2日後、俺にとっては待ちに待った日がやって来た。 3泊4日の沖縄への新婚旅行!もとい撮影旅行。 中谷さんと直に顔を合わすのは、顔合わせの時以来になる。 ウルトラウーマンの着ぐるみ姿の彼女も素敵だが、やはり生の彼女はもっと素敵で見惚れてしまう。 中谷さんはハッキリ言って俺の好みだ。 顔合わせの時はまだ彼女のことよくを知らなかったが、披露宴、結婚式を経て見た目だけでなく、彼女の中身まで全て好きになってしまっていた。 俺と中谷さんは自分の荷物だけ、その他の荷物、ウルトラウーマンの着ぐるみも含めて全てスタッフ任せだ。 飛行機に搭乗し、中谷さんと隣り同士で座る。 「今日からよろしくお願いします」 「こちらこそ、よろしくね」 中谷さんから声を掛けてくれて、俺も返した。 中谷さんからこんな提案があった。 新婚旅行の撮影では、スタッフ以外は出演者は私たちだけなので、お互い下の名前で呼び合いましょうと。 俺も中谷さんの提案に賛成してお互い下の名前で呼ぶこととなった。 俺は彼女のことを真由ちゃんと呼び、彼女は俺のことを宗介くんと呼ぶことになった。 飛行機は無事に定刻通りに離陸し、2時間ちょっとの楽しいフライトを終えて俺たちは沖縄へと着いた。 飛行機を降りてまず感じたことは都心よりも暖かいというより、むしろ暑いということ。 ジメジメした暑さではないが、真由ちゃんはこの中で体にピッタリと張り付くウルトラウーマンの着ぐるみを着て撮影に臨むのだ。 思わず俺は心配になり声を掛けてしまう。 「真由ちゃん、この暑さで大丈夫?」 それは俺が言わなくても彼女自身ヒシヒシと感じているだろう。 そんな真由ちゃんは笑顔で言った。 「宗介くんがサポートしてくれるでしょ!だから私も頑張るね」 そんな健気で頑張り屋の真由ちゃんを見ていると今すぐにでも抱きしめたくなった。 「うん、俺も一緒だから頑張ろうね」 2人顔を見合わせて頷いた。 まずはホテルへチェックインしてから簡単な打ち合わせをする。 今日は朝から飛行機で移動し、昼から沖縄の各地をレンタカー観光する。 夕方には国際通りでお土産を購入予定だ。 2日目と3日目は海のアクティビティ、撮り直しや準備に時間が掛かることを想定して4日目は予備日ということだった。 簡単な打ち合わせの後、スタッフが言いづらそうに俺たちのところへとやって来た。 「すみません、お願いがあってですね… 、観光客が多くてホテルの部屋が予約取れなくて、スタッフ用の部屋ともう一部屋しか取れなくて… 」 「つまり、俺と中谷さんで一室ということですか?」 スタッフは恐縮しながら答える。 「そういうことになります」 俺は真由ちゃんをチラッと見てから答える。 「俺はいいけど、中谷さんが… 」 「私はいいですよ!だって、新婚旅行ですもん!ねっ!」 そう言って俺の方を見る真由ちゃんにますます惹かれてしまい、自然と相槌を打つように頷いた。 出演者の同部屋の許可を取り付けたスタッフは胸を撫で下ろしているようだった。 「これに衣装が入っていますので」 そう言うと持っていたスーツケースを真由ちゃんに渡した。 俺は自分の荷物と真由ちゃんの荷物を持ち、真由ちゃんは渡されたスーツケースを持って部屋へとチェックインした。 大きなベッドが2つ並んだ広い部屋。 ベランダからは沖縄の綺麗な海が広がっていた。 大きなベッドに仰向けに横たわる真由ちゃん。 それも並んでベッドに横になった。 「移動も結構疲れるね」 「そうだね、飛行機乗ってただけなのにね」 そう言って2人で笑った後、俺から真由ちゃんの手を引いてベランダに出た。 俺と真由ちゃんはくっつくほど近くで並んで海を見ていた。 そんな綺麗な海を見ていると自然と心が盛り上がってしまう。 俺はドキドキしている。 なぜなら、真由ちゃんと目が合い笑顔になった後、真由ちゃんが目を瞑ってしまったから。 大人ならこれが何を意味しているか分かる。 俺はゆっくりと真由ちゃんに顔を近づけていく。 もう少しで真由ちゃんの唇に届くという時に部屋の扉が勢いよくノックされて我に返った。 お互い近距離で見つめ合い顔を赤らめてしまう。 「あっ、俺が出るよ」 「お願いね」 俺は真由ちゃんから離れ、部屋の扉へと向かった。 扉を開けるとそこには先ほどのスタッフが立っていた。 「すみません、スーツケースを間違えたので」 「分かりました、持って来ますね」 俺は真由ちゃんが持ってきたスーツケースとスタッフが今しがた持ってきたスーツケースを取り替えた。 「失礼しました、正午から昼食がホテルのレストランで摂れますので、午後2時に正面玄関集合でお願いします」 それを伝えるとスタッフは行ってしまった。 俺は部屋の扉に鍵を掛けるとベランダへと向かう。 真由ちゃんもベランダから部屋へ入りベッドの前でどちらからともなく抱き合った。 そして俺が押し倒される形でベッドに横たわるとそのままキスをした。 海を見てのロマンチックなキスを邪魔された分、俺と真由ちゃんは濃厚なキスを交わした。 しばらくお互いを確かめ合った後、真由ちゃんは頬を赤らめて聞いてきた。 「誰だったの?」 「さっきのスタッフ、スーツケース間違えたんだって」 「ふーん、また邪魔されないように中身確認しておこう!」 そう言うと真由ちゃんは起き上がり、両手で俺の手を引いて俺も起こしてくれた。 先ほど入れ替えたスーツケースを開いてみると、そこに入っていたのはウルトラウーマンの着ぐるみと黒光りしたスーツだった。 俺はインナーである黒光りしたスーツが気になり真由ちゃんに聞いてみた。 「これって、ゴムでできてるの?」 「うん、そうだよ!ラバースーツっていうんだって」 真由ちゃんはそう言ってラバースーツを広げて見せてくれた。 一つ気になったのは、そのラバースーツにはファスナーが見当たらないこと。 どうやって着るのだろうと首を傾げていると、真由ちゃんが聞いてきた。 「どうしたの?」 「あっ、これどうやって着てたんだろうと思って」 そう言うと真由ちゃんが言った。 「昼ごはん食べた後、着替えるの手伝ってくれる?」 「えっ!俺でいいの?嫌じゃない?」 「宗介くんさえ良ければ手伝って」 もちろん俺の返事は決まっている。 大きく首を縦に振ってから言った。 「是非、手伝わせてもらいます!」 それを聞いた真由ちゃんは笑顔になった。 「じゃあ、昼ごはん行こっか」 「そうだね」 俺と真由ちゃんは手を繋いでホテルのレストランへと向かった。 つづく