあるの?」 ラバーフェチを告白しようと思っていた俺の心を見透かすように百合子が聞いてきた。 「あるよ!もちろん」 「えー!なになに教えて!」 俺に顔がくっつきそうなほど近づけて聞いてくる百合子の頭を撫でていう。 「じゃあ教えてもいいけど、引いたりしない?」 「しない、しない、絶対しない」 百合子の言葉で俺のラバーフェチを告白する気持ちは固まった。 実は俺にはもう一つフェチがあるのだが、それは百合子に知られたくないし、教えたくない。 なぜなら、そのフェチは百合子でも引いてしまうかも知れないから。 そんなもう一つのフェチは心の中に留めておいて、俺は思い切ってラバーフェチである事を百合子に告白した。 百合子の反応はというと、2、3度頷いて見せてから言った。 「そうかと思った!」 俺が百合子のブーツがエナメルかラバーかって聞いた時、そんな気がしたらしい。 そして、百合子もラバーに興味があるので、ネットでラバーグッズを検索して、どんなのを着てみたいや着せたいというのを語り合って検索してみたりしてフェチを語り合い楽しんだ。 夕方、近くのファミレスへ一緒にご飯を食べに行って、名残惜しいがそこで別れる事になった。 日曜に百合子はどうしても外せない予定があるらしく、俺も予定があったので幸いだった。 つづく