SamuZai
ごむらば
ごむらば

fanbox


ダイビングショップでのアルバイト

大学生の俺、久住 和人(ひさずみかずと)は春休み限定のアルバイトを見つけた。 なかなかの高額時給はありがたい、短期間で多く稼ぎたいから。 その理由としては今年の夏こそダイビングを始めてみたいから。 もともと海が好きだった事に加え、大学で気になっている女の子からダイビングを一緒にしようと誘われたから。 一緒にダイビングをして彼女との距離を一気に縮めたいと思っている。 それには絶好のアルバイトだった。 上手くいけば器材を安く買えたり、ライセンスの取得も… 。 そんな希望に満ち溢れたアルバイトの初日。 オーナーの斎藤 彩月(さいとうさつき)さんに挨拶をしてから、早速採寸の手解きを受けることになった。 ダイビングショップでの俺の主な業務はウエットスーツオーダーのため、お客さんの体を採寸をする仕事。 あと、ウエットスーツの着方を教えたり補助もする。 他にもまだまだ海の中は寒いので、ドライスーツを着せるのを補助したりする仕事もあるらしい。 もちろん、接客もある。 彩月さんはマネキンが着ているウエットスーツを脱がせると俺を手招きして声を掛けてきた。 「久住くん、ちょっと来てくれる」 「はい!」 俺は少しでも好印象を持ってもらえるように大きな声で返事をした。 「まずはメインでやってもらうウエットスーツのオーダーの採寸を教えるわね」 バインダーに挟んだ人の絵が描かれた用紙に採寸が必要な各部がよく分かるようになっていた。 項目の1から順番に測っていく事とメジャーを当てて実際に彩月さんが測ったのを俺が記録していく形で指導してもらった。 緊張しながら記録を取る俺だったが、一つ気になる事があった。 それは彩月さんが採寸しているマネキン。 黒光りしたゴムでコーティングされたどこか高級感のある女性のマネキンなのだが、微妙に揺れている?というよりは少し震えている様に見えた。 それでも採寸の指導を集中して行ったため、気づけば全項目の採寸が終わっていた。 「じゃあ、一度一人で採寸して、採寸表を埋めていってもらえるかな」 「はい!」 俺はまた元気よく返事をした。 彩月さんが笑顔で俺に伝える。 「このマネキンは採寸用に腕や足が自由に動くし、実際に採寸する事を想定して人肌ほどの温かさがあるからビックリしないでね」 「はっ、はい!分からない時は質問させてもらってもいいですか?」 「もちろん!」 そう言うと彩月さんは別の業務で離れてしまった。 俺は少し緊張しながらも黒光りしたマネキンと向き合う。 こちらの緊張が伝播したようにマネキンも緊張しているように思えた。 まずは総丈、ウエスト丈と測っていく。 確かにこのマネキンは特殊な様で人肌ほどの温かみを感じる。 そして見た目はプラスチックのようだが、人のような柔らかさがあった。 凄く高そうなマネキンを壊さないように慎重に注意しながら採寸していて思った。 お客さんに対しても慎重かつ丁寧に採寸するという事ではこれも練習になると。 練習であっても、自然と接客を学ばせるためのマネキンなのだと思い、感心しながら採寸を続けた。 股下を測り始めた時だった。 少しマネキンの足がプルプルと震えているように見えた。 おまけにこのマネキンは、かなり精巧に作られていて股のところにも女性らしい割れ目がクッキリと浮き出ている。 一瞬、触れてみようかとも思ったが、マネキン相手にそんな卑猥な事をするのもどうかと思い留まった。 次に首回りを測っていく。 ノッペラボウのマネキンの顔には凹凸がなく、人に似せられ作られていても、やはりマネキンだと思った。 形のいい頭にノッペラボウなのに魅力を感じてしまう、そしてなぜか惹きつけられて顔を近づけた。 何か妙な緊張感が俺とマネキンの間に生まれる。 近くでよく見るとノッペラボウの顔にも薄らとではあるが唇や鼻が見て取れた。 なぜかそのマネキンの顔に俺は魅入られ、どんどん惹きつけられていく。 「ダメ、ダメっ!」 呟いて首を振った。 俺を魅了して止まない高級マネキンに俺は危うくキスをするところだった。 これではただの変態だ。 そう自分に言い聞かせて採寸を続行するが、採寸しマネキンの体に触れていると俺の心はどんどんマネキンに惹かれていった。 