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ごむらば
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12.【アマリンちゃん】の単独インタビュー

私が好きな大地の願いを叶えるため、美羽に【アマリンちゃん】の単独インタビューを受けてもいいかお願いしたところ、平日ならとあっさりOKが出た。 ただし、2つの条件付きで。 その条件とは文字通りの単独インタビュー。 つまり、美羽は付き添わず【アマリンちゃん】と大地の2人だけならOKというのだが… 。 【アマリンちゃん】1人ではどうにもならないのは目に見えている。 着ぐるみが話すのは御法度だから。 それを確認すると美羽はリアル【アマリンちゃん】の可愛い機械的な声なら大丈夫とあっさりと認めてしまった。 そしてもう1つの条件は大地の家でインタビューを受けること。 公ではないため、施設の部屋などの貸し出しはできない。 つまり、勝手にやってくれということらしい。 流石に【アマリンちゃん】に着替えて歩いて行ってこいというのは酷なので、そこは大地の家まで車で送ってもらえる事になった。 当然、車の運転は美波ちゃんなので彼女の協力も取り付けた。 大地へは美羽から連絡を入れてもらい、単独インタビューの日程を決定した。 当日、いつもの会議室で私はリアル【アマリンちゃん】となった。 水色のビキニ姿となり、ウエットスーツを手にしていると美羽が言った。 「今日は海に潜らないから、ウエットスーツは着なくていいよ!」 確かに【アマリンちゃん】の着ぐるみも観光客をお迎え用の海女さんの衣装が着せられていて、【アマリンちゃん】専用な大きなウエットスーツは用意されていなかった。 いつもと違い軽装なので、【アマリンちゃん】の着ぐるみにも入りやすい。 あっさりと【アマリンちゃん】になると、早速美波ちゃんの運転する車で大地の家へと移動を始めた。 車で揺られながら考える事は何をインタビューされるのだろうという事だった。 それほど大きくない村なので、程なくして大地の家へと到着した。 ここからは手早く大地の家の近所の人にも見られないように家へ入らなけばならない。 大地は家の外で待ってくれていたようで美羽との会話が聞こえた後、私は物のような扱いで車から降ろされると、3人の補助を受けて家の中へ運ばれるようにして入った。 幸い近所の人には見られずに済んだ。 「じゃあ、私たちは引き上げるから」 そう言う美羽に大地が尋ねる。 「え!着ぐるみだけ置いて帰るの?」 「そうだよ!【アマリンちゃん】とは打ち合わせ済みだから、何でもインタビューして!同級生だから特別だよ!」 美羽の声は少しイタズラっこのような口調に感じた。 大地はというと、美羽に押し切られる形で驚いた顔をして頷くだけだった。 美羽と美波ちゃんが帰っていく後ろ姿を見送った後、大地は家の中へと手を取って招き入れてくれた。 ただ、帰り際美波ちゃんが美羽に言った言葉「本当にいいんですか?」という問いに、美羽は「いいから、いいから」とだけ言っていたが、帰りの車で私が大地に昔から片想いしている事は美波ちゃんにバラされるだろう。 そんな事より、私は着ぐるみ【アマリンちゃん】として大地からどんな単独インタビューを受けるのかとドキドキし始めていた。 私は応接室へと案内されて、3人掛けソファーの大半を占める形で座った。 大地は1人掛けソファーが2つ並ぶ片方へと腰を下ろして早速インタビューが始まった。 「今日はよろしくお願いします」 お互い頭を下げてインタビューが始まったのだが緊張感が半端ない。 大地も緊張しているのが見て取れた。 凛として先日遊びに来た時は、部屋にまで押し掛けて振り向きざまにキスまでしたのに今日はやけに大地を遠くに感じた。 「早速ですが、着ぐるみのまま海に潜るのは怖くないんですか?」 そう聞かれた私は少し躊躇しながらも、リアル【アマリンちゃん】の可愛い機械的な声で答える。 「エエ、ハジメハショウジキ、コワカッタデス」 「ソレト、キグルミデハナク、ワタシハアマリンデス」 「失礼しました、では【アマリンちゃん】はこの海女漁の仕事は楽しいですか?」 