桃華の顔はマイクロホールマスクに覆われていてノッペラボウだが、しっかりと俺の方を向いて話し始める。 「私、亮に嘘ばかりついてたの… 高級住宅街に住んでいるのも嘘、本命の彼氏がいるのも嘘、セフレの関係で満足しているのも嘘、とにかく嘘だらけなの!でも亮とずっと一緒に居たくて嘘を突き通すつもりだったけど… バレちゃったね」 桃華は泣き出してしまった。 俺はただただ桃華の話を聞いていた。 「今日、亮から誕生日プレゼントでラバースーツもらった時は嬉しくて… ホテルのチェックアウトの時間が迫っているのは分かっていたけど、亮も喜んでくれていたから着たんだよ」 桃華の話に俺はただ頷く。 「この姿のまま帰るのは少し恥ずかしかったけど、亮からのプレゼントを纏った幸せな私の姿を見せびらかせたくて… でも、終わりだね、セフレの関係は… だって私は貧乏だし、彼氏もいなくてフリーだし… 嘘つきだし… 」 桃華は泣き出して、机に突っ伏した。 俺は泣き崩れる桃華の下へ行くと、桃華の頭を撫でて言った。 「そうだね、もうセフレの関係は終わりにしよう」 泣き崩れていた桃華は号泣に変わる。 そんな桃華の頭を撫でながら俺は続けた。 「俺も桃華に一つ嘘をついてたんだ」 俺の言葉などもう微塵も聞こうとしない桃華は頭を振って号泣し続ける。 そんな桃華に構わずに俺は言った。 「俺も本命の彼女はいないんだ、だからセフレの関係を解消して恋人関係にならないか?結婚を前提に」 その言葉を聞いた桃華の号泣がピタリと止まった。 「ヒック、ヒック、ヒック、亮それホント?ホントにホント?」 「うん、本当だよ!」 俺は見栄を張って桃華とのセフレの関係をスタートさせていたが、実際には彼女はいなかった。 お互い本命がいた方が気楽に付き合えると思ってセフレとして始めた関係だった。 もし別れが来ても後腐れなく別れられると思っていたのだが、俺は会うたびにどんどん桃華にのめり込んでいった。 それは桃華も同じだったようだった。 マイクロホールマスクからも涙が滲み始めるほど号泣した桃華。 「桃華、マイクロホールマスク取らないか?涙で溺れちゃうぞ」 「亮と一緒にいられるなら私、死んでもいい!」 「死んだら一緒にいられなくなるよ!それに桃華は今日から俺の大事な人なんだから」 そう言うと桃華はまた号泣して俺に力一杯抱きついてきた。 おしまい
ごむらば
2025-08-14 22:01:06 +0000 UTCJan Koda
2025-08-14 15:03:15 +0000 UTC