太もも回りやスネ回りも測っていくが、マネキンの足は美脚そのもの、均整の取れた足はさすが作り物というしかなかった。 俺が担当するのは男性だが、女性の方が項目が多いため練習のため、アンダーバスト、乳頭間も測っていくのだが… 。 ここでもこのマネキンに俺は魅了される。 作り物なので当然と言えば当然なのだが、形の良いお椀型のオッパイは大きくもなく小さくもなく程よい大きさ。 アンダーバストを測る際に触れたオッパイは人のそれを見事に再現しており、柔らかさの中にも張りがあった。 そして、乳頭間も測り易くするためか、薄らと乳首が勃っているように作られていた。 乳頭間を測る際にはワザと指で摘むようにして楽しんでみた。 その際、マネキンが少し揺れたのは精巧に造られたオッパイが揺れたからだろう。 採寸はなんとか終えたが凄く疲れてしまった。 一人で採寸した採寸用紙を彩月さんのところへ持っていき確認してもらう。 先ほど彩月さんが採寸したものと見比べて指摘事項があった。 それは腰回りや胸回りといった周囲を測る箇所がしっかりと測れていないという事。 これではウエットスーツが完成した際、体にフィットせず、ブカブカで見た目にも見窄らしく、水の中では水が入り込んでくるので、しっかりと保温できないと指摘された。 採寸については慣れてきたら、上手く測れるようになるから繰り返して練習をして欲しいと言われた。 今日は物品が入荷するため、検品と在庫整理を手伝って欲しいとの事だった。 俺が採寸したマネキンは彩月さんによって片付けられた。 その後、検品、その商品を在庫整理したり、接客したりしているうちに、あっという間に午前中が終わった。 お昼休みを頂いて昼食を摂った後、午後からお客さんも来なかったのでウエットスーツを着せ方を教えてもらう事になった。 もちろん、ウエットスーツを着せるのはあのマネキン。 人に似せて作られているので、お客さんに着せる感覚に近い感覚が体感できるというが… 。 男性のマネキンならともかく女性のマネキンだとどうしても緊張してしまう。 だが、せっかく着せ方をレクチャーしてもらえるので、遠慮なくあのマネキンでウエットスーツを着せる練習をする事になった。 まずは椅子にマネキンを座らせて、ピンク色のウエットスーツを準備した。 それを腰辺りで半分に折り込み、足を通し易くする。 そうしてから、マネキンの足先にビニール袋を被せてからウエットスーツへと足を通していく。 ビニール袋のお陰でかなりスムーズに足を通すことができた。 投稿動画で見ていると足を通すのに苦労し、次はお尻を入れるのに苦労している動画をよく見かけた。 ウエットスーツにマネキンの両足を通すと、彩月さんがマネキンを立たせてくれてた。 そして、彩月さんが何かするとマネキンは直立した。 直立したマネキンの背後に周り、ウエットスーツを引き上げるが軽くて浮き上がりそうになった。 転倒させてマネキンを壊したら大変だと思い、力任せでなく丁寧に引き上げるようにすると着せることができた。 最後に両腕を通して背中のファスナーを閉めれば完了だが、そこへ彩月さんがウエットスーツと同じピンク色のフードを持ってきた。 それを被せてから背中のファスナーを閉めた。 黒光りしたマネキンがピンク色のウエットスーツを着せられると可愛い女性に見えてしまうのが不思議だった。 自分でも上手く着せられた思っていると彩月さんが言った。 「器材を装着して店頭に飾っておきましょう」 ピンク色のウエットスーツにフード、グローブにブーツ、ゴーグルにシュノーケルまで全てピンクで統一し、それらを装着させた。 もうこのままでも潜れそうだなぁと思い、マネキンを見ながら思うこと。 それは俺が片想いしている彼女がこれらを着たら可愛いだろうかという事、そして一緒にダイビングできたら最高だろうなぁと思った。 そんな妄想をしていると、バイトを頑張る活力がみなぎってきた。 店頭にディスプレイされたマネキンを見ながら、閉店まで俺は頑張って働いた。 「お疲れ様!初めての仕事だったから疲れたでしょ」 「いえ、凄く勉強になり楽しかったです、時間が過ぎるのはあっという間でした」 「まだ、時間ある?」 「はい!彼女もいないし、予定もないので」 俺がそう答えると、なぜか彩月さんの表情は明るくなった。 「良かったらなんだけど、今日はマネキンを持って帰って採寸の練習をしてもらえないかなぁ、週末オーダーのお客さんが増えそうなんだ」 「え!