「ハイ、タノシイデス、テンショクダトオモッテイマス」 メモを取りながら大地が続ける。 「この仕事の大変なところを教えて下さい」 「ウミカラアガルト、カラダガオモクカンジルコトデス」 今のところ我ながら上手く受け答えができていると思った。 メモを取った大地は帰り際、美羽から渡された紙袋に入っていたメモに目を通すと言った。 「では【アマリンちゃん】として最後に写真を撮らせて下さい」 そう言ってカメラを持って立ち上がった大地は応接室の扉の鍵を閉めた。 そしてカメラを構えて近づいてくる。 今、《【アマリンちゃん】として最後》っていったよね。 急に怖くなり立ち上がろうとした私の前に大地が立ち塞がった。 「ねぇ、アマリンちゃんの中の人にお願いがあるんだけど、少しでいいから着ぐるみを脱いで貰えないかなぁ」 「アマリンハキグルミデハナイデス」 そう言って首を横に振って私は抵抗した。 無理やり着ぐるみを脱がされる恐怖の中、大地は私に手を合わせてお願いしてきた。 「お願いします、中の人が見たいです、出てきてもらえませんか?」 正直、大地にここまでされる断れない。 それに【アマリンちゃん】を脱いでもリアル【アマリンちゃん】になるだけなので、私としては別に構わないのだが、【アマリンちゃん】の口の中の防水ファスナーを私自身では開けられないので脱ぐことができないのだ。 【アマリンちゃん】の着ぐるみを脱がせてもらう事ができないと分かっている私はゆっくりと頷いた。 すると、大地が言った。 「じゃあ、口の中の防水ファスナー開きますね」 「エエ!ナンデシッテルノ?」 私は思わず声に出してしまった。 「長谷川 美羽さんに教えてもらったんです」 “美羽のやついつの間に” そう思ったが、頷いてしまったので後には引けなくなってしまった。 大地は【アマリンちゃん】の口の中に手を突っ込むと手探りでファスナーを探し当てて開き始めた。 私は抵抗する事なくそれを受け入れた。 防水ファスナーが開かれたので、私は大地の要望通り【アマリンちゃん】の着ぐるみを脱ぐことにした。 【アマリンちゃん】の口からリアル【アマリンちゃん】が出てくる姿はグロテスクでもあるので見せたくないが仕方ない。 私は大地に手伝ってもらいながら、【アマリンちゃん】の着ぐるみを脱いだ。 ビキニ姿のセクシーなリアル【アマリンちゃん】に大地も驚きを隠せない様子。 そんな大地に詰め寄ると大地は顔を赤らめながらも少し困ったような仕草を見せた。 それが面白くて私も調子に乗る。 大地をソファーに押し倒して覆い被さった。 私の方から大地を誘惑することに躊躇いながらも顔を近づけていくと、大地が両手で制止した。 そして、こう言った。 「ごめん、俺には心に決めた人がいるんだ、それにそんなつもりないから」 そう言われて私は顔がカァッと熱くなるのを感じた。 大地のために美羽にお願いして、大地のために単独インタビューを受け、大地のために【アマリンちゃん】の着ぐるみを脱いだのに… 「ヒドヨ、ソンナノ… 」 自然と言葉が口をついて出た。 制止する大地の手を押し除けて、私は無理やりキスをした。 それだけには止まらない。 感情を抑えきれなくなった私はビキニも脱ぎ捨てると、リアル【アマリンちゃん】の胸の下にある開口部を開いたところで手を止めた。 リアル【アマリンちゃん】の着ぐるみを脱ぐためには専用の潤滑剤がなければ脱ぐ事はできない事を思い出したから、それに… 。 今すぐにでもリアル【アマリンちゃん】の着ぐるみを脱いで、中身が天野 凛である事を大地に知らしめたい。 しかし、それはいろいろ問題があるし、着ぐるみの中身が天野 凛である事を大地が知ったらどんな反応を示すだろうと思うと急に怖くなってきた。 完全に固まって動きが止まってしまった私をハグした大地はソファーから起き上がると、私の手を引いて移動を始めた。 つづく

12.【アマリンちゃん】の単独インタビュー

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