粗大ゴミ回収日の早朝、雨の中車で走っていると気になるものを見つけた。 一度は通り過ぎたが気になり引き返した。 車を停めて粗大ゴミに埋もれた黒いゴミ袋を確認する。 最近は透明のゴミ袋が主流となっているので違和感があった。 それだけではない、その黒いゴミ袋が動いたように見えたからだ。 ゴミ袋を確認しながらあることが頭をよぎっていた。 それはとある都市伝説。 雨の日の早朝、粗大ゴミの日に黒いゴミ袋で捨てられたマネキンが動き出すというもの。 ゴミ袋の上から触って中身を確認する。 中にマネキンのようなパーツが確認できた。 人が近づいてくる気配がしたので、すぐに乗っていたワンボックスの後部を開け、ゴミ袋を放り込む。 そしてその場を走り去った。 都市伝説の続きはこうだ。 時折動くマネキンに話しかけてやると、時間は費やすが徐々に人になるというもの。 さらに人になったマネキンはスタイル抜群の絶世の美女になるとも。 工場兼自宅に帰り着くと台車を用意、ゴミ袋を積み込み工場内へと運ぶ。 ブルーシートを広げた上に丸い塊のゴミ袋を移す。 ゴミ袋の中身は時折動いてる。 ドキドキしながら固結びされたゴミ袋を引き裂くように破ると中身が現れたのだが中身も黒い球形をした物体だった。 黒い物体に触れてみた感触はタイツだろうかスベスベしている。 触るとモゾモゾと動く。 微かにだが人の体温も感じる。 球形に近い黒い塊からは足とも腕とも分からないモノが僅かに突き出ていた。 少し距離を取って観察する。 球形の黒い塊から突き出たモノは時折動くだけで、大きな動きはない。 そして表面を覆うタイツ地に切れ目などは見当たらない。 引っ張ってみると伸びる。 強く引っ張ってみると、小さな穴が開いた。 小さな穴を広げてタイツ地を破っていく。 中から出てきたモノはやはり黒い塊。 そしてこちらも表面はタイツ地だった。 引っ張って穴を開けて中身を取り出すこと3回。 きゅさの黒い塊に変化が現れる。 タイツ地の中身が透けて見えてきた。 あと少し! さらにタイツ地を破って中身を取り出した。 だが、中身はまたしても黒い塊。 今度はタイツではなく、黒いラップのようなビニールで覆われている。 タイツ地を破るのに疲れたので、近くの椅子に腰掛けて黒い塊を眺める。 黒い塊の周りには先ほど破ったタイツが散乱している。 黒い塊は時折ギシギシと音を立てて動いた。 “これはマネキンなのだろうか?” 黒い球から手か足のようなものが少し生えているだけ。 疑問に思いながら眺めていると、黒いラップの塊には呼吸用のホースの様なモノが僅かに突き出ていることに気がついた。 それにタイツ地を破るのに必死で気がついていなかったが、突き出ているものは指こそ分からないが足先のように見える。 そしてその足が4つあることにも気がついた。 呼吸用のホースの様なものに耳を近づけてみる。 音はほとんど聞こえないが、生暖かい空気を感じた。 親指でホースの口を塞いでみた。 すぐには何も起こらなかったが、30秒ほどすると親指に強い吸引を感じる。 そして黒いラップの塊はギシギシと音を立てて激しく動き始めた。 親指を離してやるとギシギシと激しく動くのはゆっくりと収まり、その代わりホースからはスースーと勢いよく空気を吸う音が聞こえてきた。 今度は黒い塊のラップを毟り取り始める。 毟り取っている間、黒いラップの塊は再び動かなくなった。 破って散乱したタイツが毟り取ったラップで見えなくなった時、ようやく中身が見えてきた。 またも黒い塊、表面の材質はゴムだろうか鈍い光沢がある。 黒いゴムの塊は梱包用の黒いPPバンドで縛られており、縛られた真ん中からは先ほどのホースが2本それぞれ飛び出していた。 幾重にもPPバンドで固定されている黒い塊を解体すべくペンチで引き千切っていく。 目の前にはかなり小さくなったゴムの袋に詰められた黒い塊が現れた。 何となくだがゴムの袋に詰められたそれは人の形が見て取れた、それも2つ。 その人の形をした物は四つん這いの体勢で互いの頭を股のところへくっつけた状態となっているようだった。 ゴムの袋から一つに纏められた2つの人の形をした物を取り出した。 中に入っていた物は、全身をゴムのスーツで覆われ69の形で互いの体を革のベルトで幾重にも固定された人の様だった。 その人の様なものはラバー製のパンストのようなものを履いており、そこに互いの股を舐めるように上半身が収まっていた。 そのラバー製のパンストからはそれぞれ呼吸用と思われるチューブが伸びていた。 それをしばらく観察してみる。 人だとしても互いの体が邪魔をして上手く動けないだろう。 仮に人だとしたら胸に膨らみがあることや大きさから見ても女性だろうと思った。 69の形で固定されたままの人の形をしたものの観察を続ける。 着せられているラバースーツを脱がそうとおもったのだが、ファスナーなどが全く見当たらず脱がすことができなかった。 それにラバー製のパンストをどうやって脱がせていいのかも分からなかった。 結局、これ以上はどうす事もできなくなり、工場にあった業務用ラップを巻きつけて球形の塊にした。 黒いラップやタイツがなかったので、黒いビニールテープでグルグル巻きにしてから、拾ってきた時に入っていた黒いゴミ袋へと詰めた。 そして車に積み込んで元のゴミ置き場へと戻した。 それから少ししたある日の同じゴミ置き場。 雨の早朝に通りかかると粗大ゴミとして黒い革張りのソファーが雨ざらしになっていた。 その横を通過する際、確かにソファーの肘掛けが動いた。 とある都市伝説を思い出したが引き返すこともアクセルを緩めることもなくそのまま走り去った。 おしまい
ごむらば
2025-06-16 22:00:08 +0000 UTCJan Koda
2025-06-16 15:58:03 +0000 UTCごむらば
2025-06-15 21:41:20 +0000 UTCJan Koda
2025-06-15 16:27:55 +0000 UTC