良いんですか?」 俺はあのマネキンともっと一緒にいられると思い、思わずそんな返事をしてしまった。 彩月さんに俺のその返答がヤル気があると取ってもらえればいいのだが… 。 「じゃあ、準備するから少し待っててね」 そう言うと彩月さんは店頭でディスプレイされていたマネキンを事務所へと運んで行った。 程なくして大きなスーツケースを押して彩月さんが事務所から出て来た。 「じゃあ、あとはよろしくね」 ウインクして見せる彩月さんに見送られて、俺はダイビングショップを後にした。 そんなにウエットスーツのオーダーって多いのだろうか? そんな疑問を抱きつつ家路を急ぐ。 “早くマネキンをじっくり見てみたい” そんな思いに駆られつつも、採寸を早くマスターして欲しいと思っている彩月さんの思いにも応えて、採寸の練習もしようと思った。 できる限り彩月さんの期待に応え気に入ってもらい、何より片想いの彼女とダイビングに行くことを夢見て。 でも、よくよく考えてみると、彼女にダイビングをしようと誘われたが付き合っているわけでもない。 なにより、彼女に彼氏がいるかどうかも知らなかった。 その事に気づき少しヘコミつつも歩みを緩める事はなかった。 家から徒歩圏内のダイビングショップから歩いてに家に着く寸前に、マネキンをいつ返却したらいいのか聞くのを忘れた事に気づいた。 慌ててダイビングショップに電話をしたが、彩月さんは出ることなく明日確認する事にした。 意外と彩月さんは大雑把な性格なんだと思いつつ、スーツケースを家へと運びこんだ。 家に入ると、もう遠慮する事はない。 俺を魅了して止まないマネキンをスーツケースから出すべく早速開いた。 マネキンは店頭でディスプレイされていたそのままの姿でスーツケースに体を丸めて詰められていた。 開いたスーツケースからは湿り気のある熱気が吹き出してきた。 人肌ほどの熱を発するマネキンをスーツケースに入れて持ち歩いたので、熱がかなり籠ってしまったのだろうか。 もし、壊れていたら大変だと思い慌てて引っ張り出そうとしたのだが… 重い。 マネキン人形ではない重さを感じながら、今度はしっかりと力を込めてマネキン人形をスーツケースから引っ張り出した。 マネキンなのにまるで人のようにグッタリとしている。 驚きはあったが、とにかくマネキンの付けている装備と着ているウエットスーツを脱がせることにした。 マネキン人形だと言われたが、ずっと人ではないかと思っていた俺に大きな驚きはなかった。 ウエットスーツを脱がせ横たわる姿はマネキンではなく完全に人だった。 艶めかしい姿で横たわるマネキン、いやマネキンにされた人間は苦しそうに呼吸していた。 ウエットスーツを脱がす際に触れた体は人肌に設定されている温度とはかけ離れ、かなりの熱を持っていた。 気を失っていたのか、眠っていたのか分からないがマネキン人間は気がつくと俺を見てあたふたし始めた。 そのあたふたする仕草を俺は見たことがあった。 「え!まさか!!」 まだ、あたふたするマネキン人間に俺は言った。 「ごめん、全然気づかなくて」 そう言って俺はマネキン人間をギュッと抱きしめるとマネキン人間は大人しくなった。 「このままキスしてもいいかな?美桜ちゃん」 マネキン人間はピクッと反応した後、『いいよ!』という言葉が聞こえてきそうな感じがして頷いた。 ノッペラボウの顔から薄らと浮かび上がる唇に俺は口づけをした。 美桜ちゃんと初めて交わした口づけはゴムの味がした。 今の俺にはそれだけで十分だった。 「これってゴムなの?」 俺が尋ねるとマネキン人間となった美桜ちゃんはウンウンと2回頷いた。 「これってどうやって脱ぐの?」 首を傾げる美桜ちゃん。 もしかするとと思いスーツケースの中を探すと手紙が入っていた。 [久住和人くんへ  私の可愛い妹 美桜をよろしくお願いします。  後、美桜で採寸の練習いっぱいしてね。              姉の彩月より] 俺の片想いの女の子の名前は斎藤 美桜(さいとうみお)、ダイビングショップのオーナーの彩月さんも苗字が斎藤だったことに今更ながらに気づいた。 手紙を読んで呟く。 「姉妹だったんだ」 そう呟く俺の隣りでマネキン人間姿の美桜ちゃんが頷いていた。 「あ!脱ぎ方は?」 