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1.結婚式というドラマ撮影【披露宴】

俳優をしてい俺、岸本 宗介(きしもとそうすけ)が結婚というドラマの新郎役をすることになった。 ドラマといってもテレビなどで放送されるものではなく、結婚の流れを分かりやすく説明するものらしい。 新郎側の視点で結婚の挨拶、結納、結婚式、披露宴、婚姻届、新婚旅行などを撮影していく。 その順番は本来の流れ通りではなく、場所や人員の都合で撮影していく。 新婦役は俺と同じ年の中谷 真由(なかたにまゆ)さん。 彼女もまた女優であり、優しそうで好感を持てる可愛い女性だった。 そんな新郎新婦に欠かせない両親と事前に顔合わせをした。 俺の両親役はベテランの雰囲気の俳優さんと女優さんで歳は60歳代前後の方たちだった。 対する新婦の両親役は中堅どころか、20代半ばの俺や彼女の少し年上30代前後の方たちだった。 なんなら、新婦の母親役の女優さんが新婦といっても遜色ない綺麗な女優さんだった。 これはいくらなんでも、新婦の両親というのは無理がある。 いいとこ、兄夫婦または姉夫婦にしか見えなかったから。 簡単な顔合わせの数日後、撮影が開始されることとなった。 初日は会場の都合もあり披露宴の撮影、そして結婚式の撮影が行われることとなった。 準備された披露宴会場に入りリハーサルを行った。 新郎側つまり俺の家族や親族、友人はスーツやドレス、着物を着ているのに対して、なぜか新婦側の参列者は全員ジャージだった。 それは新婦役の真由さんも例外ではなかった。 何かの手違いで、衣装の到着が遅れているのかと思ったが、それでも新婦側全員というのは明らかにおかしい。 不審に思いながらもリハーサルは淡々と進んでいった。 そんなリハーサルをしながら気づいたことがもう一つ。 新婦側の参列者は全員が30代前後で若い感じだった。 リハーサルを終えて一旦休憩に入ると、新郎側の参列者が会場に残るのに対して、新婦側の参列者はゾロゾロと会場を出て行った。 そんな参列者と入れ替わりに、今出て行った参列者の衣装らしきものが運び込まれてきた。 そしてその着付けをするためのスタッフも数人会場に入ってきて衣装の準備を始める。 しばらくして男性の参列者が数人戻ってきたのだがその姿に俺は驚いた。 顔は出したままだが、体がウルトラマンになっていたのだ。 スーツの着付けのところでウルトラマンのマスクを被り、背中のファスナーが閉じられるとスタッフにスーツを着せられていく。 結婚式らしいスーツを着たウルトラマンたちはリハーサルの時の席に着いた。 呆気に取られて見ていると、次に戻って来たのは体が怪獣で大きく開いた背中から頭を出した女性たちだった。 ざっと見る限りどの女性も若いし可愛いかった。 スタッフに手を引かれて歩きづらそうに戻ってきた女性たちは怪獣の中に頭を突っ込んで覗き穴などを調整した後、背中のファスナーが閉じられていた。 そんな光景に驚いて見ていたが、ファスナーを隠すようにマジックテープで皮膚が貼り付けられた怪獣は、怪獣用に作られたと思われる大きなドレスをスタッフ2人掛かりで着せられていた。 ドレスを着せられると先ほどのウルトラマン同様にリハーサルの時の席に着いた。 その後も親族と思われる男女のウルトラマンから頭だけ出した共演者たちが戻ってくる。 スーツやドレス、着物を着せられると着席して行った。 そして、新婦の両親が現れた。 予想はしていたが、やはりウルトラの父とウルトラの母だった。 ウルトラの父は燕尾服を、ウルトラの母は着物を着付けしてもらい着席した。 ウルトラマンの着ぐるみを着た人たちは一様に耳の後ろ辺りを触ると目が光り出した。 “あれっ?!新婦は?” そう思っていると俺はスタッフに呼ばれて会場の外へ。 少し待っていると、そこへ白いウエディングドレスを着たウルトラウーマンの新婦が現れた。 「中谷さん?」 「はい、よろしくお願いします」 「こちらこそ、よろしくお願いします」 彼女の声はかなりくぐもっていた。 「着ぐるみ着るの初めてで、それにコルセットやウエディングドレスも初めてで… 」 そう言う彼女は少し息が切れて苦しそうだった。 「大丈夫?苦しそうだけど」 「視界も狭くて、息苦しいけど大丈夫です!頑張ります!」 そう言った後、裾の広がったウエディングドレスを少し、捲り上げると銀色のヒールの高いブーツが見えた。 「私、ハイヒールも初めてなんです、ゆっくり歩いて下さいね」 そう言われて俺は笑顔で頷いた。 俺が笑顔になったのは、ウエディングドレスを捲り上げた時、ウルトラウーマンの赤とシルバーの中谷さんの足が艶っぽくて思わずニヤけてしまったのを隠すため。 そんなウルトラウーマンは耳の後ろにあるスイッチをオンにし目を光らせると、白いレースのロンググローブをした腕で俺と腕を組んだ。 「じゃあ、扉を開きますので入場して下さい」 スタッフにそう促されて披露宴会場に曲に合わせてゆっくりと2人で入って行った。 高砂の席に着くと、司会者が進行を始める。 その間もウルトラウーマンとなった中谷さんからは苦しそうな呼吸音がずっと聞こえていた。 新郎の上司の挨拶、歓談のあと、友人たちのお祝いの言葉をもらうのだが、気になるのは新婦の友人たちの怪獣たち。 怪獣にドレスを着せるのは無理があるようで、覗き穴部分までドレスが掛かり、足下が見えずに躓く怪獣もいた。 そんな怪獣3匹は新婦のために歌を歌ったのだが、歌った後の疲労は凄いようで3匹とも肩で息をしながら席へと戻っていった。 もちろん、歌も中の人たちが歌っていたので声がかなりくぐもっていた。 つづく

1.結婚式というドラマ撮影【披露宴】

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