スーツケースの中を探したが、その手紙しか入っていなかった。 「うーん、どうしたものか?」 「美桜ちゃん、そのままでも暑かったり苦しかったりしないの?」 俺がそう尋ねると、美桜ちゃんは指でOKサインを作った。 流石の彩月さんも性欲盛んな二十代の男の家に妹をそのまま預けたりはしないだろう。 ゴムのスーツを着せてマネキン姿にしておけば俺も手が出せないと彩月さんは考えたのだろうか。 俺は気になっていた事を美桜ちゃんに尋ねてみることにした。 「ところで美桜ちゃん、俺の顔見えてるの?」 そう聞くと大きく一つ頷いてみせる美桜ちゃん。 「どこから見えるてるの?」 そう尋ねると美桜ちゃんは自分の目の辺りを指差した。 だが、見た目にはどこに覗き穴があるのかも全く分からない。 鼻がくっつくほどの距離まで顔近づけると、僅かに一点の覗き穴らしきものが確認できた。 「もしかしてこの小さな穴?」 ウンウンと頷くマネキン人間姿の美桜ちゃん。 俺はもう一つ気になっている事を聞いてみた。 「美桜ちゃん、今は話せないの?」 マネキン人間姿の美桜ちゃんはまたウンウンと頷いた。 「今からどうする?」 首を捻るマネキン人間姿の美桜ちゃんだったが、すぐに何かを思いついてスーツケースの中を物色する。 取り出したのは採寸表だった。 「そうだね、彩月さんと約束したから練習しなきゃね、美桜ちゃんで練習してもいいの?」 そう尋ねるとマネキン人間姿の美桜ちゃんはウンウンとまた頷いた。 だが、採寸しているとお店の時のように感情が抑えれない。 股下を測っているとお股の割れ目に沿って指を走らせてしまうし、採寸する事にワザと美桜ちゃんの体に触れてしまう。 そして極め付けはアンダーバストを測っている時にオッパイを揉んだ。 乳頭間を測っている時に乳首を摘んでそのまま押し倒した。 だが、美桜ちゃんはというと嫌がる様子もなく、俺を受け入れてくれるようだったので、そのままベッドへと運んだ。 そこで俺と美桜ちゃんはお互いを求め合うように体を絡め合う。 決して交わる事はできないが楽しい時間だった。 その後、俺と美桜ちゃんは付き合い始めた。 美桜ちゃんのお姉さんである彩月さんのダイビングショップで2人とも働き始めた。 そしてもちろん、念願の2人でダイビングに出掛けたことは言うまでもない。 あとがき 大学に通うため上京した私、斎藤 美桜(さいとうみお)はダイビングショップを経営する姉 斎藤 彩月(さいとうさつき)の家で一緒に暮らしている。 「お姉ちゃん!これって」 私が声を上げたのはお姉ちゃんのダイビングショップの面接に来た人の履歴書を見たからだった。 「あら、どうしたの?美桜」 そう言って私の見ていた履歴書を手に取ると言った。 「ああ、彼ね、いい感じで好感を持てたから採用よ、期間限定だけどね」 そう言いながら、お姉ちゃんはある事に気づいた。 「あれ?これってあんたと同じ大学じゃない?それに学部も… 学科まで、知ってるの彼の事」 “気づかれてしまった” 私は顔が熱くなるのを感じながらも、何も答えられずにいた。 「へぇ、彼ハンサムだし、美桜の好みだよね」 私の顔はますます熱を帯びて赤くなる。 「もしかして、美桜の片想いの彼って…久住 和人くん?」 お姉ちゃんには大学に入学してすぐに好きな男の子ができた事を話していた。 「へぇー、そうなんだ」 「お姉ちゃん、私、何にも言ってないよ!」 語気を強めて反論したが、顔は真っ赤で今にも顔から火を吹きそうだった。 「分かった分かった、みなまで言うな妹よ!お姉ちゃんが協力してやろう」 「だから… 」 「美桜も春休みは彼と一緒に私のところでアルバイトとね、決まり!」 「もうお姉ちゃん勝手に決めないでよ」 そう言った私の言葉は嫌がっているものではなく、遠慮しがちのものだった。 「美桜、お姉ちゃんに任せな、ドーンと泥舟に乗ったつもりでいなさい!」 「もう、泥舟だと沈んじゃうよ!大船だよ」 「ダイビングショップだから沈んでも大丈夫なのよ!」 そんなこんなで私はお姉ちゃんのダイビングショップで春休みにアルバイトをする事になったのです。 まさか、お姉ちゃんのラバーフェチの性癖を知り、私がゴムマネキン人形にされてしまい、そんな姿を和人くんに晒すことになるなんて考えもしていませんでした。 おしまい

ダイビングショップでのアルバイト

